ドラティのグリーグとメンデルスゾーン、ついでにグリューバーのペール・ギュントのことなど
年度変わり、そして新しい年号は「令和」に決まった。
なんとなく平和と昭和が連想されて昭和から平成へ変わった時の唐突感はない。
久しぶりに「万葉集」を紐解いて典拠先を探したりした。
けれども頭に入らない。
この古典の良さがわかるにはもう少し気持ちの落ち着きが欲しいところ。
今月中に送別会があと4つほど。
裏山の崖っぷちにに咲く野生の希少種オオシマザクラが今年も満開となった。
工事車両が迫る中なんとか存続させて欲しいもの。
ドラティがウィーン響を振った演奏を聴いていた。
日本フォノグラムから70年代に出ていたLPで、「ペール・ギュント」と
「真夏の夜の夢」の2つの組曲。
・「ペール・ギュント」第1組曲、第2組曲
・「真夏の夜の夢」序曲*
・「真夏の夜の夢」組曲*
アンタル・ドラティ指揮
ウィーン交響楽団
1958年9月 1957年10月*録音
この時期のドラティはミネアポリス響(現ミネソタ響)、ロンドン響と米マーキュリーへの録音を集中的におこなっていた。
ウィーン響を振った録音は珍しいと思う。
ウィーン響とはこのほかに「田園」がある程度。
グリーグはタワーレコードが独自のCDを出していた。
膨大な量の録音を残したドラティは、どの作曲家の曲でも水準以上の演奏を聴かせてくれたけれども、その一見ドライな解釈であまり人気を得ることがなかったように思う。
その慣習に捕らわれない楽譜の緻密な読みと解析から生まれる演奏は、一見ユニークに思える解釈もスコアを見ながら聴くと「へーぇ!なるほど」と思える演奏が多かった。
ロイヤルフィルとのベートーヴェンの交響曲全集やミネアポリス響との「展覧会の絵」などはその代表的な例。
キエフの大門の終結部のティンパニと大太鼓の扱いは、チェリビダッケとゲルギエフもドラティと同じ解釈で演奏している。
この音盤のイコライザーカーヴをコロンビアカーヴにして聴くと、ウィーン独特のオーボエの美しい音と弦楽器の美しくもしなやかな響き、そして明快なリズムの冴えが立体的に浮かび上がってくる。
そして職人的な手際の良さの中に時々聴かせる内声部の強調。
メンデルスゾーンでは最初の序曲からして軽快に飛ばしている。
結婚行進曲でのホルンの強奏もゴキゲンな出来だ。
ついでに「ペール・ギュント」をウィーンの指揮者、ヨゼフ・レオ・グリューバーの演奏で聴いてみた。
オケはウィーンフォルクスオパー管弦楽団。
米ヴォックス原盤に日本コロンビアの廉価盤LP.
ウィンナワルツなどで味のある演奏を聴かせたグリューバーだが、どちらかといえば二線級の指揮者でこの録音もバジェットプライスの家庭用一般名曲集の類。
ドラティの演奏のあとで聴くと芸格の差は如何ともし難いが、「ソルヴェイクの歌」で、
「あ!」と驚く解釈。
あの有名なメロディをヴィオラソロで纏綿と歌わせていた。
これはなかなかいける。
youtubeはBBCプロムスのペール・ギュント
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