« 2021年9月 | トップページ | 2021年11月 »

2021年10月に作成された記事

2021年10月29日 (金)

小澤征爾、水戸室内管とのモーツァルト

爽やかな秋晴れの10月最後の金曜日。


250562634_4540276152758403_6738243782621

蒼天に映える今朝の富士山。

狩野川の水面も蒼でした。

 

小澤征爾のモーツァルトを聴く。

水戸室内管との一連のモーツァルト録音の中から交響曲第40番と管楽器のための協奏交響曲。

 

436

・交響曲第40番ト短調 K.550(第1稿)
・管楽器のための協奏交響曲変ホ長調 K.Anh.9(297B)(レヴィン復元版)
 
 工藤重典(フルート)
 ラデク・バボラーク(ホルン)
 宮本文昭(オーボエ)
 ダーグ・イェンセン(ファゴット)
 小澤征爾(指揮)
 水戸室内管弦楽団


       録音:2004年7月、水戸芸術館

 

若い頃からコンスタントに録音を続けている小澤征爾。


だが録音のレパートリーは広いようでそうでもない。

おそらくレコード会社の方針のためと思うけれどもいわゆるベートーヴェンやブラームスなど独墺系王道の交響曲全集はサイトウキネンオーケストラが出来てから。

 

実演では何度も演奏しているシューマンの交響曲は1曲も録音を残していない。

ちなみに私が聞いた小澤征爾の3回の実演のうち、2回はシューマンの交響曲がメインのプログラムだった。(第2番と第3番、オケは新日本フィル)


そしてあとの1回はブラームスの交響曲第3番を前プロとしてメインはフォーレのレクイエム。

 

フランスものでは、ベルリオーズが充実しているのは師のミュンシュの後継者として期待があったのかもしれない。

ボストン響との一連のラヴェル録音は最上の演奏とは言えない出来だし、ドビュッシーはカンタータ「選ばれた乙女」1曲のみしかない。

 

オネゲルやメシアンもかなり良いのにいずれも若い頃の録音。

 

モーツァルトもかつては少なかった。

その中でこの第40番は名人の揃いオケをドライヴして、自然の流れの中で曲の良さをストレートに伝えてくれる素晴らしい出来だ。

 

第40番はかつて自分も演奏したことがある曲なので、どうしてもホルンパートに耳が集中してしまう。

ここでは特に2番ホルンの雄弁さが印象に残った。

メンバー表を見たらホルンの1番はベルリンフィル首席だったバボラーク、2番ホルンは長い間バンベルク響の首席奏者だった水野信行氏。

 

スター奏者を揃えながら、それぞれのメンバーの音が混然一体となって非常に高度なレベルで溶け合った響きとなっているのが素晴らしい。

なおここではクラリネットなしの第1稿を使用。

 

K.Anh.9(297B)の協奏交響曲はモーツァルトの自筆譜が存在せず、偽作とされる説もあるほど。

一般の演奏譜として残るフルート、クラリネット、ファゴット、オーボエの版は他の人の手によるもの。


ここではレヴィンとリース編によるフルート、オーボエ、ファゴット、ホルンによる版を使用。

この形がモーツァルトのオリジナルとされる。

オケの部分もレヴィンによって一部手を加えられていて聞き慣れない音が鳴っている。

 

ここではソリストたちの見事な名人芸に酔う一枚。

 

Youtubeはバーンスタインの「ヤング・ピューピルス・コンサート」で「フィガロの結婚」序曲を指揮する小澤征爾。


当時小澤征爾はニューヨークフィルのアシスタントコンダクターとしてバーンスタインの下で研鑽を積んでいた。

 

| | コメント (2)

2021年10月28日 (木)

富士宮での音盤捕獲、エルケルのオペラ「バーンク・バーン」のことなど

晴れ時々曇り、本日の最高気温は25度。

昨晩小雨が降って富士山はしっとり雪化粧。


先日所用で富士宮まで行っていた。

Img_20211021_161029

身近で見る富士山の威容。

自宅から見るよりちょうど角度が90度異なり距離も遥かに近い。
見慣れている落ち着いた富士山の美しさより威圧感もありインパクトは遥かに大きかった。

こんな近くでもし噴火したら大変なことになりそうだ。


途中でハードオフを見つけた。ムクムクと湧き上がる音盤探訪の欲求。
近隣市町のブックオフ、ハードオフの中で富士宮店はまだ一度も入ったことが無い。

中に入ってみる。比較的新しい店舗のようだ。

奥の一室にオーディオコーナーがあり、QUADの古い真空管アンプのセットとラックスマンの真空管アンプのいくつかが目に入った。
部屋の一角にレコード棚。

あい変わらず1300円の廉価盤が1枚平均770円ほどで高め、内容も一般的なものばかり。

お目当てのジャンクLPを探すけれどもコーナーがなかなか見つからない。


途中で見つけたレギュラーCDコーナーは新品と変わらぬ値付け。
半ばあきらめているうちに反対側の壁面にジャンクコーナーが目についた。
オーディオやアクセサリー類に交じって壁面1面にレコードコーナー。


パブロフの犬そのままに足は自然とそちらへ。

コーナーの中身はジャンル分けされておらず雑然と並ぶLPレコード。

表面に出ている凝ったジャケット類を見て直感的にこれは良さそうだなと判断。

時間もないので左端から順番にサルベージ。


すると出た出た。


いきなりハンガリーの名指揮者フェレンチクの振るウィンナワルツ集、ハンガリー、フンガロトン盤。
そしてコシュラー指揮スロバキアフィルによるフランクの交響曲OPUS盤。
R538232614796525285358jpeg


R572927514640429444607jpeg

他にベルギーのシュヴェトーニュ修道院聖歌隊によるヴェスペレ集。Koch盤。

シェーンベルクの「ピエロリュネール」自作自演、米オディセィ盤などなど。
R31051301316347275jpeg


パツァークの歌うR。シュトラウスの歌曲集「商人の鑑」全曲オーストリア・プライザー盤。ピアノ伴奏はワルター・クリーン。

R602536215488442137130jpeg

ハンガリーのバリトン、イシュトヴァン・ガチによるシューベルトとシューマンの歌曲。
ピアノ伴奏はラーンキ。

R523172913913589983098jpeg

グノーのレクイエム、世界初録音仏ARION盤。
これは同じ演奏家のCDが家にありました。

Arn38443


グルックの歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」全曲、リヒター指揮のミュンヘンバッハ管、独グラモフォンのLP2枚組。
ソリストはフィッシャー=ディースカウ、ヤノヴィッツ、エッダ・モーザなど往年のトップクラスの名歌手たち。

A_20211029000801

いずれも110円(一部220円)

別の段にまとめてセット箱もの数点。

ハンガリー国歌作曲者にしてハンガリーオペラの幾つかを書き上げたフェレンツ・エルケルのオペラ「バーンク・バーン」全曲。LP3枚組

Ferencbankbannm19693lpboxhungarianimport

指揮はヤーノシュ・フェレンチク、オケはエルケルが創設したブタペストフィルによるもの。


エルケルは有名な「ラコッツィ行進曲」のメロディをベルリオーズに伝え、そしてブタペスト最大の歌劇場、エルケル劇場に名を残す人物としても知られる。

ハイドンの歌劇「アルミーダ」全曲。

22100_1

ドラティの指揮ローザンヌ室内管によるもの。
タイトル・ロールはジェシー・ノーマン。
独フィリップスLP3枚組

「ハンガリー国立歌劇場の名歌手たち第3巻」、フンガロトンのLP5枚組。
これはハンガリー国立歌劇場で活躍した歌手たちのアンソロジー。

150503

指揮はフェレンチク、ルカーチ、レエル、パルなど主にハンガリー国内で活躍した面々。
歌手はほとんど知らぬ人たち。


フランスの名歌手ジョルジュ・ティルによるフランスオペラのアリア集、英EMIからのLP5枚組。
Sl400_20211029001001

モンテヴェルディの歌劇「ポッペアの戴冠」テレフンケン盤LP3枚組、アーノンクールの指揮。

箱セットものは全て330円均一。

おそらく同一所有者の放出品で、歌もの中心に特にハンガリー関係のかなり特殊的な音盤の数々。


エルケルのオペラはおそらく国内で発売されたことはないと思う。

リサイクルショップは思いがけない逸品に格安で遭遇することがあり、まさに未知の貴重音盤の宝庫。

| | コメント (0)

2021年10月27日 (水)

ウイリアム・シューマンの交響曲第3番

昨日からに引き続き穏やかな良い天気の水曜日。

10月も最終週となって頰に触れる風には微かに冬の気配。

今年の秋は短いようだ。


Dsc02959-1

ご近所の柿がたわわに実っているけれども我が家の柿は不作。

今年は結局10個あまりしか採れなかった。

 

昨日休みで午前中はクリニックに行き定期検診。

ついでにインフルエンザの予防接種。

 

なじみの看護師さん曰く・・・


「今年はコロナワクチンの製造に資材が取られてインフルエンザワクチンの生産が少ないです。在庫が少なくなってきました」とのこと。

 

なるほど・・・

 

そのまま近くの市役所へ行き衆議院選挙の期日前投票へ。

投票所には行列ができていた。

 

正午過ぎに帰宅。


午後には腰が痛むという母を連れて整形外科へ。

気がつくともう夕方。

休日は時間が経つのが速い。

 

20世紀アメリカの作曲家、ウイリアム・シューマン(1910-1992)の交響曲を聴いている。

 

交響曲を書いた20世紀アメリカの作曲家ではコープランド(5曲、但し番号付きは3曲)のような著名人もあるけれど他にも数多くの作曲家がいる。

 

思いつくままにW.シューマンのほか、サミエル・バーバー(2曲)ロイ・ハリス(13曲)、ウオルター・ピストン(9曲)ヴィンセント・パーシケッティ(9曲)、ハワード・ハンソン(7曲)、アラン・ホヴァネスは実に67曲!

そしてレナード・バーンスタインが3曲。

 

W.シューマンには番号付きの交響曲が10曲ある。(第1,2番は破棄されたため実際は8曲)

 

聴いたのはNAXOSから出ているジェラード・シュウォーツ指揮シアトル響のW.シューマン交響曲全集録音から第3番と第5番の1枚。

先月ブックオフの1000円以下CD全て半額セールでの捕獲品。

この時6番と8番以外の6曲をゲット。

 


8559317

・交響曲第3番
・交響曲第5番『弦楽のための交響曲』*
・バレエ音楽『ジュディス』**
 
 ジェラード・シュウォーツ(指揮)
 シアトル交響楽団

  録音:2005年9月 1991年1月*
     1992年1月**

 

アメリカの作曲家たちの交響曲の多くは伝統的な技法と形式で書かれているので、さほど難解には感じられない。

 

それぞれ独自の個性はあるけれども、ちょい聴きにはどれがどの作曲家なのか区別がつかないほど。

ウイリアム・シューマンでは特にこの第3番が傑作とされ、バーンスタインやオーマンディ、プレヴィンらの録音も存在する。

 

第3番は2楽章形式で第1楽章はパッサカリアとフーガ、第2楽章はコラールとトッカータ。

 

編成も比較的大きなもの。

バッハの影響を受けながらもコープランドやロイ・ハリスの交響曲にも共通したオケをよく鳴らした平易な曲。

 

シュウォールツの演奏は各楽器が見事な鳴りっぷり。

 

緊張感の中にもアンサンブルは緻密、曲への強い共感があふれる名演だ。

 

Youtubeはウィリアム・シューマンの序曲「チェスター」

| | コメント (0)

2021年10月24日 (日)

本日の練習、2ヶ月ぶりのオケ、来年の定演に向けて練習再開

日曜日、今日も良く晴れた。


Dsc02983

富士山もよく見える。

 

昨日村の駅でのマグロの解体ショー。

 

248177088_4521361221316563_7927164963706

ジャンケン大会に参加したら勝ってしまってマグロの頭をいただいた。

家の切れない包丁を研いでYoutubeでバラしかたを調べたりして頭の解体に挑戦❗

脂で滑ったりしてうまくいかず、結局スプーンで削ってすきみでいただくことに。

 

日曜日はオーケストラ。

緊急事態宣言も解除され沼響の練習は再開。

松川先生の指揮で来年4月の定期演奏会に向けての始動。


Dsc02998

会場は市民文化センター小ホール。

自分にとって実に2ヶ月ぶりのオケ。

曲は来年の定演のブラームスの大学祝典序曲と交響曲第4番


Dsc03003

早めに会場に入ったつもりが到着するとほとんどのメンバーが揃っていた。

皆この日を待ち望んでいたのだ!

今まで当たり前と思っていたこの時がいかに貴重で幸せであったことか、あらためて思う。


Dsc02993

それぞれの思いを秘めながら練習の準備をする皆の顔を見ていて涙が出そうになった。

初見大会ながら久しぶりの合奏で出席率も良く皆気合いが入る。

 

秋はブラームスの季節。

 

Youtubeはフルトヴェングラーのブラームス、交響曲第4番のリハーサル、1948年ロンドン楽旅の記録

 

| | コメント (0)

2021年10月23日 (土)

ワルター・クリーンのモーツァルト

良く晴れた土曜日の朝、湿気もさほどなくて爽やかだ。


Dsc02953

富士山はちょうど雲に隠れて見えない。

狩野川河川敷を歩いているとマラソンの給水所が設置されていた。


Dsc02954

本日「沼津smileマラソン」実施。

風もなく絶好のマラソン日和だっただろう。


20211023smile1024x750

昨日の静岡県内の感染者数は0人。

徐々に日常が戻ってきている。

 

オーストリアのピアニスト、ワルター・クリーンのモーツァルトを聴く。

VOXへの全集録音から初期の作品。

手持ちは米VOX原盤のワーナーが出した国内盤LP.


Img_20211022_211817

・ピアノソナタ第1番ハ長調K.279(189d)
・ピアノソナタ第2番ヘ長調K.280(189e)
・ピアノソナタ第3番変ロ長調K.281(189f)
・ピアノソナタ第4番変ホ長調K.282(189g)
・ピアノソナタ第5番ト長調K.283(189h)
・ピアノソナタ第6番ニ長調K.284(205b)
・ピアノソナタ第7番ハ長調K.309(284b)

   ワルター・クリーン(ピアノ)
   録音 1964年

1番から6番までのミュンヘンで書かれたいわゆるデユルニッツ男爵の求めに応じて作曲された6曲のソナタに作曲家カンナビヒ の令嬢のために作曲された7番を聴く。

6番まではモーツァルトが18才から19歳までの作品。

若々しくも爽やかなソナタの数々、5番までは演奏時間10分前後の可愛らしい作品だけれど第6番は演奏時間が20分を超える意欲作。

終楽章は短調で書かれている。

 

その2年後の作品の第7番となると音楽的な充実ぶりがさらに著しい。

6番までを作曲した時と7番を作曲したときとではモーツァルトが使用していたピアノに大きな変化があったようだ。

 

7番での多彩な楽想はそれ以前のピアノでは表現しきれなかったのに違いない。

6番までは細かな音符が多かったのが7番になって音符の数が減っている。

それは楽器の表現力がパワーアップしたからではなかろうか。

 

余計なことを書かなくても楽器の性能向上により最小限の音符で表現できるようになったからだろう。

ワルター・クリーンの演奏はきっちり端正、確信に満ちた弾きっぷりで音も美しい。

 

Youtubeはワルター・クリーンの弾くモーツァルト、ピアノ協奏曲第27番

| | コメント (0)

2021年10月22日 (金)

ハイティンク逝く、「ダフニスとクロエ」再掲

雨のち曇り。


10月も後半の金曜日、朝から冷えて12月なみの気温。

 

出勤前に畑に行ってみると夏野菜のナス、ピーマン、オクラが元気なく雨に濡れていた。

オクラの実は気温が高いときには1日目を離すと巨大化していたのに、気温が低いここ2日ほどはほとんど成長していない。

先日撒いたレタス類や小松菜などが順調に育っているので夏野菜はそろそろ潮時か。

 

名指揮者ベルナルト・ハイティンク逝く
享年92才。

ハイティンクは夥しい数の録音を残していてレパートリーも驚異的に広かった。

何度か来日しているけれども、とうとう実演に接する機会を逃してしまった。

 

コンセルトヘボウ管の音色が好きで結局かなりの数のハイティンクの録音が手元に残ることになった。

今日はその中からラヴェルを聴く。

日本フォノグラムの廉価盤で出ていた「ダフニスとクロエ」第2組曲と「亡き王女のためのパヴァーヌ」。


Img_20191227_2254511

・「ダフニスとクロエ」第2組曲
・亡き王女のためのパヴァーヌ

 ベルナルト・ハイティンク(指揮)
 アムステルダムコンセルトヘボウ管弦楽団
 
 録音 1961年

ハイティンクがコンセルトヘボウ管の首席指揮者に就任した最初期の録音。

このLPはモントゥーの「ボレロ」とのカップリングで、なぜかジャケットの表にはハイティンクの名がない。

オリジナルはこの2曲に「道化師の朝の歌」と「スペイン狂詩曲」のカップリング。

 

ハイティンクは天才肌というよりも真面目にコツコツと経験を積み上げて巨匠となったイメージがあるけれど、若い頃から優れた演奏を残している。

このラヴェルも代表的な録音。

ちょうど2年前にも聴いていた

 

「ダフニス」は多くのハイティンクの録音の中でも実に4種類の録音が残っている。

この録音はその最初のもの。

 

じっくり腰を据えたテンポ、最上のバランスでオケを鳴らし切っていて「夜明け」の部分の壮大さも見事。

全員の踊り」の歓喜の爆発は若き日のハイティンクの美点が最良の形で出ている。

 

それにしてもコンセルトヘボウは良い音のオケだな。

「夜明け」の冒頭や「パントマイム」の名手バルワーザーのフルートソロには惚れ惚れするほど。

 

Youtubeはハイティンク晩年の「ダフニスとクロエ」、ロイヤル・カレッジオブ・ミュージックの学生オケ。

| | コメント (0)

2021年10月20日 (水)

サロネンのニールセン

二日続いた雨から今日は晴れて富士山も冬の装い。


Dsc02945

 

夕方仕事帰りに狩野川の堤防沿いを歩いていると大きな月が箱根連山から顔を出していた。


Dsc02947

 

スマホのカメラだとこれが限界。

阿蘇山が噴火、比較的大きな噴火。

 

最近列島全体に地震が頻発。


特定の場所に集中していないだけに、そのうちどこかで大きな地震が来るのでは?
と捉えどころのない不安。

 

今日もニールセンを聴いた。
フィンランドの指揮者にして作曲家のエサ・ペッカ・サロネンの指揮で聴く。

 

手持ちはソニークラシカルから出ていたCD


Iimg600x5971626489604mazxl1119318

・交響曲第4番『不滅』
・序曲『ヘリオス』

  エサ・ペッカ・サロネン(指揮)
  スウェーデン放送交響楽団

          録音 1985年

 

張り詰めた緊張感の中にもフレッシュでしなやかな旋律線が印象的な名演。

 

広いダイナミックレンジ、オケを豪快に鳴らしたドライヴの手腕も見事。

 

Youtubeはサロネン指揮フィルハーモニア管のマーラー、交響曲第3番

 

| | コメント (0)

2021年10月18日 (月)

マルティノンのニールセン「不滅」そして福永武彦さんのことなど

急に冷えて冬の到来を思わせる月曜の朝。

母親の部屋には暖房を入れた。

 

コロナ禍でここ1年の行動範囲が極端に狭くなった。

遠出することもなくなりコンサートも皆無に近い。

オケも8月から休止状態。

海外ではさほど沈静化していないのに、ここ数週間の感染者数激減は不思議。

医療従事者の姪曰く「第6波は必ず来るよ」

 

本日休みで午前中は格安カットで散髪。

平日なので客は自分と同年代以上のおじさん達ばかり。

待合中に、娘とかなり仲の良い同級生の父親でかつて同じ職場にいた先輩が入ってきた。

 

今日はデンマークの作曲家カール・ニールセンの代表作、交響曲第4番「不滅」を聴く。

聴いたのはマルティノン指揮のシカゴ響で日本ビクターが出した国内盤初出 LP。

 

「不滅」の 金文字 のジャケットで有名なもの。

 

M133692

・交響曲第4番『不滅』
・序曲『ヘリオス』

  ジャン・マルティノン(指揮)
  シカゴ交響楽団
 
       録音:1966年

 

ジャケットの「不滅」の金文字は臨済宗円覚寺派管長だった朝比奈宋源禅師。

 

この当時ニールセンはほとんど知られていなかった。

LPレコード1枚1枚に国内各社がかなり力を入れていた時期のもので、作曲者の紹介と曲目解説は外盤の解説の翻訳文に加え国内解説。。

さらにニールセン自身が曲に添えた解説文の翻訳は小説家の福永武彦さん

 

福永武彦さんに深い思い出が。

我が家の親しい御近所に福永武彦さんの奥様の親戚の方がいて、福永ご夫婦が伊豆に来るたびに立ち寄っていた。

当時自分は中学生になったばかり。


139710

ある日福永武彦さんご本人がわが家の前を通った時に庭のエリカの花が目に止まった。

 

そのエリカの花に大変感動されて、後日ご本人から「あのエリカの花の家の方に渡してください」とその親戚の人を通じて小説「忘却の河」の単行本をいただいた。


Img_20211015_230706

その時、本の扉に素敵な一文をさらりと書いてくれた。

この時福永さんが書かれた岩波少年文庫版「古事記物語」もいっしょにいただいている。


Image_20211019005701

 

その単行本2冊は今でも大切に我が家の書架にある。

 

福永さんは音楽に詳しくてクラシック音楽に関するエッセイも書いている。

 

特にシベリウスがお気に入りで、かつて「レコード芸術」誌にシベリウスのレコードのかなり詳しい紹介記事も書いていた。

当時入手できるシベリウスの作品はほぼすべて所有していたという。

 

おそらく同じ北欧の作曲家ニールセンも好きな作曲家だったのだろう。

 

このマルティノンのニールセンは熱く燃えた壮大な演奏で、今再評価が進むシカゴ響時代のマルティノン最良の記録。

フィナーレ導入部分の嵐の弦楽器の速いパッセージの正確さは鳥肌もの。

ティンパニの乱打も強烈で、とても落ち着いて聴いていられぬほどの迫力だ。

 

シカゴのホールの残響少ない極めてデッドな録音が、かえってオケの高性能さを浮き彫りにしている。

前任のフリッツ・ライナー時代のオケの高い水準がそのまま保たれているのがよくわかる。

 

カップリングの序曲「ヘリオス」も目の前に広大な風景が浮かんでくるような雄大な出来。

冒頭のホルンの響きが神秘的。

 

Youtubeはラトル指揮ベルリンフィルの「不滅」、二人のティンパニ奏者の乱打強烈なフィナーレ。

| | コメント (2)

2021年10月17日 (日)

ホロヴィッツ、ゴールデンジュビリー・リサイタル

曇りのち雨の日曜日。

北海道では雪。

夜になって急に冷えてきて暖房が欲しいほど。

 

昨日は午前中に畑作業。

タイミングとしては遅れ気味だけれど小松菜の種を蒔き大根用の畝作り。
作業の途中で雨が降り始めた。

 

孫は順調に成長して来るたびに進歩がみられるのが楽しい。

もう一人の娘は明日仕事のため再び関東圏へ帰っていった。

このままコロナが収まればいつでも会えるのだが。

 

ローカル新聞に母校の中学校のバーチャル修学旅行の記事が出ていた。

8月に実施予定の修学旅行はコロナ第5派のために中止のやむなきになったという。

この学年は昨年の高原教室もできなかった。

 

今日はピアノの巨人ホロヴィッツのデビュー50周年を記念して録音されたゴールデンジュビリーリサイタルを聴く。

手持ちは国内盤LPで、リストとフォーレの作品を収録。

R1166144915202098483207jpeg

・ピアノソナタ ロ短調            :リスト
・即興曲第5番 嬰ヘ短調Op.102
・夜想曲第13番 ロ短調Op.119        :以上フォーレ

 

    録音:1976年11月21日、1977年9月9日

この録音の2年後にはゴールデンジュビリーコンサートとしてアメリカデヴュー50周年を記念してラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を弾いている。

リサイタル盤の手持ちは国内盤LP.

リストのロ短調ソナタは中学生の時に地元の音楽教室が開いたコンサートで聴いた。

弾いたのは日本のプロの男性ピアニストだったけれど名前を失念。

とにかく長い曲と感じた。

ピアニストが悪戦苦闘して曲と戦っている姿しか印象に残っていない

 

この録音の時点でホロヴィッツは73歳。

衰えを微塵も感じさせない強靭な打鍵、第3部のフガートあたりからの集中力も凄まじく、巨大でデモーニッシュな音楽を展開していく。

 

そしてあたかも巨峰を仰ぎ見るようなフィナーレ。


第2部アンダンテの静けさも秀逸だ。

 

フォーレはホロヴィッツにとっては珍しいレパートリーでいずれも初録音。

ノクターン第13番はフォーレ最後のピアノ作品。

 

Youtubeはホロヴィッツのラフマニノフ、ピアノ協奏曲第3番

| | コメント (2)

2021年10月15日 (金)

ヘンリー・クリップスのヨハン・シュトラウス

晴れのち曇り、再び10月らしからぬ残暑風の1日。

朝、孫に顔を叩かれて目が覚める。

大声を上げて今日はご機嫌の様子。

 

コロナも下火になってきたので、関東圏に住むもうひとりの娘が夜になって帰省してきた。

会うのは実に2年ぶり。

久しぶりに家族全員が揃いひいおばぁちゃん、孫も交えて賑やかに。

 

今日はヘンリー・クリップスのウィンナワルツそのほか。


Dsc02920_20211016001701

聴いたのはウィンナワルツのほかチャイコフスキーの各種ワルツ、フランス系の作曲家たちのワルツを集めた国内盤LP2枚組

 

ヘンリー・クリップスはウィーン生まれのウィーン育ち。


第二次世界大戦前はウィーン音楽大学で学びブルク劇場やウィーンフォルクスオパーの指揮者。

ユダヤ系のため戦中はオーストラリアに渡りそのままオーストラリア音楽会の重鎮のとして活躍していた。

晩年はロンドン中心に活動。

 

兄は高名な指揮者ヨゼフ・クリップス。


兄のヨゼフは生粋のウィーンっ子としてウィーン中心に活動し、モーツァルトやハイドン、シューベルトなどによい味の録音を数多く残している。

 

ヘンリー・クリップスの前半生は兄とほぼ同じキャリアを辿りながら、オーストリアに渡ってからはクラシック系だけでなく軽い路線も手掛けていた。

自分の印象としてはアーサー・フィドラーやフェリックス・スラットキン、カーメン・ドラゴンらと芸風がオーバーラップする。

 

まず1枚目のウィンナワルツを聴く。


オリジナルLPのタイトルは「The Irresistible Mr. Strauss」


R527532014374539667291jpeg

・皇帝円舞曲  Op. 437
・ポルカ「雷鳴と稲妻」 Op. 324
・常動曲 Op. 257
・喜歌劇「こうもり」序曲
・ワルツ「芸術家の生涯」 Op. 316
・カドリール (ヴェルディの歌劇「仮面舞踏会の主題による), Op. 272
・トリッチトラッチポルカ Op. 214
・喜歌劇「ジプシー男爵」序曲

 ヘンリー・クリップス(指揮)
 フィルハーモニア・プロムナード管弦楽団

 録音 1959年
 
テンポの緩急が大きく譜面相当手を加えたポップスに足を踏み入れる寸前のようなウィンナワルツ。

大きく揺れる「皇帝円舞曲」

トランペットをヴァイオリンに重ねたりしているこんなにたくさんシンバルが入る「雷鳴と稲妻」は聞いたことがない。

「常動曲」は終結部のコーダ付き。

いやはや面白い。

 

ヴィヴィッドで痛快。

兄クリップスの典雅なワルツの演奏とは対極の、ウィーン風のティストが希薄なシンフォニックなウィンナワルツ。

 

オケのフィルハーモニア・プロムナード管はフィルハーモニア管の別名らしい。

アンサンブルも緻密、管楽器の個人技も非常に良い。

 

Youtubeはヘンリ・クリップスの喜歌劇「こうもり」序曲

| | コメント (0)

2021年10月14日 (木)

アレンスキーのヴァイオリン協奏曲

一日中曇り空。

昼間はあいかわらず気温が高く昨日の雨の影響で湿気も多い。

本日帰宅は8時過ぎ。

車から降りると幼児の泣き声が聞こえてきた。

県内他市に住む娘と孫が帰ってきている。

 

家に入り私の顔を見ると泣き声がぴたりと止んだ。

 

「お!」

顔を近づけたら前より一層激しく泣き始めた。

今日はどうも機嫌が悪いようだ。

 

ロシアの作曲家アントン・アレンスキー(1861-1906)のヴァイオリン協奏曲を聴く。

アロン・ロザンドのヴァイオリンで米ターナバウトのLP.

 

R523389613883118031952jpeg

・ヴァイオリン協奏曲 イ短調 Op. 54  :アレンスキー
・ロシアの主題による協奏的幻想曲 Op.33 :リムスキー=コルサコフ
・演奏会用ポロネーズ  Op.4 :ヴィエニアフスキー

 アロン・ロザンド(ヴァイオリン)
 ルイ・ド・フロマン(指揮)
 ルクセンブルク放送管弦楽団

 

19世紀のロシアとポーランドのヴァイオリンとオーケストラのための珍しい作品を集めたもの。


CDではアレンスキーとチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲とのカップリングで出てはいるけれどこのLPの組み合わせがオリジナル。

 

アレンスキーはリムスキー=コルサコフの弟子。

ちょうどロシア5人組とラフマニノフとプロコフィエフらとの中間世代の作曲家。

同世代としてはリャードフ、グラズノフ、カリンニコフたちがいる。

なんとなく強烈な個性の大作曲家たちの谷間の地味なヒトたち。

アレンスキーの門下にはラフマニノフやスクリャービン。

 

アレンスキーのヴァイオリン協奏曲はチャイコフスキーの影響が大きく、メロディラインは美しいけれども軽めの曲想、

BGMで流すとぴったりのような空気のような甘い音楽。

個性は希薄。

 

アレンスキーについて、師のリムスキー=コルサコフが早晩忘れ去れるだろうという言葉を残している。

曲としての充実度としてはこの3曲の中ではアレンスキーが一番落ちるように思う。

 

カップリングのリムスキー=コルサコフの「ロシアの主題による協奏曲」はヴァイオリンとオーケストラのための作品。

作品としてはほとんど無名の曲だけれど、オーケストレーションの巧みさと主題の加工の妙で聴かせる。

 

この曲にはもう一曲、ヴァイオリンとオーケストラのための「スペインの主題による狂詩曲」という兄弟作品があり、こちらは後に改訂されて「スペイン奇想曲」となった。

素性がヴァイオリンの協奏的な作品から出発しているので、「スペイン奇想曲」もその名残りとしてヴァイオリンソロが随所で活躍する。

 

徹底した華やかな技巧に徹したヴィニアエフスキも楽しめる作品。

演奏はこの3曲の中でこのヴィニアエフスキが最も良い。

 

Youtubeはアレンスキーの「エレジー」

| | コメント (0)

2021年10月13日 (水)

ロジェストヴェンスキーのシベリウス、交響曲第5番

今日は朝から雨。

昨日までの半袖短パンの暑さから一転して秋の季節。

長袖のワイシャツを衣装ケースから取り出して上着も羽織っての出勤。

 

狩野川上の橋の上は雨風強し。

出勤するとオフィスの冷房も止まっていた。

 

コロナ感染者数は劇的に減少して昨日の静岡県内の新規感染者は4人。

東京も77人と100人を割り込み3桁は大阪府のみ。

一方海外では未だ多くの国で感染者数が収まる気配がない。

なんとなく世間に気持ちの弛みが感じられる今日この頃。

 

今日もロジェストヴェンスキー。

昨日のチャイコフスキーと同じ頃の録音でシベリウスの交響曲全集から5番と3番を聴く。

この全集は8年前にも聴いている

 

手持ちは日本ビクターの国内盤全集LP。


Sibelius_rd

・交響曲第5番変ホ長調 op.82
・交響曲第3番ハ長調 op.52

  ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指揮)
  モスクワ放送交響楽団 
  録音:1973年

今日は第5番から聴いた。

ギラギラとした原色の絵の具をキャンバスにぶちまけたような熱く濃厚なシベリウス。

抑制された表現だったチャイコフスキーに比べ、タガが外れてヴィヴラートかけまくりのブラスが強烈。

第3楽章で白鳥の飛翔を模したようなホルンの雄大な旋律に強いアクセントを付与。

まるでラフマニノフの曲に聴かれるような鐘の音のイメージだ。

 

第3番は全編に漂う異様な緊迫感が良い効果を上げていた。

ともあれ両曲ともに非常に個性的なシベリウス。

 

Youtubeはロジェストヴェンスキー、来日時のチャイコフスキー

| | コメント (0)

2021年10月12日 (火)

ロジェストヴェンスキーのチャイコフスキー、交響曲第3番「ポーランド」

10月も半ば、本日の最低気温は20度で9月並み。

Img_20210921_134820

ポコは木陰で昼寝中。

近づいたら目を覚した。


Img_20210921_134847

昨日休みで母を整形外科病院に連れて行き定期検査。

その後母の買い物に付き合い午後から畑で冬野菜に備えて肥料撒き。

 

今日はチャイコフスキー。

交響曲第3番「ポーランド」を聴く。

 

Img_20211011_025055

・交響曲 第3番 ニ長調 Op.29「ポーランド」

  ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指揮)
  モスクワ放送交響楽団

      録音:1972年

 

演奏はロジェストヴェンスキー指揮モスクワ放送響との交響曲全集録音から。

手持ちは露メロディア原盤の英EMI盤LP.

 

チャイコフスキーの初期の交響曲の中では自分としては苦手な曲。

この曲は全5楽章、自分の印象としては交響曲というよりも大規模なバレエ組曲の印象。

最初に聴いたのがカラヤンだった。

 

手持ちではカラヤンのほかはスヴェトラーノフ、ロストロポーヴィッチ、マルケヴィッチ、アブラヴェネルらの全集組のほかビーチャム、アルヴィド・ヤンソンス、オーマンディ、ムーティなど。

 

70年代初頭、ロジェストヴェンスキーは多量に録音を世に送り出していた。

同時期に来日もしていてテレビやFMで公演の模様が中継されチャイコフスキーやショスタコーヴィチで強烈な印象を残した。

 

この一連のチャイコフスキーもその頃の録音で、黄金期を迎えたロジェストヴェンスキーとモスクワ放送響の最良の演奏の記録。

 

重厚さの中にも知的で洗練された趣。


フォルティシモでのヴィヴラートかけまくりのブラスの咆吼も節度を保っているのでうるささは感じられない。

 

第3楽章のしっとりとした美しさの中で管楽器ソロ楽器の受け渡し実に見事。

ここぞの聴かせどころではオケが十分に鳴りきっていて、 第5楽章の讃歌風の巨大なクライマックスでのブラスの輝かしい響きはとても落ち着いて聴いていられないほど。

 

このロジェストヴェンスーの演奏を聴いて、ようやくこの曲の良さがわかったような気がする。

 

チャイコフスキーの後期の交響曲のように充実した音楽が響いているのが圧巻だった。

 

Youytubeはゲルギエフのチャイコフスキー、交響曲第3番フィナーレ

| | コメント (0)

2021年10月 9日 (土)

ハンス・ユルゲン=ワルターの「おもちゃの交響曲」

今日も晴れて気温は高いけれども朝夕は秋の気配。
夕方になると山奥から鹿の遠音。

 

今朝の富士山、空は秋の色。
Img_20211009_081132

夕方同じ場所を歩いていたらどこからかクラリネット二重奏が聞こえてきた。
なかなかの名手。

涼やかな川風に乗って良い雰囲気だった。

 

地震の被害は夜明けとともに明らかに。
老朽化した都市インフラの脆さを露呈。

首都圏に住む娘のところはかなり揺れたが幸い遅い時間だったので帰宅していた。

もう少し発生が早ければ帰宅難民になるところ。

 

今週は母が足の痛みを訴えたので病院に連れてったりしていた。

 

母は最近歩行が危うくなり転倒も頻発。

てっきり転んで骨折したのではと思っていたら痛風だった。

 

母の男兄弟は皆痛風持ち。
本人は痛風は男のものだと思っていた。

気が付けば母方の伯父伯母はここ3年ほどで皆鬼籍に入り、8人兄弟の真ん中の母が今は最年長になっている。

 

昨日は休みを取り午前中は母の担当のケマネージャーさんと懇談。

午後は畑でブロッコリーの苗を植えたりしていた。

 

我が家の畑の周りは専業農家。

その畑はきっちり整然とした畝に規則正しく苗が並んでいる。

それに比べ凹凸だらけでまっすぐには程遠い我が家の畑。

畝一つを取ってもアマチュアとプロの差は歴然だな。

 

今日はハンス・ユルゲン=ワルターの「おもちゃの交響曲」。

日本コロンビアが70年初頭に出した千円の廉価盤ダイアモンド1000シリーズ中の1枚から。

先月末に富士市のハードオフの100円ジャンクコーナーからの救出品。

Dsc02921_20211009234301

・おもちゃの交響曲(L.モーツァルト)
・歌劇「魔弾の射手」序曲(ウェーバー)*
・交響詩「中央アジアの草原にて」(ボロディン)
・ボレロ      (ラヴェル)**
・スラヴ行進曲(チャイコフスキー)+

  ハンス=ユルゲン ワルター(指揮)
  ウイルヘルム ブリュックナー=リュッケバーグ(指揮)*
  C.A.ビュンテ(指揮)**

   ハンブルク交響楽団
   ハンブルク放送交響楽団+

 

一時この曲の原曲はレオポルド・モーツァルトの「カッサシオン」が原曲とされていたけれど、今ではオーストリア、チロル地方の作曲家エドムンド・アンゲラーの作ということで落ち着いている。

 

この演奏は中学の時、学校の音楽室で聴いて以来の再会。

中学の時、部活で吹奏楽版の「おもちゃの交響曲」を練習していた。

 

この時顧問の先生が聴かせてくれたのがこのユルゲン ワルターの演奏だった。

中学生の鑑賞眼力など知れたものだが演奏が良かった記憶がなぜか鮮明。

 

今実際聴いてみると音楽がのびのびと自然に呼吸していて非常に良い。

 

編成はかなり小さいようだ。

おそらく練習なしの一発採りだと思うけれども、オケのメンバーが嬉々として演奏しているのがよくわかる。

おもちゃ達?の活躍も溌剌として楽しい。

フルートが突出しているのはご愛敬。

 

カップリングされている他の曲については、正直なところチープな出来で聴き通すのが辛い。

ここでのハンブルク放送響は、イッセルシュテットやヴァントが率いていたNDR Sinfonieorchester Hamburgとは別のオケ。

 

Youtubeはカツァリスの弾くピアノ版「おもちゃの交響曲」

 

| | コメント (0)

2021年10月 7日 (木)

エネスコのオペラ「オィデプス王」

晴れのち曇り。


このところ全国で地震が頻発。
昨日の九州に続いて本日首都圏で震度5強。

列島全体が地震の活動期に入ったようだ。

巨大地震の前触れか・・・

 

今日は偉大なヴァイオリニストにして作曲家のジョルジュ・エネスコの大作、
歌劇「オイデプス王」を聴く。

 

手持ちはルーマニア、エレクトレコード原盤、日本ビクターが発売したLP4枚組。
LP4枚組で当時定価は一万円。

購入記録を見たら1991年9月。
今はなくなってしまった近所のリサイクルショップで偶然見つけたもの。

 

ちょうど世の中はバブル景気の崩壊が始まった時期。

 

この頃からCDの価格は下がり始めCDの生産量もアナログと完全に逆転。
世の中は急速にCDに切り替わりアナログを手放す人が爆発的に増えた。

 

中古市場にはかつて高額だったアナログLPがあふれ出していてリサイクルショップにも相当数が流れてきていた。

 

自分はこの時期CDには目もくれず、東京の中古レコード屋に毎月のように遠征してひたすら格安になっていたLPを買いあさった。

 

このエネスコ盤を見つけた時のことは今でも覚えている。

 

リサイクルショップの店内に入ると、大きな倉庫を改造した建物の床に無造作に置かれた木箱の中にアナログLPがぎっしり。
2千枚は優に超えていた。

 

内容はジャズとクラシックがほぼ半数。

 

1枚当たり300円均一。

 

自分は頭が完全にプッツンしてクラシック関係を可能な限り買いまくった。
ジャズも女性ヴォーカルやビル・エヴァンス、マイルス・ディヴィスあたりを中心にかなりの数を入手。

 

今から思えばジャズにはかなり稀少なものがあったようにも思う。

 

このエネスコもその中の木箱の中にあったもの。
Img_20211005_002403 ・歌劇「オィデプス王」

 

 ミハイ・ブレディセアヌ(指揮)
 ブカレスト歌劇場.管弦楽団、合唱団
 D. オハネシアン,I. フヴォロフ,D. ヨルダケスク 他

 

  録音 1964年

 

全て本場ルーマニア勢による録音でスタジオ収録としては世界初録音。

 

作曲家としてのエネスコの偉大さを我が国に知らしめた最初の記念碑的なレコード。

 

聴くと演奏水準は高く相当な準備の上での録音だったことが想像できる。
全編にみなぎる演奏家たちの熱き思いに圧倒される。

 

雷鳴やウィンドマシーンの音も効果的だ。

 

 

それにしても凄い曲。

 

レコードのたすきには昭和51年度芸術祭参加と書いてある。
作曲家の戸田邦雄氏の作曲家エネスコの詳細な紹介のほか豊富な譜例と写真。

 

当時この曲に関する資料がほとんどなかった中で、メニューインや作曲家のミハイル・ヨラなど、エネスコと直接親交のあった音楽家たちの貴重な証言を集め、香月泰男画伯による素晴らしい挿絵の数々も素晴らしく、作り手の尋常でない意気込みが伝わってくる名アルバムだ。

 

Youtubeはエネスコの「オイディプス王」

 

| | コメント (0)

2021年10月 6日 (水)

ゲルギエフの「火の鳥」、ロンドン響との海外ツァーライヴ

残暑続く。

本日最高気温30度越え。

職場では10月に入ってもクールビズ。

 

畑の夏野菜たちは相変わらず元気で、ナスとピーマン、オクラはほぼ毎日収穫中。

サツマイモはツルが伸びて葉も盛大に繁茂。


これを見ていて数年前につるぼけした嫌な予感が蘇って来た。
Dsc02925

その時は肥料のやりすぎだったので今回は肥料をほとんどやってない。

ネットでいろいろと探ってみると水分のやりすぎもまずいらしい。

そういえば今年は今年の夏は雨の日が異様に多かった。

そのうえ黒マルチシートを張っているので水分が蒸発しにくくなっている。

 

とにかくつる返しを繰り返そう。

 

空いている場所で冬野菜の準備中。

 

昨日の昼は市街地まで出て待ち合わせ人とイタリアン「ボルカノ」で昼食。
ちょうどオフィス街に近いのでかなり混んでいた。

Img_20190919_171841_20211006190101

支払いの時に店員さんが「あ!珍しい」と声を上げた。

見ると支払いのために出した千円札が夏目漱石。

そういえば夏目漱石から野口英世に変わってから漱石図案の紙幣はすっかり姿を消している。

そのうち漱石さんも使ってしまうのは目に見えているけれど、漱石さんをしまって野口さんに出しなおした。

 

ゲルギエフの「火の鳥」を聴く。

ロンドン響自主制作CD2枚組


674

 

・組曲「中国の不思議な役人」  (バルトーク)
・ピアノ協奏曲第3番      (バルトーク)
・バレエ音楽『火の鳥』1910年版 全曲 (ストラヴィンスキー)
・「ロメオとジュリエット」~モンタギュー家とキャピュレット家 (プロコフィエフ)

   ワレリー・ゲルギエフ(指揮)
   ロンドン交響楽団
   イェフィム・ブロンフマン(ピアノ)

   録音:2015年10月24日 
   ニュージャージー・パフォーミング&アーツ・センター (ライヴ)

 

ロンドン交響楽団との2015年10月首席指揮者職最後の海外ツアーでのアメリカライヴ。

ゲルギエフはキーロフ劇場管弦楽団と「火の鳥」全曲を1995年に録音しているけれど、私は未聴。

ゲルギエフの「火の鳥」全曲は2000年のザルツブルク音楽祭のウィーンフィルとのライヴ録音が感銘深い。

 

練れた中での熱気が感じられるロンドン響とのライヴもよいけれど、同じライヴでもウィーンフィルとの録音の方がオケとの丁々発止のやり取りに他流試合の緊迫感を感じさせスリリングな出来。

 

このプログラムではバルトークの2曲が、ロンドン響のカチリとした透明な音色が曲想とピタリと合っていて極上の演奏に仕上がっていた。

聴衆の熱狂に答えたアンコールのプロコフィエフは豪快なオケの鳴りっぷりが見事。

 

Youtubeはゲルギエフ指揮ウィーンフィルの「火の鳥」昨年サントリーホールでの来日ライヴ

| | コメント (0)

2021年10月 4日 (月)

安川加寿子のショパン

今日も朝から良く晴れた。

本日の最高気温は29度。
彼岸を過ぎて10月に入ったのに残暑。

裏山からツクツクホウシの鳴き声も聞こえてきた。

 

Img_20211003_081744

狩野川河川敷からの富士。

そして箱根連山が見える上流への眺め。


Img_20211003_081857

 

今日はショパン。

 

安川加寿子の演奏で聴く。

子供のころに小学館から出ていたステレオ「世界の名曲」というソノシート付の冊子が家にあった。

全15巻、ヴィヴァルディから始まってフランス印象派のドビュッシーまで。

作曲家の伝記と代表曲の紹介に加えピアノ譜面付き。

各巻にはステレオ録音のソノシートが4枚。

S_20131118_222710_2

ソノシートとはいえ直径20センチほど。

若林俊介氏、菅野沖彦氏の手になる録音で非常に良い音だった。

主な演奏家は渡邊暁雄指揮の分裂前の日本フィルによる演奏が中心で、ソリストたちもピアニストの安川加寿子、豊増昇、宮沢明子のほか歌手の岡村喬生など実力派を揃えていた。

 

この中ではパリ育ちの安川加寿子の本場仕込みのドビュッシーが名演で今でも時々取り出している。

これは後のビクターへの全集録音とは別のもの。

 

安川加寿子の実演は1度だけ聞いている。

聴いたのは安川加寿子が引退する1983年の直前だったと思う。

プログラムはショパンが主だったような。

舞台袖からゆっくりピアノに向かう姿とやわらかで品格に満ちた音が印象に残っている。

 

今日聞いたのもショパン。


Img_20210727_214154

日本ビクターから発売されていたLP2枚組で、ショパンの生涯を紹介した作曲家の名曲案内風の体裁。

 

小学館音源やその他教育用音源の安川加寿子の多くは、バラバラになっていろいろな教材用や名曲入門用のアルバムに拡散していった。

その中で安川加寿子のショパン録音で、これだけまとまった曲数のアルバムは見たことがない。


Img_20210727_214028

 

ここでは上品でありながらも気力の充実した力強いショパンが聴ける。

 

中でも「子守唄」が、キラキラと七色の音が空中を散乱するような素晴らしい音。

まさに円熟の境地に達した絶頂期の名演だ。

 

Youtubeは安川加寿子の弾くショパン、「舟歌」

| | コメント (0)

2021年10月 2日 (土)

オーマンディのブラームス、ハイドンの主題による変奏曲と大学祝典序曲のことなど

10月に入り台風が抜けて良い天気の1日。


Dsc02923

富士山もよく見えた。

夕方一時雷雨。

愛犬ポコは今日が誕生日。


Dsc02940

10才になった。

沖縄に生まれて北は秋田から群馬、東京、埼玉、山梨など買い手がつかず転々。
売れ残って静岡へ。

買った時、ペットショップの店員さんのほっとしたような顔を思い出す。

 

今日は朝から冬野菜の準備のために畑の雑草取り。

 

来年の沼響定演のプログラムに決まった大学祝典序曲を聴いた。

手持ちはいろいろあるけれど聴いたのはオーマンディの演奏。

フィラデルフィア管を振った米コロンビアへの録音で、ソニークラシカルから出ていたCD.2枚組。


オーマンディの米コロンビアへのブラームス録音を集めたもの。(悲劇的序曲のみストコフスキー)


R1568139315958086307759jpeg

・交響曲第1番 ハ短調
・交響曲第2番 ニ長調
・ハイドンの主題による変奏曲
・大学祝典序曲
・悲劇的序曲*
・ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ~Edmund Rubbra編

 ユージン・オーマンディ(指揮)
 フィラデルフィア管弦楽団
 レオポルド・ストコフスキー(指揮)*
 ナショナルフィルハーモニック

 

録音:Symphony No. 1: recorded May 19, 1968, Town Hall, Philadelphia, PA
Variations on a Theme by Haydn: recorded April 28, 1963, Philadelphia Athletic Club Philadelphia, PA
"Academic Festival" Overture: recorded June 18, 1966, Town Hall, Philadelphia, PA
Symphony No. 2: recorded April 6 19, 1966, Town Hall, Philadelphia, PA
"Tragic" Overture: recorded April 1977, EMI Studios, London
Variations on a Theme by Handel: recorded November 20, 1960, Broadwood Hotel, Philadelphia, PA

 

イギリスの作曲家Edmund Rubbra(1901-1986)がオーケストラ用に編曲した
「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」の原曲はピアノ曲。

比較的知られた編曲でトスカニーニも演奏していてライヴ録音が存在する。

 

オーマンディのブラ1は何種類かあるけれども3種ある録音のうち最後の物で2番目のステレオ録音。


R1568139315958086332447jpeg

今日はこの中から「ハイドンの主題による変奏曲」と「大学祝典序曲」を聴いた。

 

音はこのコンビ独特の派手な響きだけれど、これはマスタリングの際のイコライジングに原因があるのかもしれない。

実際オーマンディとフィラデルフィア管の一連の録音をLPで聴くときに、EQカーヴを探ってみると、意外なほど艶やかでしっとりとした再生になる場合がある。

 

序曲では響きのマスとしてのどっしり感があるので、実際にはもっと重厚で重心の低い音だと思う。

その点想像で補って聴くとブラームスらしい、ある種の重さと祝祭感が良いバランスで響いている良い演奏だ。

 

「ハイドンの主題による変奏曲」は当時のフィラデルフィア管の個別のセクションの技量がいかに素晴らしかったのかよくわかる。

特に管楽器セクションの名人芸とアンサンブルの良さが明瞭に聞き取れて、より一層見通しの良い演奏になっていた。

オーマンディの棒さばきも各変奏の性格を見事に振り分けているのが見事。

 

オーマンディの高度な職人技と、それに応える高性能オケの鮮やかな演奏を楽しむ1枚。

 

Youtubeはブロムシュテット指揮コンセルトヘボウ管の「ハイドンの主題による変奏曲」

 

| | コメント (0)

« 2021年9月 | トップページ | 2021年11月 »