カントロフのモーツァルト
本日快晴、夜は現部門の歓迎会。
私は所属が変わったものの部門は変わらず迎える側。
昨日9時頃に横浜に住む娘から地鳴りがするというLINEが入っていた。
何気なくテレビを点けたら熊本を震源地とする震度7の大地震発生のニュース。
一瞬、熊本の地震を横浜に住む娘が感じたのか?と錯覚したところ、娘が感じたのは8時58分の東京を震源地とする地震だった。
最初テレビに映った熊本市街の様子は、停電もなく被害らしき様子も見えなくて、日常のままの街の風景のように見えた。
ただ画面に映る熊本城が妙に白っぽく見えていたのが印象的だった。
(石垣崩落時の砂埃りだったようだ)
時間がたつにつれて震源地に近い益城町の被害の様子が映し出され、夜が明けると被害の全貌もしだいに見えてきた。
建物の倒壊、火災、そして熊本城の瓦の落下、石垣の崩落など。
亡くなられた方、負傷された方も出ている。
被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
九州を震源地とする大地震はあまり記憶にない。
今回の地震は前触れもなく突然の発生だった。
帰宅後はカントロフのモーツァルトのヴァイオリン協奏曲全集から、第4番とヴァイオリンソロの入った断片などを聴いていた。
DENONが元気に個性的なCDを自主制作していた時代の録音。
これは偽作とされる第6番、第7番からセレナードやカッサシオン。ヴァイオリンとオーケストラによる作品の断片までを含んだほぼ完璧とも呼べる全集だった。
演奏、録音ともに秀逸で今でも現役。
・ヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調 K.218
・ヴァイオリンとフォルテピアノのための協奏曲ニ長調 K.Anh.56(315f)断片
・ヴァイオリンとヴィオラ、チェロのための協奏交響曲イ長調 K.Anh.104(320e)断片
・アダージョ ホ長調 K.261
・ロンド ハ長調 K.373
ヴァイオリン:ジャン・ジャック・カントロフ
ヴィオラ:ウラディーミル・メンデルスゾーン
ピアノフォルテ :グレン・ウィルソン
チェロ:藤原真理
レオポルド・ハーガー指揮
オランダ室内管弦楽団
第4番やロンド、アダージョなど、他の演奏でも聴ける曲よりも断片のみの収録の2曲が興味深い。
中でもヴァイオリンとピアノフォルテのための協奏曲は、モーツァルトの霊感に満ちた音楽であることが短いながらも十分に伝わってくる。
完成されていたならば、この特異な組み合わせの曲の最上の名曲として長く演奏されただろうに。非常に惜しい。
バッハの未完の「フーガの技法」の終曲のように、突然断ち切れたように終わるのもその感を際立たせている。
なおフィリップ・ウイルビーが、残された断片を第1楽章として完成させ、第2、3楽章を
K.306のヴァイリンソナタから持ってきてコンチェルトとしての体裁を整えたものも存在する。
この形としては五嶋みどりとエッシェンバッハとの録音が存在するようだが、未完は未完として演奏しているカントロフの演奏の方が衝撃的で良いのではないかと思う。
カントロフのヴァイオリンは、艶やかで品のある音で格調高く仕上げたフランスのモーツァルト。
軽快なハーガーの伴奏も良い。
Youtubeはカントロフほかによるラヴェルのピアノトリオ
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