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2020年9月23日 (水)

ハロルド・バーンズのドビュッシー

くもりのち雨。

今年は彼岸花が咲くのは遅く、お彼岸も終わりだというのにようやく小さな芽が出てきた程度。
気温が下がり夜は半袖では肌寒いほど。

接近中の台風はどうやら逸れるようだ。

 

ハロルド・バーンズのドビュッシーを聴く。

伊IGrandi ConcertiのLPで、カサドシュの弾く「映像」第1集とのカップリング。
いずれもモノラル録音。

 

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・「遊戯」

 ハロルド・バーンズ(指揮)
 ベルリン放送交響楽団
 録音 1953年

・映像第1集
 ロベール・カサドシュ (ピアノ)
 録音 1951年

Harold Byrns(1903 - 1977)はドイツの指揮者にして作曲家。

エーリッヒ・クライバーやレオ・ブレッヒの助手としてドイツの歌劇場で修業。
1933年代にイタリアへ移住の後にアメリカへ居を移したのはユダヤ系だったからだろう。
この時本名のハンス・ベルシュタインからハロルド・バーンズに改名している。

活動の場はほぼアメリカが中心となり映画音楽やミュージカルの作曲や編曲を数多く手がけている。この点同じユダヤ系作曲家のコルンゴルドに似ている。

バルトークの「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」の世界初録音はバーンズ。

このCapitolの米盤LPは架蔵済み。
LPのA面はチャベスやミヨーの打楽器のための曲がフェリックス・スラットキンの指揮でカップリングされていて、むしろそちらがメインの扱いだった。


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マーラーの初期の歌曲やミュージカルのオーケストレーションなども手掛けていて、マーラーの曲はシノーポリも取り上げている。
いわばオールマイティの才人。

バーンズはステレオ録音を残しても良い世代なのに、上記の弦チェレのほかは協奏曲の伴奏指揮くらいしか見当たらない。

 

このドビュッシーは1953年の録音。

バーンズが戦後ヨーロッパの歌劇場やオケに数多く客演していた時期の録音で、ベルリンのRIAS放送が収録した放送録音だと想像する。

 

演奏は繊細にして緻密、ミステリアスな雰囲気も漂う名演だった。

オーケストレーションの妙を知り尽くしたバーンズの芸風は、ドビュッシーのような色彩豊かなフランス音楽において最大の強みを発揮していたのではなかろうか。

もっとバーンズの演奏を聴いてみたい。

 

録音はモノラルながら非常に良い。

EQカーヴはNABで聴いた。

 

カップリングされているカサドシュの「映像」は、録音年から推測するとコロンビアへのスタジオ録音とは別。

肉厚で黒光りするような太めの音と、着実な足取りのしっとり落ち着いた風情の巨匠の音楽を聴くことができる。

 

Youtubeはバーンズ指揮のドビュッシー、「遊戯」

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