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2020年10月に作成された記事

2020年10月31日 (土)

沼津市民文化センターのアーティスティックオータムナイト、そして「森の歌」のことなど

本日快晴、放射冷却で朝の気温は9度。

 

冬が近づきヨーロッパを中心にコロナ感染者が再び急増。
フランスでは再びロックダウン。

 

ここ静岡でも身近な大病院でクラスター発生

 

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夕方に沼津市民文化センターのアーティスティックオータムナイトに行っていた。
3日連続の無料ミニコンサート。

 

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今宵はジャズ。

 

残響豊かなホールロビーに大勢の人が集まっていた。
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懇意の館長に促されて2階の和室に入ると、MOA美術館から借用した尾形光琳や仁清のレプリカ。

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和風庭園も良い雰囲気でライトアップされていた。
123078736_3474257122693650_4690573359399 このコロナ禍でホール運営の難しさを思う。

 

外に出ると大きな満月。

冬の星座オリオンも見えた。

 

 

ムラヴィンスキーの指揮でショスタコーヴィチの「森の歌」を聴く。

 

メロディア録音の有名な演奏だが、今回は新世界レコードから出ていた10吋盤で聴く。

 

Img_20201028_231554 ・オラトリオ「森の歌」 op.81 

 

  アレクサンドル・キリチョフスキー(T)
  イワン・ペトロフ(B)
  国立合唱学校児童合唱団
  国立アカデミー・ロシア合唱団
 (合唱指揮:アレクサンドル・スヴェシニコフ)
 
 エフゲニー・ムラヴィンスキー(指揮)
 ソビエト国立交響楽団
 録音:1949年

 

この演奏を始めて聴いたのは、ムラヴィンスキーの初来日時の1973年に日本ビクターが発売したMK番号のLPで、ショスタコーヴィチの交響曲第6番の旧録音を収録したLPのB面だった。

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とにかく音が悪かったことだけが印象に残っている。

 

この新世界レコードの古い10吋盤にはEQカーヴはRIAAで再生するように日本語の記載があるが、RIAAで聴くとレンジが狭く妙に暗い音であまりよくない。

 

そこでいろいろいじってみたらold78で再生したら見違えるような音になった。

 

合唱もパンチの効いた響きで曲の壮大さとムラヴィンスキー特有のピリピリとするような緊張感を伴って響いてくる。

 

だがこの新世界盤はなぜかオケ表記がない。

英文タイトルも「SONG OF  WOODS」????

 

Youtubeは「森の歌」、テミルカーノフの指揮

 

 

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2020年10月30日 (金)

フリッチャイの「新世界より」、第一回録音

曇り、朝夕は冷えてきた。


流れる風に冬の気配。
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昨日の富士の姿。

農協の直売所でフェイジョアの果実を見つけてきた。

パラグアイあたりの南米原産の果実。

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甘酸っぱさが独特。

今まで経験したことのない種類の甘みだ。
だが実が小さくて食べる部分は少ない。

 

ちょっと遊んでみた。


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ハンガリーの指揮者フェレンツ・フリッチャイの「新世界より」を聴いた。

有名なベルリンフィルとの演奏ではなくて、RIAS交響楽団との旧録音。

聴いたのは日本グラモフォンから出ていた10吋モノラルLP.


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・交響曲第9番 ホ短調 「新世界より」 Op. 95, B. 178

 フェレンツ・フリッチャイ(指揮)
 RIAS交響楽団
 
 (1953年   ベルリン スタジオ録音)

「新世界より」はかつて沼響のホームページに100種の聴き比べを連載したことがあり、ここでフリッチャイの新旧二つの演奏も紹介している。

 

こちらも久しぶりの視聴。

今は再生環境が変わりEQカーヴの選択ができる。

ffrrで聴いたらぴたりとはまり、モノラルながら素晴らしい音で鳴っている。

 

演奏そのものは再録音とは全く別人の演奏。

そもそも演奏時間そのものが再録音よりも8分も短い。

 

猛烈に速いテンポ。


譜面の改変も散見されるけれども若々しくも怒涛の推進力がなんとも魅力的な演奏だ。

 

Youtubeはフリッチャイの「モルダウ」のリハーサル、不治の病に犯されながら亡くなる前の最晩年の姿です。

 

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2020年10月28日 (水)

ポール・パレーのラヴェル

秋も深まり10月も最終の週。
爽やかな風吹く晴れた日が続く。

夕方、千葉を震源地とする地震。
ここ沼津でも長い横揺れ。

月曜火曜は休みで母をクリニックに連れていき、昼食は「弥次喜多」でとんかつ定食。


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母はヒレカツ定食をぺろりとたいらげた。

帰宅後は庭の柿を採ったりいくつかの電灯をLEDに交換したり。

 

フランスの名匠ポール・パレーのラヴェルをEQカーヴを探りながらまとめて聴いた。

デトロイト響との米マーキュリーの一連の録音。

手持ちはCDもあるけれど今回はLPで。

国内盤LPとオランダ盤。

 

最初は国内盤LPでパレーの追悼盤として日本フォノグラムが手持ちのまとまった量の録音を出した時のもの。

ジャケットに1979年12月購入のメモが挟まっている。

パレーが逝ったのが同年の10月なのでかなりメーカーは早い対応だった。

 

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・クープランの墓
・道化師の朝の歌
・亡き王女のためのパヴァーヌ
・「マ・メール・ロア」組曲

 

続いてオランダフィリップスからでていたGolden import シリーズから2枚


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・ボレロ
・ラ・ヴァルス
・スペイン狂詩曲
・道化師の朝の歌
・亡き王女のためのパヴァーヌ」

 

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・優雅で感傷的なワルツ
・「マ・メール・ロア」組曲
・「ダフニスとクロエ」第2組曲

 

   ポール・パレー(指揮)
   デトロイト交響楽団
 
     録音 1957年 1959年 1962年

 

飄々として自然体のラヴェル。

色彩豊かにして男性的な剛直さも見せる。

「マ・メール・ロア」でのパゴダの女王レドロネットでのシロフォンの絶妙の入り。

そしてこれ以外考えられないような音のパレットへの配色の妙。

 

繊細な響きが幻想的に漂う「亡き王女のためのパヴァーヌ」など、モントゥーの名演に匹敵する名演だ。

 

速いテンポでさらりと流す小粋な「ボレロ」ではさりげなくオケの名人芸を披露。

次々に楽器を加えながら巨大な音の大伽藍を築き上げる感動的な「ダフニスとクロエ」の夜明けなど、実演を聞いたら圧倒的な感銘を受けただろう。

 

全編にわたって今まで聴こえなかった音が聞こえてくるのも驚きだ。

今回一部曲がダブりながらも国内盤とオランダ盤を聴き比べてみた。

 

響きの奥行や各楽器のリアルさなど、音は圧倒的にオランダ盤が良い。

 

EQカーヴはNAB.

国内盤ではRIAAとさほどの違いは感じなかったのに、オランダ盤ではNABがぴたりと嵌った。

 

Youtubeはパレーの「ダフニスとクロエ」

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2020年10月25日 (日)

ジュリーニのケルビーニ、そしてココログピックアップのことなど

本日快晴、朝は放射冷却で多少冷えた。
午後からは気温上昇。

湿度は低く快適な日本の秋。

昨日は畑に肥料を施したりと、その他雑用で一日が終わる。

畑のサツマイモを3本ほど試し堀りしてみた。

もう食べることができそうだったけれど、食べてみるとすじが多かった。

あと2週間ほど待った方がよさそうだ。

 

このブログはniftyココログを使っている。

Niftyはインターネット以前、パソコン通信の時代からFCLA(クラシックフォーラム)などで楽しませていただいていた。

 

このたびココログピックアップという新コーナーを立ち上げるということで、拙ブログが昨日紹介された。


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ココログピックアップの趣旨は

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■新コーナー「ココログピックアップ」について

トップページでひときわ目立つ大きな画像部分がピックアップコーナーです。

100万ブログ以上あるココログの中から、ココログ編集部で読み応えのあるブログや素敵なブログをピックアップして毎日、日替わりで2件ずつ紹介します。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
とのこと。

 

こんな書き散らしのブログを評価していただいて恐縮です。

 

このところ昨年大量にハードオフでゲットした外盤ジャンクLPを聴いている。

今日はイタリアの名指揮者ジュリーニの指揮でケルビーニのレクイエムを聴く。

聴いたのは伊EMIから出ていたLP。

 

ジュリーニの同曲2種の録音のうち最初のもの。


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・レクイエム ハ短調

   カルロ・マリア。ジュリーニ(指揮)
   ローマ聖チェチーチア音楽院管弦楽団 合唱団
   

    録音 1954年

 

ジュリーニは1967年に同曲を再録音。

 

聴いたのは1954年の最初の録音。

この曲はケルビーニの2曲あるレクイエムの最初の曲、独唱者のいない合唱のみのレクイエム。

 

針を下したときにあまりにもドロドロとした暗い音に、思わずレコードジャケットを見返した。

ステレオと書いてあるがオリジナルはモノラル。

このイタリア盤は疑似ステレオ化したものだったのだ。

 

最初EQカーヴをColumbiaにして聴いてみたけれど、どうやら違う。

いろいろ試してみて結局SP録音用のold78で聴いた。

 

演奏は重厚にしてひたすら暗いレクイエム。

全編に漲る緊張感は只事でない雰囲気。

 

ディエス・イレ導入直前には、暗く梵鐘のようなドラの音が強烈な音響で鳴り響く。

この音のインパクトがものすごく、演奏全体の印象を支配してしまっている。

 

音像定まらぬ疑似ステレオの音が空間を彷徨う恐ろしい録音だ。

 

演奏そのものは優れているのでこれはオリジナルモノラルできっちり聴きたい。

 

Youtubeはジュリーニ指揮のベートーヴェン、交響曲第9番「合唱付き」・・・名演です。

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2020年10月23日 (金)

エーリッヒ・クライバーの「田園」

今日は朝から雨。
漠然と日々を過ごしているうちに10月も後半。

混迷のこの一年もあと2か月余り。

 

昨晩夜遅くに裏山にイノシシが出没。

ゴソゴソ物音がするので外に出てみると山肌を駆け上がるイノシシの姿。

ヴォオーヴォーというすごい鼻息が聞こえてきた。


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我が家の愛犬ポコは吠えもせず寝ぼけ眼で私を見つめていた。

 

エーリッヒ・クライバーの「田園」を聴く。

聴いたのは英ECLIPSEのLPで疑似ステレオ。

ハードオフのジャンクコーナーからの救出品。

この演奏は、かつてキングレコードのMZシリーズの国内盤LPで聴きなじんだもの。

 

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・交響曲 第6番 ヘ長調 作品68《田園》

  エーリヒ・クライバー(指揮)
  ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

  録音:1953年9月 アムステルダム

 

久しぶりに聴いてみた。

 

かなりの名演だった記憶があったけれど、かつて聴いた印象以上の素晴らしい演奏だった。

速いテンポで颯爽と駆け抜けた第1楽章。

第2楽章では自然への賛歌をじっくり歌い上げ、アグレッシブ な第3、4楽章を経て、フィナーレでは大自然の中に抱かれるような大きな広がりのある感動的なクライマックスを築き上げていく。

 

この録音時のコンセルトヘボウ管はエドゥアルト・ファン・ベイヌムの時代。

自然な音楽の流れに管楽器のソロの名人芸。

E.クライバーのベートーヴェン録音の中でも屈指の名演だ。

 

息子カルロスにも「田園」のライヴがあるけれど父の演奏には及ばない。

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ただしこの擬似ステレオの音ははよくない。

EQカーヴはffrrなどいろいろ試したけれど結局old78で聴いた。


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モノラル盤はもっと優秀録音だったはず。

 

Youtubeはエーリッヒ・クライバーの「田園」

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2020年10月21日 (水)

ドラティのハイドン、ブックオフでの購入

今週は月曜が終日雨だったのでしばらく富士山は雪化粧。

今日は一日雲に隠れて富士山は見えない。

我が家の庭には遅れ気味の金木犀の花。


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柿は不作で3個しか生らなかった。

昨日は休みで不要になった本をブックオフに持って行ったりしていた。

 

比較的家の近くにあったブックオフは数年前に店を閉めてしまい、市内のもう一軒のブックオフはかなり遠い。

近隣の市町にも一件ずつブックオフがあり、中でも函南町のブックオフが規模も大きくて比較的近いのでいつもはそちら。

ここは時々クラシックCDの珍しい出物が時々ある。

 

今回は気分を変えてもうひとつの隣町長泉町のブックオフに行くことにした。

この店は久しぶり。

持参した本は20冊ほど。

古い本は値段が付かず結局買い取り価格は数百円。
こんなもんだろう。

 

断捨離中なのでできるだけ新しい本やCDは買うまいと思いつつも自然とCD棚へ。

東京への音盤購入回遊もこのコロナ禍で1月以来行っていない。

 

ここ数年の音盤購入は新譜狙いではなくて、ブックオフやハードオフ、その他のリサイクルショップ、そして時々ネットオークションを覗く程度での思わぬ出会いが楽しみになっている。

大部分は空振りが多い。

けれども今日はそれなりの出会いがあった。

ブックオフのCDの価格はかなり高めなのでいつも500円以下コーナーを漁る。


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一昨年のウィーンフィルの来日公演を聴いたヴエルザー・メストの若い頃の録音でモーツァルトの「ハ短調のミサ曲」。英EMI盤。

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同じシリーズでイギリスの名手ウイリアム・ベネットのフルートでヴィヴァルディの作品10のフルート協奏曲全曲。
伴奏はマルコム指揮のイギリス室内管。


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アンドルー・パロット指揮 タヴァナー・コンソート&プレイヤーズのブランデンブルク協奏曲全曲2枚組

以上290円


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バレンボイム指揮シュターカペレ・ベルリンでエルガーの大作「ゲロンティアスの夢」全曲CD2枚組。
510円。

 

ついでにレギュラーコーナーに寄ってみた。

ここで目に付いたのはドラティが今や解散してしまったフィルハーモニア・フンガリカを振ったハイドンの交響曲全集英LONDON盤CD33枚組。


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いくらかな?

と金額を見ると1800円!(税別)

 

確かこれ、国内でCDが初めて出たときは5万円を超えていたと思う。

廉価盤再発でも2万以上していていた。

全集中の有名どころはバラのLPやCDで架蔵済とはいえ番外の曲や異稿版や協奏交響曲も含まれている。

 

そういえばこの店ではプーランクの全集を格安で入手している。

 

ここで火が付いて他の棚を見ると以前沼響と共演していただいたチェリストの林峰男先生のCDを発見。

 

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カサドとコダーイ、黛敏郎の無伴奏チェロ作品集。


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そしてあのジョン・ウイリアムスのヴァイオリン協奏曲とフルート協奏曲。
VARESE盤。以上980円。

 

家に帰ったらJウイリアムス盤はダブリ買いでしたorz

冷静さを欠いてしまっていた。

 

Youtubeはウエルザー=メストの2018年、ウィーンフィルとの来日公演から「謝肉祭」序曲

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2020年10月18日 (日)

ダウンズのレスピーギ、「ベルファゴール」序曲のことなど

昨日からの雨は夜明け前には上がる。

気温は低く、富士山は冠雪。

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午後は畑作業。

ブロッコリーと白菜を植えた。

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イギリスの指揮者エドワード・ダウンズ(1924-2009)の演奏を聴く。

CHANDOSへの一連のレスピーギ録音から。

 

長らくコヴェンドガーデン王立歌劇場の指揮者だったダウンズは、その晩年視力を失い、
さらには難聴となっていった。

不治の病となった夫人とともに尊厳死を選んだことで知られる。

 

オペラ畑での活動が主だったダウンズだが、そのキャリアの末期に主にCHANDOSレーベルにBBCフィルを振って近代作曲家たちのまとまった数の録音を残している。

このレスピーギもそのひとつ。


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・歌劇「ベルファゴール」序曲
・トッカータ~ピアノと管弦楽のための
・3つのコラール
・スラヴ幻想曲~ピアノと管弦楽のための

  エドワード・ダウンズ(指揮 )
  BBCフィルハーモニー管弦楽団
  ジェフリー・トーザー(ピアノ)

  録音1994年1月

 

ダウンズの残されたレスピーギ録音はCDで4枚。

「ローマ三部作」や「リュートのための古風な舞曲とアリア」のような有名な曲は録音せずに、全てマイナーな管弦楽曲や協奏的な作品ばかり。

いずれも高水準の演奏で残されているのがありがたい。

収録されている作品は、いずれもレスピーギの手慣れて多彩なオーケストレーションが楽しめる。

「ベルファゴール」とコラール以外の2曲は自由な形式のピアノ協奏曲。

 

「ベルファゴール」はレスピーギの珍しいオペラ。

最近日本で全曲初演されている。

 

「3つのコラール」は、バッハのコラールプレリュードをレスピーギがそのままオーケストラ編曲したもの。

最初の曲は弦楽のみ。
2曲目は管楽器中心の比較的小編成の曲で3曲目はフルオーケストラによる壮大なもの。

いずれもよく知られたメロディなので聴いていてすんなり入ってくる。

だが有名なストコフスキーの編曲とはさほどの違いは感じられない。

シェーンベルクやウェーベルンのバッハ作品の編曲が見事に作曲家の個性が反映されているのとは対照的だ。

 

このアルバムの他の曲を聴いていて感じたのは、古い時代の作曲家の作品やグレゴリオ聖歌などの素材を巧みにアレンジして卓越したオーケストレーションでまとめ上げるレスピーギの技量の高さ。

これはレスピーギの他の著名な作品でも同じだと思う。

 

「スラヴ幻想曲」は最初どこがスラヴ風なのかさっぱりわからなかった。

ところが途中でドヴォルザークのスラヴ舞曲がそのままの形で出てきて、思わずのけ反った。

ともあれダウンズの演奏は実に見事。
ピアノもうまい。

 

気軽な気持ちで近代オーケストラの多彩な響きを楽しめる一枚だ。

 

Youtubeはレスピーギ編曲のバッハ、パッサカリア

 

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2020年10月16日 (金)

ベーム、最晩年のモーツァルト

流れる風に金木犀の香り漂う金曜日。
晴れた空に涼しい風。
秋が深まってきた。

狩野川越しに見える富士山の山肌はくっきり、そして微かに赤かった。
まさに刻露清秀

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今日は仕事を早めに終わらせてクリニックで定期検診。
インフルエンザの予防接種も所望したけども今は65歳以上限定とのこと。

 

ベーム最晩年のモーツァルトを聴く。

手持ちはグラモフォンの国内盤LP。
ベームの追悼盤として出たもの。

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・交響曲第29番イ長調 K.201 (186a)
・交響曲第35番ニ長調 K.385『ハフナー』*
・フリーメイソンのための葬送音楽 K.477 (479a)*

  カール・ベーム(指揮)
  ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 
   録音:1979年3月、1980年6月*
      ウィーン、ムジークフェラインザール

 

80も半ばを過ぎたベーム最晩年のモーツァルト。

B面の「ハフナー」から聴いた。

 

青春の輝きと老いとの共存。

長い間に数多くのモーツァルトを演奏し続けたベームとウィーンフィルの到達点。

 

レガート多用、遅めのテンポだけれども音楽は弛緩していない。

第3 楽章で響きに多少のだぶつきが感じられるとはいえ、指揮者とオケがお互いにいつまでも演奏を終わらせたくないようにも思える。

この第3楽章最後での長い音の極端な引き延ばしは、まさに後ろ髪を引かれるようだ。

 

最後の「フリーメイソンの葬送音楽」は鬼気迫るような慟哭の音楽。
コントラファゴットの深い響きは心の奥底を抉られるよう。

 

「ハフナー」の一年前の録音の29番はだいぶ音楽に張りと艶が感じられた。

テンポの揺れは こちらの方が大きかった。

EQカーヴはAES.

Youtubeはベームの「ハフナー」

 

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2020年10月13日 (火)

アニー・フィッシャーとムーラ・リンパニーのシューマン

10月も半ば.

先週の肌寒さから日曜あたりから30度近い夏並みの気温。

 

昨日は休みで母を3ヶ月に一度の検診に病院に連れて行っていた。
昨年肺がんの疑いの濃かった影は不思議と完全消滅。

脳も異常はなく80半ばを越えても認知症の兆候がないのが救い。
だが背骨が曲がり完全に老婆の歩みになっている。

 

帰りにはいつものお約束、回る鮨店で一緒に昼食。

食後にそのまま眼科へ連れて行き帰宅は夕方。

 

今日も暑い。最高気温は25度越えた。

休日二日目は農作業。
耕耘機で畑を掘り起こしたりしていた。

 

音楽はムーラ・リンパニーとアニー・フィッシャーのシューマン。

東芝EMIから出ていたセラフィムの廉価盤LPから。

 

女流名ピアニスト二人によるシューマン。

今から思えば入門用とはいえ絶妙の組み合わせだと思う。

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・ピアノ協奏曲 イ短調

 ムーラ・リンパニー(ピアノ)
 コンスタンティン・シルヴェストリ(指揮)
 ロイヤルフィルハーモニー管弦楽団

 録音 1959年

 

・「子供の領分」

 アニー・フィッシャー(ピアノ)

 録音 1964年12月14-17日 ウィーン

 

イギリスのピアニスト、ムーラ・リンパニー

リンパニーのシューマンは力強い中にも厚く柔らかな歌が良い。

アクが強く個性的なイメージのあるルーマニアの指揮者シルヴェストリだが、ここでは細やかなサポートを聴かせる。

 

そしてB面はアニー・フィッシャーの「子供の領分」

オリジナルLPでは「クライスレリアーナ」とのカップリングで両方ともCD化されている。

アニー・フィッシャーはハンガリーのピアニスト。

N響と共演したベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番の名演が印象深い。

 

リンパニーに比べてフィッシャーの演奏は頭ひとつ抜けた感じ。

落ち着いたしっとりとした音、暖かで美しいファンタジー豊かな表現。

 

それでいて軽みのようなものがある素晴らしいシューマンだ。

 

youtubeはアニー・フィッシャーの「子供の領分」

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2020年10月11日 (日)

オッテルローのスカンディナビア・コンサート、そしてスヴェンセンのロマンスのことなど

接近中の台風は北上を止めて突然のUターン。
勢力を弱めながら南下中。

本日台風一過とは言えず雲の多い日曜の朝。

増水した狩野川河川敷からの富士山も雲に隠れて見えない。

手前の愛鷹山は空気が洗われて緑が鮮やかだ。


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昨晩は義父母と娘夫婦も来て自宅で会食。

当初庭でバーベキューをする予定があいにくの雨で予定変更。

かなり飲みすぎて今日は二日酔い気味。

 

オランダの指揮者、ウイレム・ヴァン・オッテルローで、北欧の作曲家たちの作品を聴く。

フィリップス原盤の国内盤LPでステレオ録音。

外盤ではMercuryからも出ていた。


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・交響詩「フィンランディア」   
・悲しきワルツ       :以上シベリウス
・前奏曲          :ヤーネフェルト
・子守歌          :ヤーネフェルト
・スウェーデン狂詩曲第1番 :アルフェーン
・2つの悲しき旋律     :グリーグ
・ノルウェー舞曲から4曲  :グリーグ
・ヴァイオリンとオーケストラのためのロマンス  :スヴェンセン

  ウイレム・ヴァン・オッテルロー(指揮)
  ハーグフィルハーモニー管弦楽団

  録音:1963年ころ

オッテルローは実演に接する機会がありながら聴く機会を逃してしまったことで印象に残っている。

1977年、オッテルローは札幌交響楽団への客演が予定されていた。

確かブラームスの1番をメインとするプログラムだったと記憶している。
ところがその年の7月に交通事故で突然逝ってしまった。

 

このLPは北欧の作曲家の小品を集めたもの。

10数年前にもこのLPについて言及している。

 

豪快に速いテンポで突き進む「フィンランディア」。

各楽器が完璧に近いバランスで鳴りきっているので、音量を上げても粗さは感じられない。
爽快そのものの演奏だ。

「悲しきワルツ」も速い。

だがさらっとしすぎてこの曲にはもう少し豊かな歌が欲しい。

 

中では軽快なヤーネフェルトの前奏曲とグリーグのノルウェー舞曲が非常に良かった。

 

最後のスヴェンセンはヴァイオリンソロが非常に良くて、しみじみと感動的な演奏を聞かせてくれる。

ソリストについての記載はないが、おそらく名コンマスとして名を馳せたテオ・オロフではなかろうか。

 

ハーグフィルには1951年からヘルマン・クレバースとテオ・オロフという世界的なコンマスが在籍していた。

 

やがてクレバースはコンセルトヘボウ管に引き抜かれ、1974年にはオロフもコンセルトヘボウ管へ移ってしまった。

その時のオッテルローの落胆ぶりは、かつて月刊誌「ストリング」に詳細なレポートが書かれていた。

 

このスヴェンセンでのヴァイオリンソロが素晴らしい。


ソリストとしての録音が非常に少ないオロフなだけに、このソロを聴くだけでも価値のあるアルバムだ。

 

Youtubeはスヴェンセンの「ロマンス」

 

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2020年10月 9日 (金)

アントルモンのサン・サーンス

接近する台風の影響で朝から雨。
時間の経つのは早く今日は金曜日。

今週もオケの練習はお休み。

仕事は現役時代とさほど変わらぬ忙しさ。
だが、かねてから自分が構想を膨らませていた内容なので苦にはならない。

 

今日はフランスの作曲家サン・サーンスの185回目の誕生日らしい。

ピアノ協奏曲を聴く。

演奏はフランスのピアニストにして指揮者、フィリップ・アントルモン。

1970年代のコロンビアへの全集録音から。

手持ちはドイツコロンビアの全集録音LP3枚組。

 

これは全5曲のピアノ協奏曲 のほかにピアノがソリスティックに活躍する管弦楽作品も 含めた完全全集 。


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・ピアノ協奏曲第1番ニ長調 Op.17
・ピアノ協奏曲第5番ヘ長調 Op.103『エジプト風』
・ピアノ協奏曲第2番ト短調 Op.22
・ピアノ協奏曲第4番ヘ長調 Op.44
・ピアノ協奏曲第3番変ホ長調 Op.29
・オーヴェルニュ狂詩曲 ハ長調
・ウェディング・ケーキ Op.76
・幻想曲ト短調『アフリカ』 Op.89

   フィリップ・アントルモン(ピアノ)
   ミシェル・プラッソン(指揮)
   トゥールーズ・キャピトル管弦楽団

       録音:1976~1977年

最初に協奏曲のみがCD化されたが、アントルモンの協奏曲録音全集の中には全曲収録されている。

若い頃は 無類の テクニシャンとして鳴らしたアントルモン得意のサンサーンス。
第2番と4番は再録音 。

 

第5番から聴いた。

細かなパッセージまで完璧に弾き分けて、単に指が回るだけではなく美しくも叙情的。
そして第5番特有のエキゾティックな雰囲気も匂い立つ見事な演奏だ 。

確かなテクニックと強靭な打鍵。

爽快にして洒落たテイストもあり、2番の怒濤のフィナーレや第4番でも表面的な華やかさとは一線を画する格調の高さが感じられるのが見事。

プラッソンの伴奏にも不満はない。

ダルレやチッコリーニといった世評の高い演奏に比べても遜色はない名演だ。

 

Youtubeはアントルモン、若き日のサン・サーンス、ピアノ協奏曲第4番から

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2020年10月 7日 (水)

ライナーの「展覧会の絵」

曇りのち雨、南から先月と同じようなコースで台風が接近中。
今週末は雨になりそうだ。

昨日は休みで母をクリニックへ連れて行きインフルエンザの予防接種。
その後一緒に吉野家で昼食。

 

先日でテレビで紹介していた黒毛和牛のすき焼き。

 

洗濯しようとしたら洗濯槽の中にヤモリ君の子供!
急いで救出したら脱糞。

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レコファン渋谷BEAM店が10月で閉店することを知った。

コロナの影響だという。

 

広いスペースに豊富な在庫。

開店当初は比較的珍しいLP盤が格安で出ていた時もあったけれど最近は値段が高め、立ち寄ることも少なくなっていた。

 

ここにはエレベーターを降りてすぐ前に雑多なLPの入ったジャンクLP箱があった。


クラシックは少なくて、あってもほとんどは大量に出回っていた一般的な盤だったけれど、時折60年代頃のバジェットな廉価盤が入っていた。

 

名高い名盤は入手は容易。
けれども意外と一昔前の古い廉価盤は入手難だったりする。

ローターや史上最も遅いデルヴォーのボレロなどはここでの発掘品だった。

 

フリッツ・ライナーの「展覧会の絵」
手持ちはRCAの日本ビクター廉価盤LP。

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・組曲「展覧会の絵」
・交響詩「はげ山の一夜」

 フリッツ・ライナー(指揮)
 シカゴ交響楽団

 録音 1957年  シカゴ、オーケストラ・ホール

EQがよくわからずRIAAで聴いた。

 

一音ずつ区切るようなプロムナード、音が溶け合ってオルガンのように響くブラスセクション。

音に無駄がなくあるべき姿でその場に鳴っている。

 

この演奏はかつて沼響のHPに連載した「展覧会の絵」の聴き比べの時にも聴いている。

 

古い記事で基本的な感想は変わらないけれど、久しぶりに聴いて演奏自体にどこか冷めているような、遠くからモノを客観的に見つめているかのような印象を持った。

 

20年近い年月に自分の感性も変わってきたからだろうか、

 

Youtubeはライナー指揮のバルトーク、「弦楽器、打楽器、チェレスタのための音楽」からフィナーレ

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2020年10月 4日 (日)

カーネギーホールのシモン・バレル

薄曇りの10月最初の日曜日。

朝、ポコとの散歩。

小川のほとりの彼岸花は色褪せてきた。

 

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白い彼岸花一輪。

 

昨日は愛犬ポコの誕生日。

 

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沖縄生まれのポコは満9歳になりました。

 

アメリカのピアニスト、シモン・バレルの弾くリストを聴く。

LP初期のマイナーレーベル、米レミントンのLPでカーネギーホールリサイタルのライヴ。

 

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・ピアノソナタ ロ短調
・詩的で宗教的な調べ S173/R14 - 第7曲 葬送

  シモン・バレル(ピアノ)

      録音 1947年11月11日 カーネギーホール ライヴ

バレルは若い頃サーカスでピアノの超絶技巧を披露して生計を立てていたという。

ひとつひとつの音を着実に鳴らすテクニックに裏打ちされた中での音楽性の高さ。

そして艶やかな音。

 

決して指が早く回るだけのサーカス的なピアニストでなかったことを実感するアルバム。

 

リストのソナタはあまりにも重すぎて自分には苦手な曲だけれど、バレルの演奏だとすんなり入ってくる。

このカーネギーホールリサイタルの全貌は英APR盤で架蔵済み。

バレルは1951年にこのカーネギーホールのステージ上で演奏中に急逝している。

 

EQカーヴはNAB.

 

Youtubeはシモン・バレルの弾くリスト、「ラ・カンパネッラ」

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2020年10月 2日 (金)

エジダ・ジョルダーニ・サルトリの弾く17世紀イタリアの鍵盤音楽

くもりのち晴れ。

昨日は中秋の名月。

雲も無く美しい月が見ることができた。

 

写真を撮ろうとしてもタブレットのカメラでは単なる白い丸。

左下の白い点はレンズのほこりではなく火星のようだ。


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久しぶりにイタリアン・ボルカノでBCランチ。

 

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今日は休みで午前中ブックオフの途中で銀行に寄ると、今年退職した同じ職場の後輩に会った。

彼とはかつて人事異動で自分と入れ替わりとなり仕事の引き継ぎをしたことも。

 

彼は退職後に再雇用を希望しなかった。

聞くと今は異業種の会社で働いているという。

 

自分は知らなかったが特殊な技能を持っていたようだ。

人それぞれの人生、生き生きとした姿が眩しかった。

 

 

本日午後は畑作業、夏野菜の残滓を片付けて次の作物の準備など。

涼しくて作業が捗った。

裏山の山奥からは出遅れたツクツクホウシの鳴く声が小さく聞こえてきた。

 

 

今日はイタリアの女流チェンバロ奏者サルトリ(Egida Giordani Sartori 1910-1999)のソロ。

イタリアfontanaのLPで17世紀イタリアの作曲家たちの作品を集めたもの。

 

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・Toccata I Dal II Libro
・Aria Detta La Frescobalda
・Partite (12) Sopra L'aria Di Ruggero 
  :Girolamo Frescobaldi(1583-1643)

 

・VIII Corrente, Dal Libro Di Toccate E Torrenti
・X Corrente, Dal Libro Di Toccate E Torrenti  
・VII Toccata, Dal Libro Di Toccate E Torrenti  
:Michelangelo Rossi(1601-1656)

 

・Toccata Con Lo Scherzo Del Cucù
・Partite Diverse Di Follia             
   :Bernardo Pasquini(1637-1710)
・Toccata In La Magg.
・Toccata In Sol Min.        
  :Alessandro Scarlatti(1560-1625)

 

  エジダ・ジョルダーニ・サルトリ(チェンバロ)

 

パスクイーニの作品は後にレスピーギが小オーケストラのために作曲した組曲「鳥」の原曲となった。

 

サルトリは4歳でイタリア国王の前でピアノを演奏し、6歳で音楽院に入学している。
その後チェンバロ奏者に転向してイタリアを代表する奏者になった。

サルトリといえば、名手グリュミオーとのバッハのヴァイオリンソナタ全曲録音が思い出される。

手持ちのソロの音盤はこの1枚のみ。

 

モダンチェンバロによる恰幅の良い重厚な演奏だった。
男勝りの鋼のような音色と鮮やかなテクニック。

 

パスクイーニでは明るく繊細な音楽を聞かせたと思うと、スカルラッティでは豪快にして華麗な技を展開。

モダンチェンバロの特性を生かした力強い打鍵はとてもチェンバロの演奏を聴いているとは思えないほど。

 

聴いているうちにサルトリはきっと姉御肌のきっぷのよい女性だったんだ、と勝手に想像。
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EQカーヴはAES。

 

Youtubeはレスピーギの「鳥」から終曲

 

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