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2020年3月に作成された記事

2020年3月31日 (火)

カンテルリのドビュッシーの「海」

曇り時々雨。
年度の最終日。
オフィスでは去る人来る人の出入りが多く、落ち着かぬ1日。
一年前の 自分のことを 思うと遥か過去の出来事のよう。

静岡県内でも ウイルスの感染者 が増え始めた 。

 

今日はイタリアの指揮者グイド・カンテルリのドビュッシーを聴く 。

イタリア、ファヴリのLPでピアノロールによるドビュッシーの自作自演のピアノ曲数 曲とのカップリング。
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・交響詩「海」

 グイド・カンテルリ 指揮
 ニューヨークフィルハーモニック
 
 録音 1954年3月7日
    カーネギー・ホールでのライヴ

36歳の若さで飛行機事故で逝ってしまったカンテルリは、長命すればカラヤンとバーンスタインに並ぶ大指揮者になったと思う。

 

カンテルリの 「海 」は、同年のフィルハーモニア管とのスタジオ録音 のほかにNBC 交響楽団 とトリノの放送交響楽団とのライヴがあり、
ニューヨークフィルとのライヴ録音 はニューヨークフィルの自主制作録音を集めたCDセットにも含まれていた演奏で、LPでは珍しいと 思う。

 

このファヴリ のシリーズは一般家庭向きの名曲シリーズで、大部分はステレオ録音の 有名無名の 中クラスの演奏家を起用している 。

その 中でモノラル録音の古いライヴのこの盤は異色の存在だ。

 

聞いてみると 重層的なきらびやかで力のあるオケの 響きと強靭なカンタービレ。

テンポを自由に 動かしながら熱く歌い上げていく大変な名演だった。

 

悪魔的な笑みを浮かべながらオケを思うがままにドライヴしていくカンテルリの表情が想像 できるような凄演だ。

 

ファヴリであえてこの演奏を選んだ理由も納得 。

Youtubeはカンテルリのブラームス、交響曲第1番

 

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2020年3月30日 (月)

ルモーテルのフランス音楽集

3月も残り少なくなってきた。
例年桜の開花と春へ向かっての新年度への高揚感が感じられる季節だけれど、今年は違う。

昼間に志村けん死去の衝撃的なニュースが入ってきた。

新型コロナウイルスに感染して闘病中だとのニュースは入っていたけれど、そのうち退院して再び元気な姿でお茶の間に笑いを届けてくれると思っていた。

多くの世代の人たちから慕われていた国民的なエンターティナー。
この8月には沼津での公演も予定されていた。

このような時期だからこそもっと活躍して人々に笑いを届けて欲しかった。
心よりご冥福をお祈りいたします。

 

昨日は朝から冷たい雨の日曜日。

東京はこの時期としては32年ぶりの雪だった。

東京にいる娘は、会社はしばらく自宅待機となり今日は一日部屋にいたとのこと。
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先月結婚した娘は一時帰省。
内浦漁協直営店「いけすや」で一緒に昼食。

内浦は日本でも有数の鰺の養殖地。

「いけすや」は天然ものを超える養殖鰺の使用に特化した店だ。

 

いつも一時間以上待つ人気店だけれども、こんな天気。

そしてコロナウイルスの影響ですぐに席に付くことができた。

それでも店内はほぼ満席。

活鰺丼と鰺フライをオーダー。
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駐車場のナンバーは神奈川、東京圏の車ばかり。

なんとなく気になって窓際の風通しの良い席に座り、風が強かったけれど窓をちょっと開けて食事。

 

待っている間に馴染みの美人店長に話しかけられた。

「今日は空いているけれど先週の週末は混みました」・・・とのこと。

 

今日はベルギーの指揮者エドゥアルド・ヴァン・ルモーテル(1926-77)のフランス音楽集を聴く。
VOX系の音源を集めていたスイスTUXEDOから出ていたCD

ルモーテルはかつてバジェットプライスの CDがたくさんでていた


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・ラ・ヴァルス
・ 亡き王女のためのパヴァーヌ
・交響詩「海」
・交響詩「魔法使いの弟子」
・狂詩曲「スペイン 」

 エドゥアルド・ヴァン・ルモーテル
 ウィーン交響楽団

 録音  1962年

ルモーテルはベルギーの放送交響楽団やセントルイス交響楽団の音楽監督を歴任。

セントルイス時代は楽団員を多量解雇。

何があったのかはわからないが、以後はモンテカルロのオケの音楽顧問のほかはフリーランスに近い活動を続けて比較的若くに亡くなってしまった 。

セントルイス響とのコロンビアへのプロコフィエフや、モンテカルロ国立歌劇場管弦楽団を振ったドビュッシーやカバレフスキー、いくつかの協奏曲の伴奏録音 などのフィリップスへの演奏は比較的良かったと思う。

この録音の時期の 1962年には来日して、日本フィルを指揮してドビュッシーの 「海」やペトルーシュカなどを振っている。

 

ルモーテルの演奏にはメロウで明るい独特の音色感があって、特にフランス音楽には相性が良かった。

この録音も 個性的なアコーギクもあるけれども素朴なローカル色が感じられるよい雰囲気の演奏だ。

特にラヴェルとシャブリエが良い。

 

ただし録音は枯れた響きであまりよくない。

Youtubeはルモーテルのシャブリエ

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2020年3月28日 (土)

幕末狂乱~コレラがやって来た!

新型コロナウイルスの脅威が刻一刻と迫っています。

 

疫病退散についてこの沼津に伝わる歴史的事実を紹介します。

 

安政5年5月ジャワを経て長崎に上陸したコレラは各地で猛威をふるいながら東上、7月には江戸に到達しました。
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沼津市下香貫楊原にある吉田神社は、安政年間のコレラ流行時に疫病退散を祈念して京都の吉田神社を勧請した神社です。

 

当時の勧請の詳細を書き記した記録が残されていて、本にもなっています。

 

「幕末狂乱~コレラがやって来た!」(高橋敏著 朝日選書)

 

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この本は異国船の到来、安政の大地震、大津波。


社会不安が日本全体を覆う中、各地に残る古記録を元に庶民が立ち向かう姿を紹介したものです。

 

コレラが刻一刻と西から沼津に迫る中、必死に対抗策を模索する下香貫の人々。

 

やがて疫病退散に御利益があるという京都の吉田神社の勧請しようということになりました。


日々の暮らしで精一杯の中で、村内からかき集めた5両を懐中に村内から選ばれた2人が京都に向かいます。

ところが、苦労してたどり着いた京都の吉田神社側は、足元を見透かして法外な祈祷料を要求。
この人達が祈祷料7両二分をいかにして工面したかの記述はありません。

 

やっとの思いで祈祷されたお札の入った小箱を手に入れた2人は、故郷沼津に向かって東海道を飛ぶが如く下っていきます。
途中、心配して駿府(静岡市)まで迎えに来ていた村人の代表二人に会いました。

 

沼津に向かう東海道筋では、吉田神社の祈祷の小箱が通過することを聞き小箱に群がる人々の姿。

 

この本には緊迫した当時の様子がドラマティックに書かれています。

 

京までの路銀は全て自己負担だったといいます。

 

皆のためになるならば、自分を犠牲にしてまで全力を尽くそうとする、当時の人たちの純朴にして崇高な精神には心を打たれます。

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2020年3月26日 (木)

本日の練習、金管分奏中止。そして・・・・

本日も快晴。
コロナウイルスの件がなければ非常に良い日よりなのだが。

 

仕事を終えて駐車場へ向かう途中、職場の先輩にして高校吹奏楽部の先輩でもあるEさんに会った。Eさんはもうリタイアしてかなり経つ。
しばしお互いの近況報告で立ち話。

 

しばらく歩いていると今度は職場のS先輩に会った。
Sさんは自分が新入社員の時に同じセクションで働いた先輩。
あの時には非常にお世話になった。

 

Sさんはこの3月で再雇用が終了。
これからは特に何もせず自由に暮らすという。
ちょうど自分の勤務地のオフィスに近い場所に新築中だという。
「時々遊びに来てください。」と言って別れた。

 

帰りに自宅近くのスーパーに寄り駐車場に向かうと、中学高校の吹奏楽部の後輩S君に遭遇。

 

今日はいろいろな人に会う日だ。

 

自分も懇意にしている同じく高校吹奏楽部後輩にして彼と同級のN君とU君が今日が誕生日なので、ここで待ち合わせて家飲みで誕生会をするという。

 

そのうちN君とU君も合流、しばし4人で立ち話。
この3人に前沼津市長だった故O君も加えた4人が仲良しグループだった。
彼らはここで一斉に退職。

 

飲み会に誘われたけれどここは断りそのまま帰宅。

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大は人類がかつて経験したことがないほどの大事件になりつつある。
今生きている人のほとんど全てが、この種の危機を経験したことが無いだけに深刻だ。

 

 

本日予定の沼響の練習は直前になって中止。

 

練習は先週一ヶ月ぶりに再開したばかり。

 

今回は元東京佼成ウィンドオーケストラホルン奏者の並木博美先生の指導での金管分奏だっただけにがっくり。
並木さんも高校吹奏楽部の先輩。

 

近隣のアマオケ団体仲間からは次々と演奏会中止の連絡が入ってきている。

 

夜遅くになって沼響の定期演奏会も中止と決定。

 

沼響創立以来、台風直撃エトセトラ、開催が危ぶまれるほどの困難はいくつかあったけれども演奏会中止は初めてのこと。

 

東京オリンピックが史上初の延期となるほどの今の状態。
予想はしていたものの非常に残念だ。

 

ここはしばらく堪え忍ぶしかないのだろう。

 

明日帰省する予定の東京に住む娘からは「もし感染していると大変だから帰るの止める」との連絡が入ってきた。

 

年寄りも同居する我が家への感染を危惧してのことだろう。

 

この状態がいつまで続くのか、これからの世の中の仕組みが大きく変わる予感。

 

観光立国を目指していた日本の経済は壊滅的な打撃を受け、日本の形、個人のライフスタイルも大きく変わっていくのだろう。

 

令和の世は激動の時代となりそうだ。

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2020年3月25日 (水)

ヘルムート・ミュラー=ブリュールのハイドン

本日快晴。

新型コロナウイルスの感染拡大は止まることを知らず。

世界の総人口の3分の一以上が外出制限。

自由に行動することも出来ないという異常事態。

流通も滞り、マスク以外でも品薄になるものが増えてきた。

歴史に残る第二次世界大戦以後最大の世界的な危機。

 

これを契機に世界がひとつになり争いがなくなれば良いのだが。

 

そんな中でも季節は確実に移りゆく。

昨日出かけようとしたら頭上からチチチと小鳥の声が聞こえた。

見上げたらツバメが昨年作った巢の横から私を見つめている。


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世界中が大変な中、なんとなく励まされているようで嬉しくなった。
思わず「お帰り」と声をかけました。

 

名エンジニア、アンドレ・シャルランの録音でハイドン。


ヘルマン・アーベントロートの弟子、ヘルムート・ミュラー=ブリュールの演奏。
手持ちはシャルランの外盤LP.

 

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・交響曲第53番 ニ長調 Hob.I-53 「帝国」
・交響曲第63番 ハ長調Hob.I-63 「ラ・ロクスラーヌ」

 ヘルムート・ミュラー=ブリュール指揮
 ケルン室内管弦楽団

このオケの初代音楽監督はヘルマン・アーベントロート。

さほど馴染みのない2曲だけれど第63番など管楽器が大活躍の楽しい曲だ。

オケの木管楽器が優秀で、63番での妙技は非常に楽しめた。

ワンポイントマイク録音で有名なシャルラン録音だが、今の耳ではさほど優秀だとは思わない。

 

youtubeはハイドンの交響曲第63番、ドラティの指揮

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2020年3月23日 (月)

本日の練習、沼響一ヶ月ぶりの練習再開

晴れ、再び気温は下がり午後から雨。
夕方屋根を叩く大きな音が聞こえてきたので外に出ると雹だった。

本日休み。

午後から家のリフォームのため設計士との打ち合わせ。

このコロナ騒動で資材の不足が目立ってきたという。
工事はもう少し様子を見た方が良いかもしれない。

 

マスク不足は解消の目処が立たず。
花粉症予防のために事前に買い込んでいたものの夏以降まではとても足りない。
家内は洗える手作りのマスクを作り始めた。

 

昨日は午後から役員をしているお寺の行事に出席。

このご時世なので広く知らせることもせず出席者は20人ほど。
本堂の窓を開け放って小一時間ほど。

 

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昨晩はオケの練習だった。

場所は沼津市民文化センター小ホール。


指揮はトレーナーの太田巡先生で曲はベートーヴェンとチャイコフスキーの交響曲第1番、そしてボロディンの「中央アジアの草原にて」

実に沼響一ヶ月ぶりの練習再開。

 

久しぶりのオケの練習で皆嬉々として演奏しているけれども一ヶ月のブランクは大きくアンサンブルはかなり荒れていた。

 

休憩後に今後のことについて意見交換する場が設けられた。

かなりの意見百出。

 

自分はこのまま練習を続け、GWあたりで最終結論を出せば良いと思っていたのだが、皆の意見はさにあらず。

皆意外と悲観的だった。

 

練習が思う通りに進まぬ中、これから感染の広がりが予見される中。

果たして披露に値するだけの水準に達することができるのか・・・・

感染に対して十分な対策ができるのか、そしてそのことに費やすコストは?

 

結論は持ち越されたけれども前途は厳しい。


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休憩後はチャイコフスキーの交響曲第1番「冬の日の幻想」

 

皆のテンションは極端に下がり自分も吹いていてスカスカの響き。

帰宅したらテレビでN響の同曲の演奏が放送されていた。

沼響のチャイコフスキーがそのまま「冬の日の幻想・・」にならなければ良いのだが。

 

Youtubeは「冬の日の幻想」第2楽章のホルン、フェドセーエフの指揮

 

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2020年3月21日 (土)

Arturo Danesinのフルート、「忠実な羊飼い」

お彼岸の三連休の土曜日
今日も晴れ、夕方から強風。
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家の近くの道路がやっと開通。

さほど長い道路ではないけれど、工事にかれこれ3年以上かかっていた。

 

散歩に出かける前のポコ。


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今日は墓参りのほかは外出することもなく、家でホルンをさらったりしていた。

 

気が向いたのでピアノに向かってみる。

指ならしにドビュッシーの「アラベスク」の最初の部分を弾いててみて愕然。

指が全然回らない。鍵盤も重い。

 

筋力がこれほど落ちているとは思わなかった。

 

ピアノは自己満足の域だけれど、頭の運動と指の刺激のつもりで時々弾くことにしよう。

 

 

ヴィヴァルディのフルートソナタを聴く。

イタリアのフルーティスト,Arturo Danesinの演奏でイタリアCetraのLP.

これも昨年ハードオフのジャンクコーナで購ったもの。

 

 

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・フルートソナタ集「忠実な羊飼い」 作品13

  Arturo Danesin (フルート)
  Maria Consolata Quaglino(チェンバロ)

 

「忠実な羊飼い」は6曲からなるフルートのためのソナタ集。

この中では第2番がかつてNHKFMの人気番組「バロック音楽の楽しみ」テーマ音楽だった。

 

だが今では6曲ともフランスの作曲家ニコラ・シェドヴィル(1705-1782)の作であることが確定している。

 

Danesinの演奏は初めて聞く。

トリノの音楽院で教鞭をとりイタリア放送局オケの首席を1948年から勤めていた。

教則本も出しているらしい。

 

これは大変な名手だった。

 

しっとり美しい音色に確かなテクニック。

聴いていて安心して深い安らぎを感じさせる演奏。

EQカーヴはNAB。

Youtubeは「忠実な羊飼い」第2番

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2020年3月20日 (金)

プラッソンのサン・サーンス、交響曲第3番

本日天気晴朗なれども波高し。
強風の中、狩野川の川面にはカワウが群れて魚を漁っていた。
白く見えるのは白鷺の姿。

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コロナウイルスの感染は徐々に拡大。
今はかろうじて抑え込んでいるものの、この状態でいつまで続くのだろうか。
イタリアでは医療崩壊、勉学途中の医学生まで駆り出される事態に。

 

当たり前の日常生活がいかに貴重だったか。

 

沼響は練習ができず2月から休眠状態。
5月の定演は予定通りできるのだろうか。

 

 

昨年の今頃はサン・サーンスの交響曲第3番を練習していた。

 

ふと聴きたくなって、プラッソンの演奏を聴く。

 

EMI録音の国内盤CD。

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・交響曲第3番ハ短調 op.78『オルガン付き』
・糸杉と月桂樹 op.156~オルガンと管弦楽のための

 

 ミシェル・プラッソン(指揮)
 トゥールーズ・キャピトール管弦楽団
マティアス・エザンベール(オルガン)
 録音:1995年7月
  トゥールーズ、La Basilique de Notre-Dame de la Daurade

 

 

丁寧に音を積み上げていく確かな技と、自然な呼吸感の中に必要十分な音が鳴り響く雄大な演奏。

 

第一楽章第一部での朗々と響くホルンの響きもゴキゲンだ。
第二楽章第一部のコラール風に大きくカーヴを描きながら昇り詰めていく部分を聴いているうちに鳥肌が立ってきた。

 

終盤でも軽薄なお祭り騒ぎにならずに、オケの手綱を引き締めて大きなクライマックスを築い上げていく名演。

 

カップリングは同じくオルガンが重要な役割を果たす交響曲第3番の姉妹曲のような
「糸杉と月桂樹」

 

Youtubeはプラッソン指揮のデュリュフレのレクイエム

 

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2020年3月18日 (水)

ネヴィル・マリナーのベートーヴェン

昨日の氷点下から一転、今日は4月中旬の天気。

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音楽部屋においてある対流式のアラジンのストーヴ。

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昨日なかなか部屋が暖まらないのでストーブファンを使ってみた。
ストーヴの天板の熱で回る優れもの。

 

これがなかなか良かった。
もう少し早く買えば良かった。

 

今日はネヴィル・マリナーのベートーヴェンを聴いていた。
フィリップス録音の国内盤LPで交響曲第1番と第2番。

 

1970年9月の録音で「交響曲の誕生シリーズ」の1枚。

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このシリーズはヨハン・クリスチャン・バッハのシンフォニア、ハイドンの交響曲52,53番、そしてモーツァルトは交響曲第35番、40番に続くベートーヴェン編。

ベートーヴェンは後に足掛け20年ほどをかけて全集に発展している。

原典に返ってベートーヴェンのスコアを忠実に再現した演奏。

 

この2曲は自筆譜が存在しないためできるだけオリジナルに近い形の演奏を目指したらしい。

1970年と言えば、古楽器系の録音といえばコレギウムアウレウムあたりの録音が出始めた頃のこと。

 

発売当時は全く話題にならなかったけれど、今聞いてみるとブライトコップ旧版を用いた巨匠系の演奏と、後の古楽器隆盛期に雨後の筍のごとく乱立した古楽系の演奏とちょうど中間の音。

ヴィヴラートはかけているとはいえ弦楽器の透明で見通しの良いクリアな響き、
各楽器の無色透明な響きにバランスも良く仕上げた名演。

 

ところどころのブラスの強調が実に新鮮に響く。
この当時としては画期的な演奏だと思う。

 

Youtubeはマリナーの指揮する「魔笛」序曲

 

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2020年3月17日 (火)

ロジェ・ワーグナーのヴィヴァルディ

晴れ時々曇り。今日は冷えて明け方の気温はー0度。

新型コロナウイルスの蔓延はヨーロッパ中心に大きく広がり今や歴史的な大事件。
それぞれの国々が抱えていた潜在的な問題も一気に表面化。

 

消費生活も大きく様変わり。

意外なものが品薄になったり爆発的に売れたりと、
これを契機に世の中の仕組みやライフスタイルが変化していく予感。

 

今日は組織の人事異動内示。

自分にはさほど関係はなくなったけれど着実に進む世代交代。

なんとなく落ち着かぬ職場内。

 

合唱指揮者ロジェ・ワーグナーのヴィヴァルディ。

グローリアを聴く。

 

EMI原盤の国内盤LP。

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 ロジェ・ワーグナー(指揮)
 パリ音楽院管弦楽団
 ロジェ・ワーグナー合唱団
 A.エスポージト, S.ミシェル(ソプラノ)
 J.コラール(アルト)
 アンリエット・ピゥイグ・ロジェ(オルガン)

 

ロジェ・ワーグナーはあまり興味を惹かない演奏家。

どちらかといえばよくも悪くもアメリカ風楽天的の典型な印象。

 

 

ロジェ・ワーグナー合唱団は一度沼津に来たことがあり、このときは娘さんが(かなり年輩 )が率いていた 。

ほとんど印象に残っていない。

少人数の合唱団で聞いていて退屈だったような気がする 。

 

 

この演奏は、オルガンのアンリエット・ピゥイグ・ロジェ、伴奏オケがパリ音楽院管弦楽団 なのが興味深い。

ロジェ・ワーグナーの経歴を見るとフランス生まれで父は教会のオルガン奏者。

 

彼の音楽の根底に教会音楽への素養があったのだろう。

冒頭から煌びやかで華やかなオケの音が散乱。

 

演奏はひたすら楽天的 。

ヴィヴァルディならばこれもありか・・・

と思う 。

ピウィグ=ロジェのオルガンが次元の異なる素晴らしさ 。

Youtubeはヴィヴァルディの「グローリア」、ピノックの指揮

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2020年3月15日 (日)

ベーレントのアランフェス協奏曲

曇りのち晴れ。
昨日から気温が下がり箱根は雪が降った。

再び冬に後戻り。

夕方から強風。

 

今日は特に何事もない日曜日。

買い物に行きたいという母を連れて隣町清水町の市場系スーパーに行くとバーゲン中でかなりの混雑。

年寄り連れでも有り、余計なものも買い込んで買い物に小一時間。
消耗して帰宅。

 

昨晩は寒かったので家内と市内の日帰り温泉へ行っていた。

ウイルス騒ぎでガラガラと思いきや意外と混んでいて、偶然ご近所隣のご夫婦に遭遇。

 

帰りに地元ハンバーグの名店「さわやか」に寄ると夜9時近くなのに一時間待ち。
簡単に諦めて回る鮨屋へ。

 

新型コロナウイルスの感染はパンデミックとなり海外でも猖獗を極めている。

東京オリンピックは予定通りの開催が怪しくなってきた。

この状態で強行開催してもそもそも海外から客が来るはずもなく、選手を派遣したくてもできない国も出るかもしれない。

 

今日はロドリーゴのアランフェス協奏曲を聴いた。

ドイツのギタリスト、ベーレントによるもの。
手持ちはヘリオドールレーベルの国内盤LP.

 

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・アランフェス協奏曲 (ホアキン・ロドリーゴ)
・ギター協奏曲第1番 (マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコ)

 ジークフリート・ベーレンス(ギター)
 ラインハルド・ペータース(指揮)
 ベルリンフィルハーモニー管弦楽団

録音:1966年5月9日―13日 ベルリン、イエス・キリスト教会

 

速いテンポできっちり端正。

初演者のデ・ラ・マーサのような鄙びてスペイン的なローカル色は感じられず、きっちり折り目正しく演奏している。

それでいて歌わせるべきことは歌う、人によっては物足りなさを感じる場合もありそうだが自分としてはこの曲でこのタイプの演奏が好み。

 

この曲のベルリンフィルの伴奏が珍しく、アランフェス協奏曲のスタジオ録音としてはおそらく唯一のものではなかろうか。

この伴奏が大層立派で、知る限りこの曲の伴奏としてはベストの出来。

 

カップリングされたテデスコの曲は、ライナーノートに作曲者自身のベーレントに対する賛辞が載っている。

演奏はともかく曲がつまらない。

EQカーヴはAESで聴いた。

Youtubeはロドリーゴの「ある貴紳のための幻想曲」

 

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2020年3月13日 (金)

フレモーの展覧会の絵

晴れて日ごとに春を実感する穏やかな一日。

世界的な混乱を他所に自然界はいつもと変わらぬ時間が、ゆっくりとそして確実に流れている。
あたかも人間界を天から見下ろしあざ笑うかのよう。

 

昨晩、床に着く前に何げなく外を見上げると、煌々と光る満月の下にスーッと飛行機雲のような白く太い雲が北西の方向に長く一直線に流れていた。

その姿は巨大な妖怪「一反もめん」のように見えた。

 

今まで見たこともない雲。

こんな時間に飛行機が飛ぶはずもなく、しばらし眺めていた。


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しばらくして写真に収めるためにタブレットを取りにいき戻ると、雲は二つにわかれていた。

残念・・・・

 

雲を見た一時間後に石川県で大きな地震。

そういえば雲が流れていた方向には石川県が・・・・

あれはいわゆる地震雲か?

 

ラヴェル尽くしでさらに「展覧会の絵」

フランスの指揮者ルイ・フレモーの「展覧会の絵」を聴いていた。


手持ちはエラート原盤のRVC盤国内LP.


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・組曲「展覧会の絵」

 ルイ・フレモー(指揮)
 モンテカルロ歌劇場管弦楽団

フレモーはモンテカルロ歌劇場の音楽監督だった1956年から1965年までの間にかなり多くの録音を残していた。

 

このオケはいわゆるスーパーオケではないけれども、青白い炎が感じられる独特の音色が個性的だった。
この種の音は自分としては嫌いではない。

この演奏も沼響で「展覧会の絵」を演奏したときに聴き比べをしている。

 

今回EQカーヴを切り替えてカーヴはNAB。

男性的でカチリと剛直な演奏の多いフレモー。

もこの演奏はオケの明るい音が印象的。

同じ録音時期の名盤、フォーレのレクイエムの録音にも似た、淡い雰囲気も漂う「展覧会の絵」。

EQカーヴを切り替えても演奏の印象はさほど変化がなかった。

 

Youtubeはフレモーのフォーレ、レクイエム

 

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2020年3月12日 (木)

ブーレーズのラヴェル、歌曲集

3月も半ばよく晴れた一日。


通勤途中の狩野川河川敷から見える富士山は眩しい姿。

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新型コロナウイルス、WHOは今更ながらのパンデミック宣言。

センバツ高校野球はとうとう中止となってしまった。

高校生の他の種目の大会が軒並み中止となっていく中、センバツも中止になるだろうとの声はいくつか聞いていた。

春夏初出場だった沼津市の加藤学園高校野球部、夏の甲子園出場を目指し頑張って欲しいもの。

 

ブーレーズ指揮BBC交響楽団のメンバーのラヴェルの歌曲集を聴いていた。

様々な歌手によるラヴェルのオケ伴の歌曲を集めたもの。

手持ちはCBSソニーの国内盤LP.

 

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1:歌曲集「シェエラザード」
2:ステファン・マラルメの3つの詩
3:マダガスカル島の土人の歌
4:ドゥルシネア姫の思いを寄せるドン・キホーテ
5:5つのギリシャ民謡[第2~4曲:ロザンタール編]

 

ヘザー・ハーパー(ソプラノ)、デイヴィッド・プット(フルート)(1)
ジル・ゴメス(ソプラノ)(2)
ジェシー・ノーマン(ソプラノ)(3)
ホセ・ファン・ダム(バリトン)(4、5)

 

ピエール・ブーレーズ(指揮)
BBC交響楽団(1、4、5)、
BBC交響楽団のメンバー(2)、
アンサンブル・アンテルコンタンポラン(3)

 

 録音 1972年11月13日&14日、ロンドン、EMIスタジオ(1)、
    1977年4月15日、

          ロンドン、ヘンリー・ウッド・ホール(2)、
    1972年2月4日、パリ、IRCAM(3)
    1977年12月9日、

          ロンドン、オール・セインツ教会(4,5)

 

歌手は違えどブーレーズの緻密にして隙のない音楽造り。
テンポといい各楽器の鳴り具合のバランスといいまさに完璧だ。

それでいて歌手たちの個性を生かしているのが見事。

 

この中ではジェシー・ノーマンの存在感が他を圧倒していた。

 

Youtubeはトロヤノスの歌うラヴェル、「シェエラザード」から

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2020年3月11日 (水)

ピアノ調律師瀬川さんの墓参り、そしてリヒテルの平均律

今日は3.11、晴天、明け方に強い風が吹いていた。

 

昨日は昨年暮れに逝去されたピアノ調律師瀬川宏さんのお墓参りに行っていた。

墓所は三島市河原ケ谷にある願成寺。
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瀬川さんはリヒテルやミケランジェリ、フランソワら大ピアニストたちの調律を手掛けた日本を代表するピアノ調律師

 

三島駅に着くとポツリポツリと雨。

バッグから持参した折りたたみ傘を取り出し、開こうとしたらスポッと柄の部分が外れてしまった。

させないことはないけれど、30センチほどの短い柄に小さな傘は見た目に滑稽。
やむなく近くのコンビニで傘を購入680円。

店から出ると雨は止んでいた。

 

待ち合わせ時間には多少の余裕があったので近くの図書館へ。

館内は新型コロナウイルスの影響で閲覧机の利用はダメ。
やむなくしばし書架の前で立ち読み。

 

待ち合わせ場所の三島大社への途中の池には微動だにしないアオサギの姿が。


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大社の鳥居でボエームの会のIさんと待ち合わせて願成寺まで歩いて行く。

 

ここは源頼朝が宿泊し連歌師宗祇が古今伝授を受けた、古城跡に建つ古刹。


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お墓参りを済ませた直後、待っていたかのように雨が降ってきた。


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かなりの本降り。

 

墓参りの後大社の境内通って「麦」で仲間と昼食。

 

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ここもコロナウイルスの影響で客が他にはいない。


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とろろ汁とそばの定食、とろろと海苔のはさみ揚げ、どぜうと牛蒡の揚げ物をつまみにそば湯割り焼酎などを飲んでいた。


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くー! 昼間の酒はよく回るな。

店から出ると外は激しい雨。

 

ちょうど駅前のギャラリーでメンバーの作品展示がありこちらを見てから帰宅。


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今日は瀬川さんが調律で関わったリヒテルの演奏を聴く。

 

リヒテルは実演を2度聴くことができた。

最初は1981年3月の函館。

 

ベートーヴェンの4つのソナタ、6,7、16,17番の4曲。

もう40年近く前のことなのにリヒテルが舞台に登場した姿と、アンコールはショパンの「雨だれ」だったこともはっきり覚えている。

チケット1万円は学生だった自分にとって破格の金額だった。

 

2度目はリヒテル最晩年の1994年。

場所は瀬川さんの眠る三島市。

 

今にして思えば、その頃コンサート回数も減り大都市でしか演奏しなかったリヒテルが小さな一地方都市で演奏会を開いたのは、当地出身の瀬川さんの存在が大きかったのだと思う。

 

そしてこの時の調律は当然瀬川さんだったに違いない。

 

曲はグリーグの「抒情小曲集」のみという特異なプログラム。

函館の時と違って、照明を落とした舞台に灯り照らされたピアノ上の楽譜。

 

眼鏡をかけたリヒテルが淡々とグリーグのシンプルでいてクリスタルのような純粋な世界を描き出していた。

アンコールはラヴェルの「スカルボ」だったと思う。

 

 

今日はリヒテルと瀬川さんを偲びながらバッハを聴く。

曲は平均率クラヴィア曲集第1巻。


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1970年7月21-31日、ザルツブルク、クレスハイム宮およびエリーザベト教会での録音。

手持ちは国内盤LPとCDがあるけれども、今日は新世界レコードから出ていた3枚組LP。

 

残響豊かな響き、穏やかで温かくそして深い音楽が静かに静かに照明を落とした部屋に広がっていく。

 

youtubeはリヒテルの弾く平均律。第1巻第一番。全ての音楽はここから始まる。

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2020年3月 8日 (日)

カラヤン、フィルハーモニアとの「展覧会の絵」

朝から雨の日曜日。

今日は降りしきる雨の中、先週結婚式を挙げた娘夫婦を連れて20件ほどご近所の挨拶回り。

新型コロナウイルス騒ぎの上にこの雨、回る予定の家は全てご在宅だった。

 

ご近所とはいえ古くからの親しい家もあれば最近引っ越してきた家などさまざま。

最近の方々はゴミ出しの時などに顔を合わせるくらい。
若いお母さんたちはほとんど初対面だった。

 

回っているうちに自分の挨拶のようになってきた。

 

皆で遅い昼食の後に家内の叔父の家経由で家内の実家へ。


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地酒を持参した娘達に酒好きの岳父は大喜び。

夕食は祖父母を連れて近くの鰻料理店「うな繁」へ。

 

ここは鰻激戦区の沼津三島地域で、比較的新興の店ながら行列のできる人気店。

ところが行ってみると大きな店内に客はまばらだった。

混んでいる時は一時間以上待ちは珍しくないのに、こんなのは初めて。

 

あいにくの雨模様とはいえコロナウイルスの影響は深刻だ。


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今日もラヴェル関連でラヴェル編の組曲「展覧会の絵」。

カラヤン指揮 フィルハーモニア管の演奏でこれは70年代初めに東芝EMIが出した廉価版LP。

自分が買った初めての「展覧会の絵」のレコードだった。


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・組曲「展覧会の絵」
・交響詩「ローマの松」*

 ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)
 フィルハーモニア管弦楽団

 

 録音 1955年 10月11日
    1958年1月9日* ロンドンキングズウェイホール 

この「展覧会の絵」は20年ほど前に沼響が演奏したときに聴き比べている。

 

今回EQカーヴをcolumbiaカーヴで聴くと馴染みの音が一新!
演奏の印象も一変した。

極めて鮮明でオケの楽器の配置も良くわかる。

よく歌い直截にして簡潔なラヴェル。

フィルハーモニア管もよく鳴りきっていて、ストレートにしてドラマテックな演奏が後のベルリンフィルとの演奏よりも爽やかな印象を残す。

ただ「ヴィドロ」のテナーチューバの音程が調子外れなところは毎回聴いて気になるところ。

 

そしてカプリングの「ローマの松」。

こちらもEQカーヴが合うとタムタム、シンバルの鳴りっぷりが極めて鮮明。

かつての感想も一変した。

 

 

Youtubeはマルケヴィッチの「展覧会の絵」

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2020年3月 7日 (土)

今日はラヴェルの誕生日、サイモンのラヴェル

未来が見えない世の中。
それでも冬から春へ着実な歩みを感じさせる穏やかな土曜日。

本日仕事。


オフィス近くの市街地の車も行き交う人もさほど変わらぬ日常の姿。

静岡県議がマスクをオークションに大量出品。
政治家失格以前に人間失格。

 

今日はラヴェルの誕生日ということで、アメリカのピアニスト、アビー・サイモンによる2つのピアノ協奏曲を聴いていた。

米VOX原盤のイタリア盤LP。

伴奏指揮はこのころVOXのフランスものを一手に引き受けていた感のあるフランスの指揮者ルイ・ド・フロマン。

 

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・ピアノ協奏曲 ト長調
・左手のための協奏曲

 

 アビー・サイモン(ピアノ)
 

 ルイ・ド・フロマン(指揮)
 ルクセンブルク放送管弦楽団

 

サイモンはラヴェルのピアノ曲の全曲録音を残している。

確かなテクニック、煌びやかにして切れの良いラヴェル。

 

相当気合の入った演奏で、オケも触発され熱い伴奏を展開。

フランス系の管楽器の明るい響きが印象的。

でのファゴットの意表を突いた強調など、なかなかユニークで新鮮だ。

 

EQカーヴはAES.

 

Youtubeはアリス=紗良・オットの弾くラヴェル、ト長調のピアノ協奏曲

 

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2020年3月 6日 (金)

ロカテッリの「ヴァイオリンの技法」

本日快晴、朝は多少冷えたものの穏やかな一日。
これでコロナウイルス騒ぎがなければ良き日なのだが、

 

仕事でも大きな影響が出ている。
昼間、町中を歩く親子連れや自転車に乗る小学生の姿が目に付いた。

巷のコロナウイルス騒動に加え個人的には先週末に娘の結婚式があり、この一週間は
慌ただしく過ぎてしまった。

 

3月は時間の経つのが早い。

 

今日はイタリアバロック期の作曲家、ピエトロ・ロカテッリ(1695-1764)の「ヴァイオリンの技法」から3曲の協奏曲を聴く。

ヴァイオリンはロベルト・ミケルッチのイ・ムジチ合奏団。

手持ちはフィリップス原盤の国内盤LP.

 

ロカテッリは、同時代を代表するヴァイオリンのヴィルトォーゾとして知られていてパガニーニにも大きな影響を与えたと言われている。

ヴァイオリニストにして作曲家のかたわら出版業も営み、現代の著作権にも通じる考え方を世に示したりと先進的な考えの持ち主だったらしい。

 

「ヴァイオリンの技法」作品3は3楽章の12のヴァイオリン協奏曲と、その協奏曲の第1楽章と第3楽章に付随する独奏カデンツァとしての24の無伴奏カプリスからなる作品で、今では協奏曲とは別にカデンツァを演奏することが多いようだ。


このカプリスには現代でも演奏不可能に近い超絶技巧が含まれているという。

 

イ・ムジチは12の協奏曲の録音を残しているが手持ちは3曲のハイライト盤。


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フランツ・ギーリングによる校訂版による録音でカプリスは含まれていない。

 

聴いてみるとこれは大変な曲だった。

ヴィヴァルディのスタイルに近いけれども、変化に富んだ曲想に独奏ヴァイオリンの目が回るような超絶技巧の連続。

時折聞かれる変拍子的な意表を突く展開。

 

あたかも現代音楽を聴いていると錯覚するほど。

 

ミケルッチとイ・ムジチの演奏は大変見事。

これは12曲全部を聴きたくなった。

 

EQカーヴはNAB.

Youtubeはロカテッリの「ヴァイオリンの技法」からカプリス第2番

 

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2020年3月 4日 (水)

ウエルナー・ハースのベートーヴェン

3月に入り春の訪れというのに世情は不安に満ちている。
コロナウイルスの猖獗は東日本大震災以来の災害の様相を呈してきた。

広がる社会不安、デマの横行買い占めに走る人々。

16世紀のペストの世界的大流行の時から何も進歩していない。
イタリアの休校中の校長が生徒に送った手紙が印象深い。

 

月曜日は休みで午前中に定期的に通っているクリニックに行くとかなり空いていた。

馴染みの院長とコロナウイルスについての話。

先生は多くは語らなかったけれども今の深刻さを表している印象を持った。

 

午後からは参議院の委員会中継の様子をテレビをつけっぱなしにして見ていた。

ニュースではエッセンスしか放送されないけれど生中継だとよくわかる。

 

自分の言葉で答えることができないこの国のリーダーたち。

恐ろしいほどの不勉強ぶりを見ていて、このような人たちに国を任せていて大丈夫だろうか。
腹が立ってきた。

 

「桜を見る会」や自らの保身のための検事の定年延長。


決裁には口頭もあるなどは呆れて開いた口が塞がらない。
とても法務大臣の言葉とは思えない。

このままではこの国は根底から崩れるのではないか。

今やこれが最大の国難。

 

この国のしくみが大きく失速しつつある日本。

東京オリンピックは開催できるのだろうか。

今年のセンバツ高校野球の静岡県代表は、春夏初めての甲子園出場を決めた沼津市内の加藤学園高等学校。

なんとか正常な形で試合をさせてやりたいと切に思う。

 

今日はフランクのミサ曲。

「3声のミサ曲」作品12。

「天使の糧」を含むミサとして有名なもの。

聴いたのはJames B. Welch(1915-1991)指揮のWelch Choraleによる
米LyrichordのLP.

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・Panis Angelicus - Mass In A Major Op. 12

 James B. Welch(指揮)
 Welch Chorale
 Allen J. Sever(オルガン)

 

この団体はニューヨークのPhilip Neri Roman Catholic Churchに属する合唱団で1939年創設。

オリジナルはオルガンとハープ、そしてテノールソロによるだがこの盤はオルガンのみの伴奏。

 

演奏は酷かった。

アンサンブルは粗雑だし音程もふらつき気味。

発声に素人さが感じられ、おそらくアマチュアではないかと思う。

アマチュアとはいえかなり低いレベル。

 

商品として音盤になる以上、買い手はそれ相応の水準が保たれていると思うのが普通だろう。

最後まで聴き通すのが辛いほどだった。

 

このままでは眠れそうもないので口直しにウエルナー・ハースのベートーヴェン。

ハースはドビュッシーやラヴェルなどのピアノ曲全集を残していて、フランスもの名演で知られるドイツのピアニスト。

大ピアニスト、ワルター・ギーゼーキングの弟子。

 

ハースは交通事故で若くして逝ってしまったけれども、残された録音はどれも知的で洗練されていて、ある種の清涼感を感じさせる魅力があった。

ハースのベートーヴェンは著名な三大ソナタのほか数曲の録音が残されている。

手持ちは伊フィリップスのLP。


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・ピアノソナタ第8番 ハ短調 作品13 「悲愴』
・ピアノソナタ第14番嬰ハ短調 作品27-2 「月光」
・ピアノソナタ第23番ヘ短調 作品57 「熱情」

 ウエルナー・ハース(ピアノ)

玉を転がすような爽やかで粒立ちのはっきりした音。
「熱情」での細やかで鮮やかな指の動きを聴くと、ハースは相当なテクニシャンであったことがわかる。

 

「悲愴」の第2楽章も美しい。

 

このようなベートーヴェンもよいものだ。

 

Youtubeはウエルナー・ハースのラヴェル

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2020年3月 3日 (火)

ハープ・アルパートのことなど

3月に入り新型コロナウイルスで騒然している世の中。

 

土曜日は娘の結婚式。

このような世情の中、果たして予定通り開催できるのか皆さん来てくださるのか悩んでいた二人。

 

当日の予報では雨も懸念される天気でしたが式と宴の間は晴れました。


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多くの方々の祝福をいただき、本人達ののびのびと演奏する姿と心から楽しんでくださっている皆さんの姿を見ているうちに感謝の気持ちでいっぱいになりました。

 

結婚式が終わり帰宅の車中。

なんとなく軽い曲が聴きたくなってハーブ・アルパート 。

1962年にジェリー・モスとハーブ・アルパートが設立したA&MレーベルのCD。

数多くのヒット作を世に出しているハーブ・アルパート。

聞いたのはかなり古いベストアルバムのCDで、ハードオフのジャンクコーナーで見つけたもの。

 

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1 A Taste Of Honey
2 The Lonely Bull (El Solo Toro)
3 Tijuana Taxi
4 The Work Song
5 The Maltese Melody
6 Bitter Sweet Samba
7 This Guy's In Love With You
8 Rise
9 Beyond
10 Fandango
11 Red Hot
12 Magic Man
13 Route 101

聞いていて、「あ!これもハーブの作品だったのか」と驚くもの多数 。

 

曲名は知らなくても、ほとんどの人はさりげなくどこかで聞いたことのある曲ばかりだ。

 

Bitter Sweet Sambaはオールナイトニッポンのテーマ曲としていまだにオンエアされている。

 

驚くべきヒット・メーカー。

 

自分としては学生時代に大ヒットしたRiseが思い出深い 。

 

Youtubeはハープ・アルパートの「ライズ」

 

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