« ロザンタールの「トスカ」 | トップページ | ウラッハのモーツァルト »

2014年7月 8日 (火)

フィンジの「エクローグ」

最強の台風襲来に、どこのチャンネルも台風の脅威を伝えるニュース。

ところが今朝の自分の周囲は、台風とは無縁な快晴。空気は湿り気を帯び、日差しも強く朝から暑い。
オフィス周辺の木立には、クマゼミのシャーシャーという大きな鳴き声が響いていた。

台風は東海地方に木曜夜から金曜にかけての到達予定。

Sdsc00945 順調に育ってきた畑のトウモロコシとトマトがまさに風前の灯。
そして金曜夜は、市文化センター主催のクラシックディスクコンサートで解説。

直撃にならないように祈るのみ。 夜から雨。


今日は近代イギリスの作曲家、ジェラルド・フィンジの協奏曲作品を聴いた。
NAXOSから出ているCDで、内容はチェロ協奏曲、ピアノとオーケストラのための「エクローグ」に、同じくピアノとオケのための「大幻想曲とトッカータ」。
ティム・ヒューのチェロ、ピーター・ドノホーのピアノにグリフィス指揮のノーザンシンフォニアというもの。

フィンジの世界を初めて知ったのは学生の時。

札幌のデパート(今はなくなってしまった五番館だったと思う)で輸入レコードのセールがあり、この時、ホルストの娘、イモージェンが振ったホルストの「合唱幻想曲」と「詩編86番」の入った英EMIのLPを見つけた。

Hqs1260
当時の私は貧乏学生、未知の曲のLP1枚を買うのに勇気がいる時期だったので、この時の様子は、建物の柱の色までもよく覚えている。

このLPには、フィンジの甥が振ったカンタータ「ディエス・ナタリス」がカップリングされていた。
フィンジという初めて聴く作曲家の、病的なほどの弱々しさと、ある種の危うさの感じられる繊細な音楽が非常に印象に残った。


Spirit2 それから10年余りの月日が経ち、フィンジとの再会は英ニンバスが出していた近代の英国音楽を集めたCD4枚組。「スピリッツ・オブ・イングランド」第2集。

ホルストやディーリアス、ヴィーン・ウイリアムス、エルガーといったおなじみの大家から、アイアランド、バックスらの作品を集めた中に、フィンジの「エクローグ」が収録されていた。

演奏はマーティン・ジョーンズのピアノに、ウイリアム・ボートン指揮イギリス交響楽団いという初めて聴く演奏家たち。


初めて聴くこの「エクローグ」の純粋で清楚な美しさにすっかりまいってしまった。
本当に選ばれた者にしか書けぬ純粋な旋律。

NAXOS盤に聴くチェロ協奏曲は、第3楽章がチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲のフィナーレに非常に似ていて、はじめにピアノのソロが延々と続く「大幻想曲とトッカータ」は、まるでバッハのような世界。
8555766
フィンジ独特の抒情的な美しさは、チェロ協奏曲の第2楽章にわずかに感じられるものの、この2曲は作品としての魅力は薄い。

お目当ての「エクローグ」では、チャイコフスキー国際コンクール優勝者のドノホーのピアノがうますぎて健康的すぎ。 影の薄いニンバスのジョーンズの演奏の方が曲想に合っているようだ。


Youtubeはフィンジの「エクローグ」

|

« ロザンタールの「トスカ」 | トップページ | ウラッハのモーツァルト »

音盤視聴記録」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ロザンタールの「トスカ」 | トップページ | ウラッハのモーツァルト »