シューベルトの「アルペジョーネソナタ」、カサド編の協奏曲版
昨晩から雨が降り始め出勤時には小糠雨。
今日から半袖にしたら外に出ると寒かった。
お昼にオフィス近くの老舗そば処にいくと閉店の張り紙が・・・・
ご主人に話しかけると、跡継ぎもおらず自分も年なのでこれが引き際ですとのこと。
庶民的で親しみやすい良いお店だった。
老舗の名店の後継者不足による閉店、それがこのコロナ禍で加速しているようだ。
先日芥川賞作家宇佐見りんさんが閉店を惜しんだ、市内の創業100年を超える書店も今日限りで繁華街の店舗を閉店する。
シューベルトの名作「アルペジョーネ・ソナタ」の協奏曲版を聴く。
今は消滅してしまった楽器、アルペジョーネの為に作曲された、もっとも有名にしておそらく現存する唯一の有名曲。
今では音域が近いチェロで演奏される。
シューベルト没後100年の記念の年に、この曲を名チェリスト、ガスパール・カサドがオケの伴奏を付けた協奏曲として編曲している。
この版ではカサド自身の演奏で3種の録音が残されている。
1928年のハーティ指揮、ペルレア指揮の1954年録音の二つめのスタジオ録音に1940年メンゲルベルクとのライヴ。
HMVのサイトにはミハル・カニュカのチェロによる録音の紹介があるけれども、こちらは弦楽合奏編曲版となっている。
カサド自身の録音を聴く限りでは管楽器がかなり活躍する編曲なので、この録音は本当にカサド編なのだろうか。
それともカサド編で弦楽合奏版が存在するのだろうか。
この中からペルレアとのスタジオ録音を聴いた。
手持ちは米VOX原盤でDOTレーベルで出た国内盤モノラルLP.
・アルペジョーネとピアノのためのソナタ イ短調 D821 :シューベルト~カサド編曲版
・チェロ協奏曲 イ短調作品129 :シューマン :
ガスパール・カサド(チェロ)
ヨネス・ペルレア(指揮)
バンベルク交響楽団
カップリングは同じイ短調のシューマンのチェロ協奏曲
カサドの編曲は単純にピアノ伴奏部分をオケに置き換えたものではなく、ソロパートも含めて再構築した、いわばアルペジョーネ・ソナタ幻想曲のような趣。
特に加工の度合いは第1楽章に顕著。
数小節をカットしたり加えたりしていて、カサドの創作の部分もかなりある。
とはいえ、ある程度の曲の原型は保っていた。
ロマンティックな歌いぶりで聴かせる第2楽章などなかなか良い。
カサドはファリャとラヴェルに作曲を師事している。
この編曲を聴くかぎりではこの二人の影響はあまり感じられず、できるだけシューベルトの語法に近づこうと苦心している様子が聞き取れる。
いくぶん厚めのオーケストレーションは、シューベルトよりもシューマンの音楽を彷彿させるもの。
カサドのチェロは、のびのびと歌い気品も感じさせるのが良い。
録音もモノラルながら聴きやすい。
このカサド編のアルペジョーネ・ソナタの自筆譜は、原智恵子夫人により玉川大学に寄贈された。
Youtubeはシューベルトの「アルペジョーネソナタ」、ペレーニのチェロにシフのピアノ
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