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2018年11月に作成された記事

2018年11月29日 (木)

ルーカス=グラーフのシューベルト

曇り、夕方から強い雨。

週末はもう12月だというのに、今年は身の回りの紅葉がほとんど見られなかった。

どうやら9月の台風が齎した塩害が原因のようだ。
庭の紅葉も葉の先が枯れている。



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夜は家内と待ち合わせ、沼津魚がし鮨で「特選5貫冬の大漁盛り」


ネタは新鮮だったけれども5貫ということで夜遅くにお腹が空いてきた。


今日もシューベルト。

ペーター・ルーカス=グラーフの吹く「しぼめる花の主題による序奏と変奏曲」

ピアノ伴奏は小林道夫のクラーヴェスから出ていたLP。




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・フルートソナタ変ロ長調    :ベートーヴェン
・しぼめる花の主題による序奏と変奏曲ホ短調 D.802   :シューベルト

ペーター・ルーカス=グラーフ(fl)
小林道夫(pf)


1974年グラーフ初来日時での立川市民会館での録音。

カップリングは今では偽作とされるベートーヴェンのフルートソナタ。

完璧な技巧で聴かせるしっとり渋いルーカス=グラーフのフルート。

厳しさの中に人間的な暖かさも感じさせるのが良い。

イコライザーカーヴはAEDだった。

ルーカス=グラーフの「しぼめる花・・・・」は再録音も出ている。

youtubeはルーカス=グラーフの吹くバッハ

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2018年11月28日 (水)

ヒュッシュの「冬の旅」をold78で聴く

晴れのち曇り、天気は西から下り坂。

2025年万博の大阪誘致決定に沸く大阪の様子をテレビで見て1970年の大阪万博を思う。

当時自分は小学生。

その時未来への希望に満ちた明るい日差しの中にいるような、ウキウキとした気分が日本全体を覆っていたように記憶している。

もう50年近く過去のこと。

万博会場ではタッチパネル式のブラウン管に驚き、アメリカ館で月の石を見て疲れて会場の路上の端に座りこんでいた時に、当時皇太子だった今上陛下御夫妻を乗せた黒塗りの車がすぐ目の前を通過していったことなどがつい最近の出来事のように鮮明に思い浮かぶ。


NHKのテレビ番組「70年代われらの世界」の冨田勲作曲のテーマ音楽、
「青い地球は誰のもの」が頭の中で鳴り始めた。


そして再び東京オリンピックを経ての大阪万博。

50年前と同じ流れとはいえ時代は変わり、国債残高が平成の30年間で5倍になってしまった日本。
世界の中の日本の立ち位置も変わっている。


現在のどうにもならない閉塞感から脱却しようとして、過去の成功体験に縋っているようにも思える。

2025年、その時自分は何をしているかな。



そんなことを思いながら今日はシューベルト。

ゲルハルト・ヒュッシュが歌う「冬の旅」を聴いた。



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手持ちは国内盤CDと最近リサイクルショップで100円で見つけた日本ビクターの国内初期LP。


内容が暗く感じられて自分は「冬の旅」の熱心な聴き手ではない。

以前岡村喬生で聴いたときに、歌よりも伴奏者の高橋悠治の方が印象に残っているほど。


それでも聴く気になったのは、イコライザーカーヴの調整でこの名高い演奏がどのような変化するかとの興味のみ。


この演奏は1933年のSP録音、録音時のヒュッシュは32歳だった。

DENONのモノラル専用カートリッジDL102と、ムジカのフォノアンプのから old78カーヴで聴いてみた。


RIAAに比べ若々しく張りのあるヒュッシュの声とピアノの生々しい音にびっくり。

音に力の無いCDとは格段の差だ。

年齢相応の音で聞こえていて、この曲の新たな魅力を知った思い。

これから古い録音を聴く楽しみが増えた。

Youtubeは冨田勲作曲「青い地球は誰のもの」、当時の音源から

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2018年11月27日 (火)

マルグリスのサン・サーンス「死の舞踏」

晴れのち曇り、穏やかな日が続く11月最後の週。

風もなく、寒さは感じられない。

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朝はポコの散歩。

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家の近くでは沼津アルプストンネルの工事に付随して新しい道路が次々とできている。


近くの農家の方から「以前畑を深く掘り起こしたら葦の葉っぱがびっしり出てきて、魚を捕る石の錘がたくさん見つかった」
という話を聞いてからは近所で掘り起こしている現場を見に行くことにしている。


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この地域の地名は「塩満」。

古墳時代頃までは入り江だったという。




今日も引き続きPIANO MASTERPIECESから。

ユラ・マルグリス(Jura Margulis)の演奏を聴いていた。


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このピアニストは初めて聴く名前であまり期待していなかったのだが、
この中のモシュコフスキーの「火花」の鮮やかな演奏に吃驚。

サン・サーンスの「死の舞踏」ピアノ編はマルグリス自身の編曲らしい。

シューマンの「幻想小曲集」の自然な呼吸感もなかなか良い。





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古い人かと思いきやネットで検索してみるとさにあらず。


1968年ロシア生まれ、祖父と父もピアニストでスクリャービンの流れを汲んでいるらしい。
アルゲリッチとも共演している。


これは掘り出し物のCD.

Youtubeはマルグリスの弾く「火花」

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2018年11月25日 (日)

ゲオルグ・ベンダのピアノソナタ

本日快晴。

道路工事現場越しの富士山が大きく見える。


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娘は友人とキャンプ。

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夕食は家内と家の近くの「弥次喜多」で刺身定食。



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昼時は県外からの観光客も多いこの店も、連休最終日の夜は市内ナンバーの車が多かった。


今日はゲオルグ・ベンダのピアノソナタ集をマルティン・ガリングのピアノで聴く。


PIANO MASTERPIECESという、様々なピアニストのシューマンやモーツァルトなどの有名ピアノ曲を集めた英国盤CD5枚組中の1枚。

紙ケースに入っていて、近所のブックオフで280円で買い求めた税込1枚あたり60円ほど。


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なぜか1枚目の最初の曲が、オットマール・マーガ指揮ニュルンベルク交響楽団による
シューマンの交響曲第1番「春」なのが不思議。



他の曲を演奏しているガリング以外のピアニストは知らない人ばかり。


中では Ernst Groschel(1918~2000)というピアニストの弾くシューマンの「子供のためのアルバム」は使用ピアノの晩秋を思わせるような深い音色でなかなか聴かせる。


独逸語のサイトの紹介文ではリストの高弟ザウアーに師事したとのこと。


ガリングは米VOXにバッハからフランス近代音楽までのかなり多くの録音を残している。



バッハの平均律全曲などの大物録音があると思えばワーグナーのピアノ曲全集やフンメルやボアエルデューのピアノ協奏曲など、とにかく人が録音しないような曲まで何でもありの鍵盤奏者。


ピアノだけでなくチェンバロも弾く。

手持ちのガリングの音盤はベンダの他はハイドンのピアノソナタ集のLP。



ゲオルグ・ベンダ(1722~1795)はモーツァルトやベートーヴェンにも影響を与えたドイツの作曲家。


一族には音楽家が多く子孫が今でも音楽家として活躍している。


第二次世界大戦前後にベルリンフィルを振っていたハンス・フォン・ベンダもその子孫のひとり。

ゲオルグ・ベンダのピアノソナタは17曲。


ガリングはその中から6曲をセレクトしている。


ガリングのベンダは軽いタッチで鍵盤に触れるチェンバロの奏法をそのまま取り入れているもの。


古典的でいて幾分ロマンティック、時おりバッハのテイストも漂う素敵な曲だ。


ピアノの響きが独特でハンマーフリューゲルのようにも聞こえる。

Youtubeはベンダのピアノソナタ第6番

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2018年11月23日 (金)

本日の練習、あと一週間

晴れ時々曇り。

祝日の金曜日。

最近祝日や振替休日が増えて、今日は何の祝日だったか気に留める事が無くなった。

冷たい風吹く朝の空気に冬の気配。

夜は大ホールでオケの練習。

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和田先生の指揮で本番の順に全曲を最初に通した。

ハープや各種打楽器、エキストラさんも多く入って本番さながらの練習だ。


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6時から9時までのみっちり3時間。

本番迫りあと1週間ほど。

「ハリー・ポッター」「スターウォーズ」「となりのトトロ」に「サウンド・オブ・ミュージック」の短期決戦吹きっぱなしの4曲。 

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娘と席を並べての本番。


馴染みの曲が多くてチケットの売れ行きも良いようだ。



今回は第一部がこどもたちの楽器体験コーナーとなっている。

それぞれのパートが楽器を持ち寄り子どもたちにオーケストラの楽器を体験させるというもの。

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手持ちのニッカンのメロフォンも出してみようかと思ったけれども、かなり古いものなので子どもに触らせるのはどうかな?

やめておこう。



youtubeは「となりのトトロ」、ナレーターは樹木希林

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2018年11月21日 (水)

ワーグナー、未完の交響曲

晴れのち曇り。
東北では初雪、南の洋上では季節外れの台風発生。

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畑の柑橘類が色づきはじめた。

今年は9月の台風による海からの強風の影響で塩害がひどい。

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毎年楽しみにしていたザボンは枯れる寸前。
小さな実がひとつでポコも目も向けない。

蜜柑も数が少ない。

ネーブルと檸檬は例年並みかな。

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ワーグナー未完の交響曲ホ長調を聴く。

・交響曲 ホ長調 WWV35(1834)

・交響曲 ハ長調 WWV29(1832)

 若杉弘
 東京都交響楽団

 録音 1992年7月13~15日



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演奏は若杉弘指揮の東京都交響楽団。
DENONのCD。

同じくワーグナーの交響曲ハ長調も収録。



ホ長調の交響曲はワーグナーが19歳の時に作曲された交響曲ハ長調に続けて作曲されている。

ハ長調が比較的短期間で完成した作品だったのに対しホ長調の交響曲は第1楽章と第2楽章の途中までのスケッチのみで放棄。

その後このスケッチの所在は不明となってしまった。



ところがワーグナーの死から3年後に突然ベルリンの古書店にこのスケッチが現れ、ワーグナーの遺族が購入。

ワーグナー家はこのスケッチのオーケストレーションを「トリスタンとイゾルデ」の初演者であった指揮者のフェリックス・モットルに依頼している。




モットルは第一楽章と途中完成していた第二楽章のオーケストレーションをオケで聴けるような今の形の曲に仕上げた。



スケッチはワーグナー家に返還されずモットルの死後行方不明になっているという。




この若杉弘盤が世界初録音で、今では準メルクルの演奏がナクソスから出ている。



聴いてみるとモットルのオーケストレーションはなかなか巧みで、メンデルスゾーンの曲のようなある種爽やかさの感じられる佳品となっている。


第2楽章ではリエンチの断片のような音型が出てくるのが面白い。



演奏は両作品ともに曲の魅力を余すことなく伝える見事なもの。





一方のハ長調の交響曲はワーグナー19歳のこの頃の作品として代表作とされるもの。


録音もいくつか出ている。


ものの解説ではベートーヴェンの交響曲の影響が大きいと書いてあるものが多い。


自分としてはベートーヴェンよりもシューベルトの交響曲に似ていると思う。



この曲の初演の様子を知ったクララ・シューマンが夫のロベルト・シューマンに対し、
「ワーグナーに先を越されたわよ。あなたも早く交響曲を書きなさいよ」とハッパをかけている。


ワーグナーは最晩年にこの曲に手を加えている。

若杉弘の演奏はこの改訂版を使用。



Youtubeは若杉弘指揮N響の「ジュピター」

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2018年11月20日 (火)

平山優講演会とミルシュタインのバッハ

本日快晴。

昨日は外部委員数人との同行で静岡出張だった。

時々雨がぱらつく曇り空。

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車中から見た富士の頂は雲の中。

日曜日には隣町の清水町で開催された歴史フォーラムの平山優氏の講演会。

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講演の始まる前に会場近くのラーメン店「ロタス」で昼食。



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特選しょうゆラーメンはクラシックな正統派ラーメンでなかなかの味。


ここは行列のできる人気店。





講演までには時間が有ったので今回のテーマである「泉頭城」に行ってみた。

町立図書館脇の細い道を降りていくと水源地の観光スポットとは離れた場所に出た。


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ここには中世城郭の空堀や切岸の跡が見て取れる。

これらの遺構も宅地化でだいぶ姿を消しているようだ。



講師の平山優氏は山梨県の高校教諭にして歴史家。
 
戦国武田氏の研究で有名で、NHK大河ドラマ「真田丸」の時代考証も平山氏だった。 
沼津にもしばし訪れていて講演会はこれで2回目。

今回の演題は「戦国武田氏からみた泉頭城」

泉頭城は柿田川湧水を取り囲む形で存在した、後北条氏築城の戦国時代としては珍しい平城。

豊富な湧水と富士山が良く見える最高の環境で、徳川家康が終の棲家の隠居城とする話があったことでも知られる。



我が家の周辺は戦国時代に今川氏、後北条氏、武田氏が三つ巴で争った境目にあたり、戦国時代の古城や取手跡が点在している。

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泉頭城もそのひとつ。

近くには徳倉城、その南の大平城は掛川城を追われた今川氏真が最初に逃れた城としても知られる。



講演では泉頭城関係の戦国期の文献が非常に少なくて平山先生もご苦労の様子。

そのため泉頭城以外の近隣城郭の興味深い話も沢山出てきた。







今日はナタン・ミルシュタインの弾くバッハ。

無伴奏ヴァイオリンパルティータから第2番。

ドイツグラモフォンへの全曲録音で手持ちはオリジナルスのCD2枚組。
1973年録音。



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引き締まった張りのある中での暖色系の音色は同門同郷のオイストラフほどの汁気はなく
ミルシュタイン独特のもの。


安定した技巧、上品でいて洗練されたバッハの巨大な宇宙が広がる。



ミルシュタインのバッハがもっと聴きたくなってもう1枚。

二つのヴァイオリンのための協奏曲でヴァイオリンソロの相方はモリーニ。

指揮者の標記なく、オケも室内管弦楽団とだけ。



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東芝セラフィムのLPで、他にメニューインのソロでヴァイオリンとオーボエのための協奏曲とのカップリング。

RIAAカーヴで聴くとCDの音とヴァイオリンの音色がずいぶんと違う。

かなり線が細くあまりの違いに別人かと思うほど。

EMI系なのでColumbiaカーヴを試してもどうも違う。

結局AESカーヴがソロとオケの距離感もよく出ていてミルシュタインの音色にも近いものだった。

こちらは無伴奏ほどのミルシュタインの個性は感じられない。



youtubeはミュシュタインの弾くベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。指揮は巨匠ボールト。

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2018年11月17日 (土)

ウェルザー=メスト&ウィーンフィル来日公演

曇のち晴れ、朝晩少しずつ冷えてきた。

木曜は所用があり東京に行っていた。

用件は午後からだったので朝早めに家を出て、国立博物館で開催中の「マルセル・デュシャンと日本の美術展」。

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デュシャンの特異な作品の数々のうち主に絵画作品が中心の展示。

既製品に多少手を加えた作品としては有名な「泉」(小便器)、瓶乾燥器など。

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ウーム、正直なところ私には解説を見て初めて意味がわかる作品が多かった。

平日でもあり入場者はさほど多くない。


デュシャンと関連付けて第二部は「デュシャンの向こうに日本がみえる」と称して国立博物館所蔵の作品展示。

自分としてはこちらがお目当て。

利休が愛した長治郎作の黒楽茶碗「むかし咄」

豊臣秀吉の北条攻めの際、伊豆韮山の竹を使い利休が作製したと伝わる竹一重切り花入れ「園城寺」。


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本阿弥光悦作の国宝「舟橋蒔絵硯箱」と光悦自身の美しい書「摺下絵和歌歌巻」。


そして狩野探幽と俵屋宗達が同じ題材で書いた「龍図」


他に東洲斎写楽、喜多川歌麿など。

国宝重文がずらりと並んだ展示。

いずれも広く知られた逸品ばかり。

間近に見る利休の切花入には周りに人もおらず、時間の経つのを忘れて長い間見入ってしまった。

竹の口をよく見ると内部に通る一筋の茶紫の線が実に良い雰囲気だ。

これは至近距離で見ないとわからない。

光悦の蒔絵のどっしりとした重量感。


デュシャンとの関連はよくわからないが良いものを見た。


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ちょうど国立博物館では庭園の一般開放中で、紅葉を期待して入ってみた。




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紅葉にはまだ早かったけれども、庭園内に点在する江戸時代の茶室の素朴で落ち着いた趣に心安らぐ思い。

利休の作品の余韻にうまくつながった。


昼食は娘の働く会社近くのステーキレストランで娘と待ち合わせ。


午後からの所用を済ませて夜はミューザ川崎シンフォニーホールでウィーンフィル来日公演。


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ウィーンフィルの実演は1989年のアバドでモーツァルトとブルックナーを聴いて以来。
その時はオーチャードホールだった。



今回の席は4階やや右側。このホールの上の階は前の席との間が狭い上に一列が長い。
居心地は良くないが音はバランス良く聞こえていた。


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指揮はウィーン国立歌劇場総監督を歴任しクリーヴランド管弦楽団の音楽監督にして ニューイヤーコンサートにも登場しているフランツ・ウェルザー=メスト。

・序曲「謝肉祭」作品92        ドヴォルジャーク
・ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 作品102
                     ブラームス
・「神々のたそがれ」第3幕抜粋   
              ワーグナー~ウェルザー=メスト編曲

ヴァイオリン:フォルクハルト・シュトイデ
チェロ   :ペーテル・ソモダリ

ブラームスとワーグナーの曲は作曲者自身がウィーンフィルを振って演奏している曲だ。

ソリストの二人はウィーンフィルの団員でヴァイオリンはコンマスの一人でチェロはウィーン国立歌劇場のソロチェリスト。


最初のドヴォルザークからコントラバス8人の16型。

ウェルザー=メストの音楽は奇をてらわずウィーンフィルの特質を上手く引き出していく正統的なもの。


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オケ全体の響きに溶け合いながらも自己主張も充分。

ソロとオーケストラが一体となってじっくり豊かに歌い上げる第二楽章を聴いているうちに、ブラームスとウィーンフィルとの深い絆のようなものが時代を超えて伝わってきた。


これが伝統というものなのか。



流れの良いウェルザー=メストの指揮もウィーンフィルの自発性を見事に引き出している。




ワーグナーは楽劇「神々のたそがれ」第3幕から4曲をウェルザー=メストが編曲して接続曲としたもの。

夜明けとジークフリートのラインへの旅に始まり1曲置いて葬送行進曲。
最後に終曲。

再び16型、ティンパニ奏者2人にワーグナーチューバを含むホルン8人、バストランペットも加わる大編成。

これは圧巻だった。

深く奥行きのある重量級の音がほどよい音圧でホール内を満たし、ウィーンフィル独特のティンパニの音がずしりと音楽全体を引き締めていく。

フォルティシモでのウィンナホルン8本の咆哮には鳥肌が立ってきた。
ジークフリートコールのホルンソロでは、最初ステージ裏で吹いているように聞こえたけれど、良く見るとステージ上で吹いていた。
これは音を後ろの壁面に反射させて、あたかも遠くのステージ裏から響くように吹いていたのではなかろうか。
これには驚いた。



アンコールはヨハン・シュトラウスを2曲。


・ワルツ「レモンの花咲くころ」
・ポルカ「浮気心」

やはりこのような曲になるとウィーンフィルは特別な存在だ。

youtubeはウェルザー=メスト指揮クリーヴランド管のブルックナー、交響曲第8番

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2018年11月13日 (火)

サージェントのウィンナワルツ

曇り時々雨。

年末調整の時期になりいつもながら保険料などの申告。

子供たちに手がかからなくなり昨年保険を大幅に見直したので、今年はだいぶ少なくなった。




今日は一日オフ。



午前中にいつもの床屋へ行くと客は一人だけ。


ここはいわゆる全国チェーンの理髪店。

いつもは男性の理容師2人だが今日は若い女性が2人。

その中の見習いっぽい女性が担当だった。


やはりそれなりの仕上がりだったが、ちょうどポイントが溜まっていて千円引きなのでよしとしよう。




最近肩こりがひどいのでそのまま馴染みのもみほぐしの店へ。


こちらも最近増えてきた全国チェーンのお店。


いつもお願いしていた人が見当たらず、こちらも若い女性が担当。

ぎゅうぎゅうとマッサージを45分。
こちらも前の人の方が上手かったかな。




音楽はサージェントのウィンナワルツなどを聴いていた。


東芝のセラフィムの廉価盤LP.


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・ウィーンの森の物語
・皇帝円舞曲
・美しき青きドナウ
・芸術家の生涯

以上ワルツ4曲。

オケはロイヤルフィル。



シンフォニックな中にもエレガントな雰囲気があってなかなか良い。

譜面に忠実のようでいて時々崩し気味になるのもベテランの味だ。



「皇帝円舞曲」の第1ワルツ直前のテンポの落とし方などうまいもの。



「ウィーンの森の物語」では前奏と後奏に入るチターのソロが入ることで有名だが、
シュトラウスはチターが調達できない場合を想定してこの部分に弱音器を付けたソロヴァイオリン2本に弦楽6部の譜面を書いている。


サージェントはこのシュトラウスのチターなし譜面を使用しているが、さらにハープを加えて絶妙の効果を上げていた。


このハープの追加はサージェント独自のアイディアかと思う。



youtubeはサージェントの解説付き「運命」

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2018年11月11日 (日)

東欧のホルン奏者たち

本日快晴。
土曜日はご近所の結婚披露宴に招かれていた。

久しぶりの結婚披露宴。

この前白ネクタイを締めたのはいつだったかな・・・

新郎は古くからの農家の長男と言うことでホテルに集まった招待客は二百人ほど。


新郎の父は自分の父と同じ世代で子供の頃から世話になっている方。

長く待ち望んだ息子の結婚に喜び以上に安堵の表情。



夜は高校吹奏楽部の後輩が家に遊びに来ていた。


ホルンを吹いていた彼はいつものように海外で買い付けた珍しいLPを持参。

バルト三国などの中古屋で仕入れてきたLPは主に東欧のホルニストたちの演奏。

Melodiya、SUPRAPHON、PANTONなどの馴染みのレーベルながらよくぞこんな演奏を発掘したと唸るものばかり。




最初にPANTONから出ていた70年代のプラハのコンクールの入賞者実況録音盤.

ここでの10代のホルン奏者の二人の演奏。

曲はイタリアバロック期の作曲家ストラデッラの「教会のソナタ」のアレンジなど珍しいもの。

演奏は今ではこの水準での入賞は難しいかな、と感じる程度。

その頃の典型的なソビエトや、東欧のホルンに聴かれる明るくヴィヴラート豊かな音色が面白い。


今でも活躍していれば50代半ばだが、ネットで検索してみても名前は見つからなかった。


大成するまでもなく消えてしまったのかもしれない。


もう1枚はエストニアのホルン奏者のKalle Kauksi(1949-1992)が吹くアッテルベリなどの北欧の近代作曲家達のホルンとオーケストラのための作品を集めたMelodiya盤


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他にアレンスキーの弟子のロシアの作曲家Alexander Goedicke(1877-1957), エストニアのEls Aarne(1917-1995)の作品など


Aarneの曲はロマンティックな中にグリーグにも似た北欧的な叙情味漂う佳品。



ここでのKauksiの余裕を持ったパワーと弱音のコントロールが凄い。


オケはPeeter Lilje指揮のエストニア国立交響楽団。

1990年プレスのMelodiyaのLP。

ソロがオーケストラに埋没している録音バランスが惜しい。




もひとつホルンのティルシャルやフルディナなどのチェコフィルの名手達を中心に集めたコレギウム・ムジクム・プラハによるグノーの小交響曲やダンディのシャンソンとダンスなど、フランスの作曲家たちの木管合奏のための作品を集めたSUPRAPHON盤。



他にLouis Théodore Gouvy(1819~1898)のゴワローズ小組曲、



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速めのテンポの中に明るい音色の往年のチェコの管楽奏者の妙技が堪能できるゴキゲンな演奏だ。


これはダブリ買いとかでいただきました。ありがとう。



極めつけは国内の私家盤で、日本女子大合唱団の1960年定期演奏会ライヴ。
指揮は木下保

この中のブラームスの2本のホルンとハープ伴奏による合唱曲「女声合唱による4つの歌」。

ここでホルンを吹いているのが当時N響のホルン奏者だった千葉馨と薗清隆だったのには驚いた。

1960年といえば千葉馨がヨーロッパでデニス・ブレインに師事して帰国した2年後のことだ。


へぇー・・・・


こんな盤が存在するなんて全く知らなかった。


いずれもCDにはなりそうもない。(売れそうにもない)


彼によると北欧東欧あたりの個人経営の個性的で面白い中古レコード店は次々と閉店しているのだという。


Youtubeはブラームスの4つの歌、アバドの指揮

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2018年11月 9日 (金)

本日の練習、スター・ウォーズの難しさ、そして合唱幻想曲のことなど

曇りのち雨。

沼響ファミリーコンサートの本番が迫ってきた。
昨晩はオケの練習。

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場所は市民文化センター小ホール

団内指揮者F君の指揮で「スター・ウォーズ」と「となりのトトロ」。


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2曲とも過去に何度も演奏したことがある曲なのに「トトロ」はともかく「スター・ウォーズ」は演奏するたびに難しさが増してくる。


体力の衰えとは別の何か・・・



今日はスプラフォンのLPでベートーヴェンの合唱幻想曲を聴く。


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「第九」を作曲する前の習作のような曲でピアノ独奏から始まりオケが入り最後に合唱が加わる他に類を見ない実験作。


ヤン・パネンカの明快にしてハッキリとしたソロ、途中から入るスメターチェクの伴奏も雄弁なもの。



youtubeはアバド指揮ベルリンフィルの「合唱幻想曲」、ピアノはキーシン

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2018年11月 7日 (水)

ボールトのウォルトン、交響曲第1番

爽やかな秋晴れの一日。

今日は寒くない立冬。

BSの音楽番組「エンター・ザ・ミュージック」でアマオケの雄、芦屋交響楽団が紹介されていた。


芦屋交響楽団創立50年の伝統ある団体で水準も非常に高い。
そのリハーサルや本番の様子。

前プロがシベリウスの交響詩「タピオラ」、メインがなんとウォルトンの交響曲第1番。



このウォルトンの交響曲第1番は、以前指揮者の佐渡裕を紹介するテレビ番組でイタリアのプロオケが悪戦苦闘する模様を見たことがあり、
その様子からとてもアマオケの手に負える曲ではないと思っていた。


ところがイタリアのプロオケの上を行く芦屋交響楽団のその見事な演奏には驚くばかり。


今の沼響にはウォルトンどころか「タピオラ」も難しいだろうなぁ。


そこで今日はウォルトンの交響曲第1番。


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演奏はボールト指揮のロンドンフィル。
パイ原盤のティチクが出していたLP。


学生時代に購入したLPで、当時1500円。



未知の曲に迷いつつも高校時代に演奏したウォルトンの「クラウン・インペリアル」のカッコ良さを連想しながら思い切って買った当時の様子までも覚えている。



そしてアパートの一室のポンコツのシステムステレオで聴いた時、そのボケたような音に一瞬モノラルではなかろうかと失望したことも。




イコライザーカーヴが合えばまともな音で聴けるのではなかろうかと、古いレコードを取り出してみた。


何年ぶりだろう。


いろいろと試みてffrrカーヴが一番良かった。



スポーツカーをぶっ飛ばすようなスマートな演奏もあるけれども、このボールトの演奏はしっとりじっくりと外面的効果は狙わず、地味ながらこの曲のハードボイルドな男の魅力漂う渋い演奏を聴かせてくれる。


それでいて春の祭典にも似た第2楽章の躍動感も見事。


これはRIAAカーヴでは感じ取れなかったもの。

Youtubeはビシュコフ指揮ケルンWDR交響楽団のウォルトンの交響曲第1番

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2018年11月 6日 (火)

オケ日曜練習と「ローマ人の物語」

曇時々雨。

ここ数日雨模様。
日曜に仕事が入ったりしたので今週は長い1週間になりそうだ。

腰のあたりに鈍い痛み、数年前に交通事故で強打した左胸もこの時期になると痛み出す。

平成の時代の終焉とともに組織上に大きな動きが有り、そちらへ向けての方針策定の準備がいよいよ本格的に。


最寄りのブックオフに立ち寄ると100円コーナーの塩野七生著「ローマ人の物語」の単行本が目に入った。

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1992年に刊行された第1巻から第6巻までが1冊税込108円。

最近、日本の衰退ぶりに国家の盛衰に思いを寄せることが多く、ローマ帝国について興味を持ち始めたところ。

図書館で借りて読んでも良いのだが、自分は本が手元にないと読んだ気にならないタイプなので場所を取ることを承知で手を出してしまった。


 

最終の第15巻が完結したのが2006年。
文庫本で全43冊になんなんとする大作。

とにかく読み始めてみよう。



日曜夜はオケの練習。

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場所は文化センター小ホールで和田先生の指揮。

自分と娘のホルンを持って仕事場から直接練習会場へ。

友人と遊びに出ている娘とはホールで合流することになっている。



日曜練習では3時間取れるので今回は演奏会の全ての曲を練習。

管楽器は下田先生のトレーニングが効いて、まとまった響きが出てきているようだ。


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音程がぴったり合い、力まずにホールの隅々まで響きが到達しているのが心地よい。


こうなると練習も愉しい。


本番までいよいよ一ヶ月を切った。

Youtubeは「ローマの祭り」から

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2018年11月 3日 (土)

オケの練習とレコードコンサートのことなど

一日曇天の土曜日、早朝東京に行く娘を駅まで送る。
気温も下がってきた。

定期的に通っているクリニックに行くと臨時休診。

今日は朝からどうも幸先が悪い。



昼前に契約しているケーブルテレビのお客様フェアがあり、粗品が出るというので家内と駅近くのプラザ・ヴェルデへ。

ちょうど同じ会場では植木や盆栽などの「みどり祭り」とアニメ作家のフェアも同時開催中。

お年寄りからアニメファンたちなど、バラエティに富んだ年齢層で賑っていた。

フェアで粗品の牛肉をいただき昼食は沼津駅南口の「鮪小屋」

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かつお刺身定食は鮮度も良くてなかなかのもの。


ちょうど我が家では9月の台風でダメージを受けた屋根の修理が終了。

足場が残っているうちに屋根に昇ってみると周囲は良き眺めだった。

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今週の木曜日夜はオケの練習に娘と一緒に参加。

場所は市民文化センター大ホール。


本番を振っていただく和田マエストロの指揮でオーケストラストーリーズ「となりのトトロ」と「スターウォーズ」組曲。


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先生の巧みな話術で笑いを誘う和やかな中にも厳しい指摘。

2時間が瞬く間に過ぎていく。

それにしても「スター・ウォーズ」はキツイ。


そして翌金曜日の夜もまたまた市民文化センター。

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視聴覚室で隔月開催のクラシックレコードコンサートの解説。

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今回は一足早くベートーヴェンの「第九」を中心としたプログラム。

やはり「第九」は人気が有り、会場はほぼ満席だった。

ありがたいことです。

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ここではモーツァルトのトルコ行進曲付きソナタも紹介して、第九にも出て来るトルコ行進曲の話など。


youtubeは久石譲指揮の「となりのトトロ」ナレーターは樹木希林

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