「フランス近代の愛の管絃楽曲集」と題して、
・交響詩「レノール」 :デュパルク
・詩曲 :ショーソン
・「タイスの瞑想曲」 :マスネ
ヴァイオリンソロは成田達輝というもの。
センスの良いプログラムに、未知の演奏家ながら期待大。
お目当ては
デユパルクの交響詩「レノール」。
数多くの作品を書きながら、その大部分を破棄してしまったデュパルクの3曲しか残っていない管弦楽曲の一つ。
おそらく実演で聴けることはまずなかろうと思っていた曲だ。
会場の国際フォーラム到着は10時過ぎ。
予約しておいたチケットを受け取り、展示ホールに行きブラブラとする。
宝酒造が発泡性の日本酒の試飲会をやっていてさっそくいただく。
開演まで時間があるので、ちょいと早い昼食。

メニューは帝国ホテルのブースから、ラ・フォル・ジュルネ限定帝国ホテルの本日のランチ。
これで1,100円は安い!
なんだか音楽を聴きに来ているのか、食べに来ているのかわからなくなってきた。
そしてデユッセルドルフ響の開演は11時45分。
ホールAは5,000席を超える巨大なキャパでさすがに満席にはならず、1階はほぼ埋まっているものの2階のS,A席はほとんど空席状態だった。
自分の買った2階後部のB席(1500円!)はほぼ満席。
「レノール」は、戦争で死んだ婚約者が嘆くレノールのもとに現れ、黒い馬に彼女を乗せていくが真夜中の鐘とともに消え去り、彼女も死ぬというビュルガーのバラードに基づく曲。
編成は2管を基本にピッコロとチューバ。
さらにファゴットが4本なのはベルリオーズの影響だろうか?
師であるフランクの交響詩の影響がかなり感じられ、柔らかで美しく幻想的な名品だ。
心配していた音響は全く気にならない。
舞台横に巨大なスクリーンがあるので、遠くからでもステージ上の様子はよくわかる。
デユッセルドルフ響は、かつてメンデルスゾーンやシューマンが音楽監督を務めていた市音楽協会の流れを汲み、ライン・ドイツオペラのピットに入るオケ。
現在、名指揮者アダム・フィッシャーが音楽監督。
初めて聴くオケだがなかなか良い。曲の良さを十分に引き出している水準だ。
続くショーソンとマスネを弾いた成田達輝のヴァイオリンも、瑞々しい音色と確かなテクニックで非常に良かった。
アンコールにパガニーニのカプリスを弾いてくれた。
終演後再び展示ホールへ。
するとフォルジュルネの常連、アンヌ・ケフェレックさんのサイン会をやっていた。
7年前に聴いたサティは非常に良かった。
あい変わらずの美しさ。
楽器店が軒を並べている展示ホールの売店の片隅には、古書店が中古レコードと音楽書の古書を並べている。
自然にそちらに足は向く。
レコードは60年代末の国内盤のセット物が中心。
1セットあたり300~600円はお買い得だが、重たいLPBOXを持って帰ることを考えると気持ちは萎えてしまった。
結局、ロラン・マニエル(吉田秀和訳)の「音楽の楽しみ」の第4巻にあたる「オペラの楽しみ」1979年白水社刊と、新星日本交響楽団20年史(未開封CD付)、
「オペラディスクコレクション」(野崎正俊著 東京音楽社)の3冊を購入。
新星日響の付録CDのみは既に地元のBOOKOFFで格安で入手済み。
「音楽の楽しみ」の第3巻までは国内初版を所蔵済。
第4巻はその時は出版されなかった。
「オペラディスクコレクション」はSP期から1990年までに発売されたオペラの全レコードを網羅した労作。
地下ロビーでのピアニストのジャン=クロード・ペヌティエのレクチャーを横目に見ながら再び外に出ると居並ぶ屋台。
人も多く大層な賑わい。
ソーセージをつまみにハイネケンを飲みながらキヨスクコンサートを聴く。
演奏は芸大4年の
上野耕平のサクソフォーンで、アルフレッド・リードとフランク・マルタンのバラード。

品のある美しい音色が実に素晴らしかった。
リードの甘い曲では女性たちがうっとりと聴き惚れている。
15分ほどのマルタンの渋い「バラード」でも皆真剣に聴き入っていたのが印象的だった。
再び展示ホールに降りると、沼響もお世話になった曽我大介先生がアマデウス・ソサエティ管を振ってリハーサル中。
本番はエルガーの「愛の挨拶」「ニムロッド」にベルリオーズの幻想交響曲第4、5楽章にオペラ「カルメン」のフィナーレというもの。
熱い演奏でこちらも楽しめました。
久しぶりのラ・フォル・ジュルネは、以前の浮いたようなお祭り気分から楽しい中にも落ち着いた雰囲気が出ていて、今やすっかり定着したGWの風物詩。
帰りは娘と別れ、家内と各駅停車で帰宅。
沼津駅に降り立つと激しい雨。
念のため持参していた傘が最後の最後に役に立った。
youtubeはリードのサクソフォンのためのバラード
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