愛知県立芸大教授陣によるコンサート、そして思いがけない出会い
11月最後の金曜日。
雨は夜半には上がり本日快晴。
放射冷却のため冷えて朝の気温は4℃。
遠く箱根の駒ケ岳は初冠雪。
富士山も麓まで真っ白だ。
早朝胃の痛みで目が覚めた。
連日の暴飲暴食が効いたようだ。
先週の尾張、伊勢方面放浪記音楽編
宿にチェックインを済ませ部屋のベッドに横になるとそのまま寝入ってしまった。
目を覚ますと18時。
コンサートは19時開演。
急いで外に出ると非常に寒かった。
まずい!風邪をひきそうだ。
なんとなく足が重くなったところ正面に「味噌煮込みうどん」の看板が目に入った。
ネットで調べると山本屋本店というに味噌煮込みうどんでは有名な店らしい。
(後から山本総本家という同じような店があることを知った)
開演時間が気になったもののそのまま店に吸い込まれる自分。
ここでは名古屋名物「名古屋コーチン入りの味噌煮込みうどん」をオーダー。
アツアツのうどんにちょっぴり辛めの味噌味スープ。
トッピングの生卵も良い雰囲気だ。
体が温まったところでコンサート会場へ。
かなりマニアックな曲目なので満席はないだろう予想どおりの人の入り。
キャパ400人ほどのホールに半分ほどの客の入り。
ホールはシューボックスタイプで音響もよさそうだ。
曲目は
・弦楽三重奏のためのセレナーデ :ベートーヴェン
・弦楽四重奏曲第2番 ニ短調 :アレンスキー
・メタモルフォーゼン(弦楽七重奏版) :R.シュトラウス
~アンコール
・ファンタジア第4番(弦楽八重奏版) :パーセル
メンバーは愛知県立芸大の客員教授を含む教授陣。
ヴァイオリン:フェデリコ・アゴスティーニ、白石禮子、
ヴィオラ :マティアス・ブッフホルツ、桐山建志、福本泰之
チェロ :クラウス・カンギーサ、花崎薫
コントラバス:渡邉玲雄
アゴスティーニはイ・ムジチのコンマスの経験者、ブッフホルツとカンギーサーはケルン音楽大学の教授。
ヴァイオリンの白石はロン=ティボー、ヴィニエニアフスキなどの国際コンクールの入賞歴があり他のメンバーも新日フィル、大阪フィル首席など経験豊かな教授陣。
お客は大学の生徒さんや関係者が多いのだろう。
ヴァイオリンのケースを持った若者も多数。
皆さんかなり静かに聴いていた。
ベートーヴェンの最初では音が拡散し粗い響きに「あれ?」と思ったところ次第にアンサンブルが緻密になりヴァイオリンも歌い始めた。
さすがに年期を経た名人たち。
アレンスキーはチャイコフスキーの死を悼んで作曲された曲。
弦楽四重奏曲とはいえヴァイオリン、ヴィオラ各1チェロ2という特異な編成だ。
しかも3楽章形式。
ロシア正教の聖歌を意識したわかり易いメロディ満載の曲。
後に作曲者自身により編曲された通常の編成の版も存在するという。
冒頭のチェロ2本の朗々たる響きを聞いて、これはロシア正教の教会で歌われるバスを強調した無伴奏の聖歌の独特の響きを狙った編成であることを理解。
ちょうど先週チャイコフスキーやイッポリトフ・イワーノフらのロシア聖歌集を聴いたばかりで、ここでの強いバスの威力が非常に印象に残っていた。
ここでは深い悲しみに満ちた長大な変奏曲の第2楽章が秀逸。
この楽章はチャイコフスキーが1883年に作曲した歌曲集「子供のための16の歌Op.54 」の第5曲「伝説」の主題による変奏曲。
弦楽合奏にも編曲されているという。
第三楽章フィナーレはベートーヴェンのラズモフスキー第2番に引用されたロシア聖歌が使われている。
ここで休憩。
前半から重量級のプログラム。
多少聞き疲れてロビーに佇んでいるとどこかで見たような顔が前を横切った。
「はて?」
20年ほど前からネット上でいろいろと音楽上のやりとりしているTさんではないか?
そういえば彼は名古屋在住。
アマチュアのヴァイオリン弾きながらそのアクティヴな活躍で広く知られている存在だ。
彼と知り合ったのは古いけれども、今までネットと郵便でのお付き合いでしかなく直接会ったことはなかった。
ただFB仲間であるのでその顔は見知っていた。
声を掛けると彼は一瞬怪訝そうな表情。
正体不明の怪しげな男からいきなり声を掛けられたので無理もない。
私が名乗るといきなり驚愕の表情に変わった。
お互い初対面ながら全く違和感なく会話が進む。
短い休憩時間が終わり、終演後に再び待ち合わせることにして後半のプログラム。
何となく気分がハイになりながら深刻な曲想の「メタモルフォーゼン」しかも弦楽七重奏版を聴く。
きっちり緻密なアンサンブルで教授陣の熱演に酔った。
アンコールは今日の出演者8人全員でパーセルのファンタジア第4番をしっとりと聴かせてくれた。
アンコール後はTさんと待ち合わせ。
名古屋を熟知したTさんにカレーのうまいシガークラブに誘ってくれた。
私は「味噌煮込みうどん」を食べていたので、彼の食べるオムカレーをちょっとお裾分けしていただいた。
さすがに名店を知り尽くしたTさん。
非常に美味だった。
続いてラヴェンダー入りチーズなどをつまみながらアマオケ事情や各種演奏家、音源の話から共通の知人の話など。
そしてイコライザーカーヴの件まで。
いろいろと話が盛り上がり結局二時間を越えてしまった。
さすがに二人とも明日は仕事があるので名残を惜しみながらのお別れ。
土地勘のない自分を宿まで送ってくれました。
ありがとうございました。
楽しかった。
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