ミュージック・エコーの朝比奈隆
気温低めの快晴。
富士山の雪は風でだいぶ飛ばされている。
コロナ感染は収まる気配はなく宮城県など局所で増加傾向。
変異種も増えてヨーロッパではロックダウン継続中。
中東に住む友人からの私信でもあちらもひどい状態とのこと。
今日は70年代に学研から出ていた教育雑誌、「ミュージック・エコー」の付録17センチEP盤から朝比奈隆の演奏を聴く。
前橋汀子のヴァイオリンでチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲とシューベルトの「未完成」の交響曲。
・ヴァイオリン協奏曲ニ長調
前橋汀子(ヴァイオリン)
朝比奈隆(指揮)
大阪フィルハーモニー交響楽団
録音 1972年1月6日~17日 箕面市民会館
チャイコフスキーは若き前橋汀子のソロが芯のはっきりした美しくもキリリ と引き締まった音、そして前へ前へと突き進む攻撃的ヴァイオリンが印象的だ。
一方の朝比奈の伴奏は重厚さよりも軽く美しい歌を前面に押し出したもの。
ときおりユニークな解釈を聞かせていて、第一楽章終結部の強烈な弦楽器のテヌートははじめて聴く
朝比奈隆はグラズノフの弟子メッテルに師事している。
海外の朝比奈隆の死亡記事ではロシア音楽のスペシャリストとして紹介されていた。
そしてもう一枚はシューベルトの交響曲第7番「未完成」。
(どうも未完成=8番が刷り込みになっていて7番だと多少の抵抗感が)
・交響曲第7番 ロ短調D759「未完成」
朝比奈隆(指揮)
大阪フィルハーモニー交響楽団
録音 1972年1月17日 箕面市民会館
こちらもミュージック・エコーの付録シングル盤で文字通り未完成に終わった第3楽章のシューベルトが作曲した部分を最初に収録している。
この前日に録音されたベートーヴェンの「運命」もミュージック・エコーの附録として出ていた。
ちなみにこの「運命」の録音は後に朝比奈隆が何度も録音を繰り返したベートーヴェンの交響曲録音の第1号にあたる。
収録されているのはオーケストレーションされた最初の数小節をオーケストラで、続けてピアノ譜のみが残された部分をピアノで演奏。ピアノソロの部分は完成された部分まで。
そしてしばらくのインターバルの後に聞きなれた「未完成」の第一楽章の低音弦の音が聞こえてくる。
あたかもバッハ未完の「フーガの技法」の最後にも似た突然の終わり。
これが実に効果的だ。
朝比奈隆のシューベルトはゆったりロマンティック。
大人の風格の感じられるもの。
第一楽章終結部でテンポを大きく落とすのが個性的。
第二楽章では音楽運びが多少重く感じられるけれども、弦楽器に乗る木管楽器のソロの歌わせかたが実に良い。
Youtubeは朝比奈隆の「未完成」
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