大町陽一郎のブルックナー
2015年1月最後の日は晴れ。庭の梅も蕾が膨らみまもなく花を咲かせるだろう。
家内は昨日から下の娘の様子を見に行き明日まで横浜。
自分は午前中歯医者で午後は仕事。さらに夜にはご近所のお通夜が入り慌ただしい一日。
今日は大町陽一郎のブルックナー。
曲は交響曲第8番。プラッツから出ているCDで、1999年、大阪センチュリーと大阪シンフォニカーの合同オケによる演奏。
この頃大町は東京と大阪でブルックナーチクルスを行っていたらしい。
70年代の初めころNHKFMでバイロイト音楽祭のライヴが放送された時に、大町陽一郎がゲストで呼ばれていて、クナッパーツブッシュの凄さをしきりに力説していた。
だが大町陽一郎のブルックナーはクナッパーツブッシュよりもベームの演奏に近い。
曲は交響曲第8番。プラッツから出ているCDで、1999年、大阪センチュリーと大阪シンフォニカーの合同オケによる演奏。
この頃大町は東京と大阪でブルックナーチクルスを行っていたらしい。

だが大町陽一郎のブルックナーはクナッパーツブッシュよりもベームの演奏に近い。
ゆっくり雄大なテンポで美しく歌わせた演奏で、クナッパーツブッシュのブルックナーのような深く大地を抉るような凄味はなく、終始レガート多様の柔らかな歌わせ方は人によっては軟弱な演奏に聞こえるかもしれないが、これはこれで説得力のある演奏だと思う。
第2楽章の豪快なテンポの中に垣間見せる優しげなアゴーギクなど、ウィーン風とも言うものなのだろうか。なかなかユニーク。
水をいっぱいに張った巨大な桶を牛車でゆっくり運搬しているような演奏。
第2楽章の豪快なテンポの中に垣間見せる優しげなアゴーギクなど、ウィーン風とも言うものなのだろうか。なかなかユニーク。
水をいっぱいに張った巨大な桶を牛車でゆっくり運搬しているような演奏。
ときおりオケのタガが緩んで水が漏れたりする場面もあるとはいえ、演奏全体に不動のテンポが支配しているのがブルックナーの演奏としては成功している。
1999年といえば日本のブルックナー演奏の総本山ともいうべき朝比奈御大が健在。
大阪フィルを振って盛んに演奏していた時期で、日本人のブルックナー演奏と言えば皆右へならえの朝比奈党だった。
こんな時に大阪でブルックナーチクルスをぶつけるとは、それなりの自信があったのだろう。(ただチケットはあまり売れなかったらしい。ネットで検索するとその時の様子がいくつかヒットします。
http:// hiroshi .cside. com/cla ssic/cn s99/cns 99033.h tm)
この遅いテンポの中で、終盤になるとさすがにオケのスタミナが次第に枯渇していくのが見えてくる感はあるけれども健闘していると思う。
この遅いテンポの中で、終盤になるとさすがにオケのスタミナが次第に枯渇していくのが見えてくる感はあるけれども健闘していると思う。
CDには記録用の録音なのでお聞き苦しい点があります。
と書いてあるがこれが聴衆ノイズのことなのかオケのミスのことなのかはよくわからない。
東京フィルとの第9番も名演だったそうなので、録音が残っていれば聴いてみたい。
この曲の自分のベストはマタチッチのN響ライヴ。
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コメント
大町陽一郎のことが続きました。彼の名前、懐かしいなあ。NHKによく登場しました。新書にクラシックの入門本があり、読みましたよ。
それにしても碩学。是非本を書くべしです。
投稿: 武田晴美 | 2015年2月 1日 (日) 18時51分
大町陽一郎さんの名前はしばらく前から聴かなくなりました。
偶然、大町さんのウィンナワルツの演奏を聴いて無性に他の演奏も聴きたくなりました。
とてもお金になるような文章ではないので、ネット上での自己満足で十分な感じ。
投稿: 山本晴望 | 2015年2月 1日 (日) 23時27分