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2017年1月に作成された記事

2017年1月31日 (火)

ベルリンフィル八重奏団 in 三島

曇り一時晴れ、再び気温が下がってきた。

仕事は来月から始まる大きな会議を控えて小康状態。

今年は不確定要素が多くいつ始まるかもわからない。



日曜の午後はベルリンフィル八重奏団の演奏会へ上の娘と娘の友人とで行っていた。

場所は三島市民文化センター。三島市制75周年行事。


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地方には稀な超一流の演奏家の来演にもかかわらず、チケット売上はかなり苦戦だっという。



ホールに向かったところ周辺駐車場はどこも満車。

娘とその友人をホール前で降ろし、比較的広い駅前駐車場に向かうも満車で楽寿園近くの駐車場を紹介されたがそこも満車。

その時点で開演15分前を切っていた。

結局ホールから500メートルほど離れた三島大社近くの立体駐車場に止めて、そこから猛然とダッシュ。

開演すでに8分前。

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近道の源兵衛川の石畳を2段跳びしているうち手術跡が痛くなってきた。


ホール到着は開演時間2時を過ぎた2時3分。


あぁ!間に合わなかった・・・・(T^T)


ホールドア前の職員に聞くと、まだ入れそうですとのこと。

そーっとドアを開けると千人キャパのホール内はほぼ満席。

チケット片手で自分の席を探すとホール客席のほぼ真ん中だった。(・・;


出演者登場寸前の静まり返ったホール内で、「すいませーん」とささやきながら手前の席の方に次々とどいてもらう瞬間の周囲の視線が痛い。


娘たちは後ろの席だった。


そして開演。


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出演メンバーは


樫本大進(第1ヴァイオリン)

ロマーノ・トマシーニ(第2ヴァイオリン)


アミハイ・グロス(ヴィオラ)


クリストフ・イゲルブリンク(チェロ)


エスコ・ライネ(コントラバス)


ヴェンツェル・フックス(クラリネット)


シュテファン・ドール(ホルン)


モル・ビロン(ファゴット)



プログラムは


ニールセン:軽快なセレナード

ドヴォルザーク:5つのバガテル Op.47

(ウルフ・グィド・シェーファー編)

シューベルト:八重奏曲 D.803


というもの。


最初のニールセンは初めて聴く曲。
(と思っていたらバボラークのCDが家にあった)


急いでいたので有料プログラムを買う余裕はなかった。

(娘が買っていた)



渡されたチラシ類の中にもこの公演の情報がないので、音が鳴った時に誰の曲かわからない。


これでは500円の有料プログラムを買わなければ、演奏されている曲も演奏者のプロフィールもわからない。

公演主催者のアンケートにこの配慮のなさを書いておいた。


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とはいえ誰の曲か想像しながら聴くのも楽しいもの。


ニールセンの編成はクラリネット、ファゴット、ホルンにチェロとコントラバス。


後ろの席から「8人いないじゃないか」などの声が聞こえてきた。


この特異な編成、しかも現代風にして民族的なテイストが散りばめらた曲を聴いていて、バランスを取るのが難しそうな曲だなというのが第一印象。


だが演奏の見事さは想像以上。


たった5人なのにオケを聴いているかのような充実した響き、しかも各楽器の音が均質に溶け合っている。

名手シュテファン・ドールのホルンの自由に飛翔するホルンも惚れ惚れするほど。


作曲者が想像していた以上の音で鳴っているのではないかとも思える。

ある意味馴染みのない曲なのにホール内のお客さんたちも静まり返って聴いていた。


隣の席にいた、友人で音楽好きの市議会議員さんが持っていた本公演のチラシを見せていただいてニールセンと判明。



2曲目のドヴォルジャークはこの編成のためにアレンジした版。

明るく懐かしい響き、それでいて音楽は暖かだ。

休憩時間にロビーに出ようとしたら、ピアニストの海瀬京子さんに呼び止められた。

「お見かけしたので」とのこと。

やはり開演直前に飛び込んだ自分は目立っていたのか。


演奏を聴いていてベルリン留学時代を思い出したとのこと。


そして後半のシューベルト。


ヴァイオリンの樫本大進の大活躍を見ていて誇らしい気持ちにもなってきた。

ホルンのドールのタフさにも舌を巻く。



ベルリンフィル八重奏団の歴史は古く80年を越えるという。

当然メンバーは固定しているわけでないが、いくつかの録音を聴いてみると、その時点でのベルリンフィルの特質がそのまま出ているのが面白い。


自分の中でベルリンフィル八重奏団といえば、グラモフォンから出ていた60年代録音のLP。この団体の看板曲であるシューベルトの八重奏曲のディスクが思い出深い。

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こちらはカラヤン時代の猛者たちによるがっちりとした演奏。


今回のメンバーはラトル時代の結成メンバー。

透き通るように透明でいて柔らかな響き、それでいて適度な緊張感も清潔感のあるまさに今のベルリンフィルの音だった。


アンコールはシューベルトの八重奏曲から第3楽章。


Youtubeはニールセンの「カント・セリオーソ」、バボラークのホルン



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2017年1月30日 (月)

本日の練習、今年初の練習

曇り時々雨、1月も終わりの月曜日。

風は強いが昨日から暖かだ。


先週半ばから週末にかけていろいろと行事が立て込んでブログのアップも出来ず終い。



木曜夜は久しぶりにオーケストラの練習に参加した。

退院後の初練習。

曲は5月の定演に向けて、ドヴォルジャークの交響曲第7番、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲にスラヴ行進曲というもの。


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一か月以上のブランクの初練習としてはかなりきつい内容。


最初のドヴォルジャークは4番ホルン。

第1楽章冒頭からいきなりの低いDの音のロングトーン。

若い頃はさほど苦も無く最後まで吹ききれたのに、体力の衰えは隠しようもなく、最後まで息が続かない。


練習後半はチャイコフスキー2曲。


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こちらは2番ホルン。


吹いているうちに本調子になり、スラヴ行進曲中間部の1番との掛け合いのソロも気持ちよくできた。

やはり合奏は楽しい。


今回から娘も団員として参加している。




金曜は早退して下の娘の引っ越しの準備で横浜へ。


先発した家内と
夕方に娘のマンションで合流。


引っ越し前日なのにほとんど準備ができていないのに唖然となった。
 


夜遅くまで荷造りしたあと、そのまま娘の所に泊まる家内を残し川崎のカプセルホテルへ。


ここは個室も有り最上階の大浴場はジャグジー付き。



翌日は朝から引越屋がきて家電その他ダンボールを搬出。

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昼食は近くのトンカツ屋「せんのき」。

人気の店らしくかなり混んでいた。


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柔らかなヒレカツが旨かった。
 


近くにシックな雰囲気のカフェがあり自然と足は店の中へ。
 


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ガレ風の照明に壁にはベルナール・ビュッフェの絵。


店内にはバッハのオルガン曲が静かに流れすっかり良い気分。


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頼んだカプチーノの表には犬がこちらを見ている。


部屋を引き渡した後に、そのまま友達の部屋に泊まるという娘を残して一路沼津へ。


沼津駅前の白木屋で家内と焼き鳥とビールの後帰宅は9時近く。


長くなりましたので続きは次回

Youtubeはドヴォルジャークの交響曲第7番、ガーディナーの指揮

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2017年1月25日 (水)

フランチェスカッティとオイストラフのチャイコフスキー

1月も後半となり日没が徐々に遅くなってきた。

来月から始まるはずだった一連の定例会議は予期せぬアクシデントのために延期の可能性。

昨日帰宅しようとすると奇妙な雲が浮かんでいた。

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歪んだ円形で白く輝きながらユラリと浮遊している。


かなり巨大であることが遠目にも良くわかった。


一瞬オーロラと思ったほど美しかった。

このあまりにも不思議な雲は今朝のニュースでも紹介されていた。



種子島で打ち上げられたHⅡA 32号機によって出来た夜光雲とのこと。

非常に珍しい現象だという。



今年の定演の曲目のひとつ、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を聴いた。


音楽部屋のレコード棚を物色していると、意外にこの曲の音盤が見つからない。


コンチェルトとピアノ曲のCDは音楽部屋に収納しきれずに別室のラックに置いてある。

寒いその部屋まで取りに行く気にもなれず、音楽部屋のLPの協奏曲棚をごそごそしているうちに、メンデルスゾーンのコーナーに何枚かを見つけた。


LP時代はクラシックのカップリングの定番のようなものがあって、「運命」「未完成」の組み合わせや、グリーグのシューマンの二つのイ短調のピアノ協奏曲のほか、いわゆる、「メンチャイ」の愛称で、メンデルスゾーンとチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を1枚にまとめるLPが多かった。



取り出したのは、フランスのヴァイオリニスト、ジノ・フランチェスカッティの演奏。

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伴奏はトーマス・シッパーズ指揮ニューヨークフィルの1962年録音。


カップリングのメンデルスゾーンの伴奏はジョージ・セル指揮のクリーヴランド管の1961音。

米コロンビア原盤の国内盤ソニーのLP.



フランチェスカッティには同じ組み合わせの2曲のモノラル録音もあり、こちらが非常に売れたらしい。


このチャイコフスキーでもフランチェスカッティ独特の艶のある美音を聴くことができるが、どちらかといえば、オケとの丁々発止の緊張感が聴きもの。

若くして逝ってしまったシッパーズの伴奏が非常に良い。


驚いたことにこのフランチェスカッティ盤のLPは、70年代の国内プレスなのに、イコライザーカーヴがRIAAでなく、古いコロンビアのカーヴの方が音が良い。



そしてもう一枚はロシアの巨匠、ダヴィッド・オイストラフ若き日の演奏。


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オイストラフのチャイコフスキーは何種類かあるが、聴いたのは1939年のSP録音で、
ガウク指揮のモスクワフィルによるもの。

手持ちは米エヴェレスト原盤の日本コロンビアから70年代に出ていたヒストリカルレコーディングシリーズ中のLP。


貧弱な録音のためにオケの細部はあまり聞き取れないが、オイストラフのソロはよくわかる。


豊麗な音そのままに素晴らしい技巧でバリバリと弾きまくる爽快な名演だ。


第一楽章最初のヴァイオリンソロのトロリとした歌はオイストラフ独特のものだ。



なおフランチェスカッティ、オイストラフ盤の両方ともレオポルド・アウアー由来のカットがある。


Youtubeはフランチェスカッティの弾くバジーニの「妖精の踊り」

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2017年1月22日 (日)

クロスリー、2つのラヴェル

冷たい風が一日中吹いていた日曜日。

昨年末の入院はもうはるか以前の出来事のよう。

20年以上使用していたクラビノーバを午前中にピアノ運送業者が引き取りに来るというので、弟と娘の友人を助っ人に頼み朝に2階から下に降ろした。

これがかなり大変な作業。

音楽部屋にもピアノはあるものの、ヘッドフォンで深夜や早朝にも練習ができるクラビノーバはそれなりに重宝していて 、自分でオルガンやチェンバロの音でバッハを弾いたりして遊んでいた。

家内は名残惜しいのか運ぶ直前まで弾いたりしている。

買い取り価格は千円也。

運送代は先方持ちなのがありがたい。




午後は入れ替わるように新しい洗濯機を業者さんが持ってきた。

壊れた古い洗濯機を移動すると「うわぁー・・・」

その跡は凄い汚れようだった。

こちらも20年以上の埃が層となっている。

一日掃除に追われた日曜日。  

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・疲れた。

手術の跡も痛くなってきた。



今日はイギリスのピアニスト、ポール・クロスリーのラヴェル。


クロスリーはラヴェルのピアノ曲全集を異なったレーベルで2種類出している。

ひとつは現在80年代、今はブリリアントレーベルから出ているものと、再録音は1996年の当時のCBSへのもの。


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その2つの全集の中から「夜のガスパール」「ソナチネ」「クープランの墓」などを聴いていた。


ブリリアントのものはきっちり生真面目丁寧に弾き上げた印象。

一方のCBS盤は全体に旧盤よりも速いテンポ。

それでいて緩急の落差が大きく、曲によっては他のピアニストの演奏では聞こえてこなかった音まで響いてくる。



???と思い再録音のクロスリー自身のライナーノートを読んでみると。再録音にあたって、最新の校訂版の譜面を使用したようなことが書いてあり、いままでの出版譜にあった明らかな誤りの箇所なども書いてある。


譜面片手に聴きなおした訳ではないが、「夜ガスパール」第1曲のオンディーヌでの微細な音のテンポの動きなどは、単調な旧盤に比べて格段に良い。


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全般に音楽的なインパクトは新盤の方が高いと思うものの、新盤は曲によっては技巧に問題があるようにも思う。


特に「クープランの墓」の第1曲や「水の戯れ」は、指が回っていないのではないかと感じさせるほどぎこちなく聞こえる。

だがほかの曲はさほど技巧に物足りなさは感じない。



ラヴェル自身ピアノはあまり上手くなかったと言われている。



ラヴェルの親指は人差し指と同じくらい長く、独特の個性の演奏を聴かせたということだが、好意的に解釈すると、クロスリーはその効果を再現しようと狙ったのではないかとも思えてくる。

 

「ハイドンの名に寄るメヌエット」の孤独感、「道化師の朝の歌」「亡き王女のためのパヴァーヌ」に感じる深い闇。



曲によっては今まで聴き慣れたピアニストたちの演奏とはかなり異なる独特のクセがあり、これは好悪が分かれそうだ。


ネットを見ると世評は賛否両論まっぷたつ。


Youtubeはクロスリーの弾くラヴェル、左手のためのピアノ協奏曲、ジュリーニの指揮

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2017年1月21日 (土)

沼響団内のアンサンブル大会

週末の土曜休み。

今日は沼響団内のアンサンブル大会。

自分は昨年末の入院以来ホルンは吹いていないので、娘を代奏として参加させていた。


午後に孫の演奏を聴きたいというおばあちゃんと一緒に沼津市民文化センターへ。


会場は小ホール。

以前にも同様な催しをやったものの、今回は参加グループも多く運営は若手の団員が中心におこなった。


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小編成から弦楽オーケストラまで。 多彩な
曲とメンバーでいつもと違ったお楽しみの会。

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ふと気が付くと自分が参加していないので、創立以来のメンバーでの出演は今回は皆無となっていた。


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娘は正式に沼響に入団することになり、夜の新年会にも参加した。




沼響も着実に世代交代が進んでいるのが嬉しい。




その日の夜、高校時代の後輩が家に遊びに来た。

彼はホルン吹きにして音盤マニア。


昨年、大阪から東京に転勤になったという。


仕事柄海外出張も多く、旧共産圏の国々の小都市へ行き、日本ではとても考えられないような音盤を発掘して持ってくる。

今回もルーマニアの初めて聴くような地方オケのホルンセクションによる、チャウチェスク時代のシューマンの「コンチェルトシュトゥック」や、60年代のプラハ響の首席女性ホルン奏者によるベートーヴェンのホルンソナタほかのPANTON盤。

これが凄い名演だった。


そしてロシアの名手ブヤノフスキーが参加した木管五重奏団など、珍盤奇盤の数々に眺めて「ヘェー・・」と嘆息するばかり。


アナログ音盤の奥深さ。

まだまだ未知のものは多い。


Youtubeはシューマンの「コンチェルトシュトック」、バボラーク他ベルリンフィルの面々。

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2017年1月20日 (金)

クルト・レーデル、プラハ・プロ・アルテ管弦楽団

曇り時々雨。徐々に天気は下り坂、雪になるかもしれない。

今週始めに突然のアクシデント発生。この先どうなるか・・・

音楽はクルト・レーデル晩年の録音から、プラハ・プロ・アルテ管による小品集。

中部電力製作の非売品CDで、ほぼ同じ曲目で来日コンサートがあったらしい。



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1.オッフェンバック/喜歌劇「天国と地獄」序曲

2.マスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲

3.J.Sバッハ/G線上のアリア

4.パッヘルベル/カノン

5.マスネ/タイスの瞑想曲

6.エルガー/愛のあいさつ

7.ロイド・ウエッバー/メモリー(ミュージカル「キャッツ」より)

8.ロジャース/エーデルワイス(ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」より)

9.ロウ/踊り明かそう(ミュージカル「マイ・フェア・レディ」より)

10.高井達雄/鉄腕アトム・マーチ

11.ドヴォルザーク/わが母の教えたまいし歌

12.ヨハン・シュトラウス/ラデツキー行進曲

13.シューマン トロイメライ

14.プッチーニ/私のお父さん(歌劇「ジャンニ・スキッキ」より)

15.プッチーニ/ムゼッタのワルツ(歌劇「ラ・ボエーム」より)

16.スメタナ/喜劇役者の踊り(歌劇「売られた花嫁」より)

17.團伊玖磨/花の街

18.岡野貞一/ふるさと

指揮/クルト・レーデル

プラハ・プロ・アルテ管弦楽団

ソプラノ/モニカ・ブレフトヴァー

録音/2001/05/22-25 プラハ


ミュンヘン・プロ・アルテ管で多くの録音を残したレーデルだが、プラハでもチェコフィルやプラハ響などの音楽家たちを集めて活動していた。


レーデルは20年ほど前にミュンヘン・プロ・アルテ管を率いた来日公演を聴いていて、
レーデルの吹くフルートのしっとりとした音色のブランデンブルク協奏曲第5番やミヒャエル・ハイドンのノクターンが非常に良かった記憶は今でも鮮明だ。


このCDはプラハでの録音だが明らかに日本を意識した内容。
 

ほぼ同じ内容の日本公演もあったようだ。

なぜか鉄腕アトムのマーチが入っているのが不思議。


演奏は録音状態によるものか、ずいぶんと響きが薄い。

パッヘルベルのカノンの装飾音の扱いなどは、過去のミュンヘン・プロ・アルテ管との演奏とはずいぶんと異なっていた。

ミュンヘンとの録音は楷書風のきっちりとした演奏だったのが、プラハではかなり崩した草書体。

タイスの瞑想曲はヴァイオリンソロではなく弦楽合奏版。

中でも最後「ふるさと」は編曲も良く、日本語のイントネーションを正確に意識した演奏で良かった。



Youtubeはレーデル指揮ミヒャエル・ハイドンのノクターン

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2017年1月18日 (水)

クーベリックのスターバト・マーテル

本日朝の朝の外気温度は1℃。畑の檸檬とネーブルが今年も豊作。

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見上げると鳶がじっとこちらを見ている。



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昨日は午後から休みを取り通院、ついでにJAに寄って保険の相談。


かなり前から入っていた医療保険が今回の入院治療に該当すると思い確認してみると、被保険者は娘だった。


娘が高校入学の際に入っていたのをすっかり忘れ、自分の口座から落ちているのでいつのまにか自分の保険だと思い込んでいたのだ。


帰宅し横になったらそのまま寝入ってしまった。

娘が帰宅した物音で目が覚めた。



聴いた音楽はドボルジャークの宗教曲「スターバト・マーテル」。

クーベリック指揮バイエルン放送響、合唱団によるグラモフォンの国内盤LP2枚組。


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エディト・マティス(ソプラノ)


アンナ・レイノルズ(アルト)


ヴィエスワフ・オフマン(テノール)


ジョン・シャーリー=カーク(バス)


エルマー・シュローター(オルガン)


バイエルン放送交響楽団、合唱団
 
録音1976年9月、ヘルクレスザール、ミュンヘン


ドボルジャークの名が売れ始めた頃の比較的初期の宗教作品で、作曲は交響曲第5番の時期。


愛する子供3人を失った作曲者の悲しみがストレートに出た作品、ボヘミア的な民族色は感じられない。


全編悲しみに満ちた美しさに、聞いていて切なくなるほどの曲だが、作曲者に同化したようなクーベリックの熱を帯びた指揮が宗教曲としての普遍的な救いを感じさせている。


名演だ。


Youtubeはクーベリック指揮の「新世界より」


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2017年1月16日 (月)

チャイコフスキー・ア・ポートレート

1月も半ばの月曜日。晴れて今日も寒かった。

庭の紅梅が少しずつ咲き始めている。


昨年この時期に紅梅はかなり咲いていたので今年は寒い冬なのだろう。


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昨日の日曜は特に外出もせずにとにかく身の回りの不用品の洗い出し。

先日は古い家電を中心に処分し、DVDデッキやベータのデッキ、CDラックを近くのハードオフに持っていったりしていた。


稼働品でも買取価格が数百円なのが悲しいがゴミに出すよりはよいだろう。

ついでにLPやCDコーナーなどを冷かして3点ほど買ってしまって、収支はプラスマイナスゼロ。


先日聴いたベルリンフィルのモーツァルト曲集もこの時の収穫。
CD7枚組420円。

もうひとつ、チェルカスキーやメンゲルベルク、チェリビダッケらの古いモノラル期のチャイコフスキー演奏を集めた「チャイコフスキー・ア。ポートレート」CD10枚組も420円。



・交響曲第3番~第6番
・1812年
・イタリア奇想曲
・ロミオとジュリエット
・弦楽のためのセレナード
・組曲『くるみ割り人形』
・『眠れる森の美女』
・ピアノ協奏曲第1番
・ヴァイオリン協奏曲
・ロココ風の主題による変奏曲
・ピアノ三重奏曲
・『エフゲニー・オネーギン』より

演奏
 ビーチャム、ストコフスキー、フルトヴェングラー、
 チェリビダッケ、メンゲルベルク、バルビローリ指揮
 ウィーン・フィル、フィラデルフィア管、フィルハーモニア管
 ロンドン響、コンセルトヘボウ管、NBC響
 チェルカスキー(p)、メニューイン(Vn)、ハイフェッツ(Vn)、他

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さらに若き日のショルティのDECCAへのロシア物BOX4枚組でこちらも420円。
定価1,500円程度で流通しているもの。


・グリンカ:『ルスランとリュドミラ』序曲
・ボロディン:『イーゴリ公』序曲
・ムソルグスキー:『ホヴァーンシチナ』前奏曲
・ムソルグスキー:『ホヴァーンシチナ』より「ペルシャの奴隷の踊り
・ムソルグスキー:交響詩『禿げ山の一夜』
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 録音時期:1959年

・チャイコフスキー:弦楽のためのセレナードOp.48
 イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
 録音時期:1958年

・チャイコフスキー:交響曲第2番ハ短調Op.17『小ロシア』
・チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調Op.64
 パリ音楽院管弦楽団
 録音時期:1956年

・チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調Op.23
 クリフォード・カーゾン(ピアノ)
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 録音時期:1958年

・ラフマニノフ : ピアノ協奏曲第2番ハ短調Op.18
 ジュリアス・カッチェン(ピアノ)
 ロンドン交響楽団
 録音時期:1958年

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モーツァルト以外はLPで大部分は所有済みだが、ないものでいくつか面白そうなものがあった。

こんなことをしているのでなかなか減らない。


引き上げてくる娘の荷物の中に電気ピアノがあり、家にあった電気ピアノ、クラビノーヴァを処分することになった。

購入したのが20年ほど前とはいえ、多機能で当時としては高い買い物だった。
オルガンやチェンバロの音も良い音を出している。

購入した楽器店に引き取りを聞いてみたところ、処分料が2万円ほどかかるという。

うーむ、大きな傷もないし完動品。

きっと需要があるはずだと思い、ネットで検索していくつかのピアノ引き取り業者に電話してみた。

型番を言うとやはりどこも処分料2万円。

半ば諦めながら電気ピアノを専門に取り扱っているところを見つけて電話したところ、
千円で引き取りますということだった。

後日運送業者が引き取りに来ることになった。

世の中聞いてみるものだ。


家のLP,CDもそろそろ処分先を考えないと。

このままでは自分がいなくなった後はゴミの山にされてしまうだろうな。

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2017年1月14日 (土)

アバドとジュリーニのモーツァルト

寒波到来、この冬一番の寒さで県西部は雪。朝から半端でない猛烈な強風。

こんな中で母は市街地までバスで買い物に行くという。
止めても言うことを聞かないので車に乗せて送ることにした。
80過ぎても気持ちは昔のままなので困る。

帰りはバスで帰るというのでそのまま駅前で降ろして帰宅。

家の洗濯機が壊れて家内と家電量販店に行くことになり、出かけようとしたら母から電話。

バスに乗り遅れたので迎えに来てほしいという。

とりあえず自分だけ迎えに行くことにして駅前に到着すると、あまりの強風のために歩いてこちらに向かおうとするも前に進まない母の姿。

帽子も飛ばされさんざんの様子。

帰宅後家内と娘を連れてノジマへ。



洗濯機の機種は日立に決めておいたものの、サイズが合わずパナソニックにした。

20160902111247_285_ ついでにオーブントースターを買おうといろいろ物色していると、目に入ったのは色も鮮やかなシャープのウォーターオーブン


加熱水蒸気で調理するものらしい。

この評判はいろいろ聞いていて、スーパーで買ってきた惣菜も揚げたての風味になるという。




通常のオーブントースターが10台ほど買えてしまう高価なものなのに、油をかなり落とすということで思い切って購入してしまった。

ついでにスーパーでピザと鳥のから揚げとコロッケを買いウォーターオーブンで試し焼き。
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水蒸気で調理するというのが新鮮。

食べてみると、うーむ、確かに美味い。



油分が適度に飛んでくどさが抜けてヘルシーな感じ。




そして昨晩はセクションの新年会。


場所は「居酒屋 元THE衛門」 


例年は忘年会のところ自分が年末に入院してしまったので、気を使ってくれて新年会になった。

この店はブリしゃぶを中心に創作料理の数々。
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ダチョウのレバーと刺身が珍しかった。

飲み放題の中に、「ボウモア」「マッカラン」があったのも嬉しい。

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なぜかカウンターの水槽の中にウーパールーパーが。


まだ本調子ではないので一次会で自分は失礼。

お店の目の前の9時までやっている図書館に寄り、馴染みの職員に新年のあいさつの後バスで帰宅。



今日はベルリンフィルのモーツァルトを聴いていた。

CBSから出ていたCD7枚組で23番から41番までの交響曲にグランパルティータその他を集めたもの。

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指揮はアバドを中心にジュリーニ、メータが振り分けている。

この中からアバドとジュリーニの演奏をいくつか聴いてみた。

技術的には最高の高みに達している演奏。

無味無臭の純粋な響きで充実したモーツァルトが鳴っているものの、どこか物足りない。

アバドに比べるとこの頃のジュリーニの演奏は非常に重い音楽で暗さも感じるほどだ。



Youtubeは若き日のジュリーニのモーツァルト

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2017年1月12日 (木)

フルネとパレーのドビュッシー

晴れ、寒風吹きすさぶ一日。

オペの傷口が思い出したかのようにチクチク痛むのが煩わしい。
若い医師の話では痛みが続くのは二か月ぐらいかな・・・・・とのことだが。

フルネ指揮チェコフィルのドビュッシーとファリアを聴いた。

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チェコ・スプラフォン原盤の国内盤コロンビアのLP。


ドビュッシーの管弦楽のための映像から「イベリア」「春のロンド」、そしてファリアの「三角帽子」第2組曲というもの。

チェコフィルの艶のある音色とフルネ独特の暖色系の音作り。


イベリアはオランダ放送管との録音がDECCAにもあり、こちらはフェイズ4の録音方式のためにかなり響きが派手だったような印象があった。


だが6年ほど前の自分の記事を見たところ。
この時の印象ではオランダ放送管との再録音の方が良かったようだ。


そしてドビュッシーをもう一枚。

ポール・パレー指揮の「小組曲」「牧神の午後への前奏曲」「イベリア」の組み合わせ。



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米マーキュリー原盤の国内盤LP。オケはデトロイト響というもの。


この中から「小組曲」を聴いた。

端正にして繊細、詩情豊かにオケを歌わせていくパレーのドビュッシー。
デトロイト響の瑞々しい音はアメリカのオケとは思えぬほど。



Youtubeはフルネの「ラ・ヴァルス」そのほか

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2017年1月11日 (水)

ベルグルンドのシベリウス第6番

晴れ、昼間は風もなく穏やかな1日。

ここで大学を卒業する娘の荷物が近いうちに到着する。
音盤が占拠している部屋を空けなければならない。

この部屋には音楽部屋とは別にダンボールに入ったLPが30箱ほどと蓄音機と電蓄が 1台ずつ。

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困った、行き場所がない。



今日はパーヴォ・ベルグルンドのシベリウスの交響曲第6番を聴いた。

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ベルグルンド3度目のシベリウス交響曲全集中の1枚。
オケはヨーロッパ室内管。


編成を絞り各声部が明快に浮かび上がる演奏。


ピンと張りつめた緊張感の中に聴き手に大自然の中に抱かれるかのような不思議な安らぎを感じさせるのはベルグルンドの仁徳なのだろうか。



純粋に結晶化された美しくも氷のような世界。


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沼響のHPの聴き比べコラム「シベリウスの2番を聴く」に近衛秀麿のライヴ映像の感想をアップしました。連載第60回。





Youtubeはベルグルンドの振るシベリウス交響詩「タピオラ」。左手に指揮棒。

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2017年1月10日 (火)

マルタン神父のパレストリーナ

三連休明けの今日は晴れ。

日は多少伸びてきたものの気温が下がり本格的な冬。
日の暮れる頃から風も出てきた。

仕事も三連休が終わり本格的に始動。


入院した時には、録画してあったテレビ番組のDVDを何枚か持参していた。

NHKで放送されていた「蒼穹の昴」を最初からまとめて見たりしていた。


日清戦争前後の日中関係を活写した、浅田次郎の原作の日中共同制作のテレビドラマ。

ちょうど放送の最終場面に東日本大震災に重なってしまって、良い内容の割には忘れられているような気がする。


そしてもうひとつ印象に残っているのが「おんな北斎」



2010年に日本テレビ系で放送された葛飾北斎の三女、葛飾応為をドラマ仕立てで紹介したもの。


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応為役はその頃急速に名が売れ始めた吉田羊、北斎役は荒俣宏。

荒俣宏の元妻杉浦日向子の代表作「百日紅」は、葛飾応為を主人公とした漫画だった。



この番組で紹介された葛飾応為の作品に痺れてしまった。





葛飾応為は、父北斎にして美人画では娘にかなわないと言わせたほどの腕前。


現在北斎の作品とされるものの中には、応為の手が入っているものがあるのだという。









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応為の作品で、西洋画の技法を取り入れた光と影との斬新なコントラストが斬新な「吉原夜景図」などは一度見たら忘れられない。


応為の生涯には謎が多く、残された作品は非常に少ない。
北斎死後その消息もわからない。

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応為を紹介した「北斎娘・応為栄女集」を毎日眺めている。



一度本物を見てみたい。


今日聴いたのはパレストリーナのミサとモテット。

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演奏はマルタン神父指揮サン・トゥスタシュ合唱団

米odysseyのLP.

A1 Surge Amica Mea (Motet For 5 Voices)
A2 Ascendo Ad Patrem (Mass For 5 Voices)
B1 In Festis Apostolorum (Responsorial Mass For 5 Voices)
B2 Cantantibus Organis (Motet For 5 Voices)


この組み合わせではフォーレのレクイエム演奏が非常に有名。


いわゆる上手い団体ではないが独特の雰囲気で聴かせる演奏だ。

聴いているうちに眠くなってきた。


Youtubeはマルタン神父作曲「オルガンとブラスのためのポエム」

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2017年1月 8日 (日)

イヴェットのためのソナチネ

3連休の日曜日。
曇りのち雨、夜から暴風雨。

朝のどんど焼きは無事にできたようだ。


今日の題名のない音楽会は「テーマ曲の秘密を知る音楽会」。

「ドクターX」、映画「君の名は」、「七人の侍」「荒野の七人」の音楽を紹介していた。


オケはおそらく臨時編成ながら非常にうまい。

そして若い人たちばかりのフレッシュ感覚が良いな。



映画「君の名は」のオーケストラバージョンの演奏を聴いているうちに映画が見たくなって映画「君の名は」を家内と一緒に観てきた。


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場所は隣町のジョイランドシネマ三島。

映画は美しい絵と不思議で深い物語。評判通りで良かった。

外に出ると雨。

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映画の中で重要なモチーフであった彗星にちなみ、遅い昼食は清水町の緬屋「明星」の特製明星ラーメン。


かなりの人気店で2時過ぎにもかかわらず混んでいる。


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厚めのメンマと星形のナルトが個性的。




先日ブックオフでCDを3点ほど購入した。


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ヘンデルのオラトリオ「セメレ」全曲。


独グラモフォンのCD3枚組、950円。

ネルソン指揮イギリス室内管にアンブロジアンシンガース。

歌手はキャサリーン・バトル、マリリン・ホーン、サミュエル・レイミーなど一流どころを揃えている。1990年録音。



「セメレ」はオラトリオのようでいて宗教色はなく、オペラに分類する人もいるほど曲。

1990年と言えばバトルの人気が絶頂の時期。
その後バトルは性格の悪さが災いしてメトを追放され、急速に表舞台から遠のいてしまった。


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そして東京FM音源から、斎藤秀雄指揮新日本フィルの1974年ライヴで歌劇セビリアの理髪師」序曲とチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。


ヴァイオリンは佐藤陽子。


佐藤のロシア留学時代の録音で、彼女が一番輝いていた時期の演奏だ。

ロッシーニはかつて特典盤としてシングルEPで出ていたような気がする。
500円。



もう一枚は小原孝のピアノで「イヴェットのためのソナティネ」というアルバム。

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タイトルの現代スペインの作曲家ハビエル・モンサルバーチェの曲のほか、ラヴェルの「マメールロワ」、ドビュッシー、サティ、プーランク、ギロックなどの曲を集めたもの。


小原さんとは沼響で一度「ラプソディー・イン・ブルー」を共演させていただいた。


その時以来のファンです。



Youtubeは「イヴェットのためのソナティネ」第3楽章

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2017年1月 6日 (金)

仕事始め、そしてプレートルのことなど

今年の正月休み中は穏やかな天気続きだった。

1月3日の午後、退院後初めて車を運転して牛臥山公園へ行きそぞろ歩き。

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正月の午後を静かに過ごそうとする大勢の人が来ていて駐車場もほぼ満車。
海辺にはスタンドアップパドルボードやパラグライダーで遊ぶ人々。

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ついでに近くの大朝神社に初お参り。


社のすぐ横に小さな祠で木の宮神社が祀られていた。

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この場所から2キロほど東に楊原神社という古社があり、さらに1キロほど東に木の宮という地名があって幼い頃そこに住んでいた。

往古その場所にも古い神社があったが戦国の世に武田と北条との大きな戦いで楊原神社とともに焼失したとの伝承がある。

こんな外れの場所に小さくひっそりと祀られていたとは・・・・・。



そして昨日職場復帰。

わが社の仕事始めは4日で、実は5日まで休暇を出していたものの、待ちきれなくなって出社することに。

部門長と関係部署への挨拶の後にオフィスに戻ると机上は書類の山。

緊急案件については入院中に報告を受け、指示を出していたが3週間のブランクは大きかった。

入院中の報告を受けた後溜まった書類に目を通すものの、年末年始が絡むとはいえ3週間の長いブランクに頭が正常に働かない。

入院前の出来事で忘却していることも多いようだ。
全身麻酔の影響なんだろうか?
オペの終わった直後から数日の記憶がほとんど残っていない。

退院後最初の外来受診も入っていたので区切りの良いところで早退させていただいた。

病院での診察の結果、経過は良好。
オペ後の痛みはまだ多少残っているものの2か月ほどは影響が残るのだという。
ホルンを吹くことも解禁となった。




指揮者ジョルジュ・プレートルの訃報が入ってきた。92歳。

同世代のフランス系の長老指揮者でフレモー、ボドらが最近活動のニュースが入らなくなっている中、プレートルはウィーンフィルのニューイヤーコンサートに登場したりと、 晩年はフランスものに限らず幅広いレパートリーで活躍し知名度も上がっていた。


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プレートルの録音で最初に印象に残っているのはEMIへのサン・サーンスの交響曲第3番。

名オルガニストにして作曲家のデュリュフレのオルガンにオケはパリ音楽院管によるもの。
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残響豊かな録音にプレートルのパンチの利いた解釈、オケのカラフルな音色で非常に楽しめる演奏だった。


そして定評のあるプーランクの演奏の数々。

70年代後半に東芝EMIが出していた「フランスのエスプリ」シリーズの第1回発売がプレートル指揮の一連のプーランクの録音だった。

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生き生きとしたリズム感に洒落た息使いのメロディライン、まさにフランスのエスプリ満載の曲と演奏に痺れてこのシリーズを1枚1枚コツコツと集めていったのも懐かしい思い出だ。


実演では1998年のパリ管との来日公演を聴いた。
場所は富士市のロゼシアター。

曲は「展覧会の絵」、「海」に「ボレロ」というこの組み合わせで聴く最高のプログラム。

アンコールは確か2曲。

1曲は「ファランドール」であったのを覚えているが、あとの1曲がどうしても思い出せない。「カルメン」前奏曲だったかもしれない。

客席も大いに沸いていて、プレートルが聴衆を巻き込んでいくエンターティナー的な大きな魅力のある指揮者であることはよくわかった。

だが期待が大きかったためかあまり良い印象が残っていない。

それぞれの曲の繊細な描き分けが見事に音になっている部分があるかと思えば、「海」のように大雑把な解釈も有り、特にボレロでの独特のルバートが感覚的に付いていくことができなかった。


当時の東京その他での公演では絶賛の声が大きく、そのころのパソコン通信時代のニフティサーヴのFCLAに自分の正直な感想を書いたところかなり叩かれたのも苦い思い出だ。

だが今でも自分の当時の印象が間違っていたとは思っていない。

思えばプレートルは若い頃とその晩年では芸風が大きく変わっていったのだと思う。

1998年の来日公演はその過渡期だったのではなかろうか。


今日はその中からプーランクとサン・サーンスを聴く。

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プーランクは「シンフォニエッタ」と「フランス組曲」の組み合わせ。

オケはパリ音楽院管。

「フランスのエスプリ」シリーズの1枚の国内盤LP。

もう30年以上のつきあいのある愛聴盤だ。

そしてプレートルがキャリアの後半で集中的に録音していたウィーン響との演奏で、サン・サーンスの交響曲第3番。
オルガンはマリー・クレール・アランのエラート盤。
1988年録音。



プーランクは湧き立つような華やかさと美しい歌でその魅力は今でも色褪せていない。
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サン・サーンスはフランス風というよりも、純音楽的にかっちり固めた密度の高いバッハのような峻厳な音楽を思わせる、この曲の持つある種の大衆的部分と見事に融合していた演奏だった。



演奏の質としてはパリ音楽院管との旧録音よりも高いと思う。



Youtubeはプレートル指揮のベートーヴェン、交響曲第7番第2楽章

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2017年1月 1日 (日)

明けましておめでとうございます。ブーランジェのラモーほか

あけましておめでとうございます。良く晴れた穏やかな正月です。

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庭の白梅が咲き始めました。紅梅は未だ蕾。

元日の朝、屋敷神様のお稲荷さんに初参り


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ポコはまったりと日向ぼっこ。


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やがて弟家族が来ての昼食の後に家内の実家に行き夕餉を共にするいつもの元日。


今年はアルコールは控えめ、自分と一緒に酒杯を交わすのを楽しみにしていた岳父はちょっぴり寂しそう。


聴き初めはナディア・ブーランジェ指揮の古い時代の音楽をBGMのように聴いていた。

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米DECCAから50年代に出ていた古いLPで、モンテヴェルディのマドリガル集を集めたものとラモーのオペラからの抜粋の2枚。


ブーランジェはローマ大賞受賞の作曲家を父に持ち、フォーレに師事した女流作曲家にして偉大な音楽教育家。


その門人には、作曲家コープランドやロイ・ハリス、フランセその他に、指揮者としてはマルケヴィッチ、バーンスタイン、スクロヴァチェフスキー、ベルティーニ、バレンボイム、ジネット・ヌヴー、キース・ジャレットそのほかの凄い人たちが名を連ねている。

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10名程度の独唱者たちとパリの奏者を集めた器楽アンサンブルによる演奏。


器楽奏者達は、パリ管のコンマスだったヨルダノフやパスキエ兄弟、チェロのジャンドロンといったフランスの著名な奏者がずらりと並ぶ。

独唱者はテノールのキュエノーくらいしか知らない。
ブーランジェはチェンバロも弾いている。


いわゆる今の古楽系の演奏とは対極にあるロマンティックな演奏。
個々の奏者はさすがにうまい。



沼響のHPの聴き比べコラム「デュリュフレのレクイエムを聴く」に「楽器編成とグレゴリオ聖歌の使用について」をアップしました。



Youtubeはラモーのオペラ「優雅なインド人」から

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