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2014年11月17日 (月)

森銑三「伝記文学 初雁 」

新たな週は曇り空。
今週はいろいろと難題が待ち受けていて自分の気分も曇り空。
昨日夜から部屋に暖房を入れている。

最近娘は友人とバンドを結成。
何故か家内もメンバーに加わり、昨日は朝から練習に出かけて行った。

自分は家に残り、部屋の片づけやら物置に放置していた古い自転車を直しているうちに、あっという間に正午過ぎ。
休日は時間が経つのが早いもの。

書棚から処分する本を抜き出しているうちに、「伝記文学 初雁 」森銑三著が目に入った。購入したのは1990年。20年以上前に買ったまま読まずに放置していた本。

文庫本としては高価な講談社学術文庫で、当時何故この本を買ったのかも記憶にない。 パラパラとめくっているうちにもう夢中。

文庫本の説明には


「堀部安兵衛、渡辺崋山、南方熊楠ら著名の人物から、名もない武家娘や流刑の咎人まで。読む人たれの心にも、懐しさが沁み入るように満ちてきて感銘が深い。 どの一編も拠るべき確実な史料にのみ基いて叙述されており、世に名高き森史学の人物研究中、白眉の名編である。」


とある。

江戸時代の、あまり知られていない断片的な歴史的史料を発掘して紹介したもの。

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無名の江戸の庶民や市井の人々の姿が生き生きと見事に現代に蘇っている名品だ。


島流しとなった流人の体験譚や、川路 聖謨の日記に書かれた四歳になる家来の娘のエピソードなど、読んでいて思わず癒される。


赤穂浪士の討ち入りの前日に秋田から上京し、たまたま泉岳寺に逗留していた19歳の若い僧の見た、討ち入り直後の義士たちや大石内蔵助の様子など、あたかも数日前に起こったかのような生々しくも一流のレポートになっている。


14歳の時に、乞食をしながら江戸から伊勢まで旅をした勝海舟の父、勝小吉の放浪譚は、勝小吉の著名な自叙伝「夢酔独言」にだぶる部分もあるけれど、コンパクトにまとめられて読みやすい。


全編、江戸の人々たちが貧しい中でも心を通わせながら互いに助け合い精いっぱい生きている様子が見事に伝わっている。

今の日本人が失ってしまったものはあまりにも大きい。


今年生誕百年のハンガリーの女流ピアニスト、アニー・フィッシャーの弾くモーツァルトを聴いていた。
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曲はピアノ協奏曲第24番と27番の2曲。1966年録音。
伴奏はエフレム・クルツ指揮のニューフィルハーモニア管による英EMIのCD。

一点の曇りのない蒼い空を仰ぎ見るような爽やかさと、格調の高さを兼ね備えたフィッシャーのピアノ。
張りつめた緊張感とドラマティックさの中に、悲劇的な美しさの感じられるクルツの伴奏が非常に良く、24番序奏部分のヴァイオリンなど息を呑むような素晴らしさだ。

24番のカデンツァは初めて聴くもの。 フィッシャーのオリジナルなんだろうか?
Youtubeはアニー・フィッシャーの弾くベートーヴェンの3番のコンチェルト。来日時の演奏。

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