喫茶「あずみ野」で聴く、ヘンデルとバッハ
晴れのち曇り。4月最初の週末は花冷え。
冬並みの気温に朝にはセーターを着込んでポコの散歩。
午前中に近くのスタンドでタイヤの交換。
4月からタイヤが大幅に値上がると言うことで、支払いは3月中に済ませている。
ウクライナ情勢の影響で今月から値上げラッシュ。
大幅なインフレ到来の予感。
タイヤの交換が一時間ほどかかるということで、近くの名曲喫茶「あずみ野」に行くことにした。
家から歩いて行ける至近距離にあるのに久しぶりの訪問。
前回行ったのはコロナ禍の前だったので4年ほどのブランク。
外観もお店の中も民芸調のままで変わらず。
奥に古いタンノイのスピーカーと真空管の林立する風景も以前のまま。
バッハのチェロソナタが静かに流れている。
チラっとLPジャケットを見るとトウトウリエの弾くエラート盤。
いつものカウンター席に座ろうとすると。
店主「あちらにお座りください」とテーブル席を勧められた。
コロナ禍だからかな???
しばらく私の顔を見て
店主「あ。やっぱりカウンターへどうぞ」
私「????」
そして店主さんはターンテーブルに行くと、なにやらLPを取りだした。
聞えてきたのはエネスコの弾くヘンデルのヴァイオリンソナタ第4番。
1929年の録音。
私がこの店に来ると必ず聴かせてくれる神の如き演奏。
90年以上前の録音なのに、あたかもエネスコ自身が目の前に現れたかのような生々しさ。
我が家のオーディオではどうしてもこの音は出ない。
余りの神々しさに涙が出そうになってきた。
第一楽章が終わったときに。
店主「すいません、マスクで最初わかりませんでした。」
私「大変ご無沙汰していました」
しばし沈黙して二人で演奏を拝聴。
続いて取りだしてくれたのは、デニス・ブレインの吹くモーツァルトのホルン協奏曲第2番。
この英Referance盤LPは自分の架蔵LPと同じ。
何度も聴いている演奏なのに、デニス・ブレインは調性が変わるところで微妙に音色を変えているのに初めて気がついた。
トドメはメンゲルベルクの「マタイ受難曲」。
以前3時間喃々とするこの曲を全曲聴かされそうになって、さすがに閉口したことがある。
有名なアルトのアリア「憐れみたまえ、わが神よ」が始まる直前から。
20世紀最大の悲劇、第二次世界大戦直前の1939年録音実況盤。
会場の中からすすり泣きの声が聞えてくることで有名な演奏だ。
自然と今のウクライナの状況とオーバーラップして厳粛な気持ちになった。
店主「世界遺産になっても良いような演奏ですよね」
私「本当ですね・・・」
続く壮大なコラールの途中でスマホが鳴った。
「タイヤの交換終わりました」とのこと。
コラールが終わったところで失礼することにした。
いつのまにかお客さんが増えている。
持参した沼響のチラシを置いて下さった。
私「また、来ます」
お店の近くの塚田川のほとりの桜が満開だった。
Youtubeは「マタイ受難曲」から「憐れみたまえ、わが神よ」、ヴァイオリンソロはゲルハルト・ボッセ
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