豊増昇のことなど
晴れ時々薄曇り。
畑をポコと見回るとナスがカラスにだいぶやられていた。
本日夕方から重要な会議2連発。
今日は先日聴いた原 智恵子(1914 - 2001)と同世代のピアニスト、豊増 昇(1912 - 1975)のハイドンとモーツァルト。
最近図書館から借りて「ピアノの巨人 豊増昇」(小沢征爾・幹雄共著)を読んだ。
小沢征爾と豊増昇との意外な組み合わせに興味を持ったのが手に取った理由。
豊増昇は東京音楽学校卒。1936年に渡欧。
ベルリン高等音楽大学でレオ・シロタ、フレデリック・ラモンドに師事。
ちょうどこの時期は原智恵子がパリに留学し、ラザール・レヴィに師事しショパン国際コンクールに出場していた時期と重なっている。
ドイツでオールバッハプロのリサイタルを開き、1956年には日本人として初めてベルリンフィルの定期に出演、カイルベルトの指揮でフランクの交響的変奏曲を演奏している。
小澤征爾、園田高弘、舘野泉のピアノの師としても知られているが録音は少ない。
ピアニストを目指していた小沢征爾が少年時代にラグビーで指を痛め、ピアニストとしての道を閉ざされて落胆していた時に、「小沢君、指揮の道もあるよ」とアドバイスをしてくれたのが豊増昇だったという。
今までオーケストラを聴いたこともなく、指揮者になることなど全く考えていなかった小沢征爾にとってこの一言が天からの啓示となった。
そのあたりが本書で詳しく触れられている。
小沢征爾にとって齋藤秀雄とならぶ音楽上の恩師への敬愛の心を込めて記した著。
自分には豊増昇の名は比較的なじみのある名前だった。
というのは小学館から出ていた「世界の音楽」というフォノシートの音楽全集が幼い頃から家にあって、ここでベートーヴェンの「悲愴」ソナタを弾いていたのが豊増昇だった。
自分にとって「悲愴」の刷り込みは豊増昇。
このシリーズの中で他にクレメンティのソナチネも入れていた。
今日聴いたのは豊増昇が教育用に録音したソナタアルバム全曲から、
ハイドンとモーツァルトのソナタを集めたもの。
東芝から出ていたLP。
・ピアノソナタ第34(53)番 ホ短調 Hob.XVI.34 op.42 :ハイドン
・ピアノソナタ第15(16)番 ハ長調 K.545 :モーツァルト
・ピアノソナタ ヘ長調 K.547a(偽作) :モーツァルト
・ピアノソナタ第12番ヘ長調K.332 :モーツァルト
ピアノ:豊増昇
教育用ということでテンポを揺らさず無骨で堅実、ぶっきらぼうに思えるほどの素朴な演奏。
だがずしりと重い存在感に、ここで弾いているピアニストが音楽を知り尽くした大家であることが自然に伝わってくる。
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