ゲリー・カーのコントラバスのことなど
梅雨も明け7月に入り蝉も鳴き始めた。いよいよ本格的な夏。
今日は休みをとり母を病院に連れて行く。
本人は元気のつもりだが老いは誰にも平等に訪れる。検査の結果は一週間後。
病院の付添でほぼ一日費やしたので自分はゆっくりとは休めていない。
帰宅後聴いたのはコントラバスの名手、ゲイリー・カーの演奏。
1980年の来日時にキングレコードのスタジオで録音されたもので、ピアノ伴奏はハーモン・ルイス。手持ちはキングレコードの初出LP.
自分でチェロも弾く家内はコントラバスの大ファンで、コントラバスのレコードを集めていた。これもいわば嫁入りと同時に持参してきたLP群の一枚。
曲は、シューベルトの「アルペジョーネソナタ」とラフマニノフのヴォカリーズ、サンサーンスの白鳥のほか、荒城の月やカタロニア民謡の「鳥の歌」など数曲。
ロシア系カナダ人のゲリー・カーは代々のコントラバス奏者の家系で、子供の時から家で普通にコントラバスが鳴っていたという。
アザルヒンやシュトール、シュライヒャーなど他のコントラバスの名手たちが有名オケのオケマンであるのに対し、カーはデビューからソリスト一本でこの世界を生き抜いてきた。
演奏はいずれも大変な名演だ。
他の有名コントラバス奏者の演奏とは次元が違う。
驚異的な音域の広さと美しい音色は、チェロとはまた異なる世界。
伴奏者のルイスの解説で、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」が最初は歴史的なコントラバスの名手にしてボストン響の音楽監督だったクーセヴィツキーのために書かれたコントラバスのオリジナル曲になるはずだったということを初めて知った。
ところが作曲の途中でラフマニノフとクーセヴィツキーが仲違いをして、ヴァイオリン若しくは声楽のために書き直されたのだという。
演奏の中ではこの「ヴォカリーズ」が最も美しく印象に残った。
ここで、カーはクーセヴィツキーが使用していた銘器アマティで演奏している。
この録音は超絶的優秀録音としてXRCDにもなっている。生々しいまさに実在の響き。
Youtubeはゲリー・カーの弾く「ダニーボーイ」美しく暖かな音色が感動的な演奏
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