ホヴァネスのカンタータ「富士山」
連休二日目は清水マリナートホールで「霊峰富士山を讃えるコンサート」。
静岡市に所用のある上の娘と一緒に静岡市へ。昼食は静岡駅ビル内の沼津魚河岸寿司」でランチ。
そして娘と別れて清水へ逆戻り。
曲はショスタコーヴィチの祝典序曲に、20世紀アメリカの作曲家ホヴァネスのカンタータ「富士山」、そしてメインは「惑星」全曲というもの。
指揮はボン市立歌劇場やマルメ歌劇場の音楽監督などを歴任した大勝秀也。
オケは静岡交響楽団、浜松フィルなどのプロオケを核に県内と山梨県のアマオケのメンバーも加えた「ふじのくに交響楽団」。
富士山の世界遺産登録を祝う祝祭的な意味合いのコンサート。
プログラムもその意味では非常に意欲的なもの。
自分の席は前から5番目のほぼセンターという理想的なものだが、面白いプログラムなのに客の入りは今一つで、キャパの5割に達したかどうかといったところ。
自分の前は全く空いているので、オケの奏者がダイレクトに視線に入る。しかも真正面は沼響コンミスのYさんだ。
彼女も途中で自分に気が付いたようだ。
沼響の他のメンバーの演奏ぶりも良く見えた。
演奏はいずれも気合の入った集中力のあるもので、パワフルな演奏が非常に楽しめた。
祝典序曲はトランペットのバンダ入りで快調に飛ばしていたし、惑星全曲も生で聴くと絶妙なオーケストレーションの中での各楽器の役割がよくわかる。
なによりもこれだけの巨大編成の全容は、スピーカーからの再生では絶対に再現不可能だ。
バスオーボエの加わったダブルリード群の独特の響きの面白さや、チェレスタの響きに加わるトライアングル一発の音の役割などは、視覚を伴った中で初めて気が付いたほど。
天王星以降の2曲に多少の齟齬があったのは、合奏の練習時間が充分に取れなかったからだろうか。海王星で一瞬ヒヤリとする場面があったものの曲全体の出来としては立派なもの。
海王星の女声合唱はシンセを使っていたようだが違和感はなかった。
今回の自分の最大の関心事はホヴァネスの作品。
1960年代には来日し、妻が日本人だったりしたホヴァネスには日本を題材にした曲がいくつかあるけれども、こんな曲があるとは知らなかった。
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曲は女声合唱に弦楽器、フルート、ハープの編成で前奏曲と合唱が加わる2曲にオケのみの曲3曲の全体で20分ほどの小曲。
歌詞は万葉歌人山部赤人の「田子の浦ゆ うち出でてみれば・・・・」の有名な歌が日本語で歌われる。
今回は女声合唱ではなく3人のソロで歌われた。
外国人作曲家が日本を題材とした曲を書くと、時として中国風のとんでもない勘違い音楽になってしまうことがあるが、ホヴァネスは日本の音楽も十分に研究していただけあって、日本人の琴線にも触れるようなきわめて日本的な音楽となっていた。
静かに揺れる波が打ち寄せるような音の流れの中に、ホヴァネス独特のエキゾティシズムが日本風のティストを伴って聴こえてくる。
演奏後の会場での解説では、1964年の初演後からほとんど演奏されず今日が2回目ではないかとの話があったが、出版譜が今でも入手可能なので海外では演奏されているかもしれない。
ともあれこのチャンスを逃したら一生聴けないような曲で、今日は貴重な経験をさせていただきました。
Youtubeは「惑星」からジュピター、マッケラスの指揮
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