小澤征爾、水戸室内管とのモーツァルト
爽やかな秋晴れの10月最後の金曜日。
蒼天に映える今朝の富士山。
狩野川の水面も蒼でした。
小澤征爾のモーツァルトを聴く。
水戸室内管との一連のモーツァルト録音の中から交響曲第40番と管楽器のための協奏交響曲。
・交響曲第40番ト短調 K.550(第1稿)
・管楽器のための協奏交響曲変ホ長調 K.Anh.9(297B)(レヴィン復元版)
工藤重典(フルート)
ラデク・バボラーク(ホルン)
宮本文昭(オーボエ)
ダーグ・イェンセン(ファゴット)
小澤征爾(指揮)
水戸室内管弦楽団
録音:2004年7月、水戸芸術館
若い頃からコンスタントに録音を続けている小澤征爾。
だが録音のレパートリーは広いようでそうでもない。
おそらくレコード会社の方針のためと思うけれどもいわゆるベートーヴェンやブラームスなど独墺系王道の交響曲全集はサイトウキネンオーケストラが出来てから。
実演では何度も演奏しているシューマンの交響曲は1曲も録音を残していない。
ちなみに私が聞いた小澤征爾の3回の実演のうち、2回はシューマンの交響曲がメインのプログラムだった。(第2番と第3番、オケは新日本フィル)
そしてあとの1回はブラームスの交響曲第3番を前プロとしてメインはフォーレのレクイエム。
フランスものでは、ベルリオーズが充実しているのは師のミュンシュの後継者として期待があったのかもしれない。
ボストン響との一連のラヴェル録音は最上の演奏とは言えない出来だし、ドビュッシーはカンタータ「選ばれた乙女」1曲のみしかない。
オネゲルやメシアンもかなり良いのにいずれも若い頃の録音。
モーツァルトもかつては少なかった。
その中でこの第40番は名人の揃いオケをドライヴして、自然の流れの中で曲の良さをストレートに伝えてくれる素晴らしい出来だ。
第40番はかつて自分も演奏したことがある曲なので、どうしてもホルンパートに耳が集中してしまう。
ここでは特に2番ホルンの雄弁さが印象に残った。
メンバー表を見たらホルンの1番はベルリンフィル首席だったバボラーク、2番ホルンは長い間バンベルク響の首席奏者だった水野信行氏。
スター奏者を揃えながら、それぞれのメンバーの音が混然一体となって非常に高度なレベルで溶け合った響きとなっているのが素晴らしい。
なおここではクラリネットなしの第1稿を使用。
K.Anh.9(297B)の協奏交響曲はモーツァルトの自筆譜が存在せず、偽作とされる説もあるほど。
一般の演奏譜として残るフルート、クラリネット、ファゴット、オーボエの版は他の人の手によるもの。
ここではレヴィンとリース編によるフルート、オーボエ、ファゴット、ホルンによる版を使用。
この形がモーツァルトのオリジナルとされる。
オケの部分もレヴィンによって一部手を加えられていて聞き慣れない音が鳴っている。
ここではソリストたちの見事な名人芸に酔う一枚。
Youtubeはバーンスタインの「ヤング・ピューピルス・コンサート」で「フィガロの結婚」序曲を指揮する小澤征爾。
当時小澤征爾はニューヨークフィルのアシスタントコンダクターとしてバーンスタインの下で研鑽を積んでいた。
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