アンセルメの「春の祭典」
本日啓蟄、気温は下がり朝から風吹く曇り空。
コートがまだ手放せない。
今週はいろいろとあり、気が抜けぬ毎日。
アンセルメの「春の祭典」
リサイクルショップで見つけた1枚108円のジャンクLP。
初期の国内盤でおそらく50年近くを経ているモノラルLP。
だがジャケットも本体も非常にきれいだった。
前の所有者が大切に聴いていたのだろう。
ずしりと重い音盤をターンテーブルに載せて聴き始める。
冒頭のフレンチ式バソンの鼻をつまんだような音は想定内であったものの、
いろいろと普通では聞こえない音が鳴っている。
当然現在一般的に使われている1967年版ではないものの、それ以前の1947年版に比べてもかなり細部が異なるようだ。
響きもかなり古風。
アンセルメの一連の録音はオケの非力さが定説のようになってしまって、
オケのビルトオジティを要求されるような曲では、ネットの評価でもオケをボロクソにけなしているものが散見される。
某評論家曰く「荒れたアンサンブルから悲鳴がきこえてくる」。
自分も最初はそのような色眼鏡で聴いていたことは否定しない。
けれども聴いているうちにこの演奏は、初演のスタイルに非常に近いのではないかとも思えてきた。
そう思って聴くと、非常に新鮮。
最後の最後でシンバルのグシャリとした音が入っているのも驚きだ。
アンセルメとスイスロマンド管の「春の祭典」には1950年と1957年の2つのスタジオ録音があり、今聴いているのはてっきり1950年録音だと思って聴いていた。
ロンドンカーヴのイコライザーで聴くと芯のしっかりとしたなかなかの音。
ついでに以前入手していた1950年録音の英エクリプス盤を聴いてみた。
こちらは疑似ステレオで広がりはあるものの奥行きがなく、肝心のティンパニの音も弱々しい。
ところがしばらく聴いているうちに、さきほど聴いた国内盤LPと違う演奏であることに気がついた。
第二部の後半にはチューブラベルのような音も聞こえてきて仰天。
最後のシンバルのグシャリもない。
そこで今度は確実に1957年録音盤である外盤CDを取り出して聴いてみると、
108円で入手したリサイクルショップ入手盤は、ステレオ録音で出ている1957年盤のモノラルバージョンであることがわかった。
だが、なんとなくCDとLPでは細部が微妙に異なるようにも思える。
スコア片手に精密に聞き比べた訳ではないが、1957年盤のモノラル盤はステレオ録音とは別テイクなのだろうか?
Youtubeはアンセルメの「ラ・ヴァルス」
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