ツヴィツカー・グリーグのシベリウス
今日も朝から厚い雲の垂れこめた暖かな1日。
夕方から雷を伴った強い雨。
先日諏訪内晶子の実演を聴いたシベリウスのヴァイオリン協奏曲が聴きたくなった。
取り出したのは、かつてPILZから出ていたCD2枚組からグリーグとシベリウスの作品を集めたもの。
購入記録を見ると1993年7月5日、1000円で購入。
うーむ、高い。
それでも当時CD2枚組で1000円は画期的な廉さであった。
内容はいわゆる幽霊演奏家によるもので実体はわからない。
ヴァイオリンソロはブルーノ・ツヴィッツカー・グリーグと書いてあるが、最後のグリーグは交響的舞曲第4番の作曲者名がかぶっているようだ。
このいいかげんさが当時のPILZ盤の特徴で、伴奏はパンテルリ指揮フィルハーモニア・スラヴォニカ。
こちらも実在しない演奏家たちだ。
演奏家を偽って格安で提供していたPILZは社長が逮捕されて倒産。
その後その音源たちはさまよいながら世界中に拡散していった。
今ではデ・アゴスティーニのクラシックコレクションシリーズで多くを聴くことができる。
このシベリウスはインターネットがなかった当時、パソコン通信のニフティのクラシクフォーラムで非常に話題になっていたのも懐かしい思い出だ。
ソロは極めて情熱的、テクニックも申し分なく狂気すら漂う尋常でない熱気が吹き上げている。
オケも多少荒削りながら燃えた伴奏を展開している。
遅いテンポでドスの利いた低音で始まる第3楽章など、聴いていて今後の展開を期待させる緊張感に満ちたもの。
実在のペシェクのホルベルク組曲は、軽快さの中にじっくりと歌い上げ、清々しい抒情も漂う優れものだ。
・組曲「ホルベアの時代より」
・ ノルウェイの民謡による変奏曲形式のバラード ト短調 作品24
イェシュコ(p)
・ヴァイオリン協奏曲ニ短調
パンテルリ/フィルハーモニア・スラヴォニカ/ツヴィッカー(v)
(悲しきワルツ)曲名、演奏者表記なし。
GRIEG 交響的舞曲 作品64~第4曲
ショルツ/ニュルンベルク交響楽団
叙情小曲集より6曲
ピヴカ(p)

沼響のHPの聴き比べコラム「ブラームスの1番を聴く」にワインガルトナー指揮ロンドン響の演奏の感想をアップしました。
youtubeはヒラリー・ハーンのシベリウス
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コメント
これはとても懐かしいですね。この正体不明のCDがFCLAでとんでもなく話題になっていたと思います。
投稿: trefoglinefan | 2016年1月20日 (水) 16時05分
trefoglinefanさん。
FCLAとは懐かしい!
そう、この演奏が話題になっていたことはよく覚えています。
投稿: 山本晴望 | 2016年1月24日 (日) 21時24分