« 2022年6月 | トップページ | 2022年8月 »

2022年7月に作成された記事

2022年7月31日 (日)

シューリヒトのシューベルト「ザ・グレート」のことなど

7月も今日で終わり猛暑は続く。


盛大に鳴く蝉の声の中にツクツウホウシと蜩の声が聞こえるようになってきた。


Img_20200816_081449-1

狩野川堤防をマスクを外して散策していたら、マスクせずに大声でおしゃべりをしているおばさん二人が向こうから歩いてくる。

急いでマスク着用。

ジョギングの人たちもほとんどマスクはしていない。

コロナ感染は今までの最高値を更新中。

収まる気配はないけれどワクチン接種が進みいわゆるウイズコロナが日常化。

 

畑作業をしているとポンポンと花火を打ち上げる音が聞こえてきた。

この週末は沼津夏まつり。


コロナ禍で中止になり3年ぶりの開催。
Db_image

 

再来年の第40回定期演奏家のメイン曲はシューベルトの交響曲第8番(第9番)に決まった。

この曲は第9番の時期が長かったので、シューベルトの第8番となると自然と「未完成」を連想してしまう。

 

久しぶりにスコア片手で聴いてみた。

取り出したのはシューリヒト晩年のシュトウットガルト放送響とのスタジオ録音。
コンサートホールレーベルへの一連の録音中の1枚。

聴いたのはDENONが出したCD.


41hhrmkvpil__ac_sy300_sx300_ql70_ml2_

・交響曲第9(8)番「ザ・グレイト」

 カール・シューリヒト(指揮)
 南ドイツ放送交響楽団

   録音 1960年9月 シュトゥットガルト

コンサートホールレーベルの音は一般的に残響が少なく、響きに潤いに欠ける録音が多い。

このシューリヒトの録音も幾分痩せた響きが老シュリーヒトの枯れた芸風を助長している。

Sdsc08489_2

最初MaranzのCDプレーヤー、SA14S1で聴いたけれど、PHILIPSの古いCDプレーヤー、LHH700で聴いたら印象がかなり変わった。

Sdsc08405_20220731223401

第一楽章冒頭の序奏はシューリヒトにしてはノンキな始まりだが、主部に入ってからテンション急上昇、オケを豪快に鳴らしながら白熱の展開。

 

シューマンの「ライン」ではシューリヒトは過激なほど譜面に手を加えていたけれど、このシューベルトでもいくつかの譜面に手を加えている。

第一楽章で第1ヴァイオリンを休ませ第二ヴァイオリンパートだけで演奏させたり、第二楽章のオーボエとクラリネットのソロの受け渡しをオーボエのみとしたりといくつか驚きの改変がある。

 

対向配置のために二つのヴァイオリンの掛け合いも絶妙。

ただしチェロ、コントラバスは右側で鳴っている。

 

とにかくハイテンションの演奏で、フィナーレでのトロンボーンのバリバリと鳴らしっぷりは実に爽快。

 

Youtubeはギュンタ・ヴァント指揮の「ザ・グレート」

| | コメント (0)

2022年7月29日 (金)

本日の練習、吉崎先生の指揮そして第40回定演の団員投票

雲一つない蒼い空。


Dsc03366

畑の柑橘類が青い実をつけ始めた。

檸檬、蜜柑、そして夏蜜柑。


Dsc03367

 

夏蜜柑は昨年の実を採りきれないまま新しい実ができてしまった。

毎年春になると、遠縁の親戚が小さなこどもたちを連れてきて夏蜜柑狩りに来るのが恒例の行事だった。

 

その子どもたちも大きくなり、今年はおじさん、おばさんも病を患い来ることができない。

 

時の流れは無情。

代替わりで新しい付き合いが増えて行くにつれ、古い親戚はしだいに疎遠になっていくのだろう。


Dsc03369

 

とにかく取り残された夏蜜柑を収穫したら一粒一粒が大きくて、結局籠4つ分。

酸味が強いのでジュースにして炭酸割りで消費することにする。

 

木曜の夜はオーケストラ。

吉崎理乃先生を招いて秋のファミリーコンサートへ向けての練習。

曲はETに歌劇「ヘンゼルとグレーテル」序曲に交響詩「はげ山の一夜」。


Img_20220728_191359

 

合間に再来年に迫った第40回定期演奏会のメイン曲の団員投票があった。

候補曲はブルックナーの交響曲第7番、マーラーの交響曲第5番。

そしてシューベルトの交響曲第8番。「ザ・グレート」と呼ばれるかつて第9番とされていたハ長調の交響曲。

 

結果はブルックナー16票、マーラー15票、シューベルトが18票。


結局大曲2曲の票が割れて、弦楽器の票の多くが流れたシューベルトになったという感じ。

ブルックナー、マーラー指向だったホルンのメンバー3人と、他に管楽器陣数人の欠席も影響したのかもしれない。

 

シューベルトの「グレート」はかつて第10回定期演奏会のメイン曲として取り上げている。

当時を知るメンバーは自分を含めてもほとんどいなくなった。

 

Youtubeはマゼール指揮のシューベルト、「ザ・グレート」

| | コメント (2)

2022年7月27日 (水)

DENONモノラル専用カートリッジDL102のシェルを替える

曇りのち晴れ。

隣町の富士市は土砂降りの雨だったとのこと。

草薙で行われている夏の高校野球準決勝は雨のために中断。

結局翌日への継続試合

 

本日オフ。

トイレの換気扇の修理のための電気工事。

その他庭の塀の補修工事などで工事車両が入れ替わり立ち替わりの一日。

雨の日が多くて予定がだいぶ伸びている。

 

自分は母の介護をしながらの畑作業など。

 

雨で気温が高い毎日が続いたために、アフリカ原産のオクラやモロヘイヤが元気。


Dsc03360

一日放置するとオクラが巨大化してしまっていた。

 

 

手持ちのモノラルLPは、DENONのモノラル専用カートリッジDL102を使って聴いている。

 

このカートリッジは出力ピンが4本でなくて2本。

モノラル用のリード線も打っているけれど、自分は4本のリード線をそのまま使っていた。

こちらは同じことをやっている方のサイト。

 

でもこれではなんとなく本来の音が出ていないような気がしていた。

 

ところがDL102専用のヘッドシェルがあることを知った。

Img_20220726_233621

 

なんとなく良さそうなので、高かったけれど思い切って購入。

 

Img_20220726_233650

まず作曲者と親交のあったモイセヴィッチの弾くラフマニノフを聴いてみた。

 

APRが出していたモノラルLP2枚組。

Sl1600_20220728104601

モイセヴィッチが弾いたラフマニノフのうちピアノ協奏曲第1番と第2番、そして「パガニーニの主題による狂詩曲」にピアノ曲数曲を収録。

全てSP期の録音。

 

聴いてみたら重心が下がってしっかりした音。

奥行きも出ていてモイセヴィッチのタッチもよくわかる。

 

しばらく楽しめそうだ。

 

Youtubeはモイセヴィッチの弾くラフマニノフ、「パガニーニの主題による狂詩曲」。伴奏はサー・チャールズ・グローヴス

| | コメント (0)

2022年7月26日 (火)

クリュイタンスのベートーヴェン、交響曲第4番のことなど

今日も朝から雨。


毎年この時期は全国のどこかで大きな土砂災害が起きている。

今日も朝は警報級の大雨でJRも遅延。


Img_20220726_173625

本日夕刻の狩野川河川敷からの沼津市街。

 

そして上流の様子。

箱根連山は雲で見えない。


Img_20220726_173632

 

クリュイタンス没後50年記念ボックスCD65枚組を黙々と聴いている。


A190295886691

 

このセットは手持ちのLPと盛大にだぶるけれども、このBOXでしか聴くことができない録音も多数。

クリュイタンスは長らくEMIのLPで親しんでいたのでCDケースのエラートのロゴに違和感。

 

この中からベートーヴェンとシューベルトを聴く。


・交響曲第4番変ロ長調Op.60 (ベートーヴェン)
・『コリオラン』序曲  
                 録音:1959年
・交響曲第8番ロ短調D.759『未完成』(シューベルト)
・ピアノ協奏曲第3番ハ短調Op.37  (ベートーヴェン)

ガブリエル・タッキーノ(ピアノ)
アンドレ・クリュイタンス(指揮)
ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
                 録音:1960、1962年

 

いずれもLP時代から馴染んでいた演奏。

このベートーヴェンの交響曲全集は初発売以来何度も姿を変えて未だに現役のロングセラー。

 

当時から世界最高レベルのベルリンフィルの顕密なアンサンブル。

個別奏者の腕の確かさもさることながら、カラヤンの芸風に染まる前のベルリンフィルのずしりとした音色が魅力の演奏。

 

特に第4番は、輝かしく鳴り切ったオケ響きと冴えたリズム、緊張感の中にも巨匠の風格が感じられ、何度聞いても今でもこの曲の最高の演奏だと思う。

熱く燃えた「コリオラン」も良い。

 

さらにベルリンフィルの重い音色は「未完成」で顕著。

冒頭のコントラバスの響きは、まさに巨匠フルトヴェングラー時代のベルリンフィルの音だ。

 

コンチェルトではタッキーノの活き活きとしたピアノが良い。

フィナーレでの目まぐるしい指の動きもお見事。

 

クリュイタンスの伴奏は終楽章のティンパニに個性的な扱いを見せる。

このCD復刻は良い音だ。

 

Youtubeはクリュイタンスのベートーヴェン、交響曲第4番

| | コメント (0)

2022年7月25日 (月)

ペライアのヘンデルとスカルラッティ

蒼い空、狩野川河川敷からの日曜の富士。


Img_20220724_082457

昨日から娘と婿殿、そして孫が来て泊っている。

昨晩は夕餉に婿殿が庭で鮎を焼いてくれた。

 

香ばしい匂いがあたりに漂いポコが近くに寄ってきた。


Mitene505e5131ad88426ea7aa091c5203fc85

そのまま夜遅くまで婿殿と痛飲。

今日はいささか頭が重い。

 

こんな時は古い時代の鍵盤音楽。

マレイ・ペライアがピアノで弾いたヘンデルとスカルラッティを聴く。

ソニークラシカルから出ていたCD.

 

51z8a6zoezl_ac_

・クラヴィーア組曲第5番変ホ長調HWV430(第4曲 調子のよい鍛治屋)
・シャコンヌ ト長調HWV435
・クラヴィーア組曲第3番ニ短調HWV428
・クラヴィーア組曲第2番ヘ長調HWV427   :以上ヘンデル
・ソナタ ニ長調K.491
・ソナタロ短調K.27
・ソナタ嬰ハ短調K.247
・ソナタニ長調K.29
・ソナタイ長調K.537
・ソナタホ長調K.206
・ソナタイ長調K.212            :以上D.スカルラッティ

 マレイ・ペライア(ピアノ)

 

飴色の音色で古典的な佇まいの中にロマンティックに歌い上げていくヘンデル。

スカルラッティも含めてしっとり落ち着いた表現。

 

ゆっくりブランデーを傾けながら聴くのに最適の音楽だ。

 

Youtubeはペライアのバッハ、「フランス組曲第4番」

| | コメント (0)

2022年7月22日 (金)

今回のレコードコンサートはシベリウスなど

金曜朝は朝から雨。

雷も轟き一時は豪雨となった。

昼前には上がり、真夏の日差し。

 

この一時的な雨で大瀬海水浴場には大量の土砂が流れ込み、泳げなくなってしまった。

ここは環境省が選ぶ全国756か所の「水浴場(開設前)の水質調査結果」で、水質が特に良好な水浴場10か所の上位に毎回ランクされる海水浴場。

コロナ感染の拡大も有り、ちょうどシーズンを迎えて大きな打撃だろう。
テレビには関係者である知人の姿が映っていた。

 

そしてコロナ第7波。
猛烈に拡大。

昨日静岡県内の感染者が過去最大の4千人を超えて驚いていたら、今日は5890人。

全国でも19万人を越えたという。

 

そして夜は沼津市民文化センター主催の「クラシックレコードコンサート」の解説。


Img_20220722_192127

感染拡大もありキャンセルが6人ほど。

マスク着用、手指消毒、今回は特に途中での換気を心がけた。

 

今回取り上げたのは北欧の作曲家たち。

古い時代の聖歌からシベリウス、グリーグ、アルフェーンなどをとりあげた。


Img_20220723_100434

ロシアの圧制下で国民を勇気づけた「フィンランディア」はオーマンディ指揮の合唱付のバージョン。


Img_20220722_191122

それ以外は北欧の演奏家たちが中心。

巨匠の風格のパーヴォ・ベルグルンドのシベリウスなど。


Sh31_ichikawa_20220723112601

 

沼津ゆかりの外交官で、シベリウスと最も深い親交のあった日本人、市河彦太郎のことも紹介させていただいた。

最後に番外編として、第二次世界大戦が迫っていた1939年元旦に、世界に向けて放送されたシベリウス自身が指揮した「アンダンテ・フェスティーボ」を紹介。


Image-1_20220723112801

平和への祈りに満ちた感動的な演奏に、皆さん静かに聴いていた。

終演後、このCDを購入したいという方が何人もいたけれど、今購入できるのかな。

Youtubeで聴けることを紹介しておいた。

 

Youtubeはシベリウス自作自演の「アンダンテ・フェスティーボ」。

この録音については2種出ていて演奏時間6分台のものが本物です。

| | コメント (0)

2022年7月21日 (木)

シモーネとランパルのヴィヴァルディ「海の嵐」

朝、外が明るくなって目が覚めた。

時計を見ると午前4時50分。

寝たのが1時過ぎだったので2度寝をしようと思ったけれど眠れない。

結局そのまま起きて出勤。


Img_20220717_173923

通勤途中の市民文化センターには盛大な蝉しぐれ。

今日も暑くなりそうだ。


Img_20220717_173654

そして隣接地に建設中の沼津市総合体育館。

クレーン車が小さく見えるほどの巨大な建物だ。

来年沼津市は市制100周年となるのでその記念事業。

ちなみに市民文化センターは市制60周年。

 

市街地中心部にある市立図書館は市制70年の記念事業。


Gaikan_2017

延べ床面積1万平米を超える県内最大のマンモス図書館。

 

 

今日もシモーネのヴィヴァルディ。

フルートのランパルやオーボエのピエルロら、フランスの名手を集めた協奏曲集。「海の嵐」「夜」など。

 

エラート原盤の日本コロンビアの廉価盤LPで、自分が初めてシモーネの演奏に接した盤。
番号はRE-1071RE


M35445135874_1

・フルート、オーボエ、バスーンのための協奏曲ヘ長調「海の嵐」op10-1,P261
・2つのオーボエのための協奏曲イ長調P53
・オーボエ、ヴァイオリンのための協奏曲変ロ長調P406
・フルート、バスーンのための協奏曲ト短調「夜」op10-2,P342
・弦楽と通奏低音のための協奏曲ハ短調P422
・フルート、オーボエ、2つのヴァイオリンのための協奏曲ハ長調P81

 ジャン・ピエール・ランパル(fl)
 ピエール・ピエルロ(ob)
 ベナッツィ(fg)
 ピエロ・トーゾ(vn)
 クラウディオ・シモーネ(指揮)
 ヴェネチア合奏団

なおこのLPの表記ではピエロ・トーゾがファゴット奏者となっている。
明かな誤植。


710ef1ef3de64ea8aec26cd68560e4a9

 

レコードジャケットの中に、1978年11月3日の購入メモが入っていた。

四畳半の下宿の一室に置いた貧弱なオーディオ装置で聴いていた学生時代。

このころは1枚1枚のレコードを大切に聴いていた。
そのときの空気がよみがえってくる。

 

演奏は自由闊達に天を駆けるような爽快なヴィヴァルディ。

低音弦楽器にピタリと付けるファゴットの響きが楽しい。

 

そして若き日のランパルとピエルロのなんとも見事なソロ。

協奏曲「夜」のアダージョでは、ランパルの トリルの1音1音が弦楽器の音の移り変わりに見事にシンクロしている。

 

今は再生環境が劇的に変わり、それまで聞こえなかった音が適正なバランスで響いている。

こんなに良い演奏だったとは・・・・

大きな発見だった。

 

Youtubeはシーモネ指揮の「海の嵐」、フルートはゴールウェイ。ランパル盤と比べると随分枯れています。

| | コメント (0)

2022年7月19日 (火)

シモーネの四季

終日雨。

午後に線状降水帯が通過して土砂災害警戒警報。

ちょうど出かけた時に豪雨に遭遇。

一時は車のフロントガラスの前がほとんど見えないほどの雨だった。
豪雨は1時間ほどで去った。

 

帰省していた孫と娘が帰ってしまってまた寂しくなった。
残ったのは紙おむつを含む多量のゴミ。

畑のカボチャとトマト、ナスがたくさん取れ始めたので娘に持たせてやった。

 

イタリアの指揮者、クラウディオ・シモーネのヴィヴァルディを聴く

曲は「四季」

 

バロック期の音楽は、今やピリオド楽器での演奏が主流。

モダン楽器によるシモーネやフランスのパイヤール、ドイツのレーデルあたりの録音はすっかり時代遅れになってしまったけれど、自分がバロック音楽に親しみ始めた頃はまさにこの人たちが主役で多くの作品をこの人たちの録音で知った。

 

シオーネは協奏曲集「和声と創意への試み」作品8の全曲を1971年に録音していて「シモーネ」の代表盤扱いだった。

後にその中の「四季」のみを1982年に再録音している。
「四季」はほかにDVDもあるようだ。

 

聴いたのは1967年の来日時に日本コロンビアのスタジオで録音されたもの。

この盤は地元のハードオフの100円ジャンクコーナーで見つけたもので、その時は世評名高い1971年録音のエラート盤だと思っていた。

ところがジャケットを開いてみてびっくり。

初来日時の国内録音だったのだ。

 

このアルバムは、シモーネ自身の詳細な解説に加え、アムステルダムで出版された初版印刷譜の付録、個別の奏者の詳細な経歴とサインも付いた、当時の製作者の意気込みが自然に伝わってくるかなり丁寧な造り。

録音データを見ると1967年日本コロンビアスタジオとある。

 

未知の日本での録音盤だったのだ。

ネットで検索してもこの録音の存在は出てこない。

CDになっているのだろうか。


Img_20220716_185426

和声と創意への試み作品8からヴァイオリン協奏曲集「四季」

クラウディオ・シモーネ(指揮)
イ・ソリスティ・ヴェネティ

   録音 1967年11月、日本コロンビアスタジオ

 

協奏曲集「和声と創意への試み」作品8の作曲者自筆譜は見つかっていないけれど、
ヴィヴァルディの自筆譜に関しては面白い本が出ている。


Image_20220720120201

シモーネはこのアムステルダムでの初版出版譜と、通常のブライトコップ版と比較検討しながら録音していて、その点は解説文で詳しく触れている。

 

聴いてみるといくつかの音が一般譜と異なっているとはいえ、曲そのものの印象が劇的に変わるわけでもない。

聴く前からある程度は予想はできたけれども、モダン楽器による甘い砂糖菓子のようなヴィヴァルディ。

各々の奏者たちの確かな技巧に、ピエロ・トーゾの伸びやかなヴァイオリンソロが良くて非常に楽しめた。

 

中でも「冬」の第2楽章は美しく歌わせた優れもの。

 

Youtubeはシモーネ指揮のロッシーニ、歌劇「マオメット2世」序曲

| | コメント (0)

2022年7月17日 (日)

団内アンサンブル大会、そして第40回定期演奏会の選曲

雨のち晴れ。

予報では一日雨だったのが昼頃から快晴。

気温も久しぶりに30度を超えた。

ここ数日雨ばかりだったので猛烈な湿気。

 

金曜から娘と孫が2週間ぶりに帰省している。

1歳5か月の孫はわずかな間にカタコトながら話す言葉が増えていた。

 

昨日は沼響恒例の団内アンサンブル大会。


Dsc03350

 

趣向を凝らしバラエティに富んだ編成の9団体が参加。


Img_20220716_185335

自分は今回ブラスアンサンブルでコープランドの「市民のためのファンファーレ」で参加。

合わせの練習は先週の日曜と木曜の2回のみ。


Img_20220716_175018

皆知っている曲だし、譜面もさほど難しそうでもなかったけれど、実際にやってみると、打楽器と金管の入りのタイミングがなかなか合わない。

今回は指揮者なし。

Youtubeあたりで見ると、著名団体でも指揮者を入れて演奏している例も多い。

結局、木曜の練習も不消化のまま本番当日を迎えてしまった。

 

出演はトップバッター。

とにかく打楽器に合わせようということで非公開の団内コンサートの気安さ。

気楽な気持ちで本番に臨んだら結果的には本番が一番良かった。

最初に終わったのであとは客席で観戦。

Img_20220716_185844-1

出演チームの曲は、今回は古典派から初期ロマン派の作品が比較的多かった。


Img_20220716_191031

著名な曲が少なくて、ハイドンのバリトンのためのトリオなどの著名作曲家のマイナーな曲やら、ライヒャファッシュなどバロック、ロマン派傍流の作曲家たちの珍しい曲の数々。


いろいろと楽しませていただきました。



トリは弦楽合奏による「ホルベルク組曲」から3曲。


Img_20220716_193017

いつのまにか弦楽器の団員がかなり増えていた。

 

 

終了後はパートトップを集めた技術委員会。

再来年の第40回定期演奏会のメインの曲候補を、団員アンケートの結果から3曲程度へ絞り込み。

 

第40回ということで、編成や曲の難しさをさほど気にせず出しているので、いつもよりも多彩な曲が並ぶ。

ちなみに第30回の演奏曲目はマーラーの「巨人」だった。

 

今回目立ったのはマーラー、ブルックナー、ショスタコーヴィッチらの人気シンフォニストの作品。


マーラーは2.5.9番、ブルックナーは4.6.7.8.9番、ショスタコーヴィッチは4,5,7番など。

他に「ダフニスとクロエ」全曲や「わが祖国」全曲、「惑星」などのヘビィな管弦楽曲たち。

 

結局、数多く出たマーラー、ブルックナーは無視できず、マーラーは5番、ブルックナーは7番で決まり。

もう一曲は、ダークホース的に突然浮かび上がってきたシューベルトの交響曲第8番「グレート」。

 

ちなみにグレートは第10回定期演奏会で取り上げている。

 

この3曲から全員投票で第40回のメイン曲が決まる。


そしてその結果を踏まえつつ第39回の曲は技術委員会で決定する。

 

youtubeは市民のためのファンファーレ、アイルランドのダブリンでのフラッシュモブ

| | コメント (0)

2022年7月13日 (水)

モニク・アースのハイドンとモーツァルト

曇りのち雨。

梅雨のようなぐずついた日々が続く。

コロナ第7波が急速に拡大。

静岡での感染者はコロナ感染始まって以来最大の2195人、東京も一万人を超えた。

これって永久に続くのだろうか。

早くタミフルのような薬が出てきて欲しいもの。

Dsc03345

畑のカボチャの成長止まらず垣根を越えて隣地の駐車場に迫る勢い。

隣のサツマイモを完全に覆ってしまった。

エイリアンの如く続くレタスの領域まで浸食開始。

葉を持ち上げるとカボチャとサツモイモの蔓が複雑に絡み合っている。


Dsc03346

熾烈な生存競争。

 

フランスの女流ピアニストモニク・アースのハイドンとモーツァルトを聴く

MEMBRANのCD10枚組から


219

・ピアノソナタ ヘ長調 Hob.XVI:23
・アリエッタと20の変奏 Hob.XVII:3
・ピアノソナタ 変ホ長調 Hob.XVI:52
・幻想曲 Hob.XVII:4           :以上 ハイドン
  録音 1959年

・ピアノ協奏曲第14番 K.449
フェルディナント・ライトナー(指揮)
ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
  録音 1957年

オリジナルはポリドールへのスタジオ録音。

 

このCD10枚組は、定評のあるドビュッシーやラヴェルだけでなく、バッハからハイドンモーツァルト、バルトークなど。幅広いレパートリーを誇っていたアースの芸風を知ることができるもの。

 

モニク・アースはドビュッシーやラヴェルのピアノ曲全集を残しているけれど、他のレパートリーもよい。

アースのモーツァルトはドビュッシーの時とは異なる渋くしっとりとした音。

自然で美しい清らかなせせらぎに足を浸すかのような心地良さも感じられ、これがアースの本来の音なのかもしれない。

 

名匠ライトナーの伴奏も見事。

この頃のベルリンフィルの音質は重く重厚なものが多いけれども軽妙洒脱な柔らかな音を引き出しているのが良い。

 

ハイドンは一転して美しくも力強い打鍵で聴かせる硬派のハイドン。

緩徐楽章の絶妙の間が印象に残る。

Youtubeはモニク・アースのドビュッシー、「ピアノのために」からトッカータ

| | コメント (0)

2022年7月12日 (火)

モーツァルトのオルガン曲

曇りのち雨。

今年も祖母の実家からジャガイモが届いた。

箱根山麓の火山灰地で栽培されたもので三島馬鈴薯として有名なもの。

Sdsc00954

祖母は自分が生まれる前に若くして逝っているので写真でしか知らない。

祖母が嫁に来たのは90年ほど前。

それからずっと今まで、今は父の従兄弟が毎年この時期に直接持ってきてくださっている。

いつもありがとうございます。

 

モーツァルトのオルガン曲を聴く。

ザルツブルク大聖堂の教会オルガニストだったモーツァルト。

それなのにオルガンの曲がわずか17曲の弦楽を伴った教会ソナタしかないのは不思議な気がする。

 

しかもその中の9曲はモーツァルト自身が演奏するためだったのか、低音部の譜面のみとなっている。

 

この教会ソナタは、ザルツブルク大聖堂のミサのために作曲された。

いずれもミサの朗読の合間に演奏された曲で、演奏時間は1分から3分程度。

多くはオルガンにヴァイオリン2本とコンティヌォが加わるけれども、第16番は有名な「戴冠式ミサK317」が演奏されたミサのために作曲された曲で編成は大きくなっている。

 

今日は教会ソナタをピ-ター・ハーフォードのオルガンで聴く。

DECCAから出ていたCD2枚組で、2枚目はトロッターの弾くソロオルガンの演奏が収められている。

41nbhv4n0dl__ac_ql70_ml2_

・ 第1番変ホ長調 K.67(41h)
・ 第2番変ロ長調 K.68(41i)
・ 第3番ニ長調 K.69(41k)
・ 第4番ニ長調 K.144(124a)
・ 第5番へ長調 K.145(124b)
・ 第6番変ロ長調 K.212
・ 第7番ト長調 K.241
・ 第8番へ長調 K.224(241a)
・ 第9番イ長調 K.225(241b)
・ 第10番へ長調 K.244
・ 第11番ニ長調 K.245
・ 第12番ハ長調 K.263
・ 第13番ト長調 K.274(271d)
・ 第14番ハ長調 K.278(271e)
・ 第15番ハ長調 K.329(317a)
・ 第16番ハ長調 K.328(317c)
・ 第17番ハ長調 K.336(336d)

 ピーター・ハーフォード(オルガン)
 ヨハン・クラフト、ヘンク・ルービング(ヴァイオリン)
 ヴィム・シュトレッサー(チェロ)
 ブライアン・ポラード(ファゴット)
 マーガレット・アーカート(コントラバス)
 アムステルダム・モーツァルト・プレイヤーズ(第12,14,15番)

 録音時期:1987年6月
 録音場所:オランダ、 パーペンドレヒト、ベツレヘム教会

弦楽奏者の多くはコンセルトヘボウ管のメンバーだという。

教会ソナタは明るく祝祭気分に満ちた曲ばかり。

ミサという、いささか堅い場での束の間の息抜きのために書かれたように思える。

 

そしてトロッターのオルガンで

・ピアノ組曲~序曲K.399
・アダージョとアレグロ ヘ短調K.594(トロッター版)
・ロンドンの練習帳
・アダージョ ロ短調K.540
・モルト・アレグロ ト長調K.72a
・フーガ ト長調K.401
・ジーグ ト長調K.574
・幻想曲とフーガ ハ長調K.394(383a)
・アンダンティーノ変ホ長調K.236
・アンダンテ ヘ長調K.616
・アダージョ ハ長調K.356(617a)
・幻想曲ヘ短調(アレグロ&アンダンテ)K.608(トロッター版)

 トーマス・トロッター(オルガン)

 録音:1993年11月
 録音:オランダ、ファルムスム、改革派教会

 

トロッター盤のオルガン曲は自動オルガンのための曲を含み、モーツァルトの肖像画に書かれていた譜面の曲や、編成不明の曲、いくつかの短いピアノ曲からのオルガン編曲などを集めたもの。

Mozart_cignaroli_2width800

この2枚でモーツァルトが書いたオルガン曲のほぼ全貌が掴める好アルバムだ。

 

自動オルガンのための曲はモーツァルトの最晩年に書かれた。

当時人気のあったゼンマイ仕掛けの装置のための曲で、演奏者としての人は介在しない。

いわば困窮していたモーツァルトが金銭目的ために書いた曲。
それなのにK.594のアダージョの美しくも深い表現には心打たれる。

バッハの影響が濃い幻想曲とフーガK394なども非常に聴き応えのある名演だ。

 

オルガンの音も美しい。

 

Youtubeは自動オルガンのためのアダージョとアレグロ K.594

| | コメント (0)

2022年7月10日 (日)

本日の練習アンサンブル大会に向けて、コープランドの「市民のためのファンファーレ」

雨のち曇り。湿度が高く夜寝苦しい。

夕刻、雲の合間の富士山が今日は大きく見える。


Img_20220710_173108

本日参議院選挙。

 

 

今月半ばに沼響恒例の団内アンサンブル大会があり、昨晩はブラスセクションの練習。

練習開始の午後8時前に文化センターに行くと大ホールからゾロゾロと人が出てきた。

ちょうど小椋佳のコンサートがあり終わったところらしい。

 

ずいぶんと終演が早いなと思ってポスターを見たら5時開演。

出てくる人たちの平均年齢はかなり高かった。

 

今回のアンサンブルの曲はコープランドの名作、「市民のためのファンファーレ」。

ブラス11人に打楽器という標準編成の版を使用。

場所は市民文化センター地下のリハーサル室。


Img_20220709_200656

ここはかつての沼響の日常の練習場所。

狭いうえに天井も低いので最近はパートやセクション練習以外はほとんど使っていない。

 

そんな中でブラス鳴りっぱなしのコープランドの曲。

最初のドラの音で狭い部屋の中が音で飽和状態。

 

短いながらキツイ曲なので30分ほどで練習を切り上げた。

 

この「市民のためのファンファーレは、イギリスの指揮者ユージン・グーセンスがシンシナティ交響楽団の音楽監督時代に、アメリカの18人の作曲家たちにファンファーレの作曲を依頼したときに生み出された。

 

今日はホルヘ・メスター指揮ロンドンフィルの演奏でコープランドを含むいくつかのファンファーレを聴く。

日本フォノグラムから出ていたLP2枚組でオリジナルは米Varese Sarabande。

近現代の作曲家たちによる20曲のファンファーレを集めている。


Iimg1200x8001632179566mdy9yb914

・Fanfare For The Common Man
・Ceremonial Fanfare
・Inaugural Fanfare
             Composed By – Aaron Copland
・Chorale And Fanfare
・Fanfare For The Signal Corps
             Composed By – Howard Hanson
・Fanfare For The Forces
             Composed By – Roy Harris
・Fanfare For The Latin Allies
             Composed By – Henry Cowell
・Fanfare For Airmen
             Composed By – Johan Wagenaar
・Fanfare For Freedom
・Columbian Fanfares
             Composed By – Morton Gould
・Fanfare For Russia
             Composed By – Deems Taylor
・Fanfare For JFK
・Anniversary Fanfare
・Shivaree
             Composed By – Leonard Bernstein
・Fanfare For The Medical Corps
             Composed By – Anis Fuleihan
・Fanfare For France
             Composed By – Virgil Thomson
・Ceremonial Fanfare
・Fanfare For The Fighting French
             Composed By – Walter Piston
・Fanfare For Paratroopers
             Composed By – Paul Creston
・Fanfare For The Merchant Marine
             Composed By – Sir Eugene Goossens

Jorge Mester
The London Philharmonic Orchestra

録音 St. John's Church, Smith Square, London on December 19 & 20, 1980.

 

指揮者のグーセンスの作品を含むコープランドやバーンスタインのほか、モートン・グールド、ハワード・ハンソン、ロイ・ハリス、ワルター・ピストンなど20世紀後半を代表するアメリカの作曲家たちの作品が並ぶ。

この中の何曲かはグーセンスが委嘱したファンファーレが含まれているのだろう。

 

正直なところこの種の曲は、指揮者の解釈よりも奏者がある一定の水準を満たしていればそれなりの音で鳴る。

この演奏、録音が良いので非常に聴き映えがする。

 

Youtubeはアンドリュー・デーヴィス指揮BBC響の「市民のためのファンファーレ」

| | コメント (0)

2022年7月 8日 (金)

ワルター、1937年のモーツァルトのレクイエム

曇りのち晴れ。

朝、散歩時のポコ。


Dsc03336

本日オフで畑の夏野菜を収穫。

昼食にしようとすると社会を震撼させる出来事が起きていた。

現職政治家しかも首相経験者の暗殺。

まるで昭和の初めの暗黒時代に逆行したかのようだ。

 

嫌な時代になってきた。

 

昨晩は年に1回の沼響定時総会。

場所は市民文化センター会議室。

仕事が長引き途中からの参加。

 

内容は会計報告や新役員の選出など・・・・・

 

定期演奏会も来年は39回目となり、沼響も創立40年を迎える。

創立時のメンバーが自分一人となってしまってから久しい。

徐々に世代交代が進んでいるのを実感。

 

これから自分はいつまで続けることができるやら・・・

 

 

 

ブルーノ・ワルターの演奏でモーツァルトのレクイエム。

 

何種かあるワルターのモツレクのうちウィーンフィルとの1937年のパリ,万国博覧会でのライヴ。
ワルターがウィーン・フィルとウィーン国立歌劇場合唱団を率いて行なった演奏会のライヴ録音。

EMIへの正式録音だったが、ワルターが発売を禁じていたので世に出たのは1986年。

イギリスEMIがreferennsシリーズのLPで初めて出した。

 

自分の手持ちはイタリア盤CD


400x400cc

モーツァルト レクィエム ニ短調 K.626

 ブルーノ・ワルター (指揮)
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 ウィーン国立歌劇場合唱団

 エリザベート・シューマン(S)
 ケルスティン・トルボルク(Ms)
 アントン・デルモータ(T)
 アレクサンダー・キプニス(Bs)

         録音 1937年6月29日 パリ,シャンゼリゼ劇場 ライヴ

 

1930年代のヨーロッパは、ナチスによるユダヤ人迫害が本格的になり、ワルターは1933年にドイツからオーストリアに移住している。

1938年にはオーストリアはドイツに併合され、翌年にワルターはスイスに移りフランス国籍を得るがまもなくアメリカへ渡ることになる。

 

この演奏では何よりも豪華な歌手陣が魅力。

初出当時はかなりセンセーショナルに取り上げられていたように記憶している。

今聴いてみるとワルターの何種かあるモツレクの中ではさほど良いとは思わなかった。

 

暗い時代を感じさせるような重々しくも暗い演奏。

ライヴとはいえワルターも精神的にかなり不安定だったのではなかろうか、オケの統率に乱れもあり、ワルターが発売を指し止めていたのもわかる。

だが独唱陣はさすがに素晴らしい。

 

復刻にも問題がありそうだ。

このCDで聴くとウィーンフィルにしてはピッチが低いような気がする。

そのことが暗くドロドロとした雰囲気を助長している。

 

Youtubeはモーツァルトのレクイエム、ガーディナーの指揮

| | コメント (0)

2022年7月 6日 (水)

デ・ブルゴスの三角帽子

台風は熱帯低気圧に変わり本日晴天。

この暑さでマスクをするのが苦痛になってきた。

感染者は再び増加。

第7波の到来なんだろうか。

 

コロナ禍で未だ宴会はできず、職場の暑気払いの代わりに本日昼食会。


Img_20220706_121159

沼津港真鯛の真鯛弁当。

 

今日もまた「三角帽子」

フリュベック・デ・ブルゴスによる全曲盤。

 

90319912

・ バレエ音楽 「三角帽子」全曲

 ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス(ソプラノ)
 ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス(指揮)
 フィルハーモニア管弦楽団

    録音 :1963年 ロンドン

録音時期はホルダとベンツィほぼ同じ頃。

 

デ・ブルゴスは以前スペイン国立菅の来日公演を聴いている。

ラローチャをソリストとして、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番にメインは「春の祭典」だった。
会場はサントリーホール。

この時指揮者正面のP席だったのでデ・ブルゴスの指揮ぶりがよくわかり、あたかもデ・ブルゴスの指揮で演奏しているような気分になっていた。

「春の祭典」冒頭のファゴットソロで指揮棒が下りてもしばらく音が出ず会場が固まってドキドキしたのも懐かしい思い出だ。

演奏は白熱したもので、この時アンコールにお国もののファリャやグラナドス、そしてサラスエラの舞曲などたくさん演奏してくれた。

 

この「三角帽子」の録音は、スペイン情緒たっぷりでありながらも普遍的な風格も感じられる名演。

オケが鳴りきっている中で各楽器のバランスも非常に良い。

 

こうやって同じ曲を3者で比べると、指揮者としての芸格の違いは明らか。

それにしても当時40歳の名歌手ロス・アンヘレスの声が実に若々しい。

 

手拍子の響きは明るく軽めでこちらはホルダの方が良い。

後から編集して付けたような不自然さが感じられる。

 

Youtubeはバレエ「三角帽子」全曲、2013年プロムス

| | コメント (0)

2022年7月 4日 (月)

ロベルト・ベンツィの三角帽子

曇りのち雨。

台風が西から接近中。

梅雨は明けたけれど今週は連日雨の予報。

日曜はNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」スペシャルトークショーに行っていた。


292137132_5319827458136598_2723890527723

場所は沼津市民文化センター。

出演は沼津ゆかりの阿野全成役の新納慎也さんにその妻、阿波局役の宮澤エマさんのお二人。


Fwumqpoauaallf

 

撮影時のエピソードやふたりの役に賭ける思い、残念ながら放送時にカットされてしまった貴重なシーンの数々の内容などの興味深い話の数々。


292134603_5319827518136592_7985373811262

それにしてもこの二人の登場シーンは本編とは外れたシーンが多いため、オンエア時にはかなりカットされてしまっているんだそう。

冨士の巻き狩りの回の時、実際には全成と範頼との間で兄弟愛を感じさせる重要なシーンもあったとのこと。

カットシーンを含めてディレクダーズカットで後日放送していただきたいもの。

 

今日も「三角帽子」。

フランスの指揮者、ロベルト・ベンツィ指揮の演奏で聴く

日本フォノグラムから出ていた廉価盤LPで、こちらは二つの組曲版。

声楽は入っていない。

 

70年代初頭の千円盤時代に「三角帽子」の全曲盤は日本コロンビアから出ていたエンリケ・ホルダ指揮のEVEREST盤くらいしかなかった。

その後東芝のセラフィムシリーズのデ・ブルゴス盤が登場。

デ・ブルゴスの録音も第1期のシリーズでは第2組曲の部分のみだったのが、緑の共通ジャケトの新シリーズになってからは全曲録音に入れ替わった。

声楽入りの全曲の廉価盤は結局この2枚だけで、組曲版は日本フォノグラムのフィリップス系のロベルト・ベンツィとマゼールのグラモフォン盤かなり後になって出た。

Sdsc02885-2

・バレエ「三角帽子」第1、第2組曲
・組曲「恋は魔術師」

 ロベルト・ベンツィ
 パリ・オペラ座管弦楽団
 
   録音 1964年

 

11歳で指揮デビューのロベルト・ベンツィはそのまま伸び悩んでしまったようだけれど、NAXOSへのフランクやForlanuへのデュカスなど、なかなか味のある演奏を残している。

来日時にも「三角帽子」をプログラムに入れている。

 

この演奏は水彩画を見るような淡白で上品なファリャだった。

まさにおフランスのローカル色豊かなカラフルな響きのオケ。

良く歌わせていてこの手の演奏は嫌いではないけれど、全体の印象としては影が薄い。

こちらは7年前の自分の感想

 

Youtubeは「三角帽子」、オロスコ=エストラーダ指揮hr響

| | コメント (0)

2022年7月 2日 (土)

ホルダの三角帽子

7月に入り各地で35度を超え。

数日前にクマゼミの鳴き声を聞いたけれど、連日の高温にもかかわらずセミの鳴き声が少ない。

少ないどころか我が家周辺では未だ聞こえてこない。
温度上昇のカーヴが急すぎて地中の蝉の準備が間に合わないのかしらん。

来週には台風が直撃の予報。

県内他市にいる娘と1歳半の孫が帰省。
部屋の中を大声を出しながら歩き回ってにぎやかだ。

 

この暑い夏にスペインの作曲家ファリャを聴く。

曲はバレエ音楽「三角帽子」。

バレエ「三角帽子」は80年代にウィーンでバレエ公演を観ている。

ウィーン国立歌劇場の舞台で指揮はサー・チャールズ・マッケラス。


01_006

 

ピカソの舞台装置と衣装を使った公演だった。

 

正直なところこの時の「三角帽子」の舞台とマッケラスの指揮した音楽の印象はほとんど残っていない。


44e55f26f5eccf813b6e828861ddc3f3f1d34a30

それよりも前プロのチャイコフスキーの弦楽セレナーデが絶美の演奏で、ワルツの蕩けるようなストリングスの響きが未だに強烈に頭の中に残っている。

この時の「三角帽子」の記憶がないのは、このチャイコフスキーのインパクトが強すぎたからだろう。

 

そして「三角帽子」ではもうひとつ強烈な演奏を聴いている。

大指揮者イーゴリ・マルケヴィッチの最後の来日公演となった東京都交響楽団の定期演奏会。

あれは本当に凄かった。

 

じわりじわりと緊張を盛り上げていく終曲、大鷲が翼を広げてはばたくようなマルケヴィッチ独特の指揮は今でもはっきり覚えている。

クライバー、バーンスタイン、カラヤン、チェリビダッケ。

数々の名指揮者の実演を聴いたけれど、マルケヴィッチが最も印象に残っている。

 

 

今日はホルダの演奏。

EVEREST原盤、70年代初頭に日本コロンビアのダイアモンド1000シリーズという千円盤LPシリーズとして出たもの。

 

スペインの指揮者エンリケ・ホルダ(Enrique Jordá, 1911 - 1996)はかつてDECCAからスペインものを中心とした録音が出ていた。

手持ちでは「新世界より」もあるけれど、あまり印象に残っていない。

ホルダのファリャでは「恋は魔術師」の録音もある。

Imgrc0086695824

・バレエ音楽『三角帽子』全曲

 バーバラ・ヒューイット(メゾ・ソプラノ)
 エンリケ・ホルダ(指揮)
 ロンドン交響楽団

 録音:1959年11月
    ロンドン、ウォルサムストウ・アセンブリー・ホール

ホルダといえばサンフランシスコ響の音楽監督時代に、前任の名指揮者モントゥーが築いた黄金時代の水準をガタガタに落としたということがあり、あまり良いイメージはない。

 

この「三角帽子」はホルダの代表的な録音として知られるもの。

当時の評論ではメゾ・ソプラノの野性的な声とホルダの情熱的な指揮が話題になっていたと記憶する。

 

今聴いてみるとメゾ・ソプラノは力が入っているけれども地声というわけでもなく、節度のある歌い方。

このバーバラ・ヒューイットはコヴェントガーデンで歌っていたイギリスの歌手。

 

ホルダの指揮は熱い勢いの中に変幻自在のテンポの変化の妙。

指揮者もオケもノリノリの快演。

 

1959年といえばこの頃のロンドン響は首席指揮者が長い間空席の時期で、アンサンブルの精度が落ちていた。

この録音でのロンドン響のアンサンブルは今の同オケの水準と比べるとずいぶんと粗い。

 

だが、この粗さがなんとなく野性的な雰囲気を出しているとも言えなくもない。

 

この録音は、米EVEREST自慢の35ミリマグネティックフィルムを使用した、驚異的な録音の良さでも評判になったもの。

冒頭のオーレ!の掛け声と手拍子の生々しさはとても60年前の録音とは思えない。

千円盤とはいえオイルショック前の厚めの盤質で安定した再生音。

 

今もSACDで現役の名盤だ。

 

Youtubeはムーティ指揮ウィーンフィルの「三角帽子」

| | コメント (0)

« 2022年6月 | トップページ | 2022年8月 »