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2020年5月に作成された記事

2020年5月30日 (土)

またもダブリ買い、ジェシー・ノーマンのフランス歌曲集

激動の5月最後の週末。
風は涼しく初夏の天気の土曜日

午後になって遠雷。

箱根方面は雨のようだ。
本日出勤で一日デスクワーク。

昨日金曜は、仕事は休みで午前中に母の通院の付き添いその後一緒に買い物。
あい変らず母は品物へのこだわりが強くて一時間ほど付き合う。

 

昨夜は今年結婚した娘が婿を連れてきて庭でバーベキュー。


仕事を終えて食材を調達してからの帰省だったので開始は8時過ぎ。

娘が子供の時に懸賞で当たったバーべキューコンロがあったのを思い出し、物置から取り出して準備。

思えば一度も使うことなくしまい込んでいた。


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箱とビニールに入ったまま、金網も錆びてなくピッカピカだった。

20年間この日のためにとっといてあったようなもの。

 

結局、婿殿が新品の七輪を持ってきたのでそちらを使うことにした。


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灯油ランプの灯りの下、涼しい風が吹いてきてなかなか良い雰囲気だ。

 

9時過ぎに東京で働くもう一人の娘から今仕事が終わって帰るところ、との連絡が入った。

長い在宅勤務が終わって忙しいのだろう。

 

近況やたわいのない会話で11時近くまで食べて飲んで。

酒は婿殿持参の全国に知られた静岡の銘酒「磯自慢」


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聞けば昨年職場の忘年会のビンゴで当選したのだという。

繁華街をほろ酔い気分で「磯自慢」の一升瓶をぶら下げて歩いていると、道行く人たちから羨望の眼差しで見られたという。

 

さもありなん。

 

夜が更けるにつれて気温が下がってきた。


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厚い珪藻土で作られた七輪の炭火は暖かい。

 

 

 

またやってしまったダブリ買い。

 

先日ハードオフのジャンクコーナーで見つけたジェシー・ノーマンのフランス歌曲集。

 

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・前の世
・フィディレ
・悲しい歌
・旅への誘い      :以上 デュパルク

 

・2つのヘブライの旋律 :ラヴェル
 
・パリへの旅
・モンパルナス
・ラ・グルヌイエール島
・愛の道        :以上 プーランク
・ブロンズの彫像
・ダフェネオ
・帽子屋
・あなたがほしい    :以上 サティ

 

ジェシー・ノーマン(S)
ダルトン・ボールドウィン(p)

 

録音 1976年5月

 

デュパルクやサティ、プーランクなどの魅力的な曲目に、さほど深くは考えずバルビローリ指揮ハレ管によるドイツ序曲集(英PYE)と一緒レジに運ぶ。


220円だったし。

 

帰りの車中で突然・・・ひょっとして前に買ったかな?

 

バルビローリの方はテイチク国内廉価盤が既に手元にあり、PYE原盤のLPは国内盤よりも格段に音が良かったので承知の上のダブリ買い。

 

だがノーマンの方も・・・・・・

 

帰宅後、EXCELで作った購入データーベースで確認すると、やはり昨年10月に御茶ノ水ディスクユニオンで買っていた。

しかも153円で。

あ~ぁ・・・やっぱり。

 

両方ともオランダ盤ではあるものの昨年買ったのは再発の簡易なシングルジャケット。

ハードオフで買ったのは厚手見開きジャケットでおそらく初出オリジナル。

 

音質の聴き比べもいいな、などと勝手に思い込む負け惜しみ。

 

缶ビール1本分損したことを思うとがっくり。

 

ダブリ買い防止のために、タブレットに購入リストDBを入れておいたのだが、つい億劫になって確認を怠っていた。

 

Youtubeはジェシー・ノーマンのサティ、「あなたがほしい」

 

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2020年5月28日 (木)

マルケヴィッチ、2つの「アルルの女」

晴れ時々曇り。気温は高く湿度は低い。
過ごしやすい一日。
昨夕の空。

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紫の雲が珍しかった。

非常警戒解除となって町ゆく人出が増えた。
マスクをしていない人も増えたような・・・・

北九州では早くも第2波の到来か。

気の緩みがそのまま結果に出てくるのは自然界の摂理。

 

マルケヴィッチのビゼーをコンサートホール録音とフィリップス録音で聴く。

コンサートホール盤はモンテカルロ歌劇場管弦楽団、フィリップス盤はラムルー管弦楽団。

二つのオケともマルケヴィッチが音楽監督を務めていた時期の録音。

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・「アルルの女」第1組曲
・「アルルの女」第2組曲

 イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮)
 モンテカルロ歌劇場管弦楽団
   録音時期:1969年

マルケヴィッチはこの10年前にラムルー菅とビゼーを録音している。


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・「カルメン」第1組曲
・「カルメン」第2組曲
・「アルルの女」第1組曲
・「アルルの女」第2組曲

  イーゴリ・マルケヴィチ(指揮)
  ラムルー管弦楽団
 
   録音時期:1959年12月
 
ラムルー盤は「カルメン」組曲とのカプリング。
コンサートホール盤にはラムルー盤にはなかった「アルルの女」第2組曲間奏曲も収録されている。

モンテカルロもラムルーもフランス系のオケで、両オケとも管楽器の軽い明るい音色が特徴。

ファゴットは明らかにバソンを使用している。

 

オケの力量はほぼ同レベル。

録音が良いだけラムルー管との演奏の方が落ち着いて楽しめた。

特に「カルメン」前奏曲での沸き立つようなリズムはマルケヴィッチならではのもの。

「アルルの女」第2組曲などモンテカルロ盤と比べても格段に良い演奏だ。

 

Youtubeはマルケヴィッチ指揮の「ダフニスとクロエ」

 

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2020年5月25日 (月)

ウェルドンのヘンデル「水上の音楽」と「王宮の花火の音楽」

晴れのち曇り、夜おそくから霧雨。

 

本日休みで母を定期検診で病院に連れて行く。

体の不調を訴えたので予定外のCT検査。

結局、異常は無く、昨年指摘された肺の影もきれいに消えていたので安心する。

 

いつものとおり健康に関する自説と蘊蓄を始めた母に、にこやかに笑いながら頷く先生。

優しい人だ。

先生は3年前に102歳で大往生した大叔母の小学校教師時代の教え子。

 

愛犬ポコとの散歩の途中、名も知らぬ紫の花が咲いていた。

花がたくさん咲いていると必ず立ち止まるポコ。


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その様子を見ていると、ふと犬は色を認識できるのか
という疑問が湧いてきた。

 

ネットで色々見ていくとどうやら動物はその種によって色の見え方が異なるらしい。

 

人を含む類人猿は3色型(赤、緑、青)、他の哺乳類は2色型(赤、青)。

昆虫や魚、鳥類などは3色に加えて紫外線まで見えるそう。

 

面白いのは哺乳類の誕生期は恐竜が跋扈した時代だったので、哺乳類は昼間は息を潜め主に活動が夜間に限られ嗅覚や聴覚が発達した。

それに比べると視覚はさほど重要でなかったために2色型に退化していったという説。

 

その後類人猿は昼間に木上生活することになり、緑の木々の中の果実の色を認識できるよう再び3色の色覚を獲得するようになった。

 

するとポコは色よりも臭いに反応していたのか・・・などと考えたりしていた。

 

イギリスの指揮者ジョージ・ウェルドン(1906-1962)のヘンデル。
手持ちは東芝セラフィムの国内廉価盤LP.

 

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・組曲「水上の音楽」
・組曲「王宮の花火の音楽」

  ジョージ・ウェルドン (指揮)
  ロイヤルフィルハーモニー管弦楽団

    録音 1961年

 

ロイヤルフィルとの演奏で、ウェルドンの決して長くはない生涯を閉じる一年前の録音。

ウェルドンはグリーグの管弦楽曲集という愛すべき録音があり、今でも年に何度が取り出して聴く。

 

このヘンデルはハーティ編による近代オーケストラのための版。

 

名手を揃えた全盛期のロイヤルフィルの輝かしくもエレガントな響きと、

ウェルドンの格調高く老練な音楽運びが非常に良い。

この版での最右翼の名演だ。

 

Youtubeはウェルドンのグリーグ、「ホルベルク組曲」

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2020年5月24日 (日)

マルケヴィッチ、日本フィルとのメンデルスゾーン

曇りのち晴れ。
日曜日、この二日間は天気も崩れず穏やかな一日。

 

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昨日は本来ならば沼響の第36回定期演奏会。

 

創立以来、台風直撃や様々な困難なことはあったけれども演奏会の中止は初めてのこと。

 

チラシは既に出来上がっていた。

 

今年はベートーヴェン生誕250年、チャイコフスキーも生誕180年の記念の年。

 

幻の演奏会になってしまった・・・・・

 

この状態はいつまで続くのだろうか・・・・

 

 

今日はマルケヴィッチのメンデルスゾーンを聴いていた。

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・交響曲 第4番『イタリア』 :メンデルスゾーン
・イタリア風序曲
・『アルフォンソとエストレッラ』序曲
・序曲ホ短調             

       :以上 シューベルト

  イゴール・マルケヴィチ
  日本フィルハーモニー管弦楽団

  録音 1970年5月21日 24日
   世田谷区民会館

 

日本コンサートホールのLPで録音は1970年、世田谷市民会館。
コンサートホールレーベルには珍しい日本録音で、録音データの詳細な記載も他の録音には見られない異例なもの。

 

総じてコンサートホールの録音はよくないとの評判があるが、実際にはEQカーヴが適正な環境で再生すればさほど悪い録音ではない。

この日本録音は若林駿介氏の手によるもので、安定してバランスの良い再生音。

 

演奏は素晴らしい。

 

雑味がなく無駄のない響きに切れの良いシャープなリズム。

パリッとしたノリの効いたYシャツのような清潔感に品格もある名演だ。

この時期の日本のオケの出来として出色の出来だ。

 

 

この録音の数日後の演奏もライヴ録音が残されている。

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・交響曲 第4番『イタリア』 :メンデルスゾーン
・幻想序曲『ロメオトジュリエット』 :チャイコフスキー

 イゴール・マルケヴィチ
 日本フィルハーモニー管弦楽団

 録音 1970年6月4日
   新宿厚生年金会館  ライヴ

 

最初学研のカペレレーベルからCDが出ていたが、手持ちはPLATZとして出た再発売CD.
当日の特別演奏会で演奏されたチャイコフスキーの幻想序曲「ロミオとジュリエット」とのカップリング。

会場は新宿の厚生年金会館に変わっている。

 

基本的な解釈は変わらぬものの、会場の違いのためかテンポが多少遅い。
終楽章の白熱の高揚感はライヴならではもの。

当時この録音は放送もされたそうだが、音のまとまりとしてはスタジオ録音が聴きやすい。

 

このイタリア交響曲は苦手な部類だけれども、マルケヴィッチの演奏には有無を言わさぬ説得力があり聴いていて興奮。

スタジオ録音の後の演奏なだけにアンサンブルの完成度も高い。

 

ところがチャイコフスキーの「ロメオとジュリエット」はかなり荒っぽい演奏で、各所で事故も発生、響きも汚い。

 

とても同じオケの同日の演奏とは思えないほど。

 

Youtubeはマルケヴィッチの「春の祭典」

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2020年5月22日 (金)

シューリヒトのブルックナー、交響曲第9番

曇りのち晴れ。
ここ数日気温の変化が大きく昨日は冷たい風と雨。

マスクは普通に店頭に並び始めている。
アベノマスク未だ届かず。

 

昨日市内でコンビニ強盗。先の見えない不安に小さな犯罪が増えているようだ。

通勤途中にすれ違う小学生たちの明るい笑顔に救われる思い。

 

シューリヒトのブルックナーを聴く


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・交響曲第9番ニ短調
 
 カール・シューリヒト(指揮)
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 
   録音:1961年

 

ウィーンフィルとの名高い録音で手持ちはCD2種と外盤LP.

今日は国内盤CDで聴く。

 

劇的なフルトヴェングラーの演奏とは対照的なストイックな修道僧のような趣。

 

広い大自然に抱かれているような安心感と落ち着きがあり、美しく静謐な世界が広がるブルックナー。

 

Youtubeはシューリヒトのモーツァルト、交響曲第35番「ハフナー」

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2020年5月20日 (水)

バッハのカンタータ第29番「神よ、われら汝に感謝す」BWV29 

曇りのち晴れ。
緊急事態宣言が解除され、出勤時には学校に通う子供たちの姿。
何日ぶりだろう。

コロナウイルス感染のリスクを負いながらも、手探り状態で少しずつ日常生活が復活していくのか。

 

昨日は早朝から激しい雨。
結局夜遅くまで断続的に降り続く一日になった。

今週は月曜と火曜が休み。

 

昨日は昼前に裾野市に住む親戚夫婦が新茶を持ってきてくれた。

ご主人は父の従兄弟にあたり自分が若い頃には茶摘みの時期になると夫婦が所有する茶畑に家族総出で手伝いに行っていた。

我が家から出た大叔母は3年前に102歳で大往生。
その息子夫婦も今は高齢のため茶畑を家の周りのみに縮小。

昨日は電車とタクシーを乗り継いでの来訪。

 

母も交えて昼食を共にしながらしばしの思い出話で2時間あまり。

ご夫婦を駅まで送り帰宅すると入れ替わるように別の親戚が来た。

 

今日はいろいろな親戚が来る日だ。

 

こちらはさきほどの夫婦の弟で今は建築業を営んでいる。

入れたばかりの新茶を飲みながら若い頃に手がけたいろいろな仕事の話を聞いたりしていた。

その話の中で安部公房の箱根の別荘を手掛けた話が出てきた。

ノーベル賞候補にもなった芥川賞作家相手にいろいろと神経を使うことが多く相当な苦労があったようだ。

 

 

昨晩はバッハを聴いていた。

バッハのカンタータ第29番「われら汝に感謝す、神よ、われら感謝す」ほか

 

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・カンタータ第29番「神よ、われら汝に感謝す」BWV29 
・カンタータ第119番「イェルサレムよ、主をたたえよ」BWV119
・カンタータ第120番「神よ、人は汝をひそかにたたう」BWV120

 

  デボラ・ヨーク(S) 
  インゲボルク・ダンツ(A) 
  マーク・パドモア(T) 
  ペーター・コーイ(Bs) 

 

 フィリップ・ヘレヴェッヘ(指揮)
 コレギウム・ヴォカーレ

手持ちは仏ハルモニア・ムンディのCD.

 

外は雨。

 

昼間に老境に入った人たちの話を聞いたためか、静かに聞いているうちに人の一生のことなどいろいろなことが頭に浮かんできた。

自分は何処から来て何処に行くの だろう。
未来が見えなくなった今の世でバッハを聴きながら深いことまで考えが及ぶ。

 

第29番のカンタータは、最初のシンフォニアは無伴奏ヴァイオリンパルティータ第3番のプレリュードの管弦楽編曲版。
トランペットとティンパニが活躍する華やかなもの。

 

続く最初の合唱曲はロ短調ミサの感動的な終曲、”Dona nobis pacem”に転用されている。

この偉大にして壮大な合唱曲を聴いているうちに涙が・・・

やがて外の雨音が次第に大きくなってきた。

 

Youtubeはカンタータ第29番「神よ、われら汝に感謝す」BWV29 、鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン

 

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2020年5月18日 (月)

バックハウスのブラームス、小品集

曇りのち雨。
本日休みで午前中は畑を診たり風呂場の修繕の立ち会いなど。


トマト、ジャガイモ、ピーマンなど、順調に育っている。


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今日は風呂が使えないので夕食の後に家内と市内の日帰り温泉へ行っていた。

 

コロナ感染を心配してか空いていた。

大浴場には若い男性が5名ほど。

いつもは自分と同世代かより年配の方が多いのだが今日はほとんど若い人たちだった。

 

外は雨。


夜の雨に濡れながらの露天風呂も良いものだ。

密を避けてエレベーターと休憩室は使用せず。

 

今日はバックハウスのブラームスを聴く。


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・6つの小品作品118
・奇想曲ロ短調作品76の2
・間奏曲変ホ長調作品117の1
・ラプソディーロ短調作品79の1
・間奏曲ホ長調作品116の6
・間奏曲ホ短調作品119の2
・間奏曲ハ長調作品119の3

    ヴィルヘルム・バックハウス(ピアノ)
            録音:1956年10月

 

英エクリプスのLPでモノラルを疑似ステレオ化したもの。

 

さりげなく深く優しく柔らかな音楽が流れていく自然体のブラームス。

 

バックハウスがコンチェルトで聴かせる重厚なブラームスとは異なる美しく落ち着いた世界。

 

この疑似ステレオは非常にうまくいっている。

EQカーヴはffrr。

 

Youtubeはバックハウスの弾くブラームス、ピアノ協奏曲第2番、ベームの指揮

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2020年5月17日 (日)

パールマンのモーツァルト

雨は上がり朝から爽やかな蒼空の日曜日。

散歩の道すがらに美しく白い花が咲いていた。


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昨日聴いた17世紀から19世紀にかけてフランスで活躍した音楽一家、
クープラン家のクラブサン音楽を連想。

 

今日はパールマンのモーツァルトを聴いていた。


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・ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調 K.216

・ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調 K.219『トルコ風』

 

 イツァーク・パールマン(ヴァイオリン)
 

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 ジェイムズ・レヴァイン(指揮)

 

    録音:1982年  ウィーン、ムジークフェラインザール

 

手持ちは日本グラモフォンから出ていた国内盤LP.

この第3番がパールマンのモーツァルト初録音だった。

この2曲の後、2曲のロンドも含めた協奏曲全集に発展している。

 

カデンツァは第3番の第2、第3楽章と、第5番の第1.第2楽章がパールマン自作。

第3番第1楽章のカデンツァはサム・フランコのもの。


サム・フランコは、ブラームスのヴァイオリン協奏曲を初演したヨーゼフ・ヨアヒムに学んだアメリカのヴァイオリニストで、彼のカデンツァはコンクールなどでよく指定されている。


第5番第3楽章はフランコの師ヨアヒムのものを使用。

 

聴くとパールマン独特の艶のある豊麗な音はさほど目立たない。

意識して端正に演奏しているのだろうか。

ソロも伴奏もいわゆるうまい演奏ではあるが、若き日のモーツァルトの作品独特のヴィヴィッドな躍動感はあまり感じられない。

 

パールマン自作のカデンツァが非常にユニークで、こちらに興味を惹かれる。

 

Youtubeは1991年、来日時のパールマンのモーツァルト。ヴァイオリン協奏曲第3番

 

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2020年5月16日 (土)

クープラン一族のクラブサン曲集 Gショーリャック

朝から雨の土曜日。気温も低くストーヴを点けたほど。

先日夜、家内が従姉と友人たち4人でLINEを使ってビデオ女子会をやっていた。

そのうち3人は東京在住の会社経営者。

自分は同じ部屋でネットサーフィン中。

 

耳に入ってきた会話では、コロナウイルス禍での東京の様子と自分たちの事業のこと。
これからの商売のあり方、切迫している今の状況など。

家内の従姉は輸入雑貨の店を20店舗ほど全国展開していた敏腕実業家。
ここ数年は次第にネット通販に移行し店を少しずつ整理していた。

 

昨年11月にヨーロッパに行ったときに社会の空気の変化を感じたという。

何か嫌な予感がしたので12月中に残った店舗を全てたたみ、ネット通販のみしたとのこと。
そのままだったら今頃大変なことになっていた。

そしてこのような状況になって、世の中に必要ではない仕事や、いなくてもよい人があぶりだされてきた。

 

・・・などの女子会とはいえシリアスな内容で始まり、やがてワイワイとおっさんにはわからない世界へ突入。

自分は早々に退散し音楽部屋へ。

 

フランスの作曲家クープラン一族のクラブサン曲を聴く。

クラブサンはユゲット・グレミー-ショーリャック。

名エンジニア、アンドレ・シャルランの録音で手持ちは国内盤CD。
このCD復刻は音の悪さで悪名高いが少なくともこのクープランは良い音で入っている。

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クープラン一族のクラブサン曲集 Gショーリャック

・前奏曲ヘ長調
・シャコンヌ ニ短調
・サラバンド ヘ短調
・ブランクロシェ氏の墓
・グラン パヴァーヌ                

   以上ルイ・クープラン

・前奏曲
・神秘的なバリケード
・羽虫
・牧歌                     

   以上フランソワ・クープラン

・勝利
・悲歎にくれた女
・おしゃべりな女たち            

   以上アルマン-ルイ・クープラン

・「ああ うまくゆくだろう」の歌による変奏曲 

   ジェルベ-フランソワ・クープラン

   ユゲット・グレミー-ショーリャック(クラブサン)

   クラブサンは1646年製 リュッカースのコピー (1969年 ベダール制作)を使用

 

バッハ家と並ぶ音楽一家クープラン家は17世紀半ばから200年の間に20人ほどの優れた音楽家を輩出している。

 

その一族の代表的な4人のクラブサン (チェンバロ) 曲を集めたもの。

“大クープラン”として著名なフランソワ・クープラン(1668-1733) の作品を中心に、
その伯父のルイ(1626-1661)、ルイの孫のアルマン-ルイ(1727-1789)とその子のジェルベ-フランソワ(1759~1826)の作品を収録。

 

この4人は代々クープラン一家が継承していたパリのジェルヴェ教会のオルガン奏者の地位にありちょうどクープラン家が活躍した200年間を網羅しているアルバム。

 

この中ではイタリアバロック風のスタイルの影響が感じられるルイの作品が、自分としては好み。
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ネットで拾ったプレリュードヘ長調の自筆譜がシンプルでありながらそのまま妙なる音が響いてくるような美しい譜面。

 

最も著名なフランソワ・クープランになると、絶対音楽のほか描写的な音楽も増えてきて、音楽に広がりや遊びが出てきた印象。

最後のジェルベ-フランソワになるともうほとんどモーツァルト同じようなスタイルだ。

 

このジェルベ-フランソワ・クープランの娘でオルガン奏者セレスト・テレーズ(1793-1860)をもって、偉大なるクープラン家の音楽の系譜は絶える。

ユゲット・グレミー-ショーリャックのクラブサンは古いスタイルのロマンティックな歌と音。
フランス風の典雅な雰囲気があってよい雰囲気だ。

 

Youtubeはフランソワ・クープランの「教区のためのミサ」

 

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2020年5月15日 (金)

ウィーンフィルによるヨハン&ヨゼフ・シュトラウス「ワルツ&ポルカ集」

晴れのち曇り。
南から台風接近中、週末には天気が崩れるようだ。
ここ数年5月の台風発生が珍しくなくなってきた。

 

今まで隠れていた新型ウイルスの出現も地球温暖化の影響があるのだろう。
寝た子を起こして自業自得、人類が自ら招いた災厄かもしれない。

 

Facebookで2人の友人から招待された【7日間ブックカバーチャレンジ】の7日目。

今回は最終回
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【7日間ブックカバーチャレンジ】

7日目、最終日です。

 

最後に紹介する本は非常に迷いましたが、今の社会の状況にふさわしいと思う本を紹介することにしました。

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・高橋是清自伝

     高橋是清 著
   上塚 司 編

        中公文庫

 

世界恐慌時の大蔵大臣として、迅速な対応で世界の中で最も早くに恐慌から日本を脱出させるなど、何度も日本の危機を救った政治家、高橋是清の自伝。

高橋是清の口述を側近の上塚司がまとめたものです。

高橋是清は総理大臣のほか大蔵大臣を実に6度も経験し、昭和恐慌、世界恐慌、そして日露戦争時では日銀副総裁として持ち前の語学力と度胸で出し渋るイギリスを説得、戦時外債を調達して日本の勝利に貢献しています。

 

親しみやすい容貌から「ダルマさん」と親しまれていた高橋是清が、その後半生で活躍できた下地がどのように形成されていったのか、興味深い前半生がここで語られます。

 

幕府の御用絵師の私生児として生まれ足軽の養子となり、幼い頃のちょっとした偶然から仙台藩の上級藩士の目に止まって横浜で英語を学び、その後アメリカ留学。

ところが本人は留学のつもりが実は奴隷としてアメリカに売られていた。
それとは知らず、ずいぶんキツイところだと思って普通に過ごしていたのだからすごい人です。

 

苦労の末に解放されて帰国したのが15歳の時、抜群の英語力を買われて大学南校(現在の東京大学)の教師となり、そのかたわら正岡子規や日本海海戦で活躍した海軍軍人秋山真之に英語を教えています。

 

その間の放蕩三昧。

その後文部省の役人になり局長として日本の特許制度を作ったりしながらも退職。

一山当てようとペルーに渡り銀鉱山の採掘を始めたら、ここでも騙されて廃坑をつかまされて失敗。

無一文で帰国後しばらくはホームレス。

 

ペルーでは馬と一緒に谷底へ転落したり底なし沼にはまったり、その都度命拾いするという強運の持ち主に加えて、とにかくスケールの大きな人だった高橋是清のハチャメチャな前半生。

 

結局高橋是清は、6度目の大蔵大臣の時に、軍事費を削減したことで軍部に恨まれ2・26事件で暗殺されてしまいます。

 

今この時期の日本で、高橋是清が国のリーダーだったならば・・・

読み返しながらそのようなことを思いました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ウィーンフィルによるウィンナワルツを通勤途中の車中で聴いている。

ヨハン&ヨゼフ・シュトラウス「ワルツ&ポルカ集」

 

1992年に楽団創立150周年を記念して発売された一連のCDのひとつ。
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1929年のエーリッヒ・クライバーから1990年のメータ指揮のニューイヤーコンサートのライヴ録音までのCD2枚組

 

・仲良しのワルツ/エーリッヒ・クライバー
・アンネン・ポルカ/クレメンス・クラウス
・ワルツ「美しく青きドナウ」/ジョージ・セル
・皇帝円舞曲/ブルーノ・ワルター
・ポルカ「浮気心」/ハンス・クナッパーツブッシュ
・常動曲/カール・ベーム
・ポルカ「観光列車」/クレメンス・クラウス
・ワルツ「天体の音楽」/ヘルベルト・フォン・カラヤン
・皇帝円舞曲/ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
・ワルツ「春の声」/クレメンス・クラウス
・ピチカート・ポルカ/同
・ワルツ「オーストリアの村つばめ」/同
・ラデツキー行進曲/同
・喜歌劇「くるまば草」序曲/ウィリー・ボスコフスキー
・加速度円舞曲/ヨゼフ・クリップス
・ワルツ「ウィーンの森の物語」/ハンス・クナッパーツブッシュ
・ポルカ「狩り」/ヘルベルト・フォン・カラヤン
・ワルツ「南国のばら」/カール・ベーム
・同「酒・女・歌」/ウィリー・ボスコフスキー
・喜歌劇「こうもり」序曲/ロリン・マゼール
・仮面舞踏会のカドリーユ/クラウディオ・アバド
・トリッチ・トラッチ・ポルカ/ズービン・メータ
・皇帝円舞曲/ヘルベルト・フォン・カラヤン

 

この中で今存命なのはメータだけだ。

クレメンス・クラウスが6曲で最多、続いてカラヤンが3種。

クナッパーツブッシュ、ボスコフスキー、ベームが2種。
クラウスはともかく、同じくニューイヤーコンサートの顔で残されたワルツ録音が断トツに多いボスコフスキーが少ない。

 

最初のエーリッヒ・クライバーの「仲良しのワルツ」は喜歌劇「こうもり」の有名なワルツ。

これが息子カルロスの演奏と瓜二つなのが非常に面白い。

 

フルトヴェングラーの堂々たる「皇帝円舞曲」、若き日のカラヤンの甘く耽美に歌わせた「天体の音楽」など、ワルツだと指揮者の個性が素のまま出ている。

 

カーステレオで聴くとモノラルもさほど古さが気にならない。

ただし1929年のクラウスの「アンネン・ポルカ」は、CDでは音が明快であるものの、手持ちの墺太利盤LPで聴かれるトロリとした艶っぽさがまったく感じられない。

 

Youtubeはエーリッヒ・クライバーの「美しき青きドナウ」

 

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2020年5月13日 (水)

ボノーのグリーグ

適度な風が心地よい初夏の水曜日

出勤時の車の混みようは、コロナ禍以前の水準に戻したかのように見える。


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母の日のプレゼントと自分の誕生祝に子供たちからそれぞれ別の品物が届いた。

示し合わせたかのように二人とも海産物、海老と蟹。


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よほど海産物が好きな親だと思われているのだろう。

イセエビはまだ生きていた。

ありがとう。

 

Facebookで2人の友人から招待された【7日間ブックカバーチャレンジ】の6日目。

地元の方の自費出版物を取り上げた。

自分が幼い頃からの主治医の星野先生。

既に故人となられたが、先生は作家井上靖と旧制沼津中学の同級生で終生の友人だった。

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【7日間ブックカバーチャレンジ】

6日目です

 

郷土沼津に関係するものとして。

 

「生き永らえて」
         星野重雄 著

 

         自費出版
のちに岩波ブックサービスセンター(1999年再販発行)


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沼津で開業しておられた医師、星野重雄先生には、幼い頃からお世話になりました。

星野先生は旧制沼津中学時代に作家井上靖と同級生であり、終生の友であったことも知られています。

 

この本には井上靖との友情のみならず、小説「夏草冬濤」の登場人物のモデルとなった友人たちとの交友や、郷土史への深い知識の数々、紀行文などが書かれています。

初版の帯に付けられた井上靖夫人、井上ふみさんの言葉にも心打たれるものがあります。

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グリーグの管弦楽曲をフランスの演奏家で聴く。

名エンジニア、アンドレ・シャルランの録音でグリーグのノルウェー舞曲と民謡組曲など

演奏はポール・ボノー指揮のシャンゼリゼ劇場管弦楽団によるもの。

 

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・ノルウェー舞曲 作品35
・トロルハウゲンの婚礼の日 作品65-6
・ノルウェーの旋律 作品 63

 ポール・ボノー
 シャンゼリゼ劇場管弦楽団

 

フランスのティスト漂う軽く洒落た雰囲気のグリーグ。

北欧的な軽さではなく、あくまでもカラフルでラテン的なノリが新鮮。

爽やかな後味を残す演奏だ。

ポール・ボノーはデュカスの弟子の作曲家。

細君のピアニスト、ジャクリーヌ・ロバン=ボノーのほうが知られているかもしれない。

ジュヌヴィエーヴ・ジョワと組んだピアノデュオのフランス音楽のレコーディングの数々は知られた名盤だ。


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指揮者としてのボノーはこのグリーグのほか、同じシャルランレーベルにシャブリエの管弦楽曲集の録音がある。

こちらも聴いてみたくなった。

 

Youtubeはグリーグのノルウェー舞曲

 

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2020年5月11日 (月)

アールグリムのヘンデル

本日快晴、県内川根本町では最高温度は33度!

昨日が朝から雨だったので今日は湿度も高い。
ほとんど初夏。

部屋にはまだストーヴが出しっ放しだ。

 

東京の新型コロナ感染者数が減っているのが不思議。
次の第二波の前触れだろうか。


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夏みかんの花が咲き始め、蜜蜂をその周りをブンブン回っている。

本日休みでポコをトリミングに連れて行ったりホームセンターに種を買いに行っていた。


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品薄だったマスクが出始めた。

近所のスーパーで10枚で600円ほど。

ホームセンターにもあった。

買い置きの在庫はまだ家にあるし、家内が作ってくれたマスクもあるので手を出さない。

供給過剰になっているようだ。まだまだ値下がりするのだろう。

マスクバブルの崩壊。

 

Facebookで2人の友人から招待された【7日間ブックカバーチャレンジ】の5日目。

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5日目は小説を取り上げます。

吉村昭は大好きな作家で若い頃に夢中で読んだ時期がありました。

どの作品も詳細なリサーチに裏付けられた迫真の描写力。
一度読み始めると最後まで止まらない。

 

いくつか思い出不深い作品がありますが、地元の静岡県東部に関係する作品として
「闇を裂く道」を紹介します。

 

作家の吉村昭はこの小説を書くにあたって取材のために沼津の駿河図書館を訪れました。

その様子を当時接した職員の方が話してくださったことがあります。

関係する資料を机に山のように積み上げ、丸一日をかけて一心不乱にメモをとる姿は鬼気迫るものがあったと。

 

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「闇を裂く道 」

 

     吉村昭 著
          文春文庫

 

今や東海道の大動脈として重要な役割を担っている丹那トンネル。
この工事がいかに多くの犠牲を払った難工事だったのかを史実に忠実に描いたノンフィクションノベル。

襲い来る膨大な土砂と湧水、崩落、坑夫たちの懸命な救出作業。
そして追い打ちをかけるような北伊豆地震。

 

工事前には豊かな田園風景が広がっていた丹那盆地は、工事が進むにつれて湧き水が枯れて農作物ができなくなってしまいます。
蓆旗を挙げて抗議する農民たちの姿。

 

手持ちの古い文春文庫の巻末に1990年8月22日読了の自分の鉛筆書きのメモがありました。
パラパラと拾い読みしているうちにその頃の自分の姿や周りの風景が蘇ってきました。

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音楽はオーストリアのハープシコード奏者、イゾルデ・アールグリム(1914~1995)のハープシコードでヘンデルを聴く。
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組曲第1番
組曲第3番
組曲第5番
組曲第7番

 

   イゾルデ・アールグリム(ハープシコード)

 

アールグリムはR.シュトラウスとも親交があり作品も献呈されている。
モノラル期にフィリップスにバッハの鍵盤曲のほとんどを録音していたが、今では忘れられた存在かもしれない。

聴いたのはフィリップスレーベルから出ていた国内盤LPだが、原盤はおそらく東独ドイツシャルプラッテン。

アールグリムのヘンデルには全曲の再録音もある。

 

ハレのヘンデル博物館の歴史的銘器を使用。

 

ピリオド系というよりも20世紀ロマンティック系のランドフスカに似たモダン楽器のようなスタイル。

太い音で男性的な力強い演奏。

第7番のパッサカリアの圧倒的な演奏が印象に残る。

 

Youtubeはヘンデルのパッサカリア、ガブリーロフのピアノ

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2020年5月 9日 (土)

内科クリニックにて、そしてクナパーツブッシュの「ロマンティッック」のことなど

GWには何日か出勤したので、金曜日から遅ればせながらの連休。

庭の梅がたくさん実り始めている。
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今年はいつもよりも数が多いようだ。

 

金曜午前中は毎月定期的に健康チェックのために通っている内科クリニックへ。

 

先月初めに行ったときは、コロナウイルスの感染が徐々に地方に広がりつつあった頃。

今はGWも明け東京の新規感染者も100人を切り始めてここ静岡県東部は比較的患者数も少ない。

なんとなく緊張が緩んできた気配なので、今日も空いているかなと思いながらクリニックへ。

 

ところが到着するとものものしい雰囲気。

ポールで玄関が塞がれて簡単には建物に入れなくなっている。

 

入り口では看護師さんが体温チェック。
手指消毒のあとに指定されたシートに座り順番を待つ。

 

受付のお姉さん方も手袋着用。
患者さんも多かった。

 

自分の番になり診察室に入ると、先生は厳しい表情でお疲れの様子。

 

その時看護師の一人が診察室に入り、「微熱が3日以上続く患者さんからお電話が入っています」とのこと。
先生は即座に「準備しなさい」のひとこと。

 

ひとりポツネンと先生の前の診察椅子に座っている私。

どうなるのかな・・・・

先生はそのままいつもの通りに診てくれた。

 

先生「とにかく換気が大切ですよ。気をつけてください」
私も「先生も・・・」

 

建物を出ると、ゴーグルをして全身防護服に包まれたなじみの看護師さんが手を振ってくれた。
私「気をつけてください。お元気で・・・」

 

そのうち患者さんらしき顔色の悪い若い男性が車を運転して駐車場に入ってきた。

 

私はそのまま薬局へ。

 

今、医療現場ではコロナ禍が前よりも深刻な状況になっているのを実感する。
油断はできない。

 

クナッパーツブッシュのブルックナーを聴く。

1944年のライヴで交響曲第4番「ロマンティック」
オケはベルリンフィル、改訂版使用。


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ブルーノ・ワルター協会からの日本コロンビアLP2枚組で、ブラームスの交響曲第3番とのカップリング。

ライヴとはいえ聴衆は入っていないので放送用録音なのだろう。

 

なおこのレコードには録音時期不明と書いてあるが、1944年にドイツ帝国放送がマグネトフォンで録音して後にターラから出ていたCDと同じものだろう。

 

クナのほかのブルックナー録音と比べると優しくロマンティックな演奏なのが意外だった。

 

後のクナのブルックナー録音に聴かれる凄みはあまり感じられない。

この演奏の一月後のフルトヴェングラーの劇的な演奏とも対照的だ。

 

とはいえフィナーレでの大きな波がひたすら押し寄せるようなティンパニの連打。
孤独で内省的な美しい第2楽章など、凡百の指揮者とは一線を画す演奏。

 

各所でオケのアンサンブルに乱れがあるのは戦時下でユダヤ系の団員が去った故か、あるいは練習不足なのか・・・・

 

録音はこの時期のライヴとしては驚異的に良い。

 

ブラームスの3番の演奏の感想は15年前に聴き比べコラムに記載している。

 

Youtubeはクナッパーツブッシュの「パルシファル」、バイロイトでの壮絶なリハーサル

 

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2020年5月 7日 (木)

小澤征爾、シカゴ響との「展覧会の絵」

晴れのち曇り。
緊急事態宣言が今月末まで延長の中、休業要請は昨日まで。

GWも終わり出勤時にはいつもと変わらぬ車の量だった。

駐車場からオフィスまでの途中にある小学校。
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ニセアカシアの白い花越しに見える校庭には、いつも歓声を上げて走り回っている児童たちの姿は見えない。

 

夜は沼響のメンバー数人でオンラインのビデオトーク。
久しぶりに見る顔は元気そうで安心する。

けれどもなんとなくみなさんコロナ疲れ。

 

Facebookで2人の友人から招待された【7日間ブックカバーチャレンジ】の4日目。

7冊という限られた数なので何を選ぼうか迷い、ヴィヴァルディの手稿譜が作曲者の死後に辿った運命を書いた「失われた手稿譜~ヴィヴァルディをめぐる物語」か、ロシアの作曲家プロコフィエフの短編小説集も候補だったけれど、結局N響のヴァイオリン奏者、鶴我さんのエッセイ集をとりあげた。

 

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・「バイオリニストは目が赤い」

   鶴我裕子 著
       新潮文庫

著者はNHK交響楽団の第一ヴァイオリン奏者

この本はかつてこのブログでも取り上げている。

 

音楽は若き日の小澤征爾で「展覧会の絵」とブリテンの「青少年のための管弦楽入門」を聴いていた。
手持ちは国内盤LP.


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・組曲『展覧会の絵』(ラヴェル編)
・青少年のための管弦楽入門
 
  小澤征爾(指揮)
  シカゴ交響楽団
 
   録音:1967年7月 
      シカゴ、メディナ・テンプル
 
当時トロント響の音楽監督だった小沢征爾が、世界のオザワへ向けて大きく飛躍しようとしていた30代の演奏。

この前年にウィーンフィルとベルリンフィルの指揮台に初めて立ち、翌年にはボストン響に初めて客演している。

 

音楽が自由に呼吸していて曲の運び方が実に自然、この時期の小澤征爾の録音中では抜群の名演。
ロシア的なカロリーは薄いがそれを上回る魅力が満載。

シカゴ響の威力は絶対的で、名手ハーセスの吹くノーブルで輝かしい「プロムナード」や「サムエル・ゴールデンベルクとシュミイレ」のトランペットソロは、ほれぼれとする素晴らしさ。

「キエフの大門」では圧倒的なクライマックスを作り上げる。

 

ブリテンも若く溌剌としたフレッシュな感覚の名演で、ストレートに音楽に挑む強い自信も感じられる気持ちの良い演奏だ。

ムソルグスキー以上にシカゴ響の威力全開の一大デモンストレーション。

 

ナレーションが入らないのが良い。

 

Youtubeは小澤征爾がニューヨークフィル副指揮者時代の「フィガロの結婚」序曲

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2020年5月 6日 (水)

「バイエルの謎」そしてヴァンデルノートのプルチネルラ

曇り時々雨。GW最終日。
今日も仕事。

 

出勤時の道は昨日以上に走る車は少ない。

 

自分が留守の間に義母が三島の「兎月園」の柏餅を持ってきてくれた。

 

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老舗和菓子店の逸品、こし餡と草もちです。

 

 

Facebookで2人の友人から招待された【7日間ブックカバーチャレンジ】
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読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、好きな本を1日1冊選び、本についての説明はナシで表紙画像をFacebookへ7日間アップを続ける。
その際毎日1人のFB友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いする。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
というもの。


チェーンメール的なものは好まないので、友人は招待しない。

 

3日目は音楽書を取り上げることにしたけれど、この「バイエルの謎」はこのブログでも取り上げているので旧稿の手直し。
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3日目です。

 

・「バイエルの謎」
        日本文化になったピアノ教則本

 

     安田寛 著
                音楽之友社
                *新潮文庫

 

私は音楽好きなので音楽の本も紹介します。
かつてピアノを習うほとんどの人がバイエルの教則本から始めていました。
                            
今でも自宅には私が子供の頃に使った赤い表紙のバイエルがあります。

 

でもバイエルを使っているのは日本くらいで、他の国ではほとんど使われていないようです。
日本でも最近はあまり使われなくなったようです。
私の子供達はバイエルを使いませんでした。
                                                       
これほど有名なバイエルですが、作曲者バイエルの実像はほとんど知られていません。

 

以前、NHKの名曲アルバムでバイエル教則本中の1曲がピアノ協奏曲風にアレンジされ放送されたのが、作曲家バイエルが公式に紹介された唯一の出来事であったと思います。

 

この短い番組中で、バイエルの墓地跡と推定される場所がひっそりとした公園の一角だったことが印象に残っています。
架空の人物だという説が出るほど生地ドイツでも忘れ去られているバイエル。

 

この本は、ドイツやアメリカまで渡り、何度も絶望的と思われた状況に陥りながら長い年月をかけ作曲家フェルディナント・バイエルの実態に迫った迫心のドキュメンタリーです。

 

教則本「バイエル」の初版を求めアメリカに渡り、ようやく所在をつきとめたニューオルリーンズの図書館は直前のハリケーン「カトリーナ」の来襲で水没してしまっていた。

 

奇跡的ともいえるいくつかの偶然が重なり、マインツの公文書館でバイエルの戸籍を発見する場面など感動的ですらあります。

 

バイエルの墓が第二次世界大戦のマインツ爆撃で破壊され、今は跡形もなくなって草地と化していたという悲しい現実を交えながらも、著者はさらにバイエルのルーツや子孫にまで遡っていきます。

 

「教則本バイエル」の音楽のルーツが、母方の先祖たちが関係した教会で歌われたプロテスタントのコラールにあり、幼い頃に母から受けた音楽レッスンの思い出をバイエルの上巻に込めたことまで掘り下げていく中には、著者のバイエルに対する深い愛情も伝わってきます。

 

この本ではバイエルの肖像画も見ることができました。


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先月のドメニコ・ガロのトリオ・ソナタつながりで、ストラヴィンスキーの「プルチネルラ」の音源をいろいろとネットで物色していた。

 

そこでヴァンデルノートの演奏を見つけた。
へーぇ、こんな音源があったんだ。

 

ベルギーの指揮者アンドレ・ヴァンデルノートは、将来を嘱望され若い頃には優れた録音を残していて、一連のモーツァルト録音は今でも時々取り出すことがある。

ところがいかなる理由か次第にドロップアウト。
やがて表舞台から姿を消してしまった。

 

その後90年代にベルギーのオケを振ったライヴのセットものが突然の登場。

これが大きな話題となり往年のファンは驚喜して買い求めた!?

 

私もそのひとり。

 

ところが演奏内容のあまりの悲惨さにこれまた話題となってしまった。

聞いてびっくり、商品化した良識を疑うほどの低水準。
とても最後まで聴き通すのが辛いほど。

結局、続編が計画されながらも、第1弾のあまりの反響の大きさ? に、続編の発売は流れてしまった。

 

そしてヴァンデルノートの名は再び遠い彼方。

 

このEMIの「プルチネルラ」はタワーレコード・ヴィンテージコレクション中の1枚。

 

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・.バレエ組曲「プルチネルラ」
・バレエ音楽「妖精の口づけ」~ディヴェルティメント

 

アンドレ・ヴァンデルノート(指揮)
フィルハーモニア管弦楽団

 

録音
  1961年1月14日(プルチネルラ)
  1961年4月28&29日、7月10日(妖精の口づけ)
  Abbey Road Studios, London

 

ちょうどポイントが溜まっていたので払った金額は57円。
ヴァンデルノート若き日の録音で期待の演奏。

 

youtubeはメータの指揮で「プルチネルラ」

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2020年5月 5日 (火)

武田百合子、「犬が星見た-ロシア旅行」

晴れのち曇り。こどもの日の今日は出勤。

 

GWも後半だというのに通勤途中ですれ違うのはごみの収集車ばかり。

 

昨日はどこにも出かけず。
畑でトマトの苗のキャップを外して竿を立てたり、いただいたおが屑を畑に撒いたりしていた。

 

814ae3w0jal Facebookで回ってきた【7日間ブックカバーチャレンジ】の2日目。

 

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「犬が星見た-ロシア旅行」
武田 百合子 著
              中公文庫

 

前回の江戸時代の絵日記に続いて、こちらは現代の人が書いた日記。

 

手持ちの古い中公文庫の裏表紙には1985年9月20日PM8:00読了のメモ書き。

 

 

武田百合子は小説家武田泰淳夫人。

 

1969年、海外旅行が今ほど一般的でなかった時代のできごと。
客船からシベリア鉄道と飛行機を乗り継いだロシア北欧紀行。

 

夫と同行している友人その他ツァーに参加した人たちの、慣れぬ海外旅行に戸惑う中で明らかになっていく素のままの言動と行動の数々を、天真爛漫なタッチで描く人間観察日記です

 

純粋無垢な目を持つ幼な子のような感覚で描いた抱腹絶倒の紀行文。
さりげない出来事を純で流れるような文体で書いているのが新鮮、

 

今読み返しても古さも感じさせず時間の経つのを忘れるほど。

 

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音楽はムーラ・リンパニーの弾くラフマニノフなど
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2020年5月 3日 (日)

「幕末下級武士の絵日記」そしてナージャのヴァイオリン

いつもと違うGWの日曜日。
晴れのち曇り、夜遅くから雨。

午後に弟が来たので一緒に畑の重い流し台の移動などをしていた。
今日は全く外出なし。

今、Facebookで【7日間ブックカバーチャレンジ】というものが流行っている。

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読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、好きな本を1日1冊選び、本についての説明はナシで表紙画像をFacebookへ7日間アップを続ける。
その際毎日1人のFB友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いする。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

というもの。

チェーンメール的なものは好まぬけれど、2人の友人から招待されたので参加することにした。
ただし友人を招待することはしない。

 

以下紹介文

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第1日めは最近読んだ本の中で印象に残っているものから。

 

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新訂「幕末下級武士の絵日記」
  
   大岡敏昭 著
          水曜社刊

 

忍藩の下級武士、尾崎石城の周りには様々な人たちが集い、時には一緒に飲み食い喜怒哀楽を共にしながら日々を過ごしていく。

友を思い家族を慈しむ表情豊かな絵を見ているうちに日本の良き時代の原風景が思い浮かぶようで、なんとも楽しい気分になります。

 

国内で生産されたものが国内で消費され、2百数十年の平和の世が続いた江戸時代。

 

貧しい中にも精神的に満たされた豊かな生活に羨ましさも感じられます。

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音楽は、ローマ生まれの女流ヴァイオリニスト、ナージャの小品集を聴いていた。


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極めて情熱的で個性的。

 

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中でもファリァのアストリアーナの神秘的なまでの演奏が印象に残る。

 

youtubeはファリャの「アストリアーナ」。トランペット版

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2020年5月 1日 (金)

セルジュ・ボドのカルメン組曲

先の見えない不安の中での5月。
気温の上昇に来る夏への予感。
本日出勤。

休みと巣ごもり状態の人も多いのだろう。
道は空いていていつもよりも10分早くオフィスに到着。

コロナ禍の影響で変則勤務中。

 

今日もカルメン組曲をフランスの指揮者セルジュ・ボドの演奏で聴く。

聴いたのは日本ビクターへの読売日本交響楽団との録音で1971年来日時の記録。

 

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ボドは前年の1970年のEXPO70のパリ管来日時に来日している。

 

この時パリ管は創設時の音楽監督シャルル・ミュンシュが急逝し、カラヤンがとりあえずの音楽顧問となり音楽監督不在の時期だった。
1970年はボドのほかプレートルも一緒に来日している。

このカルメンは通常聴かれる組曲版とは異なるボド独自のアレンジ版。

闘牛士の歌のメロディをコルネット?で吹かせたりと創意工夫に満ちた面白い編曲だ。

演奏は良い。

響きの密度も濃厚、アンサンブルも堅実。

 

この時期の日本のオケにありがちな無個性さはなくしっかりフランス風のメロウな音色で聴かせてくれる。

 

こちらも70年初頭に流行した4チャンネル盤。

Youtubeはボドのシャブリエ、狂詩曲「スペイン」

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