モントゥーの白鳥の湖
今朝の狩野川からの穏やかな晩秋の富士。
抜けるような蒼い空の土曜日。
これといって何もない平板な一日だった。
けれどもこのような平穏な日々の連続が大事なのだろう。
「日本を造った男たち―財界創始者列伝」(竹内均著 同文書院)をぱらぱらと拾い読み。
26人の旧財閥系企業の創業者や中興の祖たちを描いたもの。
発行は1993年10月のちょうどバブル崩壊期。
帯の文言の「経済大国ニッポン」には時代を感じさせるとはいえ、内容にはその片鱗すら感じられない。
地球物理科学者らしく客観的な事実のみを詳細なデータを基に描いているだけに、今読んでも内容の古さはない。
発行時点のデータながら旧財閥系企業などの12グループの企業展開図から始まる内容も興味深い。
今日はフランスの大指揮者ピエール・モントゥーの「白鳥の湖」を聴いていた。
1962年のフィリップスへの一連の録音でモントゥー最晩年(87歳!)の記録。
バレエ音楽『白鳥の湖』 op.20(抜粋)
ピエール・モントゥー(指揮)
ロンドン交響楽団
録音:1962年6月28,29日
ロンドン、ウォルサムストウ・アセンブリー・ホール
この録音の手持ちはいろいろあって、古くは日本フォノグラムが70年代に出した黄色の統一ジャケットのグロリアシリーズの廉価盤でこれが最初に聴いた盤。
その後モントゥーフィリップス録音集成のセットもの外盤LP。
今確かめていないけれど、こちらの「白鳥の湖」には初出時に含まれてなかった曲も入っていたと思う。
そしてCD.
今回聞いたのはそれとは別に日本フォノグラムが、オランダの輸入メタル原盤を用いてオーディオファイルシリーズとして出した国内盤LP。
この演奏を今聴く気になったのは、ネット上でこの録音の3ヶ月後に同じロンドン響でDECCAが録音したジョージ・セル指揮のチャイコフスキーの交響曲第4番の録音でセルがオケの出来が気に入らず、セルの生前にはお蔵入りとなったということが話題になったことによる。
ニュースソースは「レコードはまっすぐに」(ジョン カルショー 著, 山崎 浩太郎 訳 学習研究社 )
この本は非常に面白くて、同じ著者と訳者による「ニーベルングの指環 リング・リザウンディング」と並んで愛読書。
カルショーによれば「そのころ、ロンドン交響楽団は世代の交代期にあった。
そのため秋にセルが戻って来たときには、最高の状態ではなかった。」
その状態のロンドン響を、はたして名伯楽モントゥーは同じチャイコフスキーどう捌いているのか・・・・
聴いてみると演奏はゆったり余裕の巨匠の至芸。
セルのチャイコフスキーでは、研ぎ澄まされたピリピリとした緊張感が前面に出ていた。
モントゥーでは懐深い暖かさが感じられるのは、曲の性格もあるけれども人間性の違いなのだろうか。
このような演奏を聴いていると細かな箇所を気にするのは些細なことに思えてくる。
オーケストラがバランス良く鳴り切っていて、ヴォリュームを上げても少しも煩く感じられないのはさすがだ。
EQカーヴは、手持ちのイコライザーでぴったりするのが見つからずRIAAで聴いた。
Youtubeはモントゥー指揮ロンドン響の1964年大阪ライヴ
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