ブロムシュテット、N響定期のハイドンとマーラー
朝の冷えが少しずつ深まり今日も爽やかな秋の空。
夕方見た富士の雪は昨日よりも薄れていた。
先週金曜日の東京滞在の続きです。
フェルメール展のあとは代々木上原のそば処「山せみ」で昼食。
静かにショパンが店内に流れる東京でのお気に入りの店。

代々木で所用を済ませ夕食はとらずにそのまま歩いてNHKホールへ。
開場は18時。
ホールには開場前に到着。
空が曇り始めて雨の気配。

N響定期は3年前にノリントン指揮のティペット、シューベルトプロ以来。
今回は名誉指揮者のブロムシュテット。
ブロムシュテットの実演は初めてだ。
歴代のN響の名指揮者たちマタチッチ、スゥイトナー、サヴァリッシュらはいつでも聴けると思っているうちに皆聞き逃してしまった。
辛うじてホルスト・シュタインをバンベルク響との来日公演で聴けたくらい。
ブロムシュテットは御年91歳。
ここで聴いておかねば・・・・という気持ちが正直なところ。
できるだけ良い条件で聴こうと席は1階S席中央やや後方。

プログラムは
・交響曲第104番ニ長調「ロンドン」 ;ハイドン
・交響曲第1番ニ短調 「巨人」 ;マーラー
標題付き交響曲の2曲。
いずれもかつて沼響で演奏した曲だ。
オケの配置はコントラバス下手対向配置。
ステージ上にはティンパニが3セット。
右端のセットはハイドン用のバロックティンパニ。
ひな壇上段の2セットはいずれもマーラーの二人の奏者用。
そしてブロムシュテットの登場。
とても90を超えているとは思えない。
テレビでお馴染みの矍鑠とした姿。
最初はハイドン。
第1楽章序奏に続く柔らかで気品にみちた主題では不覚にも涙が出てきた。
ピタリとピッチの合った極上の弦楽器の音。
今まで聴いてきたN響とは違う音が鳴っている。
第3楽章での絶妙なパウゼも神の域。
曲が終わり、前プロなのに盛大なブラボーと大きな拍手が鳴り止まらない。
そして休憩の後「巨人」。
ホルンはアシストを入れて8人、元N響団員の日高さん、山本さんの姿も見える。
フィナーレ最後のホルンの補強はトランペット、トロンボーン各1.
使用譜は最新のベーレンライター譜ではなく通常版。
したがって第3楽章冒頭のコントラバスはソロ。
演奏は、これほどの大きな編成になるとハイドンで聴かれたような均一な透明感のある響きは望めないものの大編成オケの醍醐味を満喫。
ブロムシュテットの指揮を見ていると体が非常に柔らかく、この柔軟な体から停滞感のない充実した音楽が流れていく。
聴いていて第3楽章の葬送行進曲が、ベートーヴェンの「第九」第4楽章で歓喜の主題が楽器が徐々に増えていく部分のパロディだということに気が付いた。
第4楽章も緻密にして雄大な出来だ。
若々しい青春の感情の爆発ではなく、真摯に音楽に向き合ったストイックなマーラー。
それにしても若い。
ブラボーと盛大な拍手に何度もステージに出てきてくれたブロムシュテットの誠実な姿は
孤高の修行僧のようにも見えた。
YoutubeはブロムシュテットとN響のマーラー、交響曲第9番
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