バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタと友人Nのこと
今日は朝からみぞれ混じりの雨。
雨はまもなく上がったもののどんより曇天の寒い一日だった。
昨夕、大学時代の同級Fから突然の電話。
これは「近くに来たから一緒に飲もうかい」との誘いの電話かなと思いきやさにあらず。
同じ大学同級生Nの逝去の知らせだった。
あまりの突然の知らせ。
Nの兄と親交のあるFに、昨日Nが1月4日に死去したとの手紙が届いたのだという。
Fも驚き確認したところ昨年5月に膵臓癌が見つかり、12月に旅先のアメリカで倒れ、帰国の後の逝去だという。
NとFは大学の学部も同じ同級生で二人ともオケで一緒だった。
Nはヴァイオリン、Fはクラリネット。
優秀な二人は現在国立大学で教鞭をとっている。
Nは卒業後もヴァイオリンを続け、東京のアマオケに入ったり沼響草創期の頃には何度がエキストラにも出てくれた。
その都度我が家に泊まり楽しい時を過ごしたりもした。
個性的でなかなか妥協しない独特のキャラのNだったが、何故か自分とは学生時代から気が合った。
Nはその後アメリカへ留学。
帰国後は東京の医科大学に籍を置き、確か悪性腫瘍の研究をしていたと思う。
その後東北の国立大学に奉職。
沼津にも来てくれて一緒に酒を酌み交わしたりしてfacebookやメールのやりとりもしていたのが昨年6月頃、突然音信不通となってしまっていた。
卒業後も断続的に音信不通になったりしていたので、特に気に留めていなかった。
連絡が途絶えていたのはちょうど癌が見つかった時期と重なっていた。
今日は定期的に通っている眼科の検診の日だったので、最初から休暇を取る予定つもりで一日休み。
病院に行ったあと、東京とは異なり東北の地方都市でなかなか好きな音楽活動が出来ぬことを嘆いていたNのことなどをいろいろと思い出したりしていた。
学生時代、大学オケ練習場の古い木造の建物の廊下で、黙々とバッハの無伴奏ヴァイオリンソナタをさらっていたN。
今日はそのバッハの「無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータ」を、Nの供養の思いで聴いていた。
カール・ズスケのヴァイオリン。
そのうち、低く灰色の雲が垂れ込めた空から小雪が舞ってきた。
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