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2015年8月18日 (火)

フランク・グレイザーのサティ

曇り朝のうち雨、お盆も過ぎ夜は涼しくなってきた。


盆休み中のある日の午後、娘たちと音楽部屋で涼みながら音楽を聴いていた


そのうちサティの話題となりピアノ曲を聴くことに。


レコード棚から出したのはアメリカのピアニスト、フランク・グレイザーの弾くサティピアノ曲集。

米VOX音源のワーナーからの国内盤LP。


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60年代の録音で、LP3枚に4手の作品を除くサティのピアノ曲の著名な作品を収めている。


サティのピアノ曲は、チッコリーニをはじめとして有名無名のピアニストたちによるたくさんの録音があるけれど、このグレイザー盤はチッコリーニやバルビエよりも早い時期の録音で、まとまった曲を集めたものとしては初めての録音だったと思う。


今でも一番のお気に入り。



フランスの画家アンリ・ルソーの「詩人に霊感を与えるミューズ」の絵が使われたジャケット。


ジャケットに使われているのは二つのバージョンのうち、
前面の花がカーネーションになっているバーゼル美術館所蔵のもの。

もう一枚は花がニオイアラセイトウになっていてプーシキン美術館蔵。

曲解説、演奏者の紹介は一切なし。
解説に変えて鍵谷幸信ほかの3人によるサティに関するエッセイはそれなりに面白い。



この曲集の第1巻は「ジムノペディ」から始まる。


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音のひとつひとつの粒は実に明快、それでいて力は抜けて無心に淡々と弾くグレイザーのピアノ。


グレイザーは一時期、リラックスする筋肉の使い方など、人間工学的な学問を専門的に学んでいたようだ。
その成果なのだろうか。


サティの音はこれだよなぁ。・・・と一人で勝手に納得。
残響豊かな録音も良い雰囲気だ。


「3つのジムノペディ」が静かに静かに終わったあとに、底抜けに明るい「官僚的なソナチネ」が続くのも絶妙。


空気のような自然体の演奏に結局3枚全部を聴いてしまった昼下がり。


Sdsc04050

娘たちはどうしたかな?と見ると二人は気持ちよさげに爆睡中。


聴いているうちにグレイザーについて詳しい経歴と、人となりを知りたくなった。


日本語のサイトではほとんどわからず、海外のサイトを検索すると今年の1月に100歳の誕生日を一か月後に控えて亡くなっていることがわかった。



リトアニアからのユダヤ系移民の子で6人兄弟。
兄のダンスバンドでピアノを弾いているところをパトロンに見出されて1932年にベルリンに留学。
名ピアニスト、アルトゥール・シュナーベルに師事し、シェーンベルクにも作曲を学んでいる。


シュナーベルのイタリア楽旅にも同行しているので秘蔵の弟子だったのだろう。

帰国後ニュヨークでデビュー。
戦時中は通訳として従軍している。


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戦争によるキャリアの中断もあり、活動はほとんどアメリカ国内に限定されていたようだが齢90を過ぎても現役だった。


死亡記事の取り扱いを見ると、多くの尊敬を集めて演奏家としては幸福な人生を送ったようだ。


グレイザーはいわゆる技巧が達者というわけでもなく、大ピアニストとは言えなかったけれど、このサティは聴いていて誰もが心癒される名演だと思う。


Youtubeはグレイザーの弾く「官僚的なソナチネ」

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