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2018年11月17日 (土)

ウェルザー=メスト&ウィーンフィル来日公演

曇のち晴れ、朝晩少しずつ冷えてきた。

木曜は所用があり東京に行っていた。

用件は午後からだったので朝早めに家を出て、国立博物館で開催中の「マルセル・デュシャンと日本の美術展」。

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デュシャンの特異な作品の数々のうち主に絵画作品が中心の展示。

既製品に多少手を加えた作品としては有名な「泉」(小便器)、瓶乾燥器など。

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ウーム、正直なところ私には解説を見て初めて意味がわかる作品が多かった。

平日でもあり入場者はさほど多くない。


デュシャンと関連付けて第二部は「デュシャンの向こうに日本がみえる」と称して国立博物館所蔵の作品展示。

自分としてはこちらがお目当て。

利休が愛した長治郎作の黒楽茶碗「むかし咄」

豊臣秀吉の北条攻めの際、伊豆韮山の竹を使い利休が作製したと伝わる竹一重切り花入れ「園城寺」。


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本阿弥光悦作の国宝「舟橋蒔絵硯箱」と光悦自身の美しい書「摺下絵和歌歌巻」。


そして狩野探幽と俵屋宗達が同じ題材で書いた「龍図」


他に東洲斎写楽、喜多川歌麿など。

国宝重文がずらりと並んだ展示。

いずれも広く知られた逸品ばかり。

間近に見る利休の切花入には周りに人もおらず、時間の経つのを忘れて長い間見入ってしまった。

竹の口をよく見ると内部に通る一筋の茶紫の線が実に良い雰囲気だ。

これは至近距離で見ないとわからない。

光悦の蒔絵のどっしりとした重量感。


デュシャンとの関連はよくわからないが良いものを見た。


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ちょうど国立博物館では庭園の一般開放中で、紅葉を期待して入ってみた。




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紅葉にはまだ早かったけれども、庭園内に点在する江戸時代の茶室の素朴で落ち着いた趣に心安らぐ思い。

利休の作品の余韻にうまくつながった。


昼食は娘の働く会社近くのステーキレストランで娘と待ち合わせ。


午後からの所用を済ませて夜はミューザ川崎シンフォニーホールでウィーンフィル来日公演。


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ウィーンフィルの実演は1989年のアバドでモーツァルトとブルックナーを聴いて以来。
その時はオーチャードホールだった。



今回の席は4階やや右側。このホールの上の階は前の席との間が狭い上に一列が長い。
居心地は良くないが音はバランス良く聞こえていた。


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指揮はウィーン国立歌劇場総監督を歴任しクリーヴランド管弦楽団の音楽監督にして ニューイヤーコンサートにも登場しているフランツ・ウェルザー=メスト。

・序曲「謝肉祭」作品92        ドヴォルジャーク
・ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 作品102
                     ブラームス
・「神々のたそがれ」第3幕抜粋   
              ワーグナー~ウェルザー=メスト編曲

ヴァイオリン:フォルクハルト・シュトイデ
チェロ   :ペーテル・ソモダリ

ブラームスとワーグナーの曲は作曲者自身がウィーンフィルを振って演奏している曲だ。

ソリストの二人はウィーンフィルの団員でヴァイオリンはコンマスの一人でチェロはウィーン国立歌劇場のソロチェリスト。


最初のドヴォルザークからコントラバス8人の16型。

ウェルザー=メストの音楽は奇をてらわずウィーンフィルの特質を上手く引き出していく正統的なもの。


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オケ全体の響きに溶け合いながらも自己主張も充分。

ソロとオーケストラが一体となってじっくり豊かに歌い上げる第二楽章を聴いているうちに、ブラームスとウィーンフィルとの深い絆のようなものが時代を超えて伝わってきた。


これが伝統というものなのか。



流れの良いウェルザー=メストの指揮もウィーンフィルの自発性を見事に引き出している。




ワーグナーは楽劇「神々のたそがれ」第3幕から4曲をウェルザー=メストが編曲して接続曲としたもの。

夜明けとジークフリートのラインへの旅に始まり1曲置いて葬送行進曲。
最後に終曲。

再び16型、ティンパニ奏者2人にワーグナーチューバを含むホルン8人、バストランペットも加わる大編成。

これは圧巻だった。

深く奥行きのある重量級の音がほどよい音圧でホール内を満たし、ウィーンフィル独特のティンパニの音がずしりと音楽全体を引き締めていく。

フォルティシモでのウィンナホルン8本の咆哮には鳥肌が立ってきた。
ジークフリートコールのホルンソロでは、最初ステージ裏で吹いているように聞こえたけれど、良く見るとステージ上で吹いていた。
これは音を後ろの壁面に反射させて、あたかも遠くのステージ裏から響くように吹いていたのではなかろうか。
これには驚いた。



アンコールはヨハン・シュトラウスを2曲。


・ワルツ「レモンの花咲くころ」
・ポルカ「浮気心」

やはりこのような曲になるとウィーンフィルは特別な存在だ。

youtubeはウェルザー=メスト指揮クリーヴランド管のブルックナー、交響曲第8番

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コンサート感想」カテゴリの記事

コメント

 お久しぶりです。

 自分もこのコンサート、実は楽しんでいました(2階席左側で、細かいところまで良く聴けました)、ニアミスだったのですね。
 ウィーン・フィル、実演は何と35年振りでした。典雅なサウンドは心地良く、特にワーグナーでの金管楽器群の少々渋めな音色には改めて感心させられました。全体のアンサンブルは大らかな感じもありましたが、それこそがこのオケの長所にも思えました(尤も、ライブ録音でよくあるミスは、今回殆ど感じられませんでしたが)。ブラームスの、ソロとオケが音で戯れている様も何かホッコリさせられました。謝肉祭も節度をもった華やかさが印象的でした。

 クリーヴランド管の公演でも感じたのですが、メストの指揮ではどんどん前に進む傾向があり、特に裏拍や休符は短めになりがちで、アンコールのポルカで顕著に表出していたようにも思えました。人によってはせっかちに感じるかも・・・。でも要所はしっかり押さえていて、どの曲も聴き甲斐ある演奏でした。
 ウインナ・ワルツ、このリズム感は絶品でしたね。場面によって微妙に変化もしていて、これは真似出来ない次元のものと。これはもう聴衆に徹して楽しむものだと脱帽ものでした。
 
 素敵なコンサートを共有出来たことに感謝、です。

投稿: 元団員N | 2018年11月17日 (土) 23時13分

久しぶりです。
おぉ!あの場にいたのですね。

私もウィーンフィルは久しぶりです。

ブラームス、ワーグナーそしてシュトラウス、これはやはりウィーンフィルならではの音楽ですね。
メストもウィーンフィルの特質をうまく引き出していたと思います。

それにしても角笛のホルン、あれは舞台裏で吹いていたのかな?

投稿: 山本晴望 | 2018年11月18日 (日) 08時30分

 ワーグナーでのホルンソロ、自分には舞台裏(ステージ向かって左奥)から聴こえてきているように思えました。また、かなりのフラッターエコーみたいな響きでやまびこのようにも。少なくても通常のホルン奏者の座席からではなかったように記憶しています。

 金管楽器の配置、最後列の真中にチューバ、舞台向かってその左側にバス・トロンボーン、右側にバス・トランペットと中心部に低音をまとめていました(バーンスタイン/NYフィルのヤング・ピープルズ・コンサートでもチューバを最後列真中にしていた記憶あり)。そして右側2段のホルン8人は、中心から、1st、2nd、3rd・・・のよう。結構凝った配置だったように感じられました。(以前you tubeで紹介してくれた、フィラデルフィア管のホルンセクションは6人が左から1st、2nd~となっていてビックリしました、曲は「惑星」だったかな。通常ホルンはどの位置に陣取っても、右から1st、2nd~が多いように思えますが)

 配置からして、ウィーン・フィルは独特なのかもしれませんが、如何なものなのでしょうか?

投稿: 元団員N | 2018年11月18日 (日) 23時15分

あのホルンは舞台裏でしたか。

舞台上の一人のホルン奏者が楽器を構えていたのでてっきりその奏者が背面の壁を利用して吹いていたと思いました。

同じようなことを先日聴いたバボラークが実践していたので。

オペラハウスで活動していた歴史のあるオケは比較的独特な配置のようです。

戦前のフィルムでみたベルリン国立歌劇場のオケが同じような配置でした。

投稿: 山本晴望 | 2018年11月20日 (火) 21時33分

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