サンウェルぬまづ「夏のピアノコンサート」
今年の夏も終わりに近づいた。
逆走して力を蓄え再びUターンの迷走台風第10号。
その影響で徐々に天気は崩れ気味の8月最終の土日。
土曜日は曇り午後から雨。
午前中は車のディーラーへ行き六か月無料点検。
点検を待つ間、待合室のマッサージ機で横になっているうちに、ウツラウツラと寝入ってしまった。
そして午後はサンウェルぬまづ主催の「夏のピアノコンサート」。
出演は昨年に引き続き海瀬京子さん。
後半は京子さんの友人、佐藤圭奈さんも加わり連弾を披露。
曲はバッハから現代ルーマニアの作曲家クルタークまで。
・ピアノのための「遊び」から :クルターク
・前奏曲 ト短調 :ラフマニノフ
・絵画的練習曲「音の絵」 イ短調
・トルコ行進曲 :モーツァルト~ヴォロドス編
・からたちの花 :山田耕作
・・・・・・・・・・・・・・以下連弾・・・・・・・
・「主よ、人の望みの喜びよ」 :バッハ~ヘス編
・ハンガリー舞曲1,6番 :ブラームス
・リベルタンゴ :ピアソラ~山本京子編
・「遊び」より :クルターク
・美しき青きドナウ :J.シュトラウスJr ~アンダーソン編
・カンタータ第106番「神の時こそいと良き時」BWV.106(アンコール)
:バッハ~クルターク編
ピアノ:海瀬京子、佐藤圭奈
サンウェルぬまづは、アップライトピアノしか置いていない。
昨年のコンサートでは、海瀬さんの超絶技巧にピアノがどれだけ耐えられるかということがある意味聴きどころだった。
今回も難曲ヴォロドス編の「トルコ行進曲」をはじめ、さらに連弾もあるということで昨年よりもさらにハードな試練をピアノに課す内容だ。
ところが最初のクルタークの曲を聴いたとたんに、あれ?
予想外に違和感は全然ない。
昨年と同じピアノとはとても思えないほど。
クルタークの「遊び」は、作曲者自身が大きな影響を受けたバルトークの「ミクロコスモス」のような教育的な配慮から生まれた曲。
譜面を見てもよくわからないが、散りばめられた音の断片が作曲者が付与したタイトル以上の想像力をかき立てられる曲の集まりだ。
このシンプルなクルタークの曲には、アップライトの家庭的な響きが似合って聞こえるほど。
ラフマニノフとヴォロドスも、タッチの強弱の差や反応はグランドピアノと比べてなんら遜色ない。
響きそのものは、グランドピアノのような華やかな広がりではなく、凝縮された響きがピアノの周辺に留まっているような印象だが、それはそれでサロン風の雰囲気がよく出ている。
連弾による丁々発止の火花飛び交うピアソラの「リベルタンゴ」、アンダーソン編の「美しき青きドナウ」は圧巻だった。
いわばアップライトピアノの限界を引き出したとも言える凄い演奏。
トークでも二人はボケとつっこみの名コンビ。
海瀬さんの演奏に個性の異なる佐藤さんが加わったことで、コンサートの内容に大きな幅が生れ、二人の個性が見事にぶつかり合う聴きごたえのある演奏会となった。
アンコールは大好きなバッハのカンタータ第106番。
しっとりとした余韻が感じられて、良い雰囲気の〆くくり。
Youtubeはアップライトピアノを弾くクルターク夫妻、曲はバッハのカンタータ第106番「神の時こそいと良き時」
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コメント
アップライトピアノのコンサート、私も経験があります。プレイヤーは人気のイリーナ・メジューエワさん。長野市の山麓、戸隠のペンションでのリサイタル。30人程度で満席の食堂で奏でられた大迫力のパフォーマンスは長いコンサート歴の中でも忘れられない経験でした。メジューエワさんが蕎麦と温泉がお好きという縁で、10年以上続けられているコンサートだそうです。グランドピアノは大きいコンサートホールを想定して作られている楽器です。アップライトは家庭的な場所での演奏に向いています。グランドピアノでなくても環境次第でアップライトでも素晴らしい演奏は楽しめますよね。
こうした環境のコンサートが初めての経験だったことをご本人に伝えると、「私も年に一度だけ」と笑っておられました。
投稿: ぶりちょふ | 2016年8月29日 (月) 21時44分
メージェエワさんを30人ほどで聴くとは、なんと贅沢なコンサート。
サロン的な雰囲気のコンサートではアップライトでも演奏家に人を得れば十分に感銘深いものになりますね。
今回は調律師さんが丸二日をかけて調整したそうです。
アップライトは機構上グランドよりも反応が鈍くなりがちですが、調整次第ではグランドピアノと匹敵するようになるということを知りました。
投稿: 山本晴望 | 2016年8月31日 (水) 22時17分