阿野全成ゆかりの大泉寺、そしてコリン・デーヴィスの「魔笛」のことなど
本日快晴。
昨日、コロナ感染者はここ静岡県内では初の2千人越え。
自分の周囲でも感染や濃厚接触者となったとの情報が入り始めている。
昨日は沼津の西の端にある大泉寺に家内と一緒に行っていた。
大泉寺は頼朝の弟、阿野全成の館跡にして墓所のある場所。
現在放送中のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の十三人」に、阿野全成も重要な役どころで登場する。
阿野全成の妻は北条義時の妹阿波の局。
大河ドラマでは阿波の局を宮澤エマさんが演じている。
先日、大泉寺のご住職と直接話す機会があった。
話はけっこう盛り上がって、是非行ってみようと思い立ったもの。
大泉寺へは自宅から車でおよそ30分余りの距離。
到着すると巨大な土塁に囲まれた中世武家館の面影を強く残す古刹。
大河ドラマにちなんだ幟もたくさん立っている。
残念ながらご住職は不在だったけれども、代わりに阿野全成の大ファンで岡山出身ながら大泉寺の近隣に住み着いてしまったという伊東さんという方が案内をしてくださった。
いきなり「私は工藤祐経の子孫でございます」と自己紹介されたのには驚いた。
工藤祐経は鎌倉時代初期の御家人で曽我兄弟に討たれた人物。
その子孫は九州に下向して伊東氏という戦国大名になっている。
伊東さんは、非業の最期を遂げた阿野全成、時元父子の墓所や本堂、現在の寺域と中世の武士の館との共通点などを熱く語りながら、細部にわたって案内してくださった。
ただ、私見では今に残るこの巨大な土塁は、鎌倉期のものでなく戦国期のものだと思う。
おそらく鎌倉時代の方形館跡を利用して、至近距離にある興国寺城の出城的な存在として後北条氏か武田氏が整備したのではなかろうか。
昼食は「かつ政」でとんかつ定食。
とろろと麦飯が付いているのが良かった。
今日はコリン・デーヴィスの指揮でモーツァルトの歌劇「魔笛」。
手持ちは蘭フィリップスの3枚組LP。
・歌劇「魔笛」
コリン・デーヴィス(指揮)
ドレスデン・シュターツカペレ
ドレスデン聖十字架合唱団,
ライプツィヒ放送合唱団,
クルト・モル(bs/ザラストロ),
ルチアーノ・セルラ(sop/夜の女王)
マーガレット・プライス(sop/パミーナ)
ペーター・シュライヤー(ten/タミーノ),
ミカエル・メルビエ(br/パパゲーノ)
マリア・ヴェヌーティ(sop/パパゲーナ),
テオ・アダム(bs/弁者),
ロバート・ティアー(ten/モノスタトス)
録音:1984年1月、ドレスデン、ルカ教会
デーヴィスの「魔笛」にはコヴェントガーデンでの映像も残されている。
コリン・デーヴィスはロンドン響との来日公演を聴いている。
1998年5月のサントリーホールでの公演でメンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」とエルガーの交響曲第1番という渋いプログラム。
別の日に竹澤恭子をソリストに迎えたオールシベリウスプロもあり、どちらにしようか迷ったけれど、実演に遭遇することの少ないエルガーお目当てでこちらをセレクト。
地味なプログラムだったので、比較的空席が目立っていたような気がする。
奇を衒わない正統派のメンデルスゾーンとエルガーだった。
熱狂というよりも地味ながら静かに感動を誘う演奏だったと記憶している。
席が指揮者を正面から見ることができるP席だったのでデーヴィスの表情も良く見えた。
「魔笛」はサヴァリッシュ指揮のバイエルン国立歌劇場のLDで長く親しんでいたので、そこでのグルヴェローヴァの圧倒的な夜の女王の印象が強く、それに比べるとルチアーノ・セルラは分が悪い。
マーガレット・プライスのパミーナも貫禄がありすぎる感もあるけれども、他の歌手は良いと思う。
なおこの録音では歌と台詞はパパゲーノ以外は別人が演じている。
フリッチャイ指揮の「魔笛」も同じようなことをやっていた。
台詞部分にはふんだんに効果音が入っていて、これがなかなか臨場感に富んだもの。
CDでは歌の部分のみを取り出していたようだがそれでは効果は半減だろう。
何よりもこの演奏の魅力はオケ。
序曲からして惚れ惚れとするドレスデン・シュターツカペレの音。
自然体のデーヴィスの音楽運びにモーツァルトの音楽の素晴らしさが見事に伝わる。
録音も良く極上の響きだ。
Yioutubeはグルベローヴァの歌う「夜の女王のアリア」
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