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2022年2月に作成された記事

2022年2月28日 (月)

トスカニーニの展覧会の絵

今年に入って最も暖かな一日。

気温が上がると花粉症の季節。


マスクせずに外に出たら、たちまちクシャミの5連発。


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昨日買い物に行ったドンキの屋上駐車場からの富士山。

風が強かったので雪が吹き飛ばされている。

 

第二次世界大戦後最大の侵略戦争の前に、国際連合は無力。

安全保障理事会の議長がロシアとは皮肉なものだ。

映像で見るウクライナの人々の悲しげな表情が胸を打つ。

国土を必死に守るウクライナ軍にロシア軍が苦戦だという。

 

キエフ未だ陥落せず・・・・

 

ムソルグスキーの「展覧会の絵」を聴く。

この曲の終曲はウクライナの首都キエフの門。

 

第10曲;「雄大な門(首都キエフにある)」


キエフ市が、11世紀に建てられた「黄金の門」再建のために一般公募をおこなったとき、ムソルグスキーの友人画家ガルトマンの応募作品。
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かつてCDやLPのジャケットにこの絵がよく使われていた。

実際には建築されなかった幻の門を、ムソルグスキーは友のために音の大伽藍で壮大に描く。

教会のコラールと、民衆の象徴としてムソルグスキーの作品の中で随所に現れる鐘の音がキエフの空に鳴り響く。

門は11世紀のスタイルで1982年に再建された。

 

今日はトスカニーニの演奏で聴く。
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・組曲「展覧会の絵」

 アルトゥーロ・トスカニーニ(指揮)
 NBC交響楽団

   録音:1953年1月27日、カーネギーホール

4種あるトスカニーニの同曲録音中最後のもの。
聴いたのはアルゼンチン盤LP。

 

確固たる造型、凝集され無駄のない筋肉質の演奏。

印象に残ったのは。「チュイリー」での子供を慈しむような優しさに満ちた表現。
謹厳なトスカニーニにこんな優しい一面があったとは。

「ヴィドロ」では、中間部分のただ1音の頂点に狙いを定め、目標に向かってテンポを次第に上げクレシェンドする様は凄まじいもの。
頂点を極めた後の落とし方も実に鮮やかだ。

 

ラヴェル版に多少手を加えていて、「サミエル・ゴールデンベルクとシュミイレ」後半のホルンにのばし加筆、「グノーム」にもトランペットパートにトロンボーン加筆、「キエフの大門」で段階的に盛りあがる直前には、ティンパニのクレッシェンドを加筆。

録音も良い。

 

Youtubeはチェリビダッケ指揮ミュンヘンフィルの「展覧会の絵」からキエフの大門

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2022年2月26日 (土)

小出信也さんのことなど

2月最後の週末。吹く風から多少冷たさが和らいできたようだ。


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開花が遅れていた3色の花の咲く庭の梅、「おもいのまま」もポツリポツリと咲き始めた。

 

元N響首席フルート奏者小出信也さんが亡くなった。

自分がクラシック音楽に親しみ始めた頃、小出さんはN響の首席フルート奏者で、ホルンの千葉馨さんやクラリネットの浜中浩一さんと並び、その時期のN響管楽器奏者の顔だった。

自分にとってはまさに雲の上の人。

 

その小出信也さんが、縁あって娘が在籍していた高校吹奏楽部の定期演奏会に出演して下さったことがある。

当時娘は3年生。ホルンを吹きながら学生指揮者も兼ねていた。

当時の吹奏楽部の指導者であったOさんが小出さんと親しく、その縁で実現したもの。

 

本番はOさんが指揮。


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小出さんはサン・サーンスの歌劇「アスカニオから」や、ドビュッシーの「シランクス」などのソロを吹いた。

その時の木製のフルートのふくよかで柔らかな音は、今でも印象に残っている。

他の曲では学生たちが演奏する中に入って、何曲かを演奏してくださった。

中でも「アルルの女」第2組曲のメヌエットのフルートソロはさすがに見事だった。

その後小出さんからは、当ブログやFBでもコメントをいただいたりして、雲の上の人からぐっと身近な存在になっていた・・・・

 

娘にとっても高校時代の良き思い出となりました。

ありがとうございました。

 

心からご冥福をお祈りいたします。

 

Youtubeは小出信也さんのドビュッシー、「ビリティス」

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2022年2月25日 (金)

本日の練習、太田先生の指揮でモーツァルトとブラームス

本日は代休で一日オフ。

 

午前中に職場同期のいるところにちょいと顔を出していた。

彼は自分と同じ再雇用の身、4月からは希望を出して他部署に移る予定だとのこと。

 

自分はそのまま同一部署のつもり。

今の部署は肌に合っていて、周りもある程度の意見も聞いてくれる。

自分としては居心地の良い場所ではあるけれど、年が経つにつれ自分の意識とは裏腹に煙たがられているのかもしれない、などと思ったりして、そろそろ潮時かなと思う今日この頃。

 

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友人との話の後に後北条氏の水軍基地だった長浜城址に行ってみた。

雲ひとつない絶景。


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跳ね橋跡や土塁、曲輪がきれいに整備されていてピクニックには最適。


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係留されたヨットも往時の模様を彷彿させる。


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この平和な風景がいつまでも続いて欲しいと思う。

 

伝染病の拡大や大国による侵略戦争などは、歴史上の出来事で、現代の世には無縁なことだと思い込んでいた。

ところがこの二つの出来事が今現実に起こり、予断を許さぬ状況になっている。

この戦争は対岸の火事というわけではなく、時間差で身の回りにも影響が及んでくるのだと思う。

ガソリン、灯油の値上がりが止まらない。

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昨晩は沼響の4月の定期演奏会へ向けての練習。

場所は文化センター小ホール。

曲はモーツァルトのピアノ協奏曲第26番「戴冠式」にブラームスの大学祝典序曲。

トレーナーの太田巡先生の指揮。


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モーツァルトは降り番なので、出番が来るまでリハーサル室でウォーミングアップをしてその後は客席で観戦。


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不覚にもそのまま客席で眠り込んでしまった。

傍らにいた友人に起こされて後半のブラームス、大学祝典序曲に参加。

 

ウォーミングアップは十分なのに、何故か自分の音が周囲と溶け込まない違和感。

それはチューニングの時から感じていた。

オケ全体のピッチが変わったのか?

自分が寝ぼけているのかな。

 

いろいろと試行錯誤しているうちに次第に合ってきたけれど、何か変だな・・・・

 

Youtubeはブロムシュテット指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の「大学祝典序曲」

 

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2022年2月23日 (水)

カサドシュのモーツァルトをアルゼンチン盤で聴く

天皇誕生日の今日は富士山の日

朝の散歩の途中、雲一つ無い蒼い空に白い冨士が浮かんでいた。


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目を東に転じると、地元ではその姿で象山と呼ばれている徳倉山。


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この山頂には後北条氏の狼煙台の跡が有り、稜線上に部分的に土塁や簡単な切り岸の跡が散見される。

左手前の小山は静岡県古城研究会のレポートによると、武田氏との合戦の際に後北条氏が陣所とした築いた臨時の砦、神投げ山砦ということになっている。

ただし遺構は、この場所が太平洋戦争中に高射砲陣地となったためにほとんど残っていない。

 

沼響で4月の定期演奏会の曲目となっているモーツァルトのピアノ協奏曲第26番「戴冠式」。

 

今日はフランスのピアニスト、ロベールカサドシュで聴く。

伴奏 はジョージセル指揮のコロンビア交響楽団。

 

この曲の代表的な名演と して知られているもの。
オケの実態はクリーヴランド管弦楽団のようだ。

手持ちはLP、 CD何種かあるけれど、今日は昨年暮れにいただいたアルゼンチン 盤LPで聴いた。


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・ピアノ協奏曲第24番ハ短調K.491
・ピアノ協奏曲第26番ニ長調K.537「戴冠式」*

 ロベール・カサドシュ(ピアノ)
 ジョージ・セル(指揮)
 コロンビア交響楽団

   録音 1961年 1962年*

 

オリジナルステレオ録音 として出回っているけれど、アルゼンチン盤はモノラルバージョン。

美しい音と確かなテクニック。

 

繊細にして気品も感じられる素晴らしいモーツァルトだ。

セルのピタリと付ける伴奏も見事で、長い間この曲最高の名演のひとつとされていたのも頷ける。

 

だが正直なところ、20番以降のモーツァルトの一連のピアノ協奏曲の中では、最も有名なこの「戴冠式」が曲の出来としては一段劣るように思う。

実際このLPではカップリングされた第24番の方が大きな感銘を受ける。

曲も演奏もこちらの方が充実している。

モノラルとはいえこのアルゼンチン盤は音が非常に良い。


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手持ちのステレオ国内盤LPは音がかなり固く、艶が足りない。

 

Youtubeは作曲者と直接親交のあったカサドシュのラヴェル、ソナチネの第2楽章

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2022年2月22日 (火)

音のアトリエ、Kさん宅

本日快晴、午後から強い風。北日本では大雪。

2月も後半だというのに寒さは厳しい。
朝、ダイコンを抜きに畑に行くと流し場には氷が張っていた。

 

今日は午後から母のワクチン3回目の接種。

3回目を打ったら40度の高熱が出たという88才の親戚の話を聞いてしまって、母は朝から元気がない。

 

予約時間の30分前には会場に到着。

ところが集団接種の会場が確定申告の会場にもなっていて、駐車場が混雑していてなかなか入れない。

 

ようやく接種会場に入ると1回目、2回目に比べるとずいぶんと空いていた。

そのまま待つこともなく接種を完了。

接種後の待機時間を含めて30分ほどで会場を出ることができた。

幸い熱も出ることもなく母はいつのもの通り夕食を済ませた。

 

 

昨晩は仕事と音楽上の先輩であるKさんの家へ遊びに行っていた。

Kさんは、現在悠々自適の音楽三昧の日々。

 

オーディオと音楽全般について、常に最新の情報を貪欲に吸収されているので、古い物ばかりの自分としては行くたびに大きな刺激を受けている。

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このたび、かねてから考えていたプライヴェートの音楽ホールが完成して、そこそこの音が出るようになった、とのことで遊びに行ってきた。

今Kさんの視聴の主流はネットオーディオ。

 

ロンドンウエスタンの巨大スピーカーと、マランツ7のプリアンプなどの往年の銘機に最新のネットオーディオとの組み合わせ。


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高い天井、音楽を聴くためだけの一軒家。

まさに音のアトリエだ。


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斬新な演奏のヴィヴァルディ(演奏者名は聞いたけれど知らない人で忘れてしまいました。)からゲルギエフのショスタコーヴィチ、フルネの振ったショーソン、ラヴェルなど、を聴きながらの音楽とオーディオの最新情報の2時間あまりの音楽談義。

 

自分が知らない演奏家の名前がポンポン出てきて、時として話しについて行けないほど。


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楽しい時間を過ごさせていただきました。

 

Youtubeはゲルギエフの振るショスタコーヴィチ、交響曲第4番

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2022年2月20日 (日)

ブレンデルの弾く「ディアベッリのワルツの主題による33の変奏曲」

曇りのち晴れ、この週末は雨模様。

 

夕刻の狩野川河畔からの冨士。

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日がだいぶ延びた。


風がなければ寒さはさほど感じない。

 

北京オリンピックは今日が閉会式。

 

昨年の東京オリンピックに続き、コロナ禍でのオリンピックはいずれもアジアでの開催。

日本に限らず鍛え抜かれたアスリートたちの懸命な姿は心を打つけれど、国家の威信と巨額なマネー、この両大会はオリンピックのいろいろな闇の部分が垣間見えた大会でもあったと思う。

それにしてもウクライナで一触即発の緊張感漂う中で、平和の祭典オリンピックの閉会式とは皮肉なものだ。

 

昨日から娘と孫が再び帰省。

 

今日はオーディオ周りの配線をいじっていた。

かなりルーズな状態になってしまっていて、ほとんど使っていない機器のコード類をいったん全部外して電源回りも見直した。

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すると故障していたと思っていたビクターのプレーヤーQLA7が復活。

今まで音が出なかった原因がわからない。

モノラル専用カートリッジDL102も好調。

以前と同じように堅実な音を聴かせてくれるようになった。

 

 

先日ベートーヴェンの三大ソナタで感銘を受けたブレンデルのベートーヴェンを聴く。

曲は来日公演でも名演を聴かせた「ディアベッリのワルツの主題による33の変奏曲」。

手持ちは蘭PHILIPSのLP.

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・ディアベッリのワルツの主題による33の変奏曲作品120

  アルフレッド・ブレンデル(ピアノ)
  録音:1976年2月(ライヴ)

 

変奏曲という形式で作曲の秘術を磨いていったベートーヴェンには、11歳の時に作曲した「ドレスラーの行進曲による9つの変奏曲」以来20曲のピアノのための変奏曲がある。

「ディアベッリのワルツの主題による33の変奏曲」はそれらの中で最後の到達点となった変奏曲。

 

既に32曲のピアノソナタを書き終えたベートーヴェンの、集大成とも言えるピアノ曲だ。

 

だが自分としては苦手な曲で、50分を越える大曲を集中力を切らさず聞き終えたことあまりない。

そしてこのブレンデルの演奏。

ライヴとは思えない完成度。

 

端正な中にイタリアオペラのような歌心が感じられ、少しも長く感じられない。

 

Youtubeはブレンデルの弾くハイドンのピアノソナタほか

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2022年2月18日 (金)

本日の練習、喜古先生の指揮でブラームス、そしてカラヤンとフィルハーモニア管とのチャイコフスキーのことなど

未だ厳しい寒さの金曜日


昨日朝の狩野川河畔からの富士も真冬の姿。


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昨晩はオケの練習日。

市民文化センター小ホールで喜古恵理香先生の指揮。


仕事の都合で練習に遅れホール到着は8時過ぎ。


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曲はブラームスの交響曲第4番から第4楽章。

外は寒いけれどもホールでは熱い練習が続く。

ここのところ家でちゃんとさらっているので調子が良い。

 

カラヤンのフィルハーモニア時代のチャイコフスキーを聴く。

米AngelのLP。


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・バレエ「白鳥の湖」作品20組曲
・バレエ「眠れる森の美女」作品66組曲

 ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)
 フィルハーモニア管弦楽団

  録音 1959年

軽い響きにしなやかなフレージング。

爽やかにしてシンフォニックなチャイコフスキー。

 

この時期のカラヤンの演奏が好きだ。

特に「眠りの森の美女」が秀逸

オーボエソロが非常にうまい。誰だろう?

 

Youtubeはカラヤン&ベルリンフィルの1973年来日時のリハーサルからドヴォルザークの交響曲第8番。

この放送は当時リアルタイムで見ていた。フルート首席だったゴールウェイの音が実に美しい。

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2022年2月15日 (火)

ジュリーニのブリテン、「ピーター・グライムズ」から

曇り時々晴れ午後から激しい雨と霰。

大気が不安定でおかしな天気だった。

午後に突然強い風が吹き激しい雨。

そのうち細かな氷の粒が降ってきた。

 

霰だ。

これも春の兆候なんだろうか。

 

先週末から帰省していた娘と孫は再び帰って行った。

孫達が行ってしまうと、家内も自分も口数が少なくなる。

 

朝、母は昨日、かかりつけの病院で処方された薬が合わず、血圧が下がりぐったりとしている。

懇意にしている薬剤師に相談したあと、病院に電話。


結局服用を中止して明日再び病院に行くことにした。

明日は仕事の予定も入っていたけれど、これもやむなし。

 

今日はブリテン、イタリアの名指揮者ジュリーニで聴く。
米AngelのLP.


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・歌劇「ピーター・グライムズ」 から4つの海の間奏曲 作品33a 
 第1曲『夜明け』(Dawn )
 第2曲『日曜の朝』(Sunday Morning )
 第3曲『月光』(Moonlight ) 
 第4曲『嵐』(Storm ) 

・青少年のための管弦楽入門 (パーセルの主題による変奏曲とフーガ) 作品34

  カルロ・マリア・ジュリーニ(指揮)、
  フィルハーモニア管弦楽団

       録音:1962年10月 キングズウェイ・ホール,ロンドン

50年代から60年代にかけて、ジュリーニはDECCAやEMIにまとまった数の録音を残している。

多くは後に再録音をしているけれども、この時期の録音しかない演奏もあり、この録音もその一枚。

「ピーター・グライムズ」の4つの海の間奏曲は、かつて沼響の定期演奏会でも取り上げたことがあった。

 

この曲を聴くたびに、学生時代を過ごした北海道での夜の海の風景を思い出す。

煌々と照らす月明かりの下に、鏡のように凪いだ海を目の前にしたときに、突然第1曲「夜明け」が頭の中に鳴り響いた。

なぜか第3曲の「月光」ではなく「夜明け」

 

ジュリーニの演奏は引き締まった響きの中によく歌い、重心の低いスケールの大きさを感じさせる名演。

「青少年のための管弦楽入門」はナレーション抜きの演奏。

ここでも硬派にして孤高の厳しい音楽が鳴っている。

 

Youtubeは歌劇「ピーター・グライムズ」 から4つの海の間奏曲

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2022年2月13日 (日)

リンデンバーグ、2種の「運命」

氷雨降る日曜日。

階段の小上がりの電球か切れたので、雨の中灯油を買いながらホームセンターへ。

LEDに買い換えようと物色したけれど、どうもこの店は高いようだ。
そこで車で20分ほどの別の店に行くと同じLED電球で200円も安かった。

得した気分になって電球を交換。

この場所の電球を替えた記憶が無い。

どうやら新築以来30年、一度も切れなかったようだ。

 

今日もベートーヴェン。

エドワルド・リンデンバーグのベートーヴェンを聴いた。
Édouard Lindenberg,(1908~ 1973)はルーマニアの指揮者。

ルーマニアでキャリアを築いた後パリに居を移し、モノラル期にパリ音楽院管やラムルー管などと少なからずの録音を残している。

 

スゼーの歌ったドビュッシーに伴奏を付けたLPも手持ちにあり、影は薄いながら良い雰囲気の伴奏を付けていた。

リンデンバーグでは、70年代に日本コロンビアからエラートレーベルの名で出ていたブラームスの交響曲全集が思い出深い。
地味ながら堅実な音楽造りのブラームスだった。

ブラームスの時のオケは北西ドイツフィル。

モノラル録音でパリ音楽院管を振ったシャブリエの録音もあり、未聴だけれど、なんとなく良い演奏のような予感がする。

今日最初に聴いたのは、ウィーンフォルクスオパー菅を振ったバジェッドプライスのイタリア盤LP。

曲は「運命」のみの収録。


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・交響曲第5番 ハ短調

 エドワルド・リンデンバーグ(指揮)
 ウィーンフォルクスオパー管弦楽団

おそらく低予算で製作された入門用の名曲シリーズの類いの録音。

このコンビでは「田園」「エロイカ」の録音もあるようだ。

さほどリハーサルもせずに一発取りの録音か。

ひなびた素朴な響きのオケで、アンサンブルの精度ももの足りない。

力強さよりもよく歌う演奏。

あまりにも地味な演奏で、ちょい聞きにはずいぶん下手な演奏と誤解されかねないけれど、第2楽章の後半の、のびやかでおおらかな歌など「運命」の別の側面をスポットを当てているようにも聞こえる。

 

後半二つの楽章は聞いていて変化の乏しさが感じられるのも事実。

「運命」がことさら長い曲に感じられた。

 

フィナーレのティンパニの突然のクレシェンド付加は、特別な効果を狙ったんだろうか。

 

リンデンバーグの「運命」にはもう一枚手持ちがあって、ブラームスと同じ北西ドイツフィルを振ったAPEXのCD。第7番とのカップリング。


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十分に 鳴りきったオケ、確信に満ちた絶妙のテンポ感に支配された勢いのある素晴らしい演奏だった。

るで別人のようだ。

 

グッとタメてからのティンパニの、ここぞの一発も見事。

第1楽章終盤の音を割ったホルンも凄まじく、第2楽章では一転穏やかな歌の中に一本筋の通った緊張感が見事。

まさに手練れのベテランの至芸。

残響豊かな品の良い録音。

 

Youtubeはリンデンバーグのシャブリエ、「田園組曲」から牧歌

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2022年2月12日 (土)

ブレンデルのベートーヴェン

今日もよく晴れて、少しずつ春の気配。


一昨日のまとまった雪で富士山は貴婦人のような美しい雪化粧だった。


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狩野川の川面にはカワウとコサギが集まっている。

小魚でも群れているのかもしれない。

 

このところピアノ曲を集中して聴いている。

今日はアルフレッド・ブレンデルの弾くベートーヴェンのピアノソナタから。

 

ブレンデルは3度のベートーヴェンのピアノソナタ全集録音を残している。

ピアノソナタ以外の変奏曲や、小さな曲も含めて比較的若い時期にベートーヴェンのピアノ曲のほぼ全てを録音。

 

ブレンデルは来日してN響とベートーヴェンの「皇帝」を演奏したことがあり、本番とリハーサル風景が放送されていた。

その時、練習の最中に服の袖がほころび、それが気になるのか綻んだ部分を食いちぎっていた。

どうでもいいような、そんなことを覚えている。

その時の指揮はマレク・ヤノフスキ。

リハーサルで印象に残っているのは音楽に没頭していく尋常でない集中力。

ヤノフスキはブレンデルに音楽の主導権を完全に譲り、黒子に徹していた。

 

今日聴いたのは2度目の全集録音から「月光」「悲愴」「熱情」のいわゆる著名な三大ソナタを集めたもの。
フィリップス原盤の国内盤LPで輸入メタル原盤使用。


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・ピアノソナタ第8番ハ短調Op.13『悲愴』
・ピアノソナタ第14番嬰ハ短調Op.27-2『月光』
・ピアノソナタ第23番へ短調Op.57『熱情』

 アルフレート・ブレンデル(ピアノ)
  録音 1972年

ブレンデルの弾くベートーヴェンのピアノソナタでは、60年代に米VOXに録音された全集から日本コロンビアが有名曲をセレクトして千円の廉価盤で出していた。


比較的評判が良く、この演奏で曲そのものに親しんだ人も多かったと思う。

 

そしてこのフィリップス盤。

3曲とも数えきれないほど多くの演奏を聴いているつもりだけれど、初めて聞くようないくつもの発見があって正直驚いている。

 

解釈そのものはウィーンやドイツの流れを汲む正統派なもの。

強烈な集中力で、ベートーヴェンの書いたひとつひとつの音を取りこぼしなく緻密に表現していく。

音符の物理的な取りこぼしではなく、ひとつひとつの音に意味があるように聞こえるということです。

 

VOX時代のブレンデルのベートーヴェンも聴きたくなってレコード棚を探したら、第30,31,32番の後期の三大ソナタを集めたものと「エリーゼのために」のほか小品を集めた日本コロンビアが出てきた。


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この中から31番の第3楽章を聴く。
ブレンデル30代のベートーヴェン。

芸風は全く変わらず、ピアノの音色もフィリップス盤とほとんど変わらない。

ちなみにラックスのフォノイコライザーのポジションは同じ位置で聴いている。

落ち着いたテンポ、深く切々と訴えかけるアダージョの部分からフーガを経て圧倒的な終結部。

これは相当な名演だと思う。

 

この録音、米マイナーレーベルVOXへの録音で国内発売時は廉価盤扱いだった。

発売された1970年代当時にはほとんど評判にならなかったと記憶している。

この時期のブレンデルの「悲愴」「熱情」「月光」を集めた千円盤も家にあった気がしていたけれども、なかった。

今度リサイクルショップで見つけたら購入しよう。

 

Youtubeはブレンデルの弾くベートーヴェン、ピアノソナタ第30番。1995年の来日公演から

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2022年2月11日 (金)

本日の練習、喜古先生の指揮でブラームス、交響曲第4番から第3、第4楽章

雨はすっかり上がり建国記念の日の今日は良い天気。


昨日の予報は雪だったけれど結局降らなかった。


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先日出勤途中の狩野川堤防上から見る冨士。

飛行雲が3本流れている。

 

水曜から孫と娘が帰ってきて賑やかになっている。

生後一年で成長が著しく早くも歩く気配。

言葉も意味の分かる言葉を発し始めている。

人の一生の中で、生まれ落ちてからの最初の一年が最も成長の密度が濃い一年間。

漫然と毎日を過ごし無駄に馬齢を重ねている自分に重ねて、そのようなことを思う日々。

 

今日は一日仕事で夜はオーケストラ。


4月の沼津交響楽団第38回定期演奏会へ向けての練習。

仕事を終えて、夕食をとらずに会場の沼津市民文化センター大ホールへ向かう。


会場では喜古恵理香先生の指揮で、モーツァルトのピアノ協奏曲第26番「戴冠式」が始まっていた。


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今回コンチェルトは降り番なのでホール内でしばしの拝聴。

「戴冠式は」、毎年3月にスズキメソード音楽教室卒業課程の伴奏を沼響がおこなっているので完成度は高い。

 

後半はブラームスの交響曲第4番から第3楽章、第4楽章。

 

チェロに若い新入団員も入ってヴィヴィッドな喜古先生の指揮で皆も気合い十分。


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先生はパーヴォ・ヤルヴィのアシスタントとして、N響を指揮する名指揮者たちの練習に立ち会っている。

間近で見た巨匠達の興味深いエピソードも面白い。

 

第3楽章後半のドラマティックな展開に、皆の演奏が同じ目標に向かうベクトルとなって熱気を帯びてくる。

そして壮大なパッサカリアの第4楽章。

まさにオケの醍醐味。

曲が終わり「あぁ、いい曲だなぁ」とつぶやいたら。

隣のF君が静かに「そうですね・・・」

 

オケをやっていて本当に良かったと思える瞬間。

 

Youtubeはムラヴィンスキー指揮のブラームス、交響曲第4番第4楽章

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2022年2月 8日 (火)

興国寺城址、そしてランドフスカのバッハ

晴れのち曇り、夜遅くに一瞬小雨。

本日休みで母を連れて皮膚科と内科のクリニックへ。

母はしもやけと診断され、内服薬を処方された。

 

内科では母のリハビリと、先月自分が受けた胃と腸の内視鏡検査の結果を受け取る。

摘出した大腸のポリープは良性のものと知り安心する。

ちょうど自分と同じ年齢の時に父は大腸ガンだった。

二日ほど前からお腹の具合が悪いので整腸剤を処方していただく。

 

先日、阿野全成ゆかりの大泉寺に寄った帰りに近くにある興国寺城址に立ち寄った。


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興国寺城は、北条早雲旗揚げの城と言われている。

江戸時代初期に廃城となりその後農地となり現在に至る。

 

今は続日本百名城にも選定され、国指定史跡として市が整備している。


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広大な城跡に一部石垣が残る長大な土塁。


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そして目の眩むような巨大な大堀切。

武田信玄が攻めても、ついに落とすことができなかった名城だ。

ここにも見学者が数組来ていた。

 

天守台跡に登ってみると遠く静岡から伊豆半島がよく見えた。


三の丸跡の前には当時東西を結ぶ主要道路だった鎌倉古道。


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多くの情報が集まるまさに交通の要衝。

 

 

ワンダ・ランドフスカの弾くバッハを東芝のGR盤LPで聴く.


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・半音階的幻想曲とフーガ BWV903
・イタリア協奏曲 BWV971
・パルティータ第1番 変ロ長調 BWV903
・トッカータ ニ長調 BWV912

  ワンダ・ランドフスカ(チェンバロ)
  録音:1935年

ランドフスカはチェンバロ復興のパイオニア。

ファリャのチェンバロ協奏曲やプーランクの「田園コンセール」といったチェンバロとオーケストラのための20世紀の名曲はランドフスカなしでは生まれなかった。

 

鋼鉄の重機が目の前を通り過ぎていくような古色蒼然たる重い音。

モダンチェンバロによる年齢を感じさせない、生き生きと明るい豪奢にして堂々たるバッハ。

 

多彩なレジストレーションで音色の変化を付けていく。

 

派手な音色が今となっては滑稽さも感じさせる瞬間もあるけれど、自然な音楽の流れに豊かな歌心。

即興性も感じられ、聴いていくうちにいつのまにか引き込まれていく演奏だ。

 

録音時期か使用楽器が異なるのかB面のトッカータはかなり明るく軽い音だ

 

Youtubeはランドフスカの弾くバッハ、平均律クラヴィーア曲集第1巻

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2022年2月 6日 (日)

阿野全成ゆかりの大泉寺、そしてコリン・デーヴィスの「魔笛」のことなど

本日快晴。
昨日、コロナ感染者はここ静岡県内では初の2千人越え。


自分の周囲でも感染や濃厚接触者となったとの情報が入り始めている。


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昨日は沼津の西の端にある大泉寺に家内と一緒に行っていた。

大泉寺は頼朝の弟、阿野全成の館跡にして墓所のある場所。


現在放送中のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の十三人」に、阿野全成も重要な役どころで登場する。


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阿野全成の妻は北条義時の妹阿波の局。

大河ドラマでは阿波の局を宮澤エマさんが演じている。

 

先日、大泉寺のご住職と直接話す機会があった。
話はけっこう盛り上がって、是非行ってみようと思い立ったもの。

 

大泉寺へは自宅から車でおよそ30分余りの距離。


到着すると巨大な土塁に囲まれた中世武家館の面影を強く残す古刹。


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大河ドラマにちなんだ幟もたくさん立っている。

残念ながらご住職は不在だったけれども、代わりに阿野全成の大ファンで岡山出身ながら大泉寺の近隣に住み着いてしまったという伊東さんという方が案内をしてくださった。


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いきなり「私は工藤祐経の子孫でございます」と自己紹介されたのには驚いた。

工藤祐経は鎌倉時代初期の御家人で曽我兄弟に討たれた人物。
その子孫は九州に下向して伊東氏という戦国大名になっている。


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伊東さんは、非業の最期を遂げた阿野全成、時元父子の墓所や本堂、現在の寺域と中世の武士の館との共通点などを熱く語りながら、細部にわたって案内してくださった。


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ただ、私見では今に残るこの巨大な土塁は、鎌倉期のものでなく戦国期のものだと思う。

おそらく鎌倉時代の方形館跡を利用して、至近距離にある興国寺城の出城的な存在として後北条氏か武田氏が整備したのではなかろうか。

 

昼食は「かつ政」でとんかつ定食。


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とろろと麦飯が付いているのが良かった。

 

今日はコリン・デーヴィスの指揮でモーツァルトの歌劇「魔笛」。

手持ちは蘭フィリップスの3枚組LP。


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・歌劇「魔笛」

 コリン・デーヴィス(指揮)
 ドレスデン・シュターツカペレ
 ドレスデン聖十字架合唱団,
 ライプツィヒ放送合唱団,
 クルト・モル(bs/ザラストロ),
 ルチアーノ・セルラ(sop/夜の女王)
 マーガレット・プライス(sop/パミーナ)
 ペーター・シュライヤー(ten/タミーノ),
 ミカエル・メルビエ(br/パパゲーノ)
 マリア・ヴェヌーティ(sop/パパゲーナ),
 テオ・アダム(bs/弁者),
 ロバート・ティアー(ten/モノスタトス)

     録音:1984年1月、ドレスデン、ルカ教会

 

デーヴィスの「魔笛」にはコヴェントガーデンでの映像も残されている。

 

コリン・デーヴィスはロンドン響との来日公演を聴いている。
1998年5月のサントリーホールでの公演でメンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」とエルガーの交響曲第1番という渋いプログラム。


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別の日に竹澤恭子をソリストに迎えたオールシベリウスプロもあり、どちらにしようか迷ったけれど、実演に遭遇することの少ないエルガーお目当てでこちらをセレクト。

地味なプログラムだったので、比較的空席が目立っていたような気がする。

奇を衒わない正統派のメンデルスゾーンとエルガーだった。

熱狂というよりも地味ながら静かに感動を誘う演奏だったと記憶している。


席が指揮者を正面から見ることができるP席だったのでデーヴィスの表情も良く見えた。


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「魔笛」はサヴァリッシュ指揮のバイエルン国立歌劇場のLDで長く親しんでいたので、そこでのグルヴェローヴァの圧倒的な夜の女王の印象が強く、それに比べるとルチアーノ・セルラは分が悪い。


マーガレット・プライスのパミーナも貫禄がありすぎる感もあるけれども、他の歌手は良いと思う。

 

なおこの録音では歌と台詞はパパゲーノ以外は別人が演じている。

フリッチャイ指揮の「魔笛」も同じようなことをやっていた。

台詞部分にはふんだんに効果音が入っていて、これがなかなか臨場感に富んだもの。

CDでは歌の部分のみを取り出していたようだがそれでは効果は半減だろう。

 

何よりもこの演奏の魅力はオケ。


序曲からして惚れ惚れとするドレスデン・シュターツカペレの音。


自然体のデーヴィスの音楽運びにモーツァルトの音楽の素晴らしさが見事に伝わる。

 

録音も良く極上の響きだ。

 

Yioutubeはグルベローヴァの歌う「夜の女王のアリア」

 

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2022年2月 4日 (金)

本日の練習、喜古恵理香先生とのブラームス初練習

どんより曇りの金曜日、今日は立春。

昨日は出勤前に豆まき。


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9年前は熊本城本丸御殿でおこなわれた節分祭に行っていた。

名将加藤清正が築いた巨大要塞。


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その3年後の熊本地震では熊本城は大きなダメージを受け、今はコロナウイルスの猖獗。

早く平穏なあの日に戻って欲しいもの。

 

昨晩はオケの練習。

市民文化センター小ホールで本番を振っていただく喜古恵理香先生の指揮。


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喜古先生には昨年のチャイコフスキーの交響曲第1番でも振っていただいている。

ブラームスでは今回が喜古先生との初顔合わせ。

喜古先生はN響首席指揮者のパーヴォ・ヤルヴィのアシスタントも務めていた。

 

若く明るいキャラで自然と皆もリラックス。

若いながらキャリアも着実に重ねて伸び盛りの将来の有望株。

 

Youtubeはペトレンコ指揮ベルリンフィルのブラームス、交響曲第4番第2楽章。

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2022年2月 2日 (水)

ダヴィドヴィチのショパン

庭の白梅が満開。
Img_20220202_075121 今年は少し遅いようだ。
寒い冬。

 

今日はロシアの女流ピアニスト、ベラ・ダヴィドヴィチのショパンを聴く。

 

ダヴィドヴィチは、第二次世界大戦後に再開されたショパン国際ピアノコンクールで、ハリーナ・チェルニー=ステファンスカと1位を分け合っている。
歴史あるこのコンクールで一位が二人となったのはこの時のみ。

 

もっとも1932年の第2回では、1位のアレクサンダー・ウニンスキーと2位のイムレ・ウンガルの審査結果が同点で、結局コイントスで順位を決めたという話が伝わっている。

 

ウニンスキーは、その後フィリップスレーベルにまとまった数の録音を残したけれども、ウンガルについては録音を目にしたことがない。

 

運も実力のうち・・ということか。

 

ダヴィドヴィチで聴いたのはショパンの「24の前奏曲」
国内で発売された帯付き蘭フィリップス盤LP。

 

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・24の前奏曲 Op.28

 

 ベラ・ダヴィドヴィチ(ピアノ)

 

 録音 1979年

 

見るからに音が良さそうなLP.

 

ゆっくり落ち着いた秋色のショパン。

 

力強さの中に風格と気品が感じられるのが良い。

 

録音はしっとりとした中に艶やかさも感じられる、典型的なフィリップスの音。

 

Youtubeはダヴィドヴィチの弾くショパン「華麗なる大円舞曲」、今や貴重となったソ連時代のエストニアピアノの音。

 

 

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2022年2月 1日 (火)

リヒテルのラフマニノフ

今日から2月。本日快晴、午後からかなりの強風。

いつものクリニックで定期検診。

正月は暴飲暴食気味だったけれども検査の数値は意外と良かった。

 

ご近所から山芋をいただいた。


近くの山に入って採ったのだという。
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今宵の夕食はとろろ飯。

 

リヒテルのラフマニノフを聴く。

露西亜メロディアのモノラル録音で日本ビクターが出した国内盤モノラルLP。

伴奏はザンデルリンク指揮のレニングラードフィル。
プロコフィエフのピアノ協奏曲第1番とのカップリング。


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・ピアノ協奏曲第2番ハ短調Op.18  :ラフマニノフ
・ピアノ協奏曲第1番        :プロコフィエフ*

  スヴャトスラフ・リヒテル(Pf)
  クルト・ザンデルリンク(指揮)
  レニングラードフィル
  キリル・コンドラシン(指揮)*
  モスクワフィル*

  録音:1959年、1952年*

 

ゆっくり悠然とした黒光りするような音で始まる特徴的な冒頭。

そして静から動への劇的な変換。

 

ラフマニノフの自演とは異なるスタイルの厳しい孤高の音楽がここでは響いている。

ソロも伴奏も後のステレオのヴィスロッキ指揮のグラモフォン盤を大きく凌ぐ出来。

 

ザンデルリンクの指揮は、ソロに影のように寄り添いながら同化しやがて共に白熱していく見事な伴奏。

第一楽章のヴィヴラートたっぷりのホルンソロなどまさにロシアのオケ。

第三楽章終盤の怒濤のフィナーレには手に汗握る興奮に聞き手を誘う。

 

このラフマニノフは、LP期にムラヴィンスキー伴奏のチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番とのカップリングで、国内外のいろいろなレーベルから出ていた。

 

自分が初めて聴いたのは、日本フォノグラムから70年代に出ていたグロリアシリーズの廉価盤だったと思う。

しばらくして新世界レーベルのMK番号でも出た。

 

プロコフィエフも同じシリーズからも出ていたけれども、こちらのオケ標記はモスクワユース管だった。
おそらくビクター盤と同じ録音だと思う。

 

この頃のロシアメロディア録音は海外に流出すると演奏者の標記がいいかげんだった。
そのことが無用の混乱を引き起こしていた。

 

この録音の手持ちは3種。

このVIC番号のビクター盤のほか米VOX から出ていたモノラルLP。
そして同じビクターでもSMK番号で出ていたモノラルをステレオ化したLP。

 

あとの2種はいただきもの。

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VOX盤は伴奏がコンドラシン指揮モスクワ国立交響楽団となっている。
VOX盤の音はいろいろEQカーヴをいじってみたものの、かなり鈍い音で最適ポジションが見つからない。

ビクターのVIC番号のモノラル盤LPはNABが比較的聞きやすかった。

 

音が一番良かったのは意外と擬似ステレオのビクター盤LP。

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RIAAで聞いた時は高音のキツさが気になったけれど、AESにしたら音がずいぶんと落ち着いてきて、リヒテルの強靭な打鍵とオケの細かな動きもはっきりしていた。

 

Youtubeはリヒテルのピアノ、ザンデルリンクの伴奏のラフマニノフのピアノ協奏曲第2番

 

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