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2015年1月に作成された記事

2015年1月31日 (土)

大町陽一郎のブルックナー

2015年1月最後の日は晴れ。庭の梅も蕾が膨らみまもなく花を咲かせるだろう。
家内は昨日から下の娘の様子を見に行き明日まで横浜。
自分は午前中歯医者で午後は仕事。さらに夜にはご近所のお通夜が入り慌ただしい一日。

今日は大町陽一郎のブルックナー。
曲は交響曲第8番。プラッツから出ているCDで、1999年、大阪センチュリーと大阪シンフォニカーの合同オケによる演奏。

この頃大町は東京と大阪でブルックナーチクルスを行っていたらしい。

860_2 70年代の初めころNHKFMでバイロイト音楽祭のライヴが放送された時に、大町陽一郎がゲストで呼ばれていて、クナッパーツブッシュの凄さをしきりに力説していた。

だが大町陽一郎のブルックナーはクナッパーツブッシュよりもベームの演奏に近い。


ゆっくり雄大なテンポで美しく歌わせた演奏で、クナッパーツブッシュのブルックナーのような深く大地を抉るような凄味はなく、終始レガート多様の柔らかな歌わせ方は人によっては軟弱な演奏に聞こえるかもしれないが、これはこれで説得力のある演奏だと思う。

第2楽章の豪快なテンポの中に垣間見せる優しげなアゴーギクなど、ウィーン風とも言うものなのだろうか。なかなかユニーク。

水をいっぱいに張った巨大な桶を牛車でゆっくり運搬しているような演奏。  


ときおりオケのタガが緩んで水が漏れたりする場面もあるとはいえ、演奏全体に不動のテンポが支配しているのがブルックナーの演奏としては成功している。

1999年といえば日本のブルックナー演奏の総本山ともいうべき朝比奈御大が健在。
大阪フィルを振って盛んに演奏していた時期で、日本人のブルックナー演奏と言えば皆右へならえの朝比奈党だった。

こんな時に大阪でブルックナーチクルスをぶつけるとは、それなりの自信があったのだろう。(ただチケットはあまり売れなかったらしい。ネットで検索するとその時の様子がいくつかヒットします。
http://hiroshi.cside.com/classic/cns99/cns99033.htm

この遅いテンポの中で、終盤になるとさすがにオケのスタミナが次第に枯渇していくのが見えてくる感はあるけれども健闘していると思う。



CDには記録用の録音なのでお聞き苦しい点があります。
と書いてあるがこれが聴衆ノイズのことなのかオケのミスのことなのかはよくわからない。

東京フィルとの第9番も名演だったそうなので、録音が残っていれば聴いてみたい。

この曲の自分のベストはマタチッチのN響ライヴ。

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2015年1月30日 (金)

本日の練習 、小森先生の指揮

1月最終の金曜日は朝から冷たい雨、東京や静岡の一部では雪も降った。

今日は一日休んで定期健診。
最近視力の低下が気になった眼科を中心に雨の中医者通いでほぼ1日。
大きな異常はないものの、前回の検査の時に比べて眼圧が高くなっていた。
まだ許容範囲とはいえ気になるところ。 
昨日はオケの練習だった。場所は市民文化センター小ホール。
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本番を振っていただく小森康弘先生の指揮で、ブラームスの交響曲第1番とラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。 
小森先生とは実に12年ぶりの再会。前回先生は確かまだ学生だった。
練習はオケ、特にホルンは正直なところひどかった。
なんとなく焦点が定まらず、特にブラームスはホルンパートが皆の足を完全に引っ張っていた。
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久しぶりなのに先生には申し訳なく、終了後大いにパートみんなで反省。
 
今日は医者から帰った後の夕方、下の娘の様子を見に行くために横浜に行く家内を駅まで送り、母と上の娘を連れて沼津港の「魚がし鮨」で夕食。
 
ちょうど「ふぐ祭り」を開催中。
娘がふぐを食べたことがないというので、フグ刺しを頼んでメインは人気の近海にぎりにした。
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こちらは大きな蟹入りの味噌汁が付いた豪華版。
フグ刺しはインパクトがなく娘も期待外れだった様子。 
休日の昼間は県外の観光客でにぎわう沼津港も夜になると閑散としている。
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「魚がし鮨」も自分たちの他は家族連れが1組のみ。
この昼間と夜の落差解消が今後の課題だろう。

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2015年1月28日 (水)

大町陽一郎&九州交響楽団のウィンナワルツ集

曇り一時雨、暖かな日々も昨日まで。昼前から気温が下がり冷たい雨も降り始めた。
自宅では雪と霰が降ったという。

本日午前中は本部で外部委員の監査。

監査の後以前の部署に立ち寄ったら、かつての部下より結婚の報告。

彼は入社3年目の将来が楽しみな逸材

なんとなく嬉しい気分でオフィスに戻ったら組織内部で別件の緊急会議でたちまち現実の世界へ。

大町陽一郎の比較的最近の録音で、九州交響楽団を振ったウィンナワルツ集が出ていることを知って購入してみた。
Fontecが出しているCDで都合2枚出ている。

第1集は

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・喜歌劇『こうもり』序曲、・ポルカ『テープは切られた』(エドゥアルト・シュトラウス)
・ワルツ『我が人生は愛と喜び』(ヨゼフ・シュトラウス)
・ワルツ『ウィーンの森の物語』、新ピチカート・ポルカ
・歌劇『千夜一夜物語』間奏曲、『美しく青きドナウ』
・ポルカ『浮気心』、『芸術家の生涯』、ラデツキー行進曲(原典版)
というもの。

立派な演奏だが、気真面目さが全面に感じられウィーンフォルクスオパー管を振った録音ほどは楽しめない。オケの音もボテッとした野暮な響きが興を削ぐ。

面白いのは有名なラデツキー行進曲をオリジナル原典版で演奏していることで、細部が聴き慣れた編曲版とかなり異なる。

ホルンは始めの部分で出てくる聴き慣れた強奏もなく、ウンパウンパの後打ちに徹しているマーチそのものの版。

後半に出てくるフルート、ピッコロの装飾音はまるでベートーヴェンのトルコ行進曲のようだ。まさに軍楽隊の行進曲そのもの。

第2集は、

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喜歌劇「ジプシー男爵」序曲、ポルカ「ハンガリー万歳」
「南国のバラ」、アンネン・ポルカ
ワルツ「天体の音楽」(ヨゼフ・シュトラウス)
喜歌劇「こうもり」より“侯爵様、あなたのようなお方は”
「春の声」、ポルカ「雷鳴と稲妻」、「クラップフェンの森にて」
鍛冶屋のポルカ(ヨゼフ・シュトラウス)、「皇帝円舞曲」

「こうもり」と「春の声」は半田美和子のソプラノが加わっている。

CDの出来としては第2集が圧倒的に良い。

肩の力が抜けた軽妙なワルツとポルカ、オケの音色も洗練されていて第1集とは別のオケのようだ。

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2015年1月26日 (月)

グラナドス「美女とうぐいす」

晴れのち曇り夜から雨。

ここ数日暖かで庭の梅のつぼみがほころび始めている。 
昨日は良く晴れて富士山も良く見えた。
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昨日の午前中はネギの苗を植えたり檸檬を収穫したりの畑作業。 午後はのんびりと休日を満喫。 
本日夕方から大きな会議。
ここで思いがけず強い指摘と非難に晒されさらされるはめになってしまった。
内心忸怩たるものがあるが、新参者としては素直に受け止めよう。 
 
最近リーダーズダイジェスト社のライトクラシクスLP10枚組にはまっている。
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昭和40年代に出たもので、高度経済成長の真っただ中の時代を反映した解説文その他。
付録のブックレットは音楽にあまり関係ないような、当時の人気芸能人のコメントばかり。
曲全てに解説はあるものの、かなりアバウトで今となっては誤りも多い。 
 
プーランクのピアノ曲の常動曲や、雅楽「越天楽」が、今ではオーケストラで良く演奏されていますなど、今読むと吹き出しそうな内容ばかりだ。
さすがに執筆者の名は書かれていない。
 
まぁあまり難しいことは考えずに、気楽にクラシック音楽を楽しみましょうという趣旨なので、当時はこれでよかったのだろう。
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今日はこの中からレイボビッツ指揮パリ交響楽協会の「ボレロ」、マッシモ・フレッチャ指揮ローマフィルによるスラヴ行進曲など。 
 
いずれも覆面オケで「ボレロ」の実体はパリ音楽院管。
ソリストはフルートのルボン、オーボエ・ダ・モーレのカシェ、ホルンのテーヴェらクリュイタンス時代のパリ音楽院管の伝説的な名手に加え、パリ・ギャルドの首席サックス奏者R GateauとF Lhomme。
さらにトロンボーンに超大物クロボカールが特別参加というヘヴィーでコアな内容。
こちらは既にコメント済み。 
 
スラヴ行進曲も、終結部で猛烈にテンポを上げてのラストスパートがすさまじい。 
 
B面は、グラナドスのピアノ曲「ゴエスカス」からのオケ版編曲で「美女とうぐいす」で始まる。
これがオケと女性合唱のヴォカリーズによる格調高い編曲で、ここ最近で最も気に入った演奏。
解説文には編曲者のクレジットはないが、外盤の情報などを見ると、どうやらダグラス・ギャムリーのアレンジらしい。
ギャムリーはオーストリア生まれ映画音楽の作曲や歌曲伴奏の編曲で名を挙げた人。
 
オーボエソロのオヴリガードに乗った女声ヴォカリーズが非常に美しく、オリエンタルで神秘的な雰囲気が漂う名編曲だ。
ギャムリーには「展覧会の絵」のオケ編曲もあるらしいが録音はあるのだろうか?
Youtubeはグラナドスの「アンダルーサ」

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2015年1月24日 (土)

プレートルのプーランク

曇りのち晴れ、土曜休み。娘は仕事で朝から出かけ家内は静岡へ。

自分は母を病院へ送ったついでにブックオフへ寄ってみたりしていた。
今日明日は本全品20パーセントOFF。 
かねてから目を付けていた別宮貞雄著「ドビュッシー 前奏曲集 第1巻 全曲研究」(現代芸術社)。
S_2 これはパリ音楽院作曲科でオリヴィエ・メシアンから受けた講義がベースになっているもの。定価2,000円ほどが950円の2割引き。  
そして100円均一コーナーから、先日亡くなられた陳舜臣氏の歴史エッセイ「九点煙記―中国史十八景」(徳間文庫)。
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80円とはいえこちらも中身は一級品。
 
 
 
午後は畑のネーブルを収穫。
毎年年末には獲るのだが今年はちょっと出遅れ気味。
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梢の実はかなり野鳥にやられていた。 
音楽はフランスのモーツァルト、プーランクの管弦楽作品からフランスルネサンス期の作曲科ジェルヴェーズの鍵盤曲を管楽器と打楽器、クラヴサン用にアレンジした「フランス組曲」と、バレエ曲「牝鹿」全曲を聴いていた。 
 
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いずれも指揮はプーランクのスペシャリスト、ジョルジュ・プレートルの指揮で、「フランス組曲」は60年代半ばパリ音楽院管を振ったもので国内盤の「フランス音楽のエスプリシリーズ」のLP。 
「牝鹿」はデジタル録音初期にフィルハーモニア管を振ったものの英盤LP。
 
明るくお洒落で気品があって、聴いていて自然と愉快な気分になるプーランクの音楽。
 
いずれも親しみやすいこの2曲で、プーランクの魅力を知った思い出のレコードだ。
プーランクを振らせたらプレートル以上の指揮者はいない。 
 
プレートルの「牝鹿」はパリ管を振った組曲版の録音もあるけれども、フィルハーモニア管との録音は合唱付きの全曲版。
 
オケがあたかもフランスのオケのような響きを出している。
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カップリングされている3曲の小品、「牧歌」「パストゥレル」「プロヴァンスの水夫」が聴いていて蕩けそうになるほど美しい。 
この演奏はCDの黎明期にいち早くCD化され国内盤が3,800円で出ていた。
CDプレーヤーも高価で、とても手を出せなかった。 
 
こんなことはよく覚えている。
Youtubeはプーランクの「パストラーレ」
 

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2015年1月23日 (金)

本日の練習 ブラームスの1番を聴く

昨日からの雨は朝まで残ったものの、昼前から晴れて暖かな良い天気。
今日は3月上旬並みの気温だという。
週末を迎え体調も復調の兆し。本日午前中組織内部の勉強会。

昨晩はオケの練習日だった。市民文化センター地下のリハーサル室で、ブラームスとラフマニノフを一通り通した。

団内指揮者のF君の指揮は今日までで、来週はいよいよ小森先生の登場。


過去1回の先生と共演した時は本番時には先生は未だ芸大の学生だった。

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練習終了後は場所を移し、今年秋の演奏会の内容を決める技術委員会に出席。

ところが途中狩野川を渡す黒瀬橋が工事で通行止めで、止む無くUターンして遠回り。

皆同じ道を通ったようで、雨降る夜の慣れぬ道で迷う者続出。
集合は遅れ結局辿りつけないままの団員も出る始末。

委員会では基本的な方針を決め、後は細部を詰めるのみ。
結局会議は遅くなり帰宅は11時過ぎ。

帰り間際に沼響のホームページを管理しているトランペットのT君から「ブラームスの1番の聴き比べはどうしますか?」と聞かれた。

「うーむ・・・・」正直なところ迷っている。

ここ数年連載のペースは落ちていてチャイコの5番やブラ2、「巨人」の聴き比べもロクに進んでいない。

1度聴いた直感のまま簡潔に書くことは可能で、実は書きかけの素案は沢山できてはいるのだが・・・・

1番を加えると、ブラームスの4曲の交響曲全ての聴き比べは揃うことになる。

結局、即答ができなかった。


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沼響のHPの聴き比べコラム「巨人を聴く」にロスバウト指揮ベルリンフィルのライヴの演奏の感想をアップしました。
http://www.numakyo.org/cgi-bin/titan.cgi 

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2015年1月21日 (水)

プーランクの常動曲など

曇り時々雨。今日は午後に業界紙の取材、そして夕方からは組織幹部が集まっての定例会議。このところ一日は長いが一週間が短く感じる日々。 

リーダーズダイジェストが出したライトクラシックスLP10枚組を少しずつ聴いている。
数年前にご近所のお年寄りからいただいたもの。 
 
今日はその中からの「ノクターン」という1枚。
 
レクオーナの「マラーゲーニャ」から始まり。ピアノ曲や歌曲からのオケ編を集めている。
 
シューマンの「献呈」、プーランクの常動曲、スクリャービンの左手のためのノクターンなど凝った曲のオンパレードが嬉しい。
 
アレンジも演奏も曲の本質を失っていない見事なものだ。
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ダグラス・ギャムリー、ジョージ・ウエルドン、チャールズ・ゲルハルトなどの巧者揃いの指揮者がロイヤルフィルを母体としたオケを振っている。
録音も非常に良い。 
気持ちよく聴いているうちに、腹に応えるズシンとした揺れが来た。
短かったが深く強い縦揺れ。 
 
ネットで検索したら震源地は駿河湾でM3.5.場所は浜岡原発の近くだった。
 
富士山噴火の前触れだろうか?
 
Youtubeはプーランクのフランス組曲、プレートル指揮

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2015年1月20日 (火)

アーヴィングのカーニバル

本日大寒。とはいえ良く晴れて今年に入って最も暖かい一日となった。
インフルエンザはここ数年にない流行で、他部門では管理職をはじめ何人かがダウン。
自分のセクションでは幸いにしてインフルエンザの患者はまだ出ていない。
午後から組織トップとの打ち合わせその後部門内会議。

バレー音楽のスペシャリスト、ロバート・アーヴィングの「カーニバルタイム」というアルバムを聴いた。

米キャピトル原盤の国内盤LPで、お祭りにちなんだ曲を集めたもの。


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「ローマの謝肉祭」序曲(ベルリオーズ)、「ベニスの謝肉祭」(バンクス編)、
「動物の謝肉祭」から白鳥(サンサーンス)、「パリの謝肉祭」(スヴェンセン)、
「ペトルーシュカ」よりロシアの踊り(ストラヴィンスキー)、
「謝肉祭」(シューマン、ジェイコブ編)、「セヴィリアの聖体祭」(アルベニス)、
「ポーランドの祭り」(シャブリエ)など。


オケはシンフォニア・オブ・ロンドン。

シューマンのピアノ曲「謝肉祭」のオケ編が、CDでも出ているラヴェルやグラズノフの編曲とは異なるゴードン・ジェイコブなのが珍しい。スヴェンセンも初めて聞く曲。

とにかく賑やかな曲を集めた選曲が楽しい。
アーヴィングの指揮も祭りだワッショイ的なアバウトさはなく、緻密にして冴えたリズムで迫った純音楽的な名演だ。

「ペトルーシュカ」など是非全曲を聴いてみたい見事な出来だ。

アーヴィングのストラヴィンスキーは、手持ちで「火の鳥」(1911年版!)
「アゴン」はある。いずれも素晴らしい演奏だ。

「ペトルーシュカ」の全曲録音はあるのだろうか?

Youtubeはヌレーエフの踊る「ペトルーシュカ」

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2015年1月19日 (月)

バーンスタインのR.シュトラウス

抜けるような青い空の月曜日。

2週間以上続いた長患いの風邪もようやく終息へ向かい、出る咳もだいぶ少なくなってきた。組織内ではインフルエンザや自分に似た風邪の症状のもの多数。 
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今日はバーンスタイン指揮のR.シュトラウス。
「ツァラトウストラはかく語りき」などを聴いていた。 
CBSソニーが70年代に出したSQ4チャンネルのLP.
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この頃のソニーはクラシック音楽の市場に新規参入したばかりで、1分程度の曲のサワリを集めたLP「音のカタログ」を無料頒布したりして売り込みに力を入れていた。 
確か当時この「ツァラ・・・」も大々的に宣伝していたが、当時中学生の自分にとっては簡単にレギュラー盤を買える身分でもなく、ただ指を加えて立ち読みの音楽雑誌を眺めているのみだった。  
 
手持ちのLPにはニューヨークフィル来日公演1000名様ご招待のシールが貼ってある。  
当時のニューヨークフィルのチケットがいくらだったか知らないが、ずいぶんと太っ腹なことをしたものである。  
手持ちは昨年リサイクルショップの100円コーナーで見つけたもの。
ファクトリーシールもきちん残っていて状態はかなり良かった。
応募シールの一部が切り取られているので前の持ち主は応募したのだろう。 
 
演奏は、勢いと熱気のいつものバーンスタイン節。
オケの響きに濁りが感じられ幾分粗さが感じられるのは、その頃のニューヨークフィルの録音に共通したものだ。  
 
そしてもう一枚はアバド指揮ロンドン響によるロッシーニ序曲集。
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手持ちはD.Gの国内盤LP. 「セヴィリアの理髪師」「どろぼうかささぎ」「シンデレラ」「ブルスキーノ氏」「コリントの包囲」など5曲を収録。 
スカラ座監督時代のアバド。幾分生真面目ながらロッシーニの単純にして生き生きとしたブッファの世界を見事に描き出している名演だ。
Youtubeはシノポリ指揮ドレスデンシュターツカペレの「ツァラトウストラはかく語りき」

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2015年1月18日 (日)

コンヴィチュニーのブラームス

良く晴れた日曜日。体調はいまだ完全とはいえないが、土曜は一日家で大人しくしていた。  

今日の午前中は、昨年くも膜下出血で倒れ病院でリハビリ中の友人を見舞う。 
彼は沼響創立時から一緒にホルンを吹いていた。 
 
病院へ行く途中の大平地区には菜の花が咲き始めていた。
菜の花越しの富士山が美しく。 大勢の人が車を止めて写真を撮っていた。 
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彼の来月の退院を前に、沼響有志による病院内での室内楽のコンサートを開くことになり、 今日はその打ち合わせで沼響のホルンパートが病院に集合。 
入院中の彼と美人の奥さんも交えて演奏曲目を選び、ついでにパートも決めておく。
彼は、先月の「トスカ」公演で会った時よりもさらに回復。
 
車椅子に座っていなければ普段の姿と少しも変わらなかったのが嬉しかった。
 
小一時間ほど談笑して解散。
Sdsc02495 帰りについでに伊豆長岡の100円ショップに行き、CD用ジャケット&ケースをまとめ買い。 
家の近くの100円ショップのものはほとんど自分で買い占めてしまった。
 
今日は今年の沼響定演のメイン曲のブラ1を聴く。
 
フランツ・コンヴィチュニー指揮ライプツィヒゲヴァントハウス管の演奏。
独逸オイロディスクへのコンヴィチュニー最晩年の1962年録音。
手持ちは70年代に出たキングの廉価盤LPとArs ViviandiのCD.
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轟然と響くティンパニに乗った冒頭から怒涛のフィナーレまで、重厚でどしりとした音で一気に聴かせてしまう名演だ。
 
この頃ゲヴァントハウス管に在籍していた名手ペーター・ダムの吹く終楽章のホルンの朗々たる音が惚れ惚れするほど素晴らしい。
 
学生時代ボロアパートの1室で、安ものステレオで何度も繰り返し聴いたのも懐かしい思い出だ。
 
惜しむらくはこのLP,A面に詰め込んでしまって音のコシがなんとも弱くなっている。(B面はギンペルのヴァイオリンによるブラームスのコンチェルト)
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その後CDが出て、狂喜して買ったものの、LPでは感じ取れた演奏者の気迫がかなり後退していて全く別の演奏のように聞こえてくる。
これはオリジナルのLPを聴いてみたい。
 
だがオークションで外盤LPが出品されると、競合して値がどんどん吊り上ってしまって、手を出すのは躊躇する金額になってしまう。
未だに人気が高いのは私と同じ思いの人が多いからだろう。
 
SCRIBENDUMから出た13枚組の新たな復刻CDの中にこのブラ1が入っているものの、全曲手持ちとダブリなので迷うところ。

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2015年1月16日 (金)

レコードコンサート

本日快晴、昨晩就寝前に飲んだバファリンが効いて歯の痛みは治まったものの、通勤途中の車中でクスリが切れて猛烈な痛みが襲ってきた。

時計を見ると薬を飲んでちょうど8時間後。
 オフィス到着後直ちに同級生の歯科医タカチャンに電話すると、昼に診てくれるとのこと。ありがたいことだ。

 歯の痛みと治りきらぬ風邪のため体調最悪。
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夜には市民文化センター主催のクラシックレコードコンサートで解説をしなければならず、大事を取って午後の予定を全てキャンセルし昼から早退することにした。
歯医者で応急処置の後、帰宅し薬を飲んで夕方までしばし横になり、その後市民文化センターへ。センター到着は17時。


ところが文化センターへ到着すると手違いが有り、頼んでおいた準備が全くできてなくて吃驚。
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開演は18時半。

最近は17時半頃には常連さんが集まって雑談したりして一種のサロン化している。

とにかく時間がないので、夕食を摂る時間もなくオーディオ装置と持参したソフトのチェックをしている間に馴染みの常連さんたちが入って来た。


解説する内容を考えている時間もないので、今回はほとんどアドリヴ。

内容はウィーンフィル特集ということで、ウィーンフィルの歴史や特徴を話しながらさまざまな演奏を紹介していった。

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寒い中に来てくれる視聴覚室にほぼ満員のお客様。ありがたいことです。

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ウィーンフィルの演奏を時代別に紹介しているうちに、変わらぬ特徴はあるものの、オケそのものの響きが時代と共に変わってきているのを実感する。

アップした写真は、自分のコレクションから戦時下のウィーンフィルのコンサートプログラム。クレメンス・クラウスのサイン入り。
戦時下とはいえプログラムの紙質は良い。
曲はハイドンの「軍隊」、プロハスカのカンタータ「歩兵隊」、そしてベートーヴェンの5番の交響曲という戦時色濃厚なもの。

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2015年1月15日 (木)

本日の練習、ブラームスとラフマニノフ

曇り後雨。昨晩就寝中に歯が痛くなった。新年会での大酒が虫歯を刺激したらしい。

 
朝、かかりつけの歯科医(同級生のタカチャン)の診察券を出してみると木曜休診。
ガーン・・・痛みは散発的に襲ってくる。
 
明日は夕方から文化センターでのディスクコンサートの解説を控えているので、それまでの時間にびっしり来客や会議の予定を入れてあり、とても歯科医にかかる余裕はなさそうだ。
 
とりあえず帰りにドラッグストアに寄って痛み止めのロキソニンを買おうしたら、ロキソニンの在庫はあるが薬剤師が不在なので売れぬという。
他の店に寄ったらそこはもともと薬剤師がいないので置いてないという。結局3軒回ったが買えずにやむなくバファリン。  
 
そして今宵は沼響の練習日。
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先週風邪で休んでしまったので、今日が自分にとっての今年初練習。
 
歯の痛みに加え風邪も完治とは言えない。ホルンのパートリーダーはインフルエンザに倒れて休み。
 今年は身近に患者が続出する大流行の年だ。
 
練習の前にホール事務室へ行き、明日のディスクコンサートの打ち合わせ。
自分の体調が悪いということをなぜか文化センターの職員さんたちが知っていて、明日を控えて皆一様に心配顔。  
 
オケの練習はブラームスの交響曲第1番、そしてラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。
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自分は遅れて入ったので今日は4番ホルン。 
ブラームスの第3楽章の3,4番ホルンにはin Hで書かれている譜が出て来る。
ホルン奏者しか知らないことだが、恐ろしいことにシャープ7つを付けて読み替えなければ
ならないのだ。
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先月の「トスカ」公演のDVDも出来てきた。

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2015年1月14日 (水)

川端康成「雪国」

晴れのち曇り。

通勤時の車の中で川端康成の「雪国」を聞いていた。
加藤剛の朗読による新潮社の朗読日本文学大系近代文学編のCD。
 
有名な冒頭部分の数節など、汽車の中での主人公島村の感情の移り変わりを、洗練された文章の中にゆっくりとした時間の経過と美しい情景を描き出している傑作。 
加藤剛の朗読は男女の声色を見事に演じ分けている。
女声の声色があまりにも見事だったのでもう一人朗読に加わっていると思ったほどだ。
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昨日長時間一緒に打ち合わせをしていた同輩がインフルエンザとなり、今日から休んだ。
話をしていてどうも精彩を欠いているようだったが、きっと発症直後だったのに違いない。  
至近距離で接していたので自分も感染の可能性が濃厚。
 
明日はオケの練習、明後日は市民文化センターで今年最初のディスクコンサートの解説。
なんとか発病しないで欲しいもの。
 
通常の風邪で体力が落ちているところにインフルエンザとなると最悪かもしれない。
 
とはいえ本調子ではないものの小康を得ているので、今宵の職場同期の新年会は出席。 場所は本社近くの寿司屋。
 
今年早期退社する同僚がいるので、ちょいと速いが送別会を兼ねて入社以来実に久しぶりの開催となったもの。
 
だが退社する本人は今日になってインフルエンザで欠席。
 
普段仕事上で普通に顔を合わせているものの、一堂に会するのはほぼ20数年ぶりだ。
 
皆それなりの年齢になり地位についているととはいえ、あたかもタイムスリップで若き日に戻ったような楽しい会になった。
さすがに若い頃の元気はなく、さほど深酒もせず一次会で解散。

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2015年1月13日 (火)

秘曲洞のクライスラー

連休明けの火曜日。早朝出勤の娘のドタバタした音で目が覚める。 

未だ完全復調とはいえず朝寝床から出るのが辛い。 
明日以降金曜まで夜の予定が全て入ってしまっているので今日は大人しく定時退社。 
 
帰宅後は古い録音でクライスラーの弾くヴァイオリンでモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第4番その他小品集。1920年代の録音。 
 
小品はバッハのガヴォットやG線上のアリア、モーツァルトのハフナーセレナーデからロンド。タルティーニ、コレルリの主題による変奏曲などの作品。  
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手持ちは東京中野のレコード店「秘曲洞」が会員頒布で出していたプライヴェートLP。
近所のリサイクルショップ100円均一ジャンクコーナーで掘り出したもの。 
 
人肌の温もりを感じさせるクライスラー独特の気品のあるヴァイオリンの音と、味わい深い節回しが癒し系。 
小品は比較的音は良い。 
コンチェルトは2回ある録音の最初のものでランドン・ロナルド指揮の1923年録音。
電気録音以前のものだけに、オケの伴奏はおもちゃの楽隊のような音だった。
Youtubeはクライスラーの弾く「ユモレスク」

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2015年1月12日 (月)

ハイマン・ブレスのメンコン

連休最終日。風邪は予想通り重くなり体に力がはいらない。

熱はさほどないのでインフルエンザではないだろう(予防接種済み)。
昨日は下の娘の成人式。 家内と娘は朝早く起きて、着物の着付けに出かけて行ったり親戚に赤飯を配りに行ったりしたものの自分はほとんど布団の中。
今日になってようやく復調の兆し。 
結局何もできなかった連休だったが、仕事を気にせず休めたのでよかった。
 
音楽は軽いもの。 リーダーズダイジェスト社が出したホームコンサート集のboxLPものから1枚。
 
家庭向けのリーダーズダイジェストの企画ものはレイボビッツのベートーヴェン交響曲全集など、時代を先取りした凝った内容のものが多く油断はできない。
 
このセットにも指揮者ではレイボビッツ、ホーレンシュタイン、フィストラーリなどの老練な指揮者に加えて、フレッチャ、ギャムリー、ゲルハルト、そしてアルテノヴァにブラームスの交響曲全集を録音していたルーマニアの指揮者クリスチィアン・マンデアールがこんなところに顔を出している。
 
ピアニストはアール・ワイルド、ヴァイオリニストのハイマン・ブレスなど。オケはロイヤルフィルやウィーン国立歌劇場管、覆面オケではパリ楽友協会管(実体はパリ音楽院管、ボレロのトロンボーンソロは名手クロボカールが客演!)など。
 
この中から瞑想曲というタイトルの1枚を聴いた。
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A面がレイボビッツ指揮と編曲による「タイスの瞑想曲」にはじまり、チャイコフスキーの「弦楽セレナーデからワルツ」、「過ぎた春」まではおなじみだが、次からグリーグの「桜草」、ゴドフスキーの「懐かしいウィーン」そしてワーグナーの「ヴェーゼンドルクの5つの詩」から「夢」で終わる凝った内容。 
それぞれスペシャルアレンジ版で、大編成オケによるムード音楽的でないしっかりした内容だ。 
 
そしてB面がハイマン・ブレス南アフリカ出身のヴァイオリニスト、ハイマン・ブレスのヴァイオリンでメンデルスゾーンのコンチェルト。 
 
ハイマン・ブレスは名教師ガラミアンに師事、主にカナダをヨーロッパを中心に活躍していた。モントリオール響のコンマスも務めているが、わずか1年で辞している。
80年代に心を病み第一線から退いた。
1995年死去。 
 
 
このメンコンはレイボビッツの伴奏の影響からか、聞き手に媚びないかなりとんがった刺激的な演奏だった。
 
技巧はしっかりしているが一種異様な演奏で、最初に聴かせる演奏としては不向きのような気がするが、そこがリーダーズダイジェストの面目躍如たる所以。
 
 Youtubeはハイマン・ブレスのヴァイオリンで「タンブーラン」

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2015年1月10日 (土)

大町陽一郎のウィンナオペレッタ

今日から3連休。
昨晩遅くに帰宅してから風邪がぶり返して今度は咳が出始めた。
これは重くなる兆し。なんとかこの連休中に治したいもの。  

とはいえ母の買い物に付き合ったり帰省する下の娘を迎えに行ったりと落ち着かない一日。

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天気は良く、最近太った陽だまりのポコが気持ちよさげだがこちらは風邪で頭が重い。

こんなことで今日は音楽を聴いていない。

夕方になってヤフオクで落としたLPが届いた。
今年は断捨離に徹しようと思ってはみたものの音盤購入は止みそうもない。

落としたのは日本コロンビアが1968年に出した特別試聴用非売品LP2枚組。

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一枚めは、正月に聴いたウィンナワルツが非常に良かった大町陽一郎が東京フィルを振った「こうもり」と「メリー・ウィドウ」の接続曲と、「軽騎兵」と「詩人の農夫」の二つの序曲に「マドンナの宝石」第一幕間奏曲というもの。

そしてもう一枚はアンドレ・コステラネッツ指揮ニューヨークフィルによる「ウエストサイドストーリー」「マイ・フェア・レディ」「ショウ・ボート」などのミュージカルアルバムの大編成オケ用アレンジもの。

同様のものはスタインバーグ指揮ピッツバーグ響による録音があって、非常にゴージャスなゴキゲンな演奏だった。

二人の指揮者の人気のなさを反映して格安だったが競合することもなく落札。

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2015年1月 9日 (金)

ボロディンの弦楽四重奏曲第1番

火曜に薄着で出勤したら夜から鼻水が出始めた。ここ数年風邪とは無縁だったのだがちょっとした油断。

本日夜に大切な来客があり、結局大事を取って昨日の沼響の初練習は休んでしまった。
仕事帰りに定例検査のためにかかりつけの病院に寄った時には何ともなかったのだが・・・
 
今週は大きな課題が前触れもなく出現し、既定の方針の変更を迫られる気配。
年度末へ向けて高鳴る緊張感。
 
一週間前の年末年始気分はもう遥か遠くなりにけり。
 
娘の東京土産は浅草「舟和」の「あんこ玉」。
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甘さ控えめながら深い味だった。 芋ようかんで有名な舟和は「みつ豆」を考案したお店。 
 
ボロディンの弦楽四重奏曲第1番をウィーンコンツェルトハウス弦楽四重奏団による演奏。手持ちはウエストミンスター原盤の国内盤LP。
 
ボロディンの室内楽曲作品の多くは作曲者自らが破棄してしまったために初期の習作を除いては2曲の弦楽四重奏曲しか残っていない。
 
 
この2曲ではノクターンの楽章を持つ第2番が圧倒的に有名だが、この第1番もボロディンは破棄しなかった。
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自信作だったのだろう。 
この第1番は、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の影響を強く受けた民族色を排した純古典的な名曲だ。
 
演奏もモーツァルト、ベートーヴェンの延長線上に曲を位置づけたきっちりとした名演だ。
モノラルながら音も良い。
 
Yutubeはボロディンの弦楽四重奏曲第2番からノクターン

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2015年1月 6日 (火)

大町陽一郎の「運命」

曇り後激しい風雨。  

エアポケットのような一日で来客も少なく終日デスクワーク。
夜は友人の兄のお通夜が入り早めに職場を後にした。 
 
帰宅後聴いたのは、正月に聴いた大町陽一郎関係で東京都交響楽団を振った「運命」。 
 
CBSソニーが70年代に出した藤井凡太監修解説による曲目解説付きのLP2枚組。
LP1枚半が曲のアナリーゼで2枚目のB面が全曲演奏になっている。
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タイトルは「運命を斬る」。 
   全音版のポケットスコアが付録。 これは一般に発売されているものとは異なり、赤字で練習番号が印刷されたこのシリーズ用の特別バージョン。
 
この 「運命」全曲を聴いた。
 
目的が「運命」と言う曲の構造を知らしめる目的なのだろう。
よくはまとまっているが教科書的な四角四面の演奏で、並み居る名演名盤に比べると普通の演奏だった。
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解説文では、「運命」の最初のダダダダーンの振り下し方と、最初と二つのフェルマータの長さ取り方について、大町氏がカール・ベームに教えを乞うた時に、ハンス・フォン・ビューローの「運命」の演奏の目撃談をR.シュトラウスからベームが聞いた話が出ていて面白い。

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2015年1月 5日 (月)

「美しく青きドナウ」オリジナル版

今日から仕事始め。
通勤途中に見えた美しい富士は俗世の移り変わりとは無関係に昨年と変わらぬ不動の姿。
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9日間の年末年始休みは雑事に追われ、いつもながら休養気分はないままに終わってしまった。

今日は出勤してからの社長の挨拶、そして仕事場での皆との挨拶が終わると、いつもと変わらぬ日常が始まる。
年末年始中の報告にひととおり目を通した後に時計を見ると早くもお昼の時間。

帰宅する頃、山の端から美しい満月が上っていく。

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今年は健康、そしてとにかく物を捨てることが目標。

昨日は3日に引き続き書庫に入り古い本と雑誌の整理をしていた。

部屋の一角には江戸期からの車長持が置いてあり、この中には明治、大正期からの教科書や黒っぽい古い本をしまってある。

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不用なものや価値のなさそうな本を整理しようと、まず中身のチェックを始めたらもう止まらない。

今では忘れられた作家たちの小説の類、紀行、観光案内、工学系の専門書、戦時中の写真集、大正始めから昭和19年までの「中央公論」「文芸春秋」百冊余りに混在して、昭和初期の新聞の切り抜きがいっぱい出てきた。多くは大叔父が関係していた満州関係の記事。

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これは整理に当分時間がかかりそうだ。とても捨てられない。

音楽はウィンナワルツ関係で、ウィーン男声合唱協会による、ヨハン・シュトラウス2世合唱曲を聴いていた。

オーストリア、プライザー原盤の国内盤LPにして伴奏はクサヴィエ・メイエル指揮のウィーン・トーンキュンストラー管ほか。

この男声合唱団はアマチュアとはいえ古い歴史と伝統を誇る団体で、「美しく青きドナウ」を初演した団体として知られる。

このLPでは「美しく青きドナウ」合唱版の最も初期のオリジナル譜と歌詞による演奏を聴くことができる。


現在巷で演奏されている「美しく青きドナウ」の成立には複雑な経緯がある。

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この曲は最初合唱曲として作曲されている。

それまで合唱曲の作曲の経験がなかったシュトラウスは、最初歌詞がない状態でピアノ伴奏と曲だけを作曲した。
その後、ウィーン男声合唱協会の団員だった警察官にして素人詩人だったヨゼフ.ワイルが曲に合わせて詩を付けて初演された。

この盤では初演直前のリハーサル時の譜面を使用し、ピアノ伴奏のみのオリジナルの歌詞で演奏されている。
後の改訂時に加えられた第5ワルツは演奏されていない。


解説文によると、最初のリハーサル時にはタイトルはなく単なる「ワルツ」としか譜面にかかれていなかったのが、初演直前のリハーサル時には「美しく青きドナウ」というタイトルが書かれていたという。

オリジナルの歌詞は、「とにかく歌って楽しく踊ろうじゃないか」といった内容の大衆的な内容となっていて、「美しく青きドナウ」」という言葉は全く出てこない。

現在一般に歌われているゲルネルトによる歌詞は、後になって「美しく青きドナウ」という言葉を曲名に合わせて加え、そのような雰囲気になるように作詞したものだ。
「美しく青きドナウ」の曲名の由来は未だに謎となっている。

この演奏は、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートのような洗練された都会的な演奏とは対極にある雰囲気で、大衆酒場でビールを飲みながら大勢で歌っているような野趣のある素朴な気配が何とも楽しい。


オラが仲間が作った歌だ、という本家の強みが自然に伝わって来てピアノ伴奏で素朴なのも良い。

シュトラウスが活躍していた時代のワルツとは、元来このようなものだったのだろう。

なおこの団体の録音時のメンバーの中には、シュトラウス一家の血を引くエドワルド・シュトラウスという人物が団員として加わっている。


彼は音楽家でなく判事だが彼の同名の父は指揮者で、本家ウィンナワルツのエクスパートとして数多くの録音を残し来日もしている。

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2015年1月 3日 (土)

大町陽一郎のウィンナワルツ集

1月3日朝、上の娘が大学の同級生の新年会で上京するとのことで、駅まで送る。
送ったついでに千本海岸に寄ってみた。
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良く晴れた蒼い空に白き富士が映えて美しい。
そのうちに松林の梢から太陽が昇り始めた。今日はウォーキングの人が多かった。

帰省している下の娘も学校が5日からということで、夜に帰って行った。
上の娘は新年会の後は下の娘のマンションに宿泊。

正月3日目は暮れからの部屋の片づけの継続。
子どもが幼かったときの古い本や教科書などを処分。
なんとなく寂しいが家にあっても邪魔になるだけ。今年は断捨離に徹したい。

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家内も加わり、新しめの本はブックオフに持って行くことにした。
都合大きめの紙袋4つ分。

計算を店内で待っている間、数年前から訳あって買うことを止めた音楽雑誌「レコード芸術」の新しいバックナンバーを見つけて立ち読みしているうちに、1冊税別100円、しかも正月セールで20パーセント引きということで、何冊か買ってしまった。
家内が呆れた顔で見ている。

持ち込んだ本と雑誌は、意外と値が付き2,000円で引き取ってくれた。

正月、初聴きはウインナワルツ。

大町陽一郎指揮のウィーンフォルクスオパー管によるLPで1975年録音。
CBSソニーが出したSQ4チャンネル録音LP.

大町陽一郎は、名教師スワロフスキー、フランコ・フェラーラに師事しドルトムント市立歌劇場の常任指揮者、ウィーン国立歌劇場の専属指揮者を歴任し、ベルリンフィルやクリーヴランド管にも客演している。

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着実な実績の割にはあまり人気が出ていないのは、海外での活動が長かったからだろうか?録音も家庭名曲集の類はあるもののあまり見かけない。

手持ちはこのウィンナワルツ集と、東京都響を振った曲のアナリーゼ(楽曲分析)とポケットスコア付き「運命」LP2枚組。そして「未完成」のソノシートくらい。

ワルツ集のオビを見るとフォルクスオパー管を振ったワルツ集は、この時LPで4枚出ている。
だが曲目を良く見るとかなりダブっていて正味LP3枚分といったところ。

このLP4枚が大町陽一郎の代表的な録音といったところだろうか。

演奏を聴いているうちに、大賀典雄さん(沼津出身)が東京フィルを振った沼津での演奏会の休憩中に、ホールのトイレ内で大町氏を見かけたことを思い出した。

演奏はウィーンの伝統的なワルツの雰囲気を忠実に伝えていて非常に良い。
解説を読むと譜面も原典をかなり研究したことが伺える。

日本人でこれだけのウィンナワルツを振れる人は他に思い浮かばない。


もっと他の録音も聴きたくなった。CDではブルックナーの交響曲第8番もあるようだが。

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2015年1月 2日 (金)

2015年、正月

2015年元旦、新年明けましておめでとうございます。

新しい年はかなり冷えた。日本海側は大荒れ。
1月1日朝、上の娘は4時に起きて初日の出を見るために裏山の徳倉山へ登っていった。
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ところがしばらくして家の電話が鳴った。時計を見ると午前5時。
電話に出たら娘から、山の登山口には誰もいないという。
徳倉山は、新日本百名山に数えられる沼津アルプスの峰の一つ。
例年元旦の朝は初日の出を迎える地元の人たちが 数百人ほど登っている。
よほどの大荒れの天気でもないかぎり多くの人が出ているはずなのだが・・・。
まだ暗い山の登山口に一人で居させるのも心配なので、「帰って来なさい」と言って電話を切った。  
すると10分ほどしてまた娘から電話。「ぞろぞろ人が登ってきた」とのこと。
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どうやら娘は早く着き過ぎたらしい。
良く晴れた日だったので初日の出と富士山がよく見えたとのこと。
自分は神棚に雑煮を上げたりとその他雑用。
 
その後弟家族を迎え、甥が持ってきた法螺貝を吹いたり、近況報告などと正月のいつもの賑やかな宴。
夕方は家内の実家で過ごすいつもの元旦。
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帰宅したらウィーンフィルのニューイヤーコンサートをやっていた。
ちょうど最後のラデツキー行進曲が始まるところだった。
指揮はズービン・メータ。
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かつてメータと並ぶポスト・カラヤンの有力候補だったアバドとマゼールは昨年逝き、小沢征爾も往年の元気を失った今、メータの指揮姿に一抹の寂しさを感じたのは気のせいだろうか。
Sdsc02558 そして2日の今日は家族で家の近くの鎮守、楊原神社と吉田神社へ初詣。 
静かな境内には家族が数組。 
楊原神社は9世紀に創建された古い社 その後三島大社へ。
こちらはあい変らずの賑わいだ。

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