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2020年12月17日 (木)

ロシア正教会聖歌集

12月も折り返し地点、今年もあと2週間余り。

今日も冷えてこの冬初めてのコート着用。

 

今年はまさに国難の年。
大規模な戦争に匹敵するような世界的な大厄の年になってしまった。

本日東京は感染者800人超え。
夜に東京に住む娘とLINEで通話。

 

ロシア正教会聖歌集を聴く。

 

Img_20201217_221449

メロディア録音のビクター国内盤LP2枚組。

ユルロフ指揮のアカデミー・ロシア合唱団による演奏。

 

ロシア革命以後、旧ソビエト政権下ではロシア正教会は弾圧を受けていた。

この演奏の録音はその旧ソビエト政権下の時のもの。

この録音以前にはロシア正教会聖歌をこれほど体系的に伝える録音はなかったと思う。

 

16~18世紀のロシア正教会聖歌を収録。

 

最初に初期の単旋律の曲の6曲を。
これら初期の大部分は作曲者不詳、最近発見された古い時代の筆写譜面を復元したもの。

やがて17世紀以降の複旋律の時代に移って、最後にこの分野では著名なポルトニャンスキーなどの「合唱コンチェルト」と呼ばれる特異なスタイルの曲までを収録。

 

ロシア正教会聖歌は10世紀ころ、ロシア正教会の典礼においてギリシャ正教のギリシャ語によるビザンツ式の単旋律聖歌が輸入されたことから始まるとされる。
これがスラヴ化されロシア正教会聖歌の源流となる。

 

古い時代に東西ヨーロッパで単旋律として歌われていた聖歌は、西ヨーロッパでは複旋律へと推移しやがて器楽曲を含むルネッサンス、バロック音楽の時代に向かっていく。

 

ところがロシアでは16世紀になってから複旋律の機運が高まり、18世紀に入ってポルトニャンスキー、ベレゾフスキーら偉大な作曲家が登場していく。

 

西側がバロックから古典派へとオーケストラも導入しつつ進化していく中で、ロシアでは聖歌を除くすべての音楽が禁止され、器楽曲の発展は極端に遅れていった。


その聖歌もギリシャ正教の伝統を守りアカペラの世界に徹していた。

 

源流を一つにしながらも東西ヨーロッパで枝分かれし、独自の進化を遂げてガラパゴス化したロシア独特の音楽世界をこのLPで体験できる。

 

アカデミー・ロシア合唱団の演奏は重厚な響きと正確無比なアカペラで聴き手に迫る説得力のあるもの。

 

Youtubeはロシアのモーツァルトとまで言われたポルトニャンスキーの「ケルビムの歌第7番」。名作です。

 

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