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2016年9月21日 (水)

クレバース、オロフのベートーヴェン

三連休から雨は断続的に降り続き、台風16号は昨晩夜半に直撃予定が直前に速度を落として浜松付近で温帯低気圧に格下げ。

一時雨が激しく振り一部市内で冠水情報はあったもののさほどの被害はなかったようだ。

昨晩帰宅は10時過ぎ。



今日は台風一過の青空が夕刻には再び雨模様。

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今年は彼岸花の開花が例年よりも遅いように思う。


隣町の清水町の田に古代米「緑米」が個性的な風情。

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隣の田の普通の稲の穂はちょうど良い具合に垂れ下がり、まもなく稲刈りの様子。


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古代米はまだ稲刈りには早いようだ。



今日もヴァイオリンを聴いた。

60年代から70年代にかけてコンセルトヘボウ管の名コンマスだった2人、ヘルマン・クレバースとテオ・オロフのヴァイオリンでバッハとベートーヴェン。


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フィリップスのLPで、曲はバッハの二つのヴァイオリンのための協奏曲と、

ベートーヴェンの2つのロマンス。

ロマンスは第1番をオロフ、第2番をクレバースが弾いている。

伴奏はオッテルロー指揮のハーグ・レジデンティ管弦楽団。
1952年のモノラル録音。


手持ちはオランダフィリップスのオリジナルLPと、先日入手したばかりの独フィリップスから出た疑似ステレオLP.


年齢が一つ違いのこの二人は、1951年に揃ってハーグのオケのコンマスに就任している。

今は引退してしまったが二人とも世界的な名コンマスとしての評価が確立している。

このLPは、この二人のコンマスの素晴らしさを世に喧伝するためにオランダフィリップスが録音したようにも思える。



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異なるタイプの二人のヴァイオリニストが、バッハでは完全に同質化して見事な演奏を展開。


一方のベートーヴェンでは、第1番のオロフの地味ながらいぶし銀の響きの演奏に対して
クレバースの第2番は幾分甘めの艶やかな音で、全く異なるベートーヴェンを聴かせる。

ソリストとしても超一流の二人を揃えたハーグフィルの伴奏も見事。

バッハでは多少重さを感じさせるが、音楽監督のオッテルローの誇らしげに指揮している様子が目に浮かぶ。

ところがこの録音の10年後にクレバースはコンセルトヘボウ管に移籍してしまう。

さらに1972年にはオロフもコンセルトヘボウ管に引き抜かれていく。

この移籍の経緯については、かつて月刊誌「ストリング」にオロフの特集が組まれた時に詳しく紹介されていた。

音楽監督オッテルローの落胆と怒り、そしてその怒りをどのように説いたのかを、オロフ自身が語っていた。


手持ちの2枚のうちオリジナルLPは、どうやら初期のLPにありがちの、イコライザーカーヴがRIAAではないようで、普通に再生すると音が良くない。

同じ演奏のLPをもう一枚購入したのはそのあたりの疑問が大きかったからで、RIAAに統一された後の再発LPで確認したかった。

ヤフオクで購入したLPが届いてから初めて疑似ステレオであることがわかり、半ば落胆したものの、聴いてみてびっくり。

疑似ステレオとはいえ残響を多少付加した程度。

聴いていて二人のヴァイオリンの美しさに陶然。

奥行と響きも自然なもの。

特に二つのロマンスはこれ以上の演奏は聴いたことがないほどだ。

オッテルローの伴奏も申し分ない。

イコライザーカーヴが当時のものに対応できるアンプを介すれば、オリジナルLPに刻まれた音はさらに良い音で聴けるのだろうが自分にはこの再発盤で十分。
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沼響のHPの聴き比べコラム「デュリュフレのレクイエムを聴く」に、「レクイエム、その成り立ちと構成」をアップしました。


Youtubeはテオ・オロフの弾くヘンデルのヴァイオリンソナタ 

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コメント

古いカーブのレコードは、一度PCに取り込んでイコライジングすると正しいカーブに近い形で再生することができますよ。

「イコライザーカーブ」で検索すると録音特性のグラフが見られるので、PCの音楽再生ソフトのイコライザーで調整するんです。ぜひお試しを。RIAAと別カーブが何Hzでは何db差があるのを読み取ってグライコを動かします。PCのグライコは昔のアナログのそれと違って音質の劣化が少ないのが良いです。

投稿: ぶりちょふ | 2016年9月22日 (木) 10時34分

なるほどなるほど。

ぶりちょふさん、アドバイスありがとうございます。

試してみようと思います。

アナログは全く奥が深いですね。

投稿: 山本晴望 | 2016年9月23日 (金) 21時10分

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