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2019年2月28日 (木)

1905年の自動ピアノ、ライゼナウアーのピアノのことなど

今日は朝から雨。

昨日は家の前の公共下水道その他工事立ち会いのために遅れて出勤。

その立ち会いの時に石に躓き顔面を強打。
唇を切って出血。

偶然そばにいた水道検針のおばさんがティッシュを差し出してくれた。

ありがとうございます。


傷は大したことはないが唇が腫れ上がってしまった。

もともと悪い運動神経が加齢でますます鈍っているようだ。

この状態でホルンを吹くと血を見そうなのでオケの練習は痛恨の欠席。



今日は下田先生による管打楽器分奏なので仕事の都合で定期演奏会の本番には出ることができない娘に楽譜を渡して急遽代奏を依頼。

幸い花粉症の季節、マスクで傷口は目立たない。



今日は1905年に演奏されたショパン演奏の記録、自動ピアノを聴く。


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ピアノロールに遺されたいくつかの演奏。




独Gruenthalレーベルから出ていたAusleseシリーズ中の1枚。



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・ポロネーズ第6番 嬰ヘ短調 「英雄」
 
  オイゲン・ダルベール (ピアノ)


・前奏曲第15番 ニ長調 作品28-15 「雨だれ」

  フェリッチョ・ブゾーニ (ピアノ)



・ワルツ第11番 ト長調

 ファニー・ブルームフィールド・ツァイスラー(ピアノ)



・練習曲第3番 ホ長調

  イグナツィ・ヤン・パデレフスキー(ピアノ)


・子守唄 ニ長調

 アルフレッド・ライゼナウアー (ピアノ)




B面はアシュケナージのステレオ録音。

・ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 
 
 ウラディミール・アシュケナージ (ピアノ)
 ディヴィッド・ジンマン (指揮)
 ロンドン交響楽団
 
   1965年 録音

協奏曲はデッカの音源。



1905年にウエルテミニヨンの自動ピアノのために記録された
19世紀末から20世紀初めにかけて活躍したピアニスト達によるショパンの演奏を集めたもの。



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いずれも歴史上のピアニスト達。


ダルベール(1864ー1932)はスコットランド生まれ、主にドイツで活動したリストの弟子。

作曲家としても歌劇「低地」の作曲家としても知られる。

バッハのシャコンヌのピアノ編曲者として著名なブゾーニ(1866ー1924)もその頃を代表するヴィルトオーゾ。



ブルームフィールド・ツァイスラー(1863ー1927)はオーストリア生まれでアメリカで活躍した女流ピアニスト。
ピアノロールを数多く残しているらしい。


パデレフスキー(1860ー1941)はポーランドの初代首相としても知られる当時人気のピアニスト。


ライゼナウアー(1863ー1907)もリストの弟子。

この1905年のピアノロールの演奏の2年後に旅先のロシアで酒の飲み過ぎのために頓死。

彼はいわゆる録音は残さず、現存する演奏はピアノロールのみなので貴重。



ピアノロールなので原理的にタッチの正確さは判らないものの、いずれも歴史の彼方の古いスタイル。


ダルベールやブゾーニなどヴィルトオーゾとして知られたピアニストの演奏がこのピアノロール復刻では去勢されたように大人しく聞こえる。



これはこのピアノロール固有の印象かもしれない。


再生速度が指定よりも遅いのではなかろうか。

とにかく生気が無く影が薄いのだ。


同じピアノロールでもコンドンコレクションのものはこれほどの違和感はなかった。




その中では、ファニー・ブルームフィールドのサロン的なワルツに19世紀の残り香のようなものが感じられて良いと思った。


一種面妖な独特の雰囲気のあるライゼナウアーの個性的な演奏にも惹かれる。

ライゼナウアーの演奏はコンドンコレクションでも聴くことができない。



それにしてもここで聞こえるのはあの世の人たちによる幻のような演奏。


B面に裏返しアシュケナージのショパンが聞こえた瞬間、黄泉の国から現実の世界に引き戻されたようでホッとした。


youtubeはピアノロールに記録されたガーシュインの演奏

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