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2015年2月 9日 (月)

Wさんの退院祝い病院内コンサート

本日快晴、冷たい風の吹いた一日。この冬一番の寒さ。

昨日は沼響の仲間のWさんの退院を祝う病院内コンサートだった。

彼は沼響創設以来の同志で30年間、席を並べて一緒にホルンを吹いた仲。

学生時代はワセオケのメンバーとして、ベルリンの国際青少年オーケストラ大会に参加し、カラヤンの前で「春の祭典」を演奏し第一位となった時の首席ホルン奏者。

昨年夏にくも膜下出血で倒れ、一時は心肺停止状態にまで陥ったものの、奇跡的に回復、リハビリを続けて今月退院。

彼はリハビリの一環としてホルンも吹き、自然発生的に退院を機会に沼響の仲間が集まってコンサートを開こうということになったもの。

出演メンバーは本人を含めたホルンセクション7人に、コンミスを中心とした女性メンバーによる弦楽カルテットの2団体

開演時間は10時、場所は病院内の講堂。

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我々ホルンのメンバーは、譜面は前から手にしていたものの結局一度も全員で合わせないまま本番を迎えてしまっていた。

8時に病院集合し初めての合奏練習。外は冷たい雨。

曲は、「アニーローリー」、「魔弾の射手」序曲の最初のホルンの部分と「バイエリッシュ・レントラー」の3曲。

初見という訳ではないが、始めて全員で合わせてみると、バランス、ピッチその他まずいところだらけ。

中でも「魔弾の射手」が一番難しい。

まぁ身内のみの内輪のコンサートなので、皆で楽しもうというお気楽モードでなんとなく呑気なホルンの面々。

一方の弦楽カルテットは、もうさまざまな場所で招待演奏の経験があるので慣れたもの。
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人前に出しても恥ずかしくない見事なアンサンブルだ。

完成度は低いまま開演時間は近づき、車椅子の患者さんたちや病院関係者の人たちが続々と入ってきた。

次から次へと入ってくる患者さんたち。

これは内輪どころか、病院を挙げてのイベントとなっている模様。(・・;

結局会場はほぼ一杯で立ち見も出るほどとなった。

コンサートは退院する本人のスピーチで始まった。

献身的な看病をしていた奥さんへ、そして病院の方々への感謝、死の淵を彷徨った深い部分からの言葉は感動的だった。
私も横で聴いていて、ぐっと胸に迫るものがありました。

そして病に苦しむ中、安らぎを求めて集まった真剣な患者さんたちの眼差しを見ているうちに、我々のお気軽モードは吹き飛び演奏は全力投球。
各所でほころび拙い部分もあったものの、皆精いっぱい演奏しました。

Sdsc02837 最後は、弦楽四重奏+ホルンで「ふるさと」を会場の皆さんの歌を交えての演奏。

曲が終わり、さぁこれでおしまい。
譜面を片付けようと思ったら、お客さんたちは誰も去らない。
続く拍手・・・・・・・

一同顔を見合す。こんな状況は想定していなくてアンコールは用意していない。

拍手は高まり、「アンコール、アンコール」の合唱になってきた。

とても引っ込みがつかなくなり、場慣れた女性カルテット陣に目を向けたら、彼女たちはさっさと楽器を片付け始めていた。

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やむなくホルンで「バイエリッシュ・レントラー」をもう一度演奏しました。

いろいろハプニングはあったものの、暖かな雰囲気のほのぼのとした後味の良いコンサートとなりました。

これは退院するWさんの人徳です。

打ち上げは病院近くの函南町の名店「陸茶房」。

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コメント

ご盟友の大病からの退院、心からお慶び申しあげます。リハビリに好きなことをなさるのは良いことですね。かつてバボラクがあまり歳をとらないうちにホルンを引退したいと言っていましたが、その理由として脳血管に対する負担を挙げていました。こんな話もありますから、十分ご承知のこととは思いますが、無理をなさらない範囲で演奏を楽しんでいただければと思います。

投稿: ぶりちょふ | 2015年2月11日 (水) 06時43分

ぶりちょふさん、お久しぶりです。

実はこの友人が倒れた一か月後に、別の知人のホルン吹きが脳内出血で倒れました。

幸いにして彼は軽症で今は社会復帰していますが、ヘルマン・バウマンの例もあり、ホルン吹きにとっては気になるところです。

お気遣いありがとうございます。

投稿: 山本晴望 | 2015年2月12日 (木) 21時59分

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