田中希代子のサン・サーンス
晴れ、朝の気温は10°
対岸の火事と思っていた事案が、思わぬ飛び火で火消し役となる羽目に。
時々咳き込みクシャミが出ている。
風邪のようでもありアレルギーでもあり、この体調のまま週末を迎えたくないもの。
今日は早めの帰宅。
ピアニスト田中希代子のサン・サーンスを聴いていた。
キングレコードから出ていた田中希代子の芸術中の1枚。
音源はNHK.
・ピアノ協奏曲第4番ハ短調 op.44 *
田中希代子(ピアノ)
ピエール・デルヴォー(指揮)
ディーン・ディクソン(指揮)*
NHK交響楽団
録音:1965年1月27日、東京文化会館
:1968年1月16日、東京文化会館*
田中希代子は1952年ジュネーヴ国際音楽コンクール1位なしの2位。
この時同じ2位にイングリット・へブラー。
ロン・ティボー国際音楽コンクール1位なし4位。
大接戦として知られる1955年ショパン国際ピアノコンクール10位入賞。
この時の1位はハラシェビチ、2位アシュケナージ。
ところが30代半ばの1968年に膠原病を発病。
1970年に引退を余儀なくされた天才ピアニスト。
その活動歴は20年に満たない。
この演奏を聴くと並々ならぬ才能の持ち主であることが判る。
切れの良いテクニックだけではなく曲全単体をがっしりと掴んだ構成感。
触れれば血が吹き出るような鋼のような強靭な音
細かな音型の一音一音が意味を持って響いているのが凄い。
ショパンコンクールの時に審査員のミケランジェリがアシュケナージと田中希代子の同着優勝を主張し、認定書の署名を拒否した話も頷ける。
この2曲では第5番が特に素晴らしい。
発病間もない第4番は、輝かしい第5番に比べるて思わぬ場所でのミスタッチや音の粒立ちに微妙な衰えが感じられるのが悲しい。
デルヴォーの伴奏はソリストに触発された熱い出来。
第4番の黒人指揮者ディーン・ディクソンは録音が少ないだけに稀少。
こちらの伴奏もソリストをいたわりながらも細やかな伴奏を付けている。
ともあれこのような記録が残されている幸福を思う。
2曲ともステレオ録音なのが有り難い。
Youtubeは田中希代子のショパン
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コメント
こんにちは
このサン=サーンス5番は名演ですね!
名前を伏せて聴かせられても
「お?」と思わず耳を奪われる
強烈なサムシングがあります
投稿: 木曽のあばら屋 | 2019年1月19日 (土) 06時23分
木曽のあばら屋さま、コメントありがとうございます。
この5番は田中希代子の残された録音の中でも傑作だと思います。
怒涛の終楽章など何度聴いても興奮させられます。それでいて一つ一つの音が丁寧に均一に鳴り切っているのが凄いと思います。
投稿: 山本晴望 | 2019年1月19日 (土) 21時00分