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2020年9月16日 (水)

アルトゥーロ・ローターの「エロイカ」

くもり、朝のち雨。
最近夜になると遠い山から鹿の鳴き声が聞こえてくる。

鹿は秋の季語。

 

今日の夜はベートーヴェン。
「エロイカ」を聴く。

アルトゥーロ・ローター指揮のベルリン交響楽団による演奏。
手持ちはイタリアFABRIシリーズのLP。

本家のドイツではOPERAレーベルの廉価盤で出ていた。


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ローターはフルトヴェングラーとほぼ同世代のドイツの指揮者。

ワーグナーと直接関係の深かったハンス・リヒターやモットルといった歴史的な指揮者の下でバイロイト音楽祭のアシスタントを務め、後にデッサウ市立歌劇場、ベルリン・ドイツオペラの音楽監督。ベルリン放送響の音楽監督。

録音はローカルな歌手を起用したオペラ抜粋あたりが多く、あまり表に出ない縁の下の力持ち的なイメージの指揮者。

 

比較的有名なのは、ギーゼキングをソリストに迎えた戦時中のオリジナルステレオ最初期のベートーヴェンの「皇帝」録音くらいではなかろうか。

これは高射砲の発砲音が聞こえることで有名なもの。

 

自分の他の手持ちでは「皇帝」のほかベートーヴェンの「第九」、様々な作曲家の作品を集めたオペラ合唱曲集。
そしてグルックやフンパーディンクらのオペラ序曲を集めたものなど。

ローターの他のベートーヴェンの交響曲録音は「エロイカ」と第九のほかは第1番と第8番があるようだ。

 

ベルリン交響楽団は東西ドイツ統一前には東と西にひとつずつあった。

ザンデルリンクが率いていた東ベルリンのそれはかなり水準も高かったが、西ベルリンのベルリン響は録音を聴く限りセミクラシック的な軽い曲が多かったように思う。

 

この「エロイカ」のオケはどちらかよくわからない。

この録音を聴く限りでは、ローターの職人的で確かな手腕が光り、なかなか高水準の演奏を聴かせてくれる。

よく聞くと「第九」同様、ティンパニのトレモロや木管楽器にホルンを重ねたりと、譜面にはかなり手を加えている。

 

ただそれがマーラー版や近衛版のベートーヴェンのように、明らかに全体の響きまで変わってしまったものとは異なり、密かに隠し味的に使われていて、これが絶妙な効果を上げている、

 

そのような中で、フィナーレの終盤でホルンにヴァイオリンの速い上昇音型を重ねているのには仰天した。

その他フィナーレでの突然のブレーキなど、ところどころ驚きの解釈はあるものの、

中庸のテンポの中で各声部も明瞭、奥行きも余韻も十分に保ちながら充実したベートーヴェンが鳴り響いている。

 

これは隠れた名演だ。

 

Youtubeは「フィデリオ」を指揮するローター

 

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