イェンナーのラフマニノフ
曇りのち晴れ。午後から気温も上昇。
昨晩テレビのチャンネルを回していたら、いきなり若き日の朝比奈隆が指揮するチャイコフスキーの「1812年」のモノクロ映像が飛び込んできた。
唖然として見ていると曲に大砲が使われていたことを問うクイズ。
実際に自衛隊が音楽に合わせて空砲をぶっ放している場面も出ていた。
民放にはNHKにはないこのような貴重映像が眠っているのだろう。
これはテレビ朝日の「Qさま」というクイズ番組。
葉加瀬太郎が進行役の民放系の番組では珍しい2時間枠のクラシック音楽特集の一場面だった。
スタジオに東京シティフィルも待機しなかなか本格的。
先日コンサートで聴いたばかりの辻井伸行を紹介するコーナーもあり、家内と娘で見入っていた。
ホームビデオ映像で2歳7か月の辻井伸行が、お母さんの歌に合わせて正確におもちゃのピアノを弾いている紹介する場面があり、これには驚いた。
先生が弾いた曲を一度聞いただけですらすらと弾いてしまう、子どもの頃のレッスンの様子も凄い。
天才は本当にいるのものだ・・・・
そのうち指揮台にホルン奏者が立ち、モーツァルトのホルン協奏曲第1番の一節を吹き始めた。
「お!ホルンに関する問題かな?」と期待したら
「この楽器の名前は何ですか?」という内容。
ホルンを吹いている娘ともども、あまりの低レベルな質問にがっくり。Orz
ホルンの認知度なんてこんなものなのか・・・・
今日はウィーン生まれのピアニスト、アレクサンダー・イエンナーの演奏を聴いていた。
曲は昨晩の番組で辻井伸行がクライバーンコンクールの本選で弾いていたラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。
ウェストミンスター原盤のキングから出ていた「世界の名曲シリーズ」国内廉価盤LP でカップリングはコンラート・ハンセンの弾くチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番。
このシリーズ、発売当時は家庭向けのクラシック入門を意図した企画だったろうが、今にして思えばなかなかマニアックな内容になっている。
チャイコフスキーの伴奏は若き日のサヴァリッシュだ。
・ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 :チャイコフスキー
ピアノ:コンラート・ハンセン
ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮
RIAS交響楽団
・ピアノ協奏曲第2番 :ラフマニノフ
ピアノ・アレクサンダー・イエンナー
クルト・リヒター指揮
ウィーンフォルクスオパー管弦楽団
イェンナーは1929年ウィーン生まれ。
若い頃ジュネーヴ国際コンクール、ロン・ティボーなど著名な国際コンクールの多くに参加してほとんど上位入賞。
1957年のリオデジャネイロ国際コンクールでは、タマーシュ・ヴァーシャリ、ネルソン・フレイレ、モレイ・リマなど名だたる名手を抑えて優勝という輝かしい実績持ちながらレコーディングが少なく、あってもウエストミンスターやレミントンといったマイナー路線だったのが後の知名度の低さに影響していると言えなくもない。
現在は後進の指導に徹しているようで、ショパン、チャイコフスキーなど著名な国際コンクールの審査員も務めている。
たびたび来日して日本人の弟子も多いようだ。
家内の友人もウィーンで師事している。
このラフマニノフ、おそらく若いころの録音なのだろう。
速いテンポの技巧派の演奏だった。
録音が金属的な硬質な音でモノラル録音を電気的にステレオ化しているようにも聞こえる。
ピアノが時としてオケに埋没している。
このシリーズの常としての詰め込みすぎの弊害もありそうだ。
聞き手の落ち着きを減退させるほどの音の悪さでだいぶ損をしているが、強靭な打鍵と並はずれたテクニックはよくわかる。
バリバリとひたすら突き進んでいく爽快な演奏だ。
リヒターの伴奏は無難なものだが、イェンナーの速いテンポにはよく付けていた。
第3楽章の途中で止まるような不自然な個所があったが編集ミスだろう。
Youtubeはイェンナーの弾くスカルラッティ
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