ラローチャのアルベニスのことなど
昨日は立春。
最高気温が20度を超えた4月並みの一日だった。
今日は一転冷えて薄曇り。
本日午後から外部委員を交えた長時間の会議。
ラローチャの弾くスペインの作曲家たちのピアノ曲集を聴く。
自身も優れたピアニストだったイザーク・アルベニス、グラナドス、ファリァの19世紀スペインを代表する作曲家たちの作品に、17世紀のマティアス・アルベニスと19世紀の作曲家トゥリーナの作品を集めたもの。
旧ロンドンレーベルの国内盤CD。
Iアルベニス:
・入江のざわめき(組曲『旅の思い出』作品71-第6曲)
・パバーナ・カプリーチョ 作品12
・プエルタ・デ・ティエラ(組曲『旅の思い出』作品71-第5曲)
・マラゲーニャ(組曲『スペイン』作品165-第3曲)
・タンゴ(組曲『スペイン』作品165-第2曲)
・セビーリャ(『スペイン組曲』作品47-第3曲)
・アストゥーリアス(『スペインの歌』作品232-第1曲)
・セギディーリャ(『スペインの歌』作品232-第5曲)
M.アルベニス:
・ソナタ ニ長調
グラナドス:
・オリエンタル(スペイン舞曲集 作品37-第2曲)
・アンダルーサ(スペイン舞曲集 作品37-第3曲)
トゥリーナ:
・サクロ・モンテ(5つのジプシー舞曲 作品55-第5曲)
・サパテアード(3つのアンダルシア舞曲 作品8-第3曲)
ファリャ:
・組曲『恋は魔術師』
アリシア・デ・ラローチャ(ピアノ)
ラローチャは実演を聴くことができた。
デ・ブルゴス指揮スペイン国立管弦楽団の来日公演で場所はサントリーホール。
「春の祭典」をメインとしたプログラムで、ラローチャはベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番を弾いた。
夕飯の買い物をしている風の普通のおばちゃんがステージにさりげなく現れた様子。
そして、ピアノを弾き始めたときの柔らかでふわりとしていて、それでいて艶があり力強さにも不足しないタッチは今でも覚えている。
このCDでラローチャは5人のスペインの作曲家の個性を見事に弾き分けている。
イザーク・アルベニスでは、生来の遊び人だったアルベニスのちょっぴり崩したいなせな艶っぽさ。
グラナドスでは民族色の中に潜むドスの効いた黒光りのするような力強さを。
そして最後のファリァでの洗練された軽快さ。
このように比べると、ファリァの音楽がアルベニスとグラナドスよりも一歩上の階層の芸術性を保っていて、名声がスペイン国内に留まらずに時代と地域を越えた普遍性を獲得しているのもよく判る。
そしてマティアス・アルベニスのアルカイックな雰囲気と大衆的なトゥリーナ。
ラローチャが亡き今、スペインのピアノ曲をこのように弾けるピアニストはいない。
グラナドスやビニェス以来のスペインのピアノ演奏の伝統が絶えてしまった。
Youtubeはラローチャの弾くアルベニス「アストリアス」
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