古いレコードの持ち主
晴れのち曇り、夜遅くに雨。
ノートルダム寺院の火災でオルガンはダメージは受けたものの奇跡的に火災を免れたとのこと。
復活への一縷の望みは残された。
古いレコードをや古本を入手した時、レシートや栞など以前の所有者の残したものが挟まっていることがある。
先年MUSIC APPRIECIATION RECORDSから出ていたアルフレッド・ウォーレンステイン指揮
ロスアンジェルスフィルのブラームスの交響曲第2番の中古LPを購入したときのこと。
このシリーズはトーマス・シャーマンによる曲の解説レコードの20吋盤が付録についているおそらくクラシック入門者向けの会員制レコード。
このレコードジャケットの中に最初の所有者らしき人の会員カードが入っていた。
そこにはアメリカ人女性らしき人の名とサンフランシスコの住所が書かれていた。
このLPが発売されたのは1960年頃。
フランソワーズ・サガンの小説『ブラームスはお好き』が発表されたのは1959年のこと。
60年前のサンフランシスコで、静かにブラームスを聴きながらサガンの小説を読む若い女性の姿が目に浮かんできた。
ここに書かれた住所はどのような場所だろう?
会員カードに書かれた住所をgoogle earthで検索してみた。
するとそこは広い道路沿いに普通の住宅が整然と並ぶ場所。
だが書かれた住所のその場所だけピンポイントのように空き地になっていた。
手掛かりがプツンとそこで途絶えてしまったような寂しくも不思議な感覚。
このレコードを聴いていた女性はその後どのような人生を歩み、どこへ行ってしまったのか。
海を渡り、縁あって自分の手元に行き着いたレコードをしみじみ見つめながら60年の歳月を想う。
Yoitubeはブラームスの交響曲第2番のアダージョ、ハイティンクの指揮
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