充実の1日、ラ・フォルジュルネと大エルミタージュ美術館展
今年のGWは良い天気に恵まれ比較的まとまった休みでもあり、幸せそうな家族連れでどこも賑っているようだ。
今回自分の休みは5,6日の二日のみなので通常の土日と変わらぬものの気分はGW.
5月5日は前から楽しみしていたフランスの名ヴァイオリニスト、ジェラール・プーレのコンサートに行っていた。
ちょうど百年前の1917年5月5日は、ドビュッシー最晩年の傑作ヴァイオリンソナタが初演された日。
初演者はジェラール氏の父ガストン・プーレ、伴奏はドビュッシー本人だった。
初演百周年を記念するまさに歴史的なコンサート。
コンサートは2時開演だったので、午前中は一時帰省してまた東京に帰って行った娘とランチでも、と考えていたのだが・・・・
大エルミタージュ美術館展があったことを思い出し計画変更。
まずは六本木ヒルズへ。
開場の10時前に着いたものの入り口は凄い人。
こんな人気なのか!!と驚いたらほとんどは展望台に行く人たちだったらしい。
実際のエルミタージュ展ははさほど混んでなくゆっくり見ることができた。
入口の大きな女帝エカテリーナ2世があり、この作品だけ撮影可と聞いていたので、カメラを構えたら係の女性に「写真撮影はご遠慮ください!」ときつく注意された。
「???」
大勢の人がいたので反論する気にもならず、大人しくしていた。
(あとで調べてみたら平日のみの許可でした。すいません。orz)
今回の展示は16世紀ルネサンス期から18世紀ロココ期までのオールドマスターといわれるルーベンスやレンブラントらの巨匠の作品を集めたもの。
レンブラントの「運命を悟るハマン」の深い苦悩の表情やヨルダーンスの「クレオパトラの饗宴」での高価な真珠を溶かして飲んでしまうクレオパトラを見つめる周りの従者たちの複雑な表情のリアルさ。
スネイデルスの「鳥のコンサート」のシュールさは現代アートのようだ。
娘に連絡するとあまりお腹が空いていない、というので落ち合うことは止めにした。
開場まで時間があるので、演奏会場の紀尾井ホールに近い御茶ノ水のディスクユニオンに寄ることにした。
昼食は御茶ノ水のトンカツ屋で簡単に済ませてディスクユニオンへ。
このところ購入は極力抑えている。
LPはかさばるので最初から書籍とCDのコーナーのみを物色。
来週のレコードコンサートでヴァイオリンを特集するので、ヴァイオリンコーナーを中心に眺めて結局5点ほど買ってしまった。
そして会場の紀尾井ホールへ。
あまりにも印象深いコンサートだったのでこの詳細はまた別に書きます。
コンサートの終演は5時少し前。
一路「ラ・フォルジュルネ」の東京国際フォーラムへ。
今回入手した有料チケットは、ホールCで竹澤恭子のヴァイオリン、ロフェ指揮ロワール管でシベリウスプロ
・「悲しきワルツ」
・ヴァイオリン協奏曲
というもの。
実は同じ時間帯で井上道義指揮と林英哲の和太鼓による、石井真木の「モノプリズム」のコンサートがホールAであり、大いに迷ったのだが・・・
あまりにも巨大なホールAでは席によっては音楽を楽しめないことがわかっていたことと、竹澤恭子は、マリナー指揮アカデミー管の来日公演の時にメンデルスゾーンを弾いたのが非常に良かったということで結局こちらにした。
実は無料の丸の内コンサートでは、沼響と共演していただいたこともある小原孝さんの演奏があるというので、まずそちらを狙っていたのだが、プーレのコンサートの終演が5時近くだったのでこちらはアウト。
同じ無料コンサートでは、アマオケの東京ユヴェントウスフィルによる「ボレロ」があるというのでまずそちらから・・・
今回の「ラ・フォルジュルネ」のテーマは「ラ・ダンス 舞曲の祭典」。
踊りに関係する音楽ということでこの「ボレロ」も踊り付き。
会場のホールEは「ベジャール」という名なのでベジャールの振付かと思ったら違っていた。
「デ・サバタのアイディアを使います」という演奏前のアナウンス。
「ふむふむ・・・」
これは最後のクライマックスで演奏者が叫ぶというもの。
デ・サバタと同じイタリアの指揮者アバド指揮のボレロでもこれは確認できる。
オケの踊りも熱い演奏で健闘していました。
そして竹澤恭子のヴァイオリン。
ジェラール・プーレの凄い演奏を聴いてしまった直後だったので、どうかなと思って臨んだコンサート。
最初の「悲しきワルツ」は清楚でやわらかな良い出来。
「なかなか良いな」
そしてコンチェルトは期待以上の入魂の凄いシベリウスだった。
竹澤はこの曲に深い思い入れがあるのだろうか、オケのみの部分でも体を揺らせ歌うようにして首を振りながら音楽に没入。
まるで牝豹のようだ。
アグレッシブにして芯のある強烈な音の放射で会場を満たし、満員の聴衆も息を呑んで引き付けられている。
第1楽章が終わった時には会場全体がシーンと静まり返ったほど。
第2楽章でも豊麗な音色で大きく歌い、壮大な頂点の後での静かな歌い出しにはホロリときた。
フィナーレ冒頭のドンドコドンドコのティンパニを聴いて、「あぁ・・これは踊りなんだ」
「ラ・フォルジュルネ」で選ばれたのも納得。
ここで竹澤のヴァイオリンもフルスロットル。
何かに憑かれたかのように豪快にして壮大なシベリウス。
昨年も聴いたロワールフィルは今回がベスト、ファゴットがいまどき珍しいフレンチ式バスンなのが珍しい。
ソロに共感しアンサンブルも緊密にして集中力のある伴奏を聴かせてくれた。
シベリウスのコンチェルトは2年前に諏訪内晶子の演奏を聴いたけれど、淑女然とした諏訪内とはまた異なる男性的で雄渾なシベリウス。
いやあ感動しました。
聴衆もしばらく立ち上がる人もなく、鳴り止まぬ拍手に応えてバッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番からラルゴを演奏。
最初バッハとは気が付かないほどロマンティックな演奏だった。
興奮醒めやらぬまま帰りは新幹線。
東京駅は帰省していたUターン客で混んでいた。
夜の車窓から外を眺め、夕食として購った奈良吉野の「焼きさんま鮨」を食べながら「あぁ、このところ旅をしていないなぁ」などと考えていた。
充実した春の1日。
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