シッパーズのプロコフィエフ
雨のち晴れ、朝のうち細かな雨。
昨日、高校時代の恩師の訃報が入ってきた。
先生は自分が在学中の吹奏楽部の顧問で、その暖かな人柄と教養の深さで多くの人たちの尊敬を受けていた。
数年前に有志と先生の喜寿のお祝いの会を開いたことが昨日のように思い起こされる。
大変お世話になりました。
ご冥福をお祈りいたします。
アメリカの指揮者トーマス・シッパーズ(1930-1977)を聴く。
シッパーズの生年はマゼール、カルロス・クライバーと同じ。
その前後の指揮者にはハイティンクやプレヴィン、アバドらがいる。
シッパーズについてはイタリア放送局が制作したドキュメンタリー映像が残されている。
このシリーズには他にアバド、小澤征爾、メータのほか長老ヴィットルド・グイも取り上げれていて、かつてレーザーディスクの国内盤が発売されていた。
かなり以前に見たおぼろげな記憶では、シンシナティ交響楽団に就任した時の映像から始まっていた。
そこには地元シンシナティ市民の熱烈な歓迎の様子が、シッパーズの死に先立ち同じ癌により世を去った美しい夫人とともに紹介されていた。
シッパーズはアメリカの指揮者としてもバーンスタインに次ぐ世代の指揮者として期待され、若い頃からオペラを中心に精力的なレコーディングをおこなっていた。
ベルリンフィルにも客演し、弱冠33歳にしてバイロイトにも登場。
1967年の大阪国際フェスティバルのバイロイト引っ越し公演で来日し、「ワルキューレ」を振っている。
同世代の指揮者の大部分は既に故人となってしまったけれども、シッパーズも長命していれば世界の指揮者サーキットの中でも間違いなく同様な役割を果たしていたと思う。
シッパーズのコンサートピースの録音としてはサミュエル・バーバーの管弦楽曲集が印象深い。
今日聴いたのはシッパーズの生涯最後のポスト、シンシナティ交響楽団音楽監督時代の録音、シューベルトの交響曲第9番(第8番)グレートと呼ばれるハ長調の交響曲。
VOXへの録音で手持ちはVOX盤とイタリアファブリのLPがあるけれども今回はイタリア盤で聴いた。
・交響曲第9番 ハ長調
シンシナティ交響楽団
第一楽章冒頭の超スローモーな開始に吃驚する。
このまま最後までいったらと心配になってしまうほど。
主部に入ってから猛烈な加速。
後半の二つの楽章の音楽の力漲る推進力が素晴らしい。
EQカーヴはNABがうまく嵌らずRIAAで聴いた。
もう一枚はEMIへの録音でプロコフィエフの交響曲第5番。
・交響曲第5番 変ロ長調
フィルハーモニア管弦楽団
録音:1957年
手持ちは東芝セラフィムの国内盤。
こちらはColumbiaカーヴがピタリと決まった。
かなり以前から聴き込んでいた演奏だが、各楽器の細部の動きと微妙なニュアンスが明瞭になり、あらためてシッパーズの力量を感心した次第。
この時シッパーズは27歳。
若々しいフレッシュでパンチの効いた音楽運び、オケを十二分にドライヴして豪快に鳴らす技はとても20代の指揮者とは思えない。
シッパーズのEMI録音の大部分はオペラ録音だが、このプロコフィエフのレコーディングがいかなる理由で実現したのか知りたいところ。
Youtubeはシッパーズ指揮するベルリオーズ、「クレオパトラの死」。ソプラノがギネス・ジョーンズ
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