高田博厚彫刻プロムナード開設30周年記念の海瀬京子ピアノコンサート
今日から11月、庭にキンモクセイの香り漂う。
数日前にはストーヴを炊いたほどなのに今日は車にクーラーを入れるほどの暖かさ。
日曜日はいろいろなことがあった日。
本来ならば「沼響秋のハロウィンコンサート」の本番の日だった。
結局演奏会は中止となり、日中は自分が関係した沼津市立図書館読書週間記念行事の「競技かるたの魅力 ~ちはやふるの世界をご紹介~」へ。
内容は競技かるた史上最強の名人、西郷直樹永世名人を招いての講演会と実演というもの。
講演のあとに名人の模範試合と会場の希望者との対戦。
ここでは名人のわかりやすい解説を交えながらの対戦を、名人の義父で親しい知人のIさんと観戦。
穏やかな中にも緊張感の漂う素晴らしい時間。
イベント終了後は家内と一緒に三島プラザホテル主催の「高田博厚彫刻プロムナード開設30周年記念の海瀬京子ピアノコンサートへ向かう。
このイベントは三島プラザ内にある彫刻家高田博厚の作品コーナーの開設30周年を記念したもの。
出演はピアニストの海瀬京子さん。
高田博厚は17才年上の高村光太郎と友人関係であり岸田劉生とも関係があった世界的な彫刻家。
白樺派の武者小路実篤や志賀直哉など巨星たちと親交があり、交友関係は佐藤春夫、梅原龍三郎、谷川徹三など同時代の文化人たちの多岐に及ぶ・・・
フランス滞在時にはロマン・ロラン、アラン、コクトー、ジョルジュ・ルオー、マルセル・マルチネらとも交友があり、さらにロマン・ロラン邸ではガンジーにも会っている。
音楽にも造詣が深くロマン・ロラン著「ベートーヴェン」の翻訳者としても知られる。
自分はその著「私の音楽ノート」で親しんでいた。
高田博厚は1931年から1957年までフランス在住、その間にフルトヴェングラーその他の20世紀前半の巨匠の実演にも接している。
全て歴史上の人物。
会場に到着してすぐに海瀬京子さんのお父様にご挨拶。
お父様とは昼間の図書館のイベントでも顔を合わせている。
私が高田博厚の音楽上の足跡を知っていることを主催者の方の耳に入っていて、ホテルの支配人さんを紹介された。
正直面食らったけれど、一般にはあまり知られていない高田博厚の業績を、音楽を通じて知らしめたいという支配人さんの情熱的な話を直接伺った。
以前から著名な高田博厚の作品がこれだけたくさん三島のホテルにあるのが不思議だったけれどこれで納得。
会場では最初に海瀬京子さんのピアノで「エリーゼのために」。
続いて高田博厚の足跡を紹介するビデオ上映があり、その後小樽商科大学名誉教授の高橋淳氏の短い講演があった。
そして海瀬京子さんのピアノ演奏。
プログラムは高田博厚と関係が深かったオールベートーヴェンプログラム。
・エリーゼのために
・ピアノソナタ第14番 「月光」
・ピアノソナタ第23番 「熱情」
というもの。
海瀬京子さんのピアノを聴くのは実に丸2年ぶり。
「エリーゼのために」と「月光」の第1楽章が、今の彼女の日常を感じさせるような温かで穏やかな演奏だったのが印象に残る。
この2年間で大きな心境の変化があったようだ。
「熱情」も安定して聴き応えのある名演奏。
テクニックの冴えは以前のままでよりベートーヴェンの深い世界に分け入っていく。
2年前よりもより一層大きくなったベートーヴェン。
次は是非今の全曲を聴きたい。
ちょうどこの日の未明に三島プラザホテル近くで大きな火事があり、お世話になったこともある山形楽器店が焼けてしまうというショックなことがあった。
知人によると楽譜類や店の楽器だけでなく、学校や個人から預かっていた楽器類も大きなダメージを受けたようだということ。
心からお見舞い申し上げます。
コンサートの帰りにお店の前を通ろうと思ったけれど交通規制がかかっていた。
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