アンチェル、ロストロポーヴィチのドヴォルザーク
通勤途中の車のフロントガラスの前に赤トンボが乱舞、もうすっかり秋の気分。 このところの気温の低下で蝉の声も聞こえなくなった。
仕事はいろいろと予期せぬ突発事件が多く悩ましい日々。
今日もこれから大きな問題となりそうな出来事がひとつ。
夜はオケ仲間の身内の方のお通夜に出席。
今日はロストロポーヴィチのチェロで、ドヴォルザークのコンチェルトを聴いていた。
伴奏はチェコの名匠カレル・アンチェル晩年の指揮。
トロント交響楽団創立50周年記念コンサートの1972年ライヴ。
Tahraから出ていたアンチェルのドヴォルザークのライヴばかりを集めたCD2枚組から。
・チェロ協奏曲ロ短調 op.104
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(チェロ)
トロント交響楽団
録音時期:1972年3月1日
録音場所:トロント、マッセイ・ホール
・ピアノ協奏曲
フランティシェック・マキシアン(ピアノ)
ヘッセン放送交響楽団
録音時期:1964年5月3日
・交響曲第7番
ヘッセン放送交響楽団
録音時期:1968年4月26日
・スラヴ舞曲集 op.72
チェコフィルハーモニー管弦楽団
録音時期:1959年9月
録音場所:ニュージーランド、ウェリントン、タウン・ホール
ロストロポーヴィチにはスタジオ録音で6種の録音があり、いずれも高い評価を得ている。
その中で本場のチェコの指揮者による伴奏としては最も古いターリッヒ指揮チェコフィルの演奏とこのアンチェルのライヴ。
アンチェルのドヴォルザークのチェロ協奏曲はこの演奏でしか聴くことができない。
これがチェコフィルならばなぁ・・・と思わぬでもないが、トロント響とのライヴでは先日の「モルダウ」で感じたことがここでも同じ。
心ならずも祖国を去らざるを得なかったアンチェルの心が、演奏に厳しさと一抹の郷愁も漂わせている。
1972年のロストロポーヴィチといえば、反体制とみなされソビエト国内での演奏活動を禁止され国外での演奏も制限されていた時期だ。
アンチェルとロストロポーヴィチの祖国への想いが、強烈な共感となって聴き手に迫る入魂の演奏となり、終楽章の終盤など聴いていて泣けてくる。
アンチェルはこの演奏の翌年故郷に帰れぬまま世を去り、ロストロポーヴィチはこの2年後に亡命している。
Youtubeはペレーニの弾くドヴォルザーク
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