ピーター・ゼルキン、明子さんのピアノを弾く
今日も気温は35度を超えてしかも無風状態。
少し歩くだけで汗が出た。
日曜から5日ほど夏休みをいただき本日は出勤。
早めに帰宅して畑の水遣り。
今年も終戦記念日が近づいてきた。
墓参りに行けば、戦死した人々の名が刻まれた墓石を目にする。
身近にいた戦争を知る人達が次々と鬼籍に入り、気が付くとほとんどいなくなっている。
広島で被爆したピアノが再生され、アルゲリッチやピーター・ゼルキンら名ピアニストによって再び息を吹き込まれたピアノの話を、以前このブログに書いた。
今日は今年2月に亡くなったピーター・ゼルキンのがその「明子さんのピアノ」を弾いた演奏を聴く。
タワーレコードから出ているCDで、2017年8月5日の広島での「平和の夕べ」コンサートの前日に行われたスタジオ録音。
ピーター・ゼルキンは、アルゲリッチが2年前に試奏した「明子さんのピアノ」を気に入り、バッハ、モーツァルト、ショパンを立て続けに演奏した。
ゼルキンはこの収録にあたって特に準備はせずに、気の向くままに演奏したという。
1. コラール前奏曲「愛する御神に全てを委ね」BWV691
2. ゴルドベルク変奏曲 BWV988から アリア
3. 2声のインベンション ハ長調 BWV772
4. 2声のインベンション イ短調 BWV784
5. 3声のシンフォニア ハ長調 BWV787
6. 3声のシンフォニア 変ホ長調 BWV791
7. 3声のシンフォニア へ短調 BWV795
8. 3声のシンフォニア ト短調 BWV797
9. 3声のシンフォニア イ長調 BWV798 :以上 バッハ
10. アダージョ ロ短調 K.540 :モーツァルト
11. ノクターン 嬰ヘ長調 op.15-2 :ショパン
(ピーター・ゼルキンのスマートフォンによる録音) <特別収録>
ピーター・ゼルキン(ピアノ)
アメリカ製ボールドウィン・アップライトピアノ
録音 2017年8月4日
ボールドウィン社製の古いアップライトピアノの音はボソッと素朴で暖かく、ぬくもりのある音。
ゼルキン曰く、18、19世紀の古いピアノの音がする、と。
古い故に響きが濁る瞬間もあるけれど、ゼルキンの大きな音楽をしっかりと受け止めて深い音楽を聴かせてくれる「明子のピアノ」
感興に乗ったゼルキンの、メロディを口ずさむハミングや唸り声も聞こえてくる。
祈りの中にも戦争に対する激しい怒りも感じさせるゼルキンの演奏。
中でもモーツァルトは深い闇を見るような演奏だった。
最後に収録されたショパンは、一連の録音 が終了し機材が撤去された後に、明子さんが生前ショパンを愛したことを知りゼルキンが感興のおもむくまま弾き始めたのを急遽スマホで収録したもの。
まさにその場に明子が降りてきたかのような鬼気迫るショパン。
演奏が突然終わる未完の演奏に、バッハの「フーガの技法」の終曲を聴くような衝撃を受けた。
この「明子さんのピアノ」のドキュメンタリードラマが明日、NHKBSで放送されます。
Youtubeはピーター・ゼルキンの弾くバッハ、「ゴールドベルク変奏曲」から。明子のピアノの録音翌日の演奏会でのアンコール
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