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2018年3月10日 (土)

フリッツ・ライナーの「ツァラトウストラはかく語りき」聴き比べ

曇り空の土曜日。

仕事上の大きな山場だった一週間もようやく終わり、昨日はそのクライマックス。

外部役員多数を前にして一連の会議で自分の出番が予想外に多かった。

無事に切り抜けて、ほっとしながらの休日。

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今日は伊豆・村の駅にある「たまご専門店TAMAGOYA」で朝食。


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限定20食の目玉焼きのようなパンケーキ。

スープ、ソーセージ、サラダにドリンク付き。

卵に似ているがミルクソースと卵黄ソース。




テレビで紹介されたとかで、朝から観光客で混雑気味。


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店に入るまで順番待ちで40分、注文してから50分待ち。

家に帰るとほとんどお昼時。今日は昼食抜き。





近くのハードオフで100円ジャンクLPなどをゲット。


その一枚が70年代に出ていたRCAの廉価盤でライナー指揮シカゴ響の「ツァラトウストラはかく語りき」。録音データの記載はない。



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当時のレコードカタログには、1950年代後半録音という明らかに誤った情報が載っている。


ライナーとシカゴ響の同曲録音は1954年と1962年の2つのスタジオ録音があり、いずれもステレオ録音。



CDでは両方とも架蔵済み。


最近この時期のLPでもイコライザーカーヴがぴったり合えば、
今までの印象が一変するほど鮮明な音で再生されることがあるのがわかっていて、このLPではどのような音で再生されるのかという興味と、
この演奏が1954年録音か62年録音かを確認するための購入。

100円(税抜)だったし。



早速聴いてみた。


このシリーズではコロンビアカーヴが比較的相性が良かったけれど、この盤に限ってはさほど変わらなかった。

冒頭ののびやかで余裕のあるトランペットはいずれも名人ハーセス。


演奏も無駄のない引き締まった響きの中に、スコアに書かれた音が全て音になっているというのが実感できる名演。


それでいて柔軟にして自由なフレージングにして音楽が自然に流れていくのも凄い。


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次にこの廉価盤LPが1954年録音か62年録音かを判別するために、2種のCDと冒頭を聴き比べてみた。


すぐに区別できると思っていたら意外と苦戦。

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最初聞いた時には1954年、62年の2つのCDと買ったばかりLPの3種とも同じ演奏に聞こえた。


ちょっと自信がなくなってとっておきのLPを取り出した。


棚から取り出したのはシカゴ響の自主制作LPで、シカゴ響の歴代の音楽監督の録音を集めたもの。



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非売品で関係者に頒布したものらしい。


この中に、F.ストック、ロジンスキー、ライナー(2種)、ショルティら歴代の指揮者たちの5種類の「ツァトウストラ」録音の冒頭部分が収録されている。


ここでライナー指揮の1954年と1962年録音、そして国内盤LPとの3種を再び聴き比べ。




聴いているうちにライナー時代のシカゴ響は、1955年を境に楽器配置が変わったことを思い出した。




そこでティンパニとコントラバスの位置に集中してみたらすぐに判別できた。


解釈ばかり気にしていて単純なことを忘れていたようだ。


1955年以前のシカゴ響のコントラバスは舞台下手に位置。
すなわちスピーカーの左側から聞こえてくる。

それ以降は一般的なオケの配置である舞台上手にコントラバス。
したがってスピーカーの右側から聞こえてくる。

実際聴いてみると手持ちの1954年盤CDはコントラバスは左、
ティンパニは右側に位置。
1962年盤CDはその逆。

国内盤LPを聴いてみるとティンパニは左側、コントラバスは右側で鳴っていた。
すなわち1962年録音。

ただしこの録音は3チャンネルで録音されたものを2チャンネルにトラックダウンして いるので、LPとCDではティンパニの定位する位置が微妙に異なっている。


LPでは多少中央寄りでティンパニが鳴っていた。

このことが微妙に判断を鈍らせていたようだ。


最初聞いた時に1954年と62年の2つの演奏が同じ演奏に聞こえた。

これはライナーの解釈が二つの録音の間で全く変わっていないことを意味している。



Youtubeはライナー指揮シカゴ響のベートーヴェン、交響曲第7番。1954年収録なのでコントラバスは下手に位置。

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コメント

2つの録音がそんなに違わないとは知りませんでした。同じような例が、ミュンシュ指揮のダフニス、55年と61年の違いです。これは録音のプロデューサーが違い、61年はグランカッサが強烈に入っていて判別容易ですが、音が同じなら実はあんまり変わらないように思います。
ライナーの指揮姿、眼光鋭く、怖いですね。案外大きく振っていますが、左手は手首から先しか使わない。あと、登場するときの姿勢がピシッとしていますね。
RCA はミュンシュとライナーを抱えていましたが、まったく正反対、笑顔で指揮するミュンシュ、まったく表情かわらず仏頂面のライナー。両極ですね。

投稿: サンセバスチャン | 2018年3月11日 (日) 07時32分

RCAの廉価盤LP。正にこれです。持っていました。
懐かしいですね。今は手元にはありませんが。
ライナー、ミュンシュ、モントゥー に興味を持ったのも
この頃ですね。40年以上も前の話ですが。

投稿: よしお | 2018年3月11日 (日) 11時40分

サンセバスチアンさん。

長い指揮棒を持つライナーの指揮は、見ていて剣豪の達人の太刀さばきのように見えてきました。

簡潔にして直截、素晴らしい指揮だと思います。

「ツァラトウストラ」の二つの録音もエンジニアは異なりますが、CDで聴く限り、音はあまり違わないです。

投稿: 山本晴望 | 2018年3月13日 (火) 20時54分

よしおさん。

わたしと同世代の方と推察します。

このRCAのシリーズは当時としては豪華な顔ぶれだったのでかなり購入しました。

今でも時々取り出して聴いています。

投稿: 山本晴望 | 2018年3月13日 (火) 20時56分

私も疑問に思ったので、素人なりに再度検証してみました。
54年盤は金管が右、ティンパニも右から聴こえます。
62年盤は金管が中央、ティンパニは左から聴こえます。

投稿: よしお | 2018年5月 3日 (木) 12時18分

よしおさん、検証ありがとうございます。

ステレオ録音が始まった頃は、同じ演奏者で数年を隔てて同じ曲を録音したりしているので複雑ですよね。

ライナー率いるシカゴ響はこの時期オケの配置を変えているのでわかりますが、モノラル録音だったり配置を変えてなければ区別するのは難しかったと思います。

投稿: 山本晴望 | 2018年5月 5日 (土) 10時00分

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