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2021年9月27日 (月)

アレクサンダー・ルンプフのシベリウス、「アンダンテ・フェスティーボ」のことなど

9月も最終の一週間。


ここ数日気温が下がったのと昨日の雨で富士山頂は真っ白だった。


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9月最初の月曜日の7日にもうっすら白かったけれど今日が正式な初冠雪らしい。

 

本日休みで母の3ヶ月に一度の定期検診のため脳外科の病院へ連れて行く。

病院の駐車場で職場の同期とぱったり会った。
彼も定期的にこの病院に通っているのだという。

病院の院長先生は数年前に102歳で逝った大叔母の小学校教師時代の教え子。

その事をよくご存じで、いろいろと面倒を見てくれている。
多少のリップサービスもあるけれど、母を元気づけてくれるのがありがたい。

 

シベリウスの「アンダンテ・フェスティーボ」を聴く。

この曲は今ではかなり知られた曲になって、アマオケで演奏されたり北欧系のオケの来日公演のアンコールピースになったりしている。

シベリウスの自演録音もあるけれども、80年代頃までは自演以外は録音がほとんどなかった。

 

自分がこの曲を初めて知ったのは学生時代。

FM放送でN響の過去のライヴでアレクサンダー・ルンプフという指揮者が振った演奏が流れていてたちまち好きになった。

 

ルンプフはN響をしごきにしごいたウイルヘルム・シュヒターの後任として1964年にN響の常任指揮者となった人。

ところが僅か1年で辞めて本国に帰ってしまった。

この時以降、1990年のデュトワの就任までN響が常任指揮者を置くことはなかった。

いったい何が起こったのだろう?

このあたりのいきさつを記した証言を目にしたことがない。

キングレコードがN響の過去のライヴを集中的にCD化したときもルンプフの録音は伴奏録音ばかり。

 

ルンプフのシベリウスはN響の演奏記録を見ると1965年3月16日東京文化会館とある。

当日はオールシベリウスプロで、江藤俊哉を迎えたヴァイオリン協奏曲を中心に、「アンダンテ・フェスティーボ」のほか「カレリア」組曲、交響曲第1番、「フィンランディア」が演奏されている。

 

ルンプフの他のコンサートの曲目を見ると一般的な曲ばかりで目新しさや主張は感じられない。

その中でこのオールシベリウスプロがかなり目立つ。

ルンプフにとってシベリウスは特別な作曲家だったのだろうか。

 

ルンプフの「アンダンテ・フェスティーボ」の演奏は、かつてシベリウスの自作自演とされ後に本物のシベリウス録音が出てお蔵入りとなってしまったFINLANDIAレーベルから出ていた演奏録音に非常に近いテンポで非常な名演だ。


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当時私はすっかりこの曲の虜となって、他の録音を探してもなかなか見つからなかった。

 

ようやく入手したのが、80年代に東芝EMIが出した「北欧の叙情」シリーズのこのグローヴスの演奏。


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ところがルンプフのじっくり重厚な演奏が刷り込みになってしまって、かなり速いテンポのグローヴス盤にはしばらくなじめなかった。

久しぶりに聞き直してみたらグローヴス独特の暖かさがストレートに伝わってきて、文句なく楽しめた。

 

実演ではネーメ・ヤルヴィがエーテボリ交響楽団を率いた来日公演で、沼津まで来てくれた時にアンコールで聴いた名演が忘れられない。

 

Youtubeはエストニアの学生オケのアンコールで「アンダンテ・フェスティーボ」を指揮するネーメ・ヤルヴィ。

 

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