バリリのベートーヴェン、弦楽五重奏曲
早朝、雷鳴で目が覚めた。
山形、北陸方面は昨日から記録的な豪雨。
久しぶりの強い雨。
通勤時に吹きさらしの橋の上を歩くので、オフィス用の革靴を鞄に詰めてゴム長靴を履いて出勤。
激しい雨で夏の熱さは小休止。
帰宅してソファでくつろいでいたらヤモリの子どもがすぐ横に。
なかなかの面構え。
痩せていたので外に逃がしました。
今日はベートーヴェンの比較的マイナーな室内楽。
ウィーンフィルの50年代のお馴染みのメンバーによるウエストミンスター原盤の東芝EMIのLP
・弦楽五重奏ハ長調 作品29
・2つのオーボエとイングリッシュホルンのための三重奏曲ハ長調 *
バリリ四重奏団
ワルター・バリリ,第1ヴァイオリン
オットー・シュトラッサー,第2ヴァイオリン
ルドルフ・シュトレンク,ヴィオラ
ウィルヘルム・ヒュプナー,第2ヴィオラ
リヒャルト・クロチャック,チェロ
ウィーンフィル木管グループ*
録音 1953年 1954年*
作品29のヴィオラは2本、この編成の弦楽五重奏曲のベートーヴェン唯一のオリジナル曲。
同編成のベートーヴェンの曲は数曲あるけれど、作品29の他は全て異なる楽器編成のための曲からのアレンジ。
この曲は ライプツィヒのブライトコップ社から出版されるはずが、ベートーヴェンが関知しないところで突然アリタリア社 から出版された。
校閲されない状態で誤りも多く、激怒したベートーヴェンが裁判を起こしたという曰く付きの作品。
この件に関しては、ブライトコップからの出版直前にウィーンで譜面が盗難にあったとか、献呈先のフリース伯爵家からアリタリア社が虚構の話をして無断で借り受けたとか、いろいろな話が残っている。
ヴィオラが一本多いため内声部が充実、厚い響きの中に品のある軽い穏やかさも感じられる魅力的な作品だ。
しなやかで重くならないのは演奏者の力だろう。
フィナーレでは、厳しさの中に毅然とした品格が感じられるバリリのヴァイオリンが素晴らしい。
オーボエ2本とイングリッシュホルンという珍しい編成の三重奏曲は、ディヴェルティメント風の軽い曲。
メンバーはオーボエのカメシュ、カウツキーにイングリッシュホルンはハダムスキー。
録音会場の外を走る自動車の音と戦災復興の工事のようなノイズがよく聞こえる。
これらのノイズは弦楽五重奏曲では聞こえないので、別会場の録音だろう。
2曲ともモノラルながら音は非常に良い。
ワーナーからウエストミンスターのオリジナル マスターからのCDが出て、非常に話題になったけれどもこの音ならば不満はない。
最新のステレオ録音と比べても遜色ないほど。
Youtubeはバリリの弾くモーツァルト、ヴァイオリンソナタ第25番
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