シェックのカンタータ「漁師とその女房」
曇時々雨。
蝉時雨もしだいに弱まり夜には外から秋の虫。
外に出ると昼間はムッとした暑さ。
出勤時に遠くで雷鳴。
今日は20世紀スイスの作曲家オットマール・シェックを聴く。
曲はドラマティック・カンタータ「漁師とその女房」
グリムが集めた童話を原作とした声楽曲で
登場人物はヒラメ、漁師、その女房の3人をテノール、バリトン、ソプラノで演じている。
伴奏はオケのみで合唱は入らない。
演奏時間は一時間弱。
演奏はルドルフ・ケンペ指揮のミュンヘンフィル。
ニムスゲルンほか2人によるもの。
独逸アカンタレーベルのLP。
・Kari Løvaas(soprano)
・Horst Laubenthal (Tenor)
・Siegmund Nimsgern(Bass-Bariton)
Konzertante Uraufführung und Tonaufzeichnung 1977
mit den Münchener Philharmonikern unter Rudolf Kempe
(Label ACANTA - hochdeutsch gesungen )
恐らくこの曲唯一の録音だと思う。
歌詞カードはドイツ語のみなのでよく判らないが、幸いグリム童話なので、単純な物語に沿った曲の流れは充分にトレースできる。
シェックは20世紀の作曲家とはいえ作風は保守的なもの。
リヒャルト・シュトラウスの音楽をフランス風に洗練させたような芸風だ。
手持ちは名作ホルン協奏曲、弦楽のための「夏の夜」のほか歌曲が数曲。
「漁師とその女房」は、聴いた限りではさほど大きな編成でもなさそうだ。
室内楽的で透明なオケの響きの中に、時折ピアノが歌曲の伴奏のようにポロポロと入ってくる。
何がドラマティックか最初よくわからなかったが、終盤にウィンドマシンや雷鳴が鳴り響きダイナミックに盛り上げていく。
あらすじは、ヒラメに変えられてしまった王子が、貧しい漁師に救われたお礼に次々と願い事をかなえるというもの。
欲張りすぎた女房が最後に神になりたいと言い出したために、再び貧乏住まいに逆戻りとなってしまったというお話。
類似の話が世界の昔話にはいくつかある。
ケンペの演奏は非常に見事、初めて聴く曲なのに非常にわかりやすい。
不思議なのは原作のグリム童話の翻訳書では、登場人物がヒラメと書いてあるものもあればカレイと書いているものもある。
グリム童話の解説書でもバラバラ。
同じ著者の二冊の解説本でも一方はヒラメ、もう一冊はカレイだった。
そしてもう1枚はシェックとほぼ同世代(1885~1935)の
アルハン・ベルクのピアノ、ヴァイオリンと13管楽器のための協奏曲。
バレンボイムのピアノ、ズッカーマンのヴァイオリンにブーレーズ指揮のアンサンプル・コンテンポランによる独逸グラモフォンのLP。

シェーンベルクの50歳誕生日に献呈するはずが結局間に合わなかった作品。
シェックが一時関心を示していたベルクなだけに、シェックの音楽から何の違和感もなく繋がってくる。
13管楽器は、編成は異なるけれどモーツァルトのグランパルティータを意識したものだろうな。
Youtubeはシェックのホルン協奏曲。ペーター・ダムのホルン。
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